Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

マナトレーディングでカーテンのファブリック選び@成城Z邸

[成城Z邸]

インテリアの色に対して、強い想い入れを持っていらっしゃる成城Z邸のZさまと一緒に、カーテン選びで中目黒のマナトレーディングのショールームに伺ってきました。マナは、輸入カーテン・ラグ・壁紙を数多く揃えており、僕らも毎回お世話になっています。

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この写真のように、本当に沢山のカーテン、ファブリック類が並んでいるので、良さそうなものを探すのも簡単ではありません。

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主寝室にはグリーンを使いたいとのことで、薄いグリーンを中心にカーテンを集めている様子です。とはいえ、色味だけではなく、ファブリック素材のテクスチャー、肌触り、透け感などでも気になる素材を集めたところ、このような大量のカーテン類が集まってしまいました。

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当初は、主寝室は床にしくカーペットにグリーンを使おうかとのお話もありましたが、後日プチリフォームで色を変えることになった場合、カーペットとカーテンだとカーテンの方が交換しやすいので、カーペットは白で決定していたので、寝室のカーテンは上品なグリーンのものを探すことが至上命題でした。

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良さそうなものが一通り集まったところで、床フローリングや壁仕上げ材、造作家具の仕上げ材等と見比べながら、候補を絞ってゆきました。

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こちらは、後日マナトレーディングの担当の松ケ下さんとスタッフの方が、成城Z邸の現場にカーテン採寸で訪問してくれた際の様子です。事前に、こちらで大まかなサッシの寸法を伝えていたので、お見積りはすぐに出ていたのですが、コーナーまでサッシが回っている出隅や入隅があると、カーテンの場合はレールを曲げるのか、切るのか、ブラインドの場合もどちらをどのように勝たせるか等の判断が必要になるので、現地に来てもらい打ち合わせをさせて貰いました。

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北側の主寝室と書斎が並ぶ空間の窓は、二重壁を作って、その背面にカーテンを収納するスタイルなので、より綿密に採寸して貰いました。

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こちらは二重壁の下地です。北側の通路側に面した窓なので、開放する機会はそれほど多くなく、かつガラスも外からの視線を考慮してクモリになっているので、開口部の面積が多少小さくなってしまいますが、窓と窓の間の壁面を大きくすると同時に、しまった時のカーテンが見えなくするためにこのような二重壁を考案しました。因みに、写真下の方に見ている灰色のパイプは外壁面からの給気口です。そのままではカーテンの裏に給気されてしまうので、パイプを二重壁まで伸ばしてもらいました。

 

 

アムスタイルでキッチン背面収納の打ち合せ

[横浜市O邸]

横浜市の高級マンションリフォームプロジェクト・横浜O邸では、メインのキッチン(シンクとガスレンジがあるペニンシュラカウンター部分)は既存を再利用しますが、背面の収納はスタイリッシュに作りたいとのご希望でした。事前に都内のオーダーキッチン屋さんを研究してくださっていたお施主さまからご指定があったのが代官山のアムスタイルでした。

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設計施工で工事をお願いしている(今回は、僕らはデザインアドバイスでのお手伝いです)リフォームキューの担当の坂本さん、アムスタイルで僕らのプロジェクトを主に担当して貰っている宮本さん、そしてお施主さまご夫妻と一緒にショールームを見学しながら、打ち合わせをさせて頂きました。

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お二人が目指しているのは、使い勝手が良く、そして何よりデザインがスタイリッシュなキッチン背面カウンター&収納とのことで、機能性とデザインをどのように調整してゆくかが一番の課題になりそうです。

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ちょうどご妊娠中で、これからしばらくは産休+育休を取って、お家に長時間いることになる奥さまは、買い置きができる大型パントリー収納を作りたいとのことで、代官山アムスタイルショールームの収納をご説明している様子です。

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色味としては、ウォールナット突板の扉をベースに、クオーツストーンのカウンターを設け、カラーガラスや色つきのキッチンパネル、内部に照明を入れたガラス扉の魅せる収納が組み合わされたものになりそうです。また、キッチンの奥には小さな家事コーナーを、横面にはワインセラーと冷蔵庫を組み込んだ収納も作ることが決まりました。

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これは別の日程での事務所での打ち合わせの様子です。家具のミノッティのソファの張地、リーバ(アルフレックス)のダイニングテーブルの木目、アルフレックスのダイニング椅子の生地、そしてアムスタイルの背面収納の仕上げ材の候補が集まってきたので、室内仕上げのフローリング、壁と天井のクロス、玄関正面の石の候補などと並べて、最終的な色味を決めてゆきました。

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木目はウォールナットに濃灰色の塗装パネル、やはり濃いめの色のカラーガラス、そこにアクセントになる山吹色を交えた、大人っぽいインテリアになることが概ね決定されました。

 

 

フレンチヘリンボーン張りのフローリング@成城Z邸

[成城Z邸]

成城Z邸の玄関ホールと廊下で、お施主さまがずっと楽しみに待ってくださっていた床のフレンチヘリンボーン張りが始まりました。

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といっても、慎重な大工の内原さんは、墨出しして一気に張る訳ではありません。全ての部材を仮置きして、どこからどのように貼っていったら良いかを研究し始めました。

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このように、センターにだした墨と、サイドに設けた当て木の間に、薄いビニールテープ一枚をかましながら、全体を並べてゆきます。

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フレンチヘリンボーンはこのような状態で(搬入時は勿論梱包されていますが)、現場に運ばれてきます。通常のフローリングであれば、ある程度を仮並べしてみれば、寸法的な精度や、反ったりムクったりしている状況も判断できますが、一般的なヘリンボーン以上に張るのが難しいと言われてるフレンチヘリンボーンなので、全てを仮並べしてみることになったそうです。
因みに、ヘリンボーンとは模様の名前で、へリング(魚のニシン)を開きにした状態のボーン(骨)の模様に似ているので、この名前で呼ばれています。一般的なヘリンボーンは四角いフローリングを互い違いに並べてゆくイメージですが、よりエレガントなフレンチヘリンボーンは、本当の魚の骨のようで、頭と尻部分が尖った長いひし形(平行四辺形)を並べた状態に仕上がります。

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大工の内原さんと現場監督の鈴木さんが座っているのが玄関ホールで、手前に設計担当の森井さんが屈んでいるのがリビングになります。奥に長く続いている廊下にもフレンチヘリンボーンは伸びてゆきます。

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内原さんにお願いして、作業しているところを、真上から撮影させて貰いました。張り始めと張り終い(はりじまい)が難しいそうで、中間部は寸法さえきちんと押さえておけば、ある程度はきれいに張れるとのことでした。
「魚の骨」模様なことが、この写真で一番良く判ると思います。

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こちらはナメルように覗いてみたヘリンボーンの様相です。周囲には、同じオークの無垢フローリングをボーダー状に張ることになっていますが、実は同じ厚みの材料が見つからなかったので、違うメーカーで厚みも違うフローリングをフラットになるように張って貰うことになっており、これも相当な苦労になってしまいそうです…。
まだ、フレンチヘリンボーンも無塗装の状態ですが、張り上がってオイルを塗布した仕上がりが今から楽しみです!

以下、後日仕上がってきたフレンチヘリンボーンの様子です。
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ヘリンボーン同志の隙間と周りを回っているボーダー状のフローリングとの隙間もピタリと同じ寸法で収まっています。

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長い廊下なので、廊下の中央にもボーダーを廻して、縁取るように仕上げて貰っています。

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廊下全体を俯瞰した様子です。手前で養生されている部分にもフレンチヘリンボーンが張ってあるので、最終的な仕上がりは凄い迫力になりそうです。