Author Archives: Kenji Kagami

設計業界では亜流であったリフォーム・リノベーションに、十数年前から真剣に取り組んできた設計事務所、カガミ建築計画の各務謙司(カガミケンジ)です。 学生時に初めて設計したプロジェクトがリフォーム、ニューヨークでの建築修行時も高級マンションリフォームに特化した設計事務所勤務、帰国してからもリフォームの仕事が圧倒的に多く、リノベーションに特化したカガミ・デザインリフォームのブランドを立ち上げ、上質リフォームの普及に尽力してきました。

お施主さまと一緒の家具・ラグ・小物ハンティング

[千代田区一番町Y邸]

そろそろ工事完了が見えてきた千代田区番町の高級マンションリノベーションY邸のために、お施主さまと一緒に家具やラグ、小物などを探し始めています。

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先にこちらで当たりを付けておいたものをお施主さまのYさまご夫妻を一緒に確認してゆく流れで、まずはソファを検討していたアルフレックスの恵比寿ショールームです。これまでに幾度も使ったことがあるSONA(ソーナ)のソファーを見て頂きました。

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張り地はレザーではなくファブリックですが、ショールームの奥では暗くて色味が判りにくいので、自然光が入る玄関手前まで生地サンプルを運んで貰って、候補の色やテクスチャーを確認して頂きました。

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次に伺ったのは青山のアクタスです。本来はこちらでダイニングチェアを探す予定でしたが、検討していたものがあまり良くなかったので、急遽小物を購入したうえで、ラグの候補を確認させて頂きました。

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小物の購入には、芝公園のベイカー@東京にもお邪魔しました。こちらのお店はアクタスに比べると価格が2~3倍ほどになりますが、その分希少価値が高く、クオリティーが高いものが手に入るショップで僕らも愛用させて頂いております。

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その後、ソファー等の大型家具については見積りを依頼し、小物はその場で購入したうえで千代田区番町のリノベーション工事現場にお施主さまと一緒に伺ってきました。

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ちょうど現場は、床フローリング張りの工事中でしたが、造作棚等は出来上がっていました。

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一通り、Yさまご夫妻に現場をご案内した後に、購入した小物はリビングの飾り棚に仮置きして、Yさまたちに先に帰っていただきました。

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キッチンのレンジフード前をガラスの壁で仕上げる予定なのですが、その詳細の打合せをさせて貰いました。

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スタッフの前田君が描いたスケッチをもとに、現場監督の富田さんと打合せをしている様子です。リフォームキューの富田さんには、これまで幾度も現場を見て貰っているので、僕らが考えていることもほぼお見通しで、お陰さまで打合せもスムーズに行きました。

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アップで見たレンジフード裏の壁のディテールです。背面壁と下端にはレンジフードと同じシルバー色のシートを巻いて貰う予定となっています。

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現場を後にして、前田君と各務は再びラグ探しの旅(?)に出ました。インターネットで事前に調べてお願いしていた中野区にあるトルコカーペットのお店です。古いラグの良い部分だけを切り取って、脱色と染色を繰り返して繋ぎ合わせた、いわゆるパッチワークラグの現物を見に行きました。

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こちらは青山にある高級インテリアショップのインテリアズにあったヴィンテージラグです。こちらもやはり古いラグを脱色後染色したものですが、パッチワークにはなっていないものです。

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二色のラグがあるとのことだったので、地下のショールームに並べて用意しておいていただき、実際に使っているフローリングのサンプルを置いて、色味を確認させて頂きました。ラグについてはアクタスも含めて3社にものを比較させて貰いましたが、最終的にはインテリアーズの写真手前のビンテージラグを採用させて頂くことに決まりました。
丸一日掛けての家具・ラグ・小物ハンティングでしたが、前半はお施主さまにも同行していただき、僕らのインテリアの考え方を理解して頂いていたので、後半のラグ探索も無事終えることができました。インテリアは難しくて、まだまだ修行中の身ですが、ご協力いただいたショールームやショップの方々のお陰さまで、とても楽しく充実した一日になりました。ありがとうございました。

こだわりキッチンの原宿K邸リノベーション計画がスタートしました

[原宿K邸]

ブログでのご紹介が遅くなっていましたが、昨年の12月から相談が始まっていた原宿K邸リノベーションのプロジェクトを紹介いたします。新宿のオゾンからのご紹介で始まったプロジェクトで、オーナーご夫妻は原宿駅近くオーナーマンションに居住中で、そちらのオーナー住戸の全面リノベーションを計画しています。

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こちらが現在お住まいの様子です。築年数は37年ですが、27年ほど前に一度全面リフォームをなさっているそうです。お料理が大好きな奥さまのチョイスで、当時の最高級キッチンだったブルトハウプのオーダーで作ってもらったものだそうです。

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主寝室のクローゼットは特注の引出式だったり、漆喰をLD全面に使っていたりとこだわりの空間でしたが、2人いらっしゃったお嬢さまたちもお嫁に行ってしまい、キッチンをはじめとした設備類も老朽化してきたので、もっとスペースを有効活用できるように全面リフォームしたいとのご相談でした。写真はレーザー測量器を使って梁下の寸法を測っているスタッフの竹田さんです。

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幾度かお施主さま宅に伺って、リフォーム案をご提示しながら、仕上げ材の雰囲気や費用&スケジュールについてお話をさせて頂きました。ご自宅居住中で、引っ越しの時期さえ早めに教えて貰えれば、いつからスタートしても構わないとのお話だったので、この初期提案に随分時間を掛けさせて頂きました。

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既存では大きな面積を占めていた廊下をほぼなくし、その分をLDKに割り当てたプランへと纏まってきました。それまでの打ち合せで、奥さまが気に入って頂けそうな素材類をプランの横に並べて打合せをしている様子です。
当初から、奥さまの新しくなるキッチンに対する期待が大きかったので、そこからは僕らが良くお願いしているオーダーキッチンのショールーム廻りに同行させて頂きました。

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まず最初に伺ったのは、南麻布K邸で初めてキッチンをお願いした代官山のアムスタイルさんです。先回も担当して貰った宮本さんに、アムスタイルならどのようなキッチンを提案できるかを説明して貰っている様子です。

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アムスタイルならではのデザイン的な特徴や、色々とある新素材のカウンター材の特徴なども説明して貰いました。

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次には、ちょうど道路のハス向かいにあるクチーナさんを訪問しました。お台場K邸でもお願いした担当の米重さんにクッチーナの特徴を説明して貰いました。

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日を改めて伺ったのは、恵比須のリブコンテンツさんです。こちらでも良くお世話になっている担当の石井さんにリブさんならではの特徴と提案を説明して貰いました。他にもオーダーキッチン屋さんを幾つか紹介いたしましたが、ここまでの3つのショールームで色々と違ったアングルからのお話を伺ったり、提案を貰うことができたのでお施主さまとしても満足なので、まずはそれぞれの会社からの概算を待ったうえで、どこにお願いするかを決めることになりました。

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各社の概算を待っている間に、以前より気になっていたミーレのスチームオーブンを体験してみたいとのことで、目黒にあるミーレ・センターにお肉や野菜を持って実習に伺ってきました。

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ちょうど機種変更が間近にあるとのことで、残念ながら最新式のスチームオーブンは体験できませんでした。ただ、これからは後継機種へと移って行ってしまう古いタイプのスチームオーブンを使わせてもらうことができました。

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奥さまのMさまが切ってくださっているのが、青山の紀伊国屋の牛肉で作ったローストビーフです。いつもは予備の炊飯器を使って低温調理で中までレアで火を通してから、外側をカリッと焼いて作っているそうです。こちらのスチームクッカーであれば、一発で調理できると大いに期待していたのですが、少し火を通し過ぎてしまったようで、ジューシーさには欠けてしまいました…。
ただ、新しく発売される機種で、きちんとマニュアルに従って作れば、もっと美味しくできるとのことでしたので、採用するかどうかの判断は先延ばしすることになりました。
そうこうしているうちに、キッチンの3社から概算見積りが届き、それぞれの良い点悪い点を挙げて、総合的に判断してアムスタイルさんにお願いすることに決まり、他社さんにはお断りの連絡を入れさせて頂きました。

各種ディテールの組み立て方@一番町Y邸

[千代田区一番町Y邸]

千代田区一番町のY邸では、造作家具の取付が始まっています。

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リフォームキューの岩波さんと坂本さん、工事現場担当の富田さんに、うちの事務所スタッフの前田君が造作家具の前で打ち合わせをしている様子です。天井に白い帯状のパネルが取り付けられています。

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その造作家具はこんなデザインとなっています。左側の袖壁を見て頂くと、斜めにエッジが切られた壁となっていることが判るでしょうか?
ちょうどダイニングとリビングエリアを分ける位置にくる袖壁なのですが、エッジをシャープにすることで、空間に緊張感を与えようと考えてのデザインです。甲板は人工大理石で、扉と棚板は塗装仕上げ、棚の背面板はキッチンパネルで仕上げて貰っています。

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こちらが、デザインを決定する際に描いた展開スケッチ図です。コンピューターできちんと描いた図面ではありませんが、制作する上で必要となる寸法や細かいディテールの作り方も指示してある図面です。

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玄関側からLDを見たアングルの写真です。入り口左側には照明スイッチ類を纏めたニッチを作っています。僕が立っている背面にはやはり端部を斜めにデザインした造作家具が入っています。窓横のウォールナットフローリング材を張った壁がシックな雰囲気を演出してくれそうです。

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こちらがそのダイニング背面にくる造作家具です。まだ柱型との間が埋まっていませんが、唐突に現れる柱型を隠すことと、寸法的に広すぎるダイニング空間を引き締める意味を持たせています。黒く見える箇所はオープン棚となっています。

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こちらの図面は、ダイニング背面の造作家具の作り方と寸法を指示ています。今回は、リフォームアドバイス業務でのお手伝いで、こちらで描く図面を最小限にして、デザインのエッセンスだけをお施主さまに提供する形でお手伝いしています。

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床に並んでいるのは、事前に作業場で下地塗装をして貰った幅木です。壁色に合わせて白い幅木と灰色の幅木の2種類があり、さらに高さも2種類あるので、このような複雑な構成に見えるのです。

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こちらは、キッチンから冷蔵庫置き場、そしてパントリーへと繋がる空間の壁下地の様子です。いつも冷蔵庫を置いた際に、その側面を壁で仕上げるか、そのままにして置くかを悩んでいましたが、今回はちょうど天井に冷蔵庫とレンジフードのサイズに合わせた、塗装仕上げのアクセントパネルを張ることにしたので、それに合わせて袖壁を作ることができました。この写真だけでは、何の意味かが分からないと思いますが、出来上がりを楽しみにしていてください。

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最後がキッチン設置前の床にレイアウトされた給水給湯+排水管+ガス管です。元にキッチンがあった場所から位置が随分ずれたので、横方向に排水を流す必要があるので、キッチンキャビネットの台輪部分を使って流す計画としています。

ここまで紹介してきた各種ディテール(斜めの袖壁、色や高さが変った幅木、天井の白い塗装パネル、斜めにカットされた造作家具等)は、それぞれ単独ではあまり重要な意味を持っていませんが、全体が仕上がった際には空間を引き締める役目を込めて考えたものです。出来上がりがどうなるかを楽しみにしていてください。