Author Archives: Kenji Kagami
2023.06.16
収納アドバイザーとマンションリフォームの相性について
[関西I邸]
既にお引渡しも終わっている関西I邸プロジェクトですが、初めての試みとしてプロの整理収納アドバイザーに手伝ってもらいました。

見て下さい。足の踏み場もなかったリノベーション前のロフト収納が、こんなに片付いたのです!

設計を始めた当初から、Iさまの奥さまからは、今回のリノベーションをキッカケに、お部屋の収納をきれいに整理して、使いやすい形にしたいとのご相談を受けておりました。特にロフトは、一度ものがあふれ出すと、奥のものが全く取れないようになってしまうので、棚を設計して欲しいとのお話しを頂いておりました。
2つのお部屋を連結したこちらのお宅には、当初から2つの屋根裏収納がありました。ロフトへの階段の向きを変えたり、屋根裏の通気を確保するために開口部を設けてはいますが、基本的な空間のサイズは以前のままとなっています。

こちらは工事期間中の仮住まいの一部屋の様子です。以前のロフトやその他の収納にあったもので、捨てる判断ができなかったものと取り敢えずこの荷物部屋に入れて置いたとのことです。これらをロフト収納を始めとする、それぞれの収納の中に片付ける計画を一緒に考えて欲しいと、工事期間中に改めてご相談を受けました。ロフト内の壁に沿って棚を設ける程度しか、設計側としては想定していなかったので、ここまでの量のモノを整理するとなるとプロに相談すべきなのではとお伝えしたところ、工事費用とは別建てで構わないので、是非紹介して欲しいとのことになりました。

整理収納アドバイザーのこと自体良く分かっていませんでしたが、まずはインスタでフォローしていた、 Tidyup(タイディーアップ)の片岡さんにメールで相談をしてみた所、実は僕らが知っている設計の友人二人もこちらにお手伝いして貰っていることが分かり、更に以前から片岡さんは僕らの仕事に注目してくれており、いつかは仕事を一緒にしてみたいと思ってくれていたとのことが分かりました。
関西I邸のことをご相談したところ、是非お手伝いしたいと言ってくださったのですが、費用やスケジュールのことも気になるので、その点もザッとお話しを伺いました。
◎初回のオンライン打ち合わせ →1無料
◎1回目:関西に伺って、物量の確認、採寸(5~6時間) →その後のラフな収納計画の
提案まで含めて 10万円+交通費(1名分)
◎2回目:仕分け、整理作業(1~2日)→荷物を広い場所に広げて、仕分けする作業。
捨てるもの、残すものを決めて整理しやすいように分類。2~3名での作業。
◎3回目:収納作業(1~2日) →分類した物を、収納ケースにしまうなどの収納作業。
必要に応じて収納ケースの購入や、収納した箱へのラベリングなども。2~3名での作業。
2回目以降は、1回目で物量を拝見してからのお見積りとのことでした。

まずは相性チェックということで、Iさまの奥さまとのウェブ打ち合わせに同席して貰いました。過去の収納スタイリングの事例や、Tidyupの特徴などを改めて説明して貰いました。片岡さんが男の子とと女の子のママということに、3人のお子さまがいらっしゃるIさまは親近感を持って下さり、更に話してみるととてもフランクで整理と収納に関して色々なことを相談することが出来そうだとのことで、とても喜んで下さいました。
今後に発生する費用やスケジュールのことをご主人さまに相談して、まずは一度関西に来て対面で現状を見ながらお話しをしてみたいというお話になりました。

約2週間後に、片岡さんと一緒にIさまの仮住まいに伺って参りました。

もうこの時点では、既にリノベーション工事もある程度進んでいたので、ザッとした打ち合わせの後に工事現場に行って、ロフトのサイズ感を確認して貰いました。

組み上がっているキッチンをIさまの奥さまと片岡さんが見ながら、このキッチンの収納も手伝って貰った場合の費用のこと等も相談していらっしゃいました。
僕らはそのまま現場に残って、施工側との打ち合わせをしていましたが、Iさまの奥さまと片岡さんはこの後、仮住まいに戻って、3時間ほど掛けて収納のことを調査しつつお話しをしたそうです。
お話しの結果、ロフト収納だけでなく、やはりキッチンとリビングと子ども部屋などまで含めて、収納計画を考えて欲しいとのことになり、その提案とお見積りをお願いされたそうです(実際には、その他のスペースもサービスでお手伝いしたそうです!)。

その後2週間ほどで片岡さんが纏めてくれた屋根裏内の収納計画プランです。実測してくれた寸法を元に、こちらの資料では平面的に、どのエリアにどのようなものを収納するかをラフに纏めてくれたものです。ロフトの天井の高さや階段からの近さなどを考えて、どのように物を置くと良いのかが一目で分かります。

こちらは、そこからさらにより具体的に、どう組み合わせると良さそうかを提案してくれる資料です。3つの案それぞれにメリットとデメリットが説明されており、お子さまの世話でお忙しいIさまの奥さまにも判断しやすい優れた資料です。

こちらは、屋根裏収納を造作収納とガチャレールで組んだ場合の部品を拾ってくれた資料で、

同じ屋根裏収納を既製品のエレクターで購入した場合の見積りも作ってくれました。現地調査に加えて、ここまでの資料で提案してくれるとは、と僕らもかなり驚きました。
これとは別に、ご依頼のあった分(キッチンや洗面やSICまでの収納計画を含めた)お見積りも出して下さり、Iさまご夫妻もここまでやってくれるのであればとご納得の上、正式に整理収納計画を進めることに決まりました。
以下、まずはお手伝いの2人と片岡さんで、お引越し前に4日間(2日間を2セット)伺っての荷物整理の様子です(ここからの写真は片岡さんに撮影して貰ったものとなります)。

まずは仮住まいに伺っての荷物の棚卸(たなおろし)から始まります。

まずはリビングの床にこのようなシートを敷いて、仕分けの方法を説明して下さったそうです。何も捨てずにすべてを持ってゆくのは難しそうだとのこと、ある程度のものは捨てるか、お知り合いに譲ることになりそうだとのことでした。保留という項目があるのが嬉しいですね。そして、場合によってはリサイクルショップへの手配、寄付先への送付のお手伝いもできるとのことでした!

作業自体は片岡さんとスタッフが行いますが、取捨選択の判断だけは奥さまの専任作業となります。基本は座っているだけで良いのですが、一つずつ要るか要らないか、保留にするかを判断しないといけないのです。体は楽だけど、気持ち的にはかなり疲れる作業だとのことでした…。

今はお子さまが3人いらっしゃるIさまご夫妻ですが、もう一人はお子さまが欲しいとのご希望があるので、ここまで捨てずにとっておいた子供服は…、

分類分けをし、サイズごとにジップバッグに入れた上でプラスチックケースに入れていきます。

可愛らしい靴も簡単には捨てれませんね…。

お手持ちだったプラスチックのケースや片岡さんたちが持ち込んだジプロックなどをうまく使って、仕分けされた荷物たちです。

この日は、とにかく仕分けする作業が中心で、きれいに箱詰めして、ラベルを張って、整理をした上で、日常生活が送れるように荷物部屋に戻してくれたそうです。

足の踏み場のなかった荷物部屋がここまで片付いただけでも、もう感動です。

この日の整理仕訳で、これだけのゴミも纏まったそうです。ゴミ袋は合計で30袋になったそうです。

こちらは、ご自宅では不要ですがまだまだ使えるものたちでしたので、寄付とリサイクルショップとに分けて、その梱包まで片岡さんたちが纏めてくれました。ここまでの整理仕訳の作業で丸4日掛ったそうです。奥さまもヘトヘトになったそうですが、集中しての作業でここまで整理が進んだことは本当に達成感があったとのことです。
さて、ここまでやってからのお引越しの当日と翌日の様子です。

あれだけ事前に整理していたのに、全てのお部屋はあっという間に段ボールで一杯になってしまいました。

この日も片岡さんが2人のスタッフを連れて作業に入ってくれました。お子さまがいらっしゃると作業スピードが下がってしまうので、この日はお子さまたちはご主人さまが仮住まいのでお留守番をして下さったそうです。因みに、引越し前の仕分け、引っ越し後の型付け作業で片岡さんたちが入った日、8日間、全てお子さまたちはご主人かご実家でみて貰ったとのことです。ご主人さまやご実家の絶大な協力も必要なのですね…。

何も知らないお手伝いの人たちではなく、どの段ボールに何が入っているか、そしてそれらをどこに片付けるかを理解している人たちが3人もいるので、箱が減ってゆくスピードは凄い勢いだったそうです。

片岡さんたちは事前にIさまご夫妻の了承を得たうえで、収納用の箱やボックスを必要な個数を購入しておいてくれています。

こちらがそのお見積りですが、本当に緻密な資料です…。必要小物の出費だけでなく、リサイクル品の買取金額まで計算されているのです!

まず段ボールから出してそれぞれの持ち場に振り分け、それを各持ち場の担当が、事前におこした収納図面を見ながら小分け収納に入れていくのです。

こちらが事前に片岡さんが考えてくれたキッチンコンロ側の収納計画です。

こちらはシンク側のペニンシュラ(半島)型キッチン側の収納計画です。ここまで整理されていると現場で片づけてゆくスタッフも作業が早くできますね。

収納設計図通りに小分け収納をボックスにしまってゆくので、

大きなキッチンですが4時間ほどでほとんど片付いてしまったそうです。

キッチンの引き出しの中はきれいに小分けされた調味料やお子さまのお弁当の材料が、キッチリ仕舞われています。

ガスレンジ横のトール収納の中です。乾物類やお米などがすっきり入っているように見えますが、実はこちらはまだ仮置き時でのもので、この後製作したラベルつけた収納ボックスで片づけたそうです!

まずは引っ越しの二日間はキッチンとリビングを中心に、集中して整理収納をして貰いました。この段階でのごみもかなり出ていますが、ほぼ梱包材とのことでした。
この間で片付いていないものはまだ使っていないロフトに取り敢えず保管しておいて貰い、約2週間後に再度3人で整理整頓の為に伺って貰いました。

玄関横のSICです。最下段にはキャスター付き箱が入っており、その中にはベビーカーのパーツ、レイングッズ、工具などのアウトドアで使うものを入れているそうです。

こちらはキッチン横のパントリーの棚の内部です。お子様たちのお薬やキッチンで使用する日用品や洗剤のストックを主に入れています。収納物の使う頻度を奥さまとご相談の上、取り出しやすい棚位置に何を置くかを話し合った上での収納方法です。

こちらはお子さまの部屋のクローゼットの中身です。引き出しはクローゼットサイズに合わせて片岡さんたちが提案してくれたもので、その上に可愛らしい洋服を掛けるシンプルな収納です。

しかし、子ども部屋の収納計画だけでこれだけの資料を作って比較検討してくれているのです!

こちらはずっと懸案だった屋根裏収納の内部です。おもちゃ類は箱が無くなっているので裸のまま置かれていますが、それ以外は全て季節ものや将来用等のネームタグで仕訳け、そしてボックス等に入っているので、そのまま引き出して使うことができるようになっています。

こちらはもう一つのロフト収納です。写真左側の棚は側板からの可動棚で耐荷重性がある棚としつつ、天井高さが勾配で変わっている右側は、奥の壁かたガチャ柱で持ち出した棚となっています。コーナーだけはどうしても使いにくくなりますが、パズル方式で片側を引き出してから奥を手前に引き寄せることは、事前に相談で了承を貰っております。

全ての収納箇所の様子を紹介していると、それだけで数十枚になってしまう(笑)ので、最後は纏めてアップしておきます。収納ボックスへのラベル張りもやってくれています。

最後に金額のお話しです。今回は最後の経費の欄に交通費と宿泊代が入ってしまっています。お客さまからのご要望もあり、地元の人には自宅を見せたくない(もし何らかの繋がりがあったりするとお嫌とのこと…)ので、お手伝いのスタッフの皆東京からで、その経費が入ってしまっています。また、収納ボックス等の購入費が仮で11万円入っていますが、それらを抜いた費用として約78万円となっています。収納小物の手配とオリジナルラベルで約5万円、更には半年後か一年後に再度伺って収納計画が破綻していないかをチェックする業務の約2.5万円も入っての費用です。後日の片岡さんからのコメントとしては、実際に作業を行ってみた所、当初の見積もり以上に収納プランニングに手間と時間が掛かったこともあり、見積り額が10%程度甘かったと反省しているとのことでした。
僕らもマンションリフォーム・リノベーションに特化した設計者として、収納のことはワリと考えて打ち合わせしているツモリでいましたが、今回の片岡さんのようにお引渡し後に実際に収納作業のお手伝いをしたことはありませんでした。普通のケースでは少し片付いた頃合いを見計らって写真撮影に伺った際に、収納のこともさり気なくヒアリングしますが、納戸や収納の中がどこまで片付いているのかは、正直、分かっていませんでした。今回はIさまの奥さまから、要るもの要らないものの判断にはとにかく疲れたけれど、困った時に相談できる収納上手の人が横にいて、荷物の移動や実際の片づけをテキパキとやってくれる中での作業だったので、とてもスムーズに整理ができた。費用が高いか安いかはよくわからないが、自分のように3人の子どもの世話をしながらでは、絶対にできなかった作業だと思ったとのことです。また、このタイミングで整理が出来なかったら、全てをロフトに投げ込んで、一生使えないことになっていただろうと考えるとゾッとしたとのご感想でした。
僕ら設計・デザイン側からすると、収納だけを考えてリフォーム案を作ると、空間性が犠牲になってしまうこともあるので、お客さまからリクエストのあった特殊な収納棚以外は、あくまでの一般的な収納量を想定してプランを作ることになってしまいます。今回は途中の段階から整理収納アドバイザーの片岡さんに入って貰いましたが、整理収納を重視するお客さまのケースであれば、もしかしたら、設計を始めた段階で一旦収納設計を行い、ある程度必要な収納量を見える化して貰ったうえで、その収納計画も含めた設計案を作ってゆくのが良いのかも知れません。
収納もとにかく量を収めれば良いのではなく、必要なものが必要な場所にあることや、今後増えて行ったり、不要になったりするモノの動向も考えつつ、バランスよく配分してゆくことの難しさを再認識致しました。普段の生活の中での収納計画も勿論重要ですが、一旦仮住まいに引っ越して工事後に戻ってくるマンションリフォームと整理収納アドバイザーのお仕事のマッチングの良さを強く実感させて頂きました。
2023.06.15
新しいジャクソンショールーム@赤坂を訪問
[見学記]
これまでも良く使わせて貰っている高級浴槽ブランドのジャクソンが、ショールームを赤坂に移したとのこと見学に伺って参りました。

青山の頃は、場所は便利ではありましたが、展示されている浴槽の種類が少なく、サッと寄って見て行くには楽でしたが、ゆっくりじっくり吟味しながら体験するには適していませんでした。こちら赤坂の新ショールームはとにかく広く快適で、多彩なジャクソンブランドの浴槽を堪能することができました。

場所はオフィス街の真ん中で、路面店ではありますが、予約制にしているため、軽く立ち寄るような気軽な雰囲気ではありません。ただ、その分中に入ると、外からの視線も気にせずゆっくり見学することが可能となっています。

ショールームに入ってまず最初に見えるのが、こちらの2つの浴槽です。営業担当の鈴木さんの説明では、左側の浴槽は現在販売中のもので、右側の浴槽はその元となった浴槽ですが、今は販売されていないものとのことでした。
実は、ジャクソンという会社は、元々はデザイナーであり経営者でもある清水秀男氏が立ち上げた最高級浴槽の会社だったのですが、色々な事情があって水回り製品の大手メーカーであるリクシルの手に渡っていました。ところが、また不思議な縁があって再び清水氏が買い戻すことになったという経緯があるそうで、そのことと合わせた温故知新、創業時の気持ちを持ちながら新生ジャクソンを作り出そうという気持ちを込めて、この展示を入り口に持ってきたとのことでした。

買い戻すにあたって、自社のアクリル浴槽工場のスタッフ(全員再雇用)に、浴槽の金型(アクリル浴槽はアクリルシートを金型に置き、空気を吸引して真空形成するのです)を全てきれいにして、カーブがより滑らかな形に、エッジがある部分はきれいにエッジが見えるようにと、気持ちを込めて整える所から再スタートしたとのことでした。
それを聞いてから浴槽を見直すと、確かにエッジがきれいに見えてくるのです!

フリースタンディング型の浴槽が多いのがジャクソンの特徴でもありますが、周りの仕上げ材のバルコ・カバー材も今回の再始動のために色味を変えているとのことでした。因みに、こちらのセットでは、ジャクソンのお得意技であるジェット(浴槽側面から、お湯を勢いよく出す機能)とブロー(浴槽底面から、空気の細かい気泡を出す機能)、更に特別にマイクロバブルまで実演できるセットとなっています(特別と書いたのは、お客さまに出す際にはジェット機能とマイクロバブル機能は同時に提供することができないそうです)。

こちらが新しいバルコ・カバー材のサンプルです。不整形な浴槽をこの素材を編み込みながらカバーしてゆく技術も並大抵ではありませんね…。

こちらはステンレスの部材のサンプルです。ジャクソン・マニアの人たちには有名ですが、これらの部品は全てステンレスの無垢材で出来ています。他社製品は見た目は似ていますが、皆メッキ仕上げなので、時間が経つとメッキが剥がれたりして安っぽくなるのですが、こちらは時間が経つほど存在感が増すのです。

こちらの浴槽は以前からかあるトンダシリーズの浴槽ですが、その無垢ステンレスの支柱にアタッチメント部品が取り付けられています。

白い浴槽の上に白いアタッチメントなので分かり難いですが、トレーが取り付けられています。浴槽に漬かりながらお酒・ドリンクを楽しんだり携帯置き場などにも使えそうで、バスライフが豊かになることが簡単に想像できますね…。ただ、まだこのアタッチメントは試作品とのことで販売は少し先になりそうです。

今回改めてショールームを訪問したのには、もう一つ理由がありました。それはこのイタリア製の照明器具、Firmamento Milano(フィルマメント・ミラノ)をジャクソンが販売することになったので、その事物を確認しに為でもあったのです。

カタログを拝見すると、白くて薄くて繊細な器具が主流ですが、外部デザイナーに依頼したユニークな照明も幾つかあります。こちらのシャープなスタンド型照明や…、

こちらの四角い筒状のスタンド照明などは弊社でもご提案できそうだと感じています。

実物を見ないと分かり難いのですが、表面が黒く、裏面がゴールドに塗装された板を折り曲げた折板のような造りになっているのです。

実は、ちょっと癖の強い系のフィルマメント社の照明器具は、ジャクソンショールームのすぐ隣にある、こちらのHIDEO(ハイデオ)のショールーム内に展示がされています。HIDEOはジャクソンを売却することになった後、清水さんがこれまでとは全く違った発想、素材で「浴槽文化」を作ろうと一念発起して作ったブランドです。ジャクソンではアクリルの白い輝きと美しさの可能性を広げたことに対して、HIDEOでは、樹脂系人工大理石素材のマットでシルクのような滑らかな質感と、浴槽を浴室に留まらせない使い方の提案にまで踏み込んだ、大胆不敵な(失礼!)ブランドです。

HIDEOの代表作の一つ、Theatro(テアトロ)では、お湯につかりながら劇場(テアトロはイタリア語で劇場の意)を楽しむことをコンセプトにしています。

今は、ジャクソンとHIDEOは統合され、赤坂の地で隣り合わせのショールームを持つことになり、HIDEOのショールーム内にジャクソン浴槽も展示されているので、両ブランドの浴槽を比べながら選ぶことも可能になったのです。

両ブランドの見学の後は、ジャクソン&HIDEOの創業社長でデザイナーの清水秀男さんとブランドマーケティン部部長の清水亜子さんと営業担当の鈴木さん(記念撮影前に打ち合わせで出かけてしまいました…)、ジャクソン社から独立しオーダーユニットバスブランドのVerde(ヴェルデ)を立ち上げた立花社長と、ジャクソンやHIDEOが作る浴槽文化、そしてオーダーで作るユニットバスや洗面所まで含めた水浴(みずあみ)文化にまで話を掘り下げて、2時間ほどお話しをさせて頂きました!
2023.06.13
上階からの水漏れ対応の顛末-3
[成城Z邸]
成城Z邸の上階からの水漏れの補修対応顛末のその3です。水漏れがあった空間の天井と壁の解体が終わり、水漏れ箇所の特定ができたので、復旧工事とグレードアップ工事が始まりました。

復旧工事最中の様子は割愛し、ほぼ工事が完了したところからご紹介いたしました。工事期間中の仮住まいの期間が決まっていたこと、また、工事期間中にリビングダイニングに荷物を仮置きしていましたが、グレードアップ工事と完成後7年経っての補修工事でリビングダイニングにもなるべく早くに取り掛かりたかったので、取り敢えず復旧工事が終わった時点で、検査に先行して荷物を戻す作業をして頂きました。右手で作業しているのは、ティファニーのステンドグラス製のペンダント照明を、アートに特化した専門会社に取り付け直して貰っている様子です。

以前は上部は全てオープン棚でしたが、隠したい書類等があること、引き出しを増やしたかったこと、プリンターを買い直したことなどから作り直した造作収納です。以前はスピーカーを棚の中に置いていましたが、収納量を増やすためもあって、既存スピーカーを壁付けに変更しています。ステレオ関係の配線は漏水でやられてしまったので、オーラスに依頼して配線は全てやり直して貰っています。

もとはライトグレーだったこちらの壁をライトブルーに色を変えて塗装しています。明るくなって、気分転換ができたとZさまも喜んで下さいました。

以前は左側2枚が透明ガラスだった飾り収納ですが、真ん中は内部の棚も変え、透明ガラスをカラーガラスに変えて、書類等を隠す収納に上手く変えることができました。

寝室はテレビ棚の色を塗り替えて、飾り棚も木製突板仕上げに変更しています。床はフローリングは傷みが無かったので既存のものですが、敷き込みのカーペットは汚れてしまったので張り替えています。

寝室のベッドのヘッドボードは白い枠を廻して、小さなダウンライトを付け加えました。壁の色も変わり、白い枠のフレーム効果で以前よりスッキリした印象がありますね。

クローゼットは天井の石膏ボードが張り替わり、ダウンライトの灯数も増えました。中央のアイランド上に垂らしていたペンダント照明は廃番になってしまっていたので、新しくヴィジュアル・コンフォートから選んで取り寄せたペンダント照明を取り付けます。

ペンダント照明と言っても、ちょっと複雑な仕組みで、かつ上部の鎖部分の調整で高さを変えることもできる製品なので、僕らが立ち会える日でかつ、アーテリアーズの輸入元であるベイカー@東京の梶田社長にも立ち会ってもらえるこの日に取付けとなりました。

ちょっとした知恵の輪ですね(笑)。

2時間ほどの時間を掛けて、無事取り付けが終わりました。

以前のペンダント照明とはガラリと雰囲気が変わりましたが、ダウンライトを増やし、棚下の間接照明も付け加えたことで、気分転換だけでなく、実務的にも明るく使いやすくなったと喜んで頂きました。

こちらは洗面所のメディスン・キャビネットの鏡扉に取り付けたLED照明です。大きく作り替えることなく、扉の交換と内部棚の加工だけで正面から柔らかく照らす照明を付け加えることができました。

ユーティリティーの棚です。以前は機能重視で全て白い棚でしたが、木製のオープン棚と飾り棚にプチリフォームしたことで空間が優しくなったとの感想を頂きました。

こちらは玄関ホールです。左側のビフォーでは玄関扉が灰色でいかにもな鉄扉で裏口のように見えていたのが、右の写真ではメインの玄関扉っぽくなりました。

恐らく地震の揺れが原因で、ヒビが入っていたリビングの塗装壁の塗り直しも終わりました。ミノッティのTVボードを一度取り外しての再塗装だったので、元の位置に戻して貰っています。

天井の歪みの補修と塗装のリタッチも終わり、家具を元の位置に戻すと共にクリーニングをして貰っています。

ダイニングの床下をチェックするために点検口を開けた部分の床フローリングも、どこが補修した跡なのか全くわからないほどきれいに補修されていました。
あとはミノッティで買い替えたソファが届けば、水漏れの補修工事と、それをキッカケとしたグレードアップ工事が終わることになります。とにかく今回は、不慮の水漏れ事故が起こったことをマイナスと考えず、ご自身の生活のプラスに変換しようというZさまの強いお気持ちに引っ張って貰いながらの刺激てな工事となりました!