Author Archives: Kenji Kagami
2025.02.27
メディシンキャビネットの三面鏡に仕込むLED照明
[新宿区T邸]
新宿区T邸の洗面カウンター上のメディシンキャビネットの三面鏡に、女優鏡のように正面から照らせる照明を入れて欲しいとのご要望がありました。

最終的に出来上がったものはこのようなもので、僕ら設計側の満足度はかなり高いものができました。設計するプロセスが面白かったので、こちらのブログで紹介しておきます。

これまでは、このようなものをご提案してきました。最初の写真と比べてもデザイン的なそん色はほとんどありませんが…、

扉を開けると内部が違うのです。こちらのケースでは鏡に照明を仕込んだのではなく、鏡の裏面のアルミ蒸着面を部分的に剥がして、扉材に細長い穴をあけて光を通すようにして、背面の収納箱に照明ボックスを作るという非常に面倒な仕組みになっているのです。

背面の収納部分はこれだけの寸法が無駄になっている訳です。因みに光が均一に見えるように、箱の奥にLED灯具を仕込み、手前にフロストシートを張ったアクリル板を置いて光を拡散しています。
これだと造作家具屋の工事の手間も費用も掛かり、かつ内部収納量が減ってしまうので、何とかしたいと考えていました。

こちらのプロジェクトの担当の前田君が、ハーフェレ社のLED照明1163のデモ機を持っていたので、このごく細ライン照明を使って何かできないかと考えました。

こちらが僕、各務が描いた簡単な初期スケッチですが、細いLED照明を鏡扉の戸先と戸尻に仕込めないかと、施工をお願いしている青の樋口さんと造作家具屋の大沼さんに相談しました。

僕のいい加減スケッチから、もう一人の担当の岸本さんが起こしてくれたスケッチ図面がこちらです。

どうしてもLED照明の端部、電線と灯具が接着されている部分に白いプラスチックがあり、それが見えてしまうので、一番上にステンレスのカバーを付けないで収まらないだろうとのことになりました。また、動く扉の戸尻側の電気コードをどうするかも問題になりそうです。

そんなところで、設計側で悩んでいたところ、樋口さんと大沼さんでモックアップ模型を作ってみたとの連絡を貰いました。

やはりLED照明の大元のプラスチック部分を埋め込むことが難しいので…、

SUS(ステンレスのことです)と書いてある部分をステンレスでカバーするのが良いだろうとのことになりました。

さすが家具屋のモックアップで、実際にこの扉が開閉するのです!作ってみると電気コードが絡む恐れはほぼなさそうなことが判りました。

扉裏面の上部、ビス止めされた部材の裏に溝を掘って、電気コードを戸先まで持ってゆくことも問題なくできることが判りました。

このモックアップでの検証をもとに大沼さんが書いてくれた製作図がこちらです。

そしてそれをもとにして作られたのがこちらのメディスンキャビネットです。

正面から担当の岸本さんが撮影してくれた写真です。

点灯していないときはこのような状態です。

どうしても鏡扉の開閉をするスライド丁番の軌跡の関係で、戸先も戸尻も少し隙間が空いてしまうのです。

点灯するとその隙間もほとんど気になりませんね。

扉を開けると上部をステンレスのL型金物で押さえているのが良く分かりますね。

戸尻の吊元側のコードもほぼ気にならないように隠されていました。

このLED灯具は低圧タイプなので、どこか1か所にトランス(変圧器)を入れておく必要があり、一番右側の上部にトランス置き場を作ってもらいました。

色々と工夫をしてこのようなものができましたが、まだこのLEDのライン照明は、調光は可能ですが、調色(電球色から蛍光色まで色味を変えること)はできないので、女優鏡としてはまだ不満な点があります。おそらくここからもっと細くて、調光調色が可能なLEDの新製品が開発されると思いますので、その都度工夫をしてゆくことになるのだと思います。
2025.02.26
オーダーキッチンのレイアウト検討
[大田区S邸]
ヴィンテージマンションリフォームの大田区S邸は、基本的な空間はクラシカルなイメージで進んでいますが、キッチンだけはモダンでシャープなデザインになさりたいとのことで、打ち合わせが続いています。

先先回のブログ記事で、リネアタラーラともう1社の2社に絞ったところまでを説明しましたが、その後の提案の中で、リネアタラーラ1社に絞ってキッチンレイアウトを検討してゆくこととなりました。

用賀のショールームのシャープなデザインと最新のビルトイン調理設備が展示されていること、更にはカガミ建築計画での実例が一番多いことも信頼できるし、担当の牧野さんもキッチンにとても詳しく、リネアタラーラに決定した次第です。

ここまで弊社担当の松藤さんが作ってきたキッチンレイアウトでは、シンクがダイニング側の対面カウンターに、コンロが背面の壁側にむいたカウンターにあるのですが、対面カウンターをフラットにするのか手前を少し隠せる2段カウンターにするかで迷っていらっしゃるSさまは、リネアのこの2段カウンタースタイルが参考になると色々な角度から使い勝手を想像してくださっています。

左の案が当初案なのですが、これだとうまく電子レンジや炊飯器などを隠すことが難しいのではとのことで、Sさまからの発案で、玄関側からの動線を封鎖して、冷蔵庫を位置を90度回転したらどうなるかを検討したのが右の案です。

なんとなく纏まってきたような気がするのですが、リネアタラーラの牧野さんに、プロとしての忌憚のない意見を聞かせて欲しいとお願いしたところ、このようなコメントを書き込んでくれました。

年に十数件のコダワリのお客さまのキッチンを作り続け、更に施工後の細かいクレーム対応もしてくれているだけあって、かなり細かい所まで指摘してくれるのでとても頼りになるのです。

仕上げ材のイメージも少しずつ固まりつつあります。コンロのある壁側ユニットは、なるべく調理機器が露出しないように金属塗装の扉でカッチリ作り込むのに対して、ダイニング側の対面カウンターは明るい大理石調の素材を使いたいとのことでした。

本当は天然大理石を使いたいところですが、メンテナンスのことを考えると二の足を踏んでしまうとのことで、現時点ではセラミックかクオーツストーンで検討中です。

人工照明の打合せテーブルの上だと、色味が判り難いので、ショールームの窓際にで扉材の候補をカウンター材の候補のマッチングを確認させて貰いました。

ご主人も交えてのお打合せ中で、玄関からキッチンの動線を本当になくして良いのかを再検討した結果、これから歳をとっていった場合、お子さま達やヘルパーさんに食事を作ってもらったりすることになったら、やはり玄関側からの動線があった方が良いだろうとのことで、当初案に近い形のレイアウトに戻りました。一旦キッチン部分だけでも概算見積りを出してもらおうとのことで、仕上げ材とビルトインの調理機器を暫定的に決めたうえで、お見積りをお願いすることになりました。

設計側が描いてきた図面をもとに、リネアタラーラが作ってくれた見積り用の図面がこちらです。

細かい材料の指定や、部材同士の取り合いまでを考えてくれた展開図も含めて、相当にしっかりと検討をしてくれました。
2025.02.25
リフォーム間取り案の変遷
[渋谷区L邸]
低層マンションの最上階メゾネット住戸の上階リフォームの渋谷区L邸では、最初から色々な経緯があってリフォーム案が変遷してきました。

最初にご依頼があった際は、主寝室と洋室はそのままで、それ以外の水回りやクローゼットを中心にリフォームをなさりたいとのご要望でしたので、水回りの位置は変えず浴室と洗面を作り直し、通り抜け型のウォークスルー・クローゼットを作る程度のご提案でした。

対案として、洋室の位置を移動して、ウォークインクローゼットを大きくする案も作ってみました。

玄関から主寝室を通らずに奥の洗面や浴室にアプローチできる動線を作ることの優先順位が強いことが判ったので、トイレとシャワーをコンパクトに纏めて、その周囲を回れるような回遊動線の案も作ってみました。

この階で一番大きな主寝室を窓際で一番明るく開放的なエリアに置くと、どうしても動線や水回りが苦しくなってしまうことが判ったので、一番右奥に主寝室を持ってきて、窓際にはご夫妻でリラックスできるミニリビングとミニバーをご提案したところ、これが一番良さそうだとのことで、この案をブラッシュアップしてゆくこととなりました。

各務がラフに作った案を、一緒に設計を進めてくれているハク・アーキテクツスタジオの後藤さん&関さんが図面化してくれたものがこちらです。ただ、まだ右上の洗面室奥のランドリールームと主寝室奥のトイレとシャワー室部分がうまく納まっていません…。

お客さまのLさまご夫妻とお打合せを重ねながら、更に細かい点を改善させていきます。ランドリーコーナーで洗濯機2台を斜めにする案は、突然に天からアイデアが降ってきたのです!

ランドリーの条件は、壁際のPS部分を触らないこと、寝室側にミニ冷蔵庫とゴミ箱を設置すること、寝室側のトイレの手洗いカウンターを使える寸法にすることの3つでしたが、この斜め案は全てをクリアすることができそうなのです。

その平面計画を内装デザイン、展開図、設備や照明等と合わせてハクが取りまとめてくれて、それを三井デザインテックが見積り用にリライトしてくれた平面図がこちらです。細かい寸法や造作家具や建具のデザインまで緻密に考えた図面となっています。
この内容で三井デザインテックが見積りを進めてくれています。