Author Archives: Kenji Kagami
2025.06.13
ニューヨークの友人建築家の設計事務所訪問-1
[ニュース]
ゴールデンウィーク明けにニューヨークに行ってきた際に、友人の設計事務所を2か所訪問させて貰いました。そのうちの一人のニコラス・スタノスさんの事務所と彼の設計事例の見学の様子をブログに記しておきます。

ニコラスは、1994年から1996年まで修行をさせて貰ったCicognani Kalla設計事務所(CKA)の元同僚です。CKAでは彼の方が先輩でしたが、僕が修行している間に、学部卒業だった彼がハーバードのデザイン大学院に進学したので、ハーバードでは僕が先輩という関係です。僕が帰国後、ニコラスはまたCKAに戻って20年近く働いてから独立して、今はスタッフを3人を抱える設計事務所を主宰しています。

こちらが彼の設計事務所の様子です。ニューヨークのミッドタウンでセントラルパークのすぐ近くのおそらく築100年くらいのかなり古いビルの中にある事務所です。
ニコラスが手伝ったお客さまのお宅が、お客さまの都合で売却されることになり、ちょうど販売されているとのこと、そのお宅を見学させて貰えることになりました!

新築マンションを購入した以前のお客さまの妹さん(当時一人暮らし!)の為に、新築未入居時点からスケルトンにして改装したお宅とのことです。約600平米で、当時42億円(!)で購入したお宅を約8億円(インテリは別途)かけて改装したそうです。

リビングルームが2つあり、大きなダイニングルームにイートインスタイルのキッチン、そして5寝室(全てに水回りセット付き)という豪邸です。

2つのリビングの中央にあるダイニングは12人掛けの巨大テーブル(搬入の関係で2つに分かれています)となっています。

上が、新築分譲時のインテリアイメージCGで下が現在の様子です。当初は中央のこの空間がラウンジ的に使われる想定だったのが、ニコラスのリノベーションでダイニングになったようです。

ダイニングは2つのリビングの中央で、このような列柱に囲まれた空間となっています。因みになぜお客さまが売却されることになったのかというと、お客さま(女性)が新たに結婚することになり、二人そろってマイアミに引っ越すことになったそうです。最初はセカンドハウスとしてこのお宅も持ち続けることも考えられたそうですが、マイアミで約2倍の広さのお宅を購入することになったので、売却することになさったそうです。最初の売値は55億円だそうです!

マンションの上層階で、ワンフロアを占めるお宅で中央に共用部コア(エレベーターや非常用階段)がある間取りとなっています。

こちらはキッチンです。ニューヨークの豪邸では初めて見たポリフォーム社(イタリア)のキッチンでした。

イートインコーナーがある大型キッチンですが、それでも郊外にある豪邸などと比べると、コンパクトなキッチンでした…。一番驚いたのが、イタリアハイブランドのキッチンがニューヨークの豪邸で取り入れられていることでした。日本では、イタリアやドイツのハイブランドキッチンは富裕層の垂涎の的と言われていますが、アメリカの富裕層の間では実は現場造作のキッチンの方が好まれているいます。

主寝室のウォークインクローゼットもポリフォームでした。僕も個人的にはポリフォームは大好きですが、なぜポリフォームのキッチンやクローゼットシステムなのかをニコラスに確かめたところ、お客さまからの指定だったとのことです。因みに、ニコラスはポリフォームのライバルブランドのモルテーニの名前を知りませんでした…。
日本ではイタリアハイブランド家具=高級家具というイメージですが、アメリカではカスタマイズできず(アメリカ家具はほとんどカスタマイズ可能です)、デザインも画一的で(確かに似たようなデザイナーが持ち回りで各ブランドをデザインしていますね)、かつ軽くてペコペコ(アメリカの家具はどれもスーパーヘヴィーですから)なので、豪邸で見かけることは少ないのです。

こちらが主寝室です。ニコラスの体と比べるといかに広くて、天井高さも高いかが分かりますね。因みに、今回の写真で室内に置かれている家具類、アート類は全て中古不動産売買の仲介会社が手配したステージング会社が販売用に持ってきたもので、お客さまの私物は一切なく、ニコラスも安っぽくて好みではないと悲しがっていました。

主寝室奥の手洗いにはふんだんに大理石が使われています。

シャワー室も、ニューヨークの富裕層が好みそうな大理石のアラベスカート貼りです。日本では白系の大理石をキッチンや水回りに使うことは、どんなに撥水処理やコーティング加工しても、長年洗剤やシャンプー等を使っていると黄色っぽい染みが浮いてくるので好まれません。ニコラスに聞いてみたところ、あまりに汚れてきたら、貼り直せばよいとのことでした。因みに、日本ではマンションの浴室やシャワー室は、防水パンと一緒にユニット化したものが主流ですが、米国では今もこれからもおそらく在来工法です。

ニコラスに今回のリノベーションで一番大変だったことを聞いたところ、窓回りの造作だとのことでした。分譲時の窓回りは薄っぺらでフラットに見えて軽かったので、きちんとした枠を4方にまわし、その中に部屋によってはカーテンボックスや遮光性ブラインドなどを埋め込んで黒くてしっかりとした造作窓枠にすることだったとのことでした。

最後のこちらの写真が分譲時の窓回りイメージです。
2025.06.09
松濤D邸のキッチン&浴室リフォームのご依頼
[松濤D邸]
2020年のリビングダイニングと玄関と洗面とトイレ、そしてキッチンの一部のリフォーム、その翌年の主寝室のリフォームをお手伝いさせて頂いた松濤D邸のお客さまから、キッチンと浴室をリフォームしたいとのご連絡を頂いて、4年ぶりにご自宅に伺って参りました。

都心とは思えない、窓から隣地の公園の緑しか見えない、まるで森の別荘のようなお宅です。

今回一番リフォームしたいのが、このキッチン本体とのことです。6年前に初めてリフォームのご依頼があった際は、リノベーション済みのマンションを購入なさっており、まだ新品だったキッチンを捨てるには忍びないとのことで、ここまで使ってきたそうですが、細かい使い勝手の面で不満があるので、作り替えたいとのことでした。

向かって右側のバックセットは僕らがお手伝いして作ったものですが、リフォームでダイニング側への開口を大きくして、もっとオープンなキッチン空間になさりたいとのこと、使える部分は再利用したいですが、かなり手を加えることになりそうです。

こちらがリビングダイニング側から見返したキッチン側の様子です。正面壁に大きな絵が掛かっていますが、その壁の半分ほどは図面で見る限り、撤去できないコンクリート壁なのです。当初はアイランドカウンターキッチンにできないかとのご要望でしたが、竣工時の図面があっている前提とするとそれは難しいそうです。

因みに、こちらが竣工時の図面集から撮影した当該部分の躯体図です。図面中、上部がリビングダイニングと、ー400と記されているエリアがキッチンです。W15と記されている部分がコンクリート躯体で、B5と書かれている部分が開口でいる最大幅隣ります。

もう一つのリフォームポイントの浴室です。手前右側に少し見えている洗面カウンターは5年前に作り直していますが、浴室もやはりご購入時は新品のユニットバスだったので、そのまま使ってきたそうですが、もっとグレード感を上げたいとのご要望でした。

浴室内部がこちらです。きれい好きなDさまご夫妻らしく、とてもきれいな状態でしたが、樹脂製の浴槽やアルミフレームの扉などは、僕らが良く使っているオーダーユニットバスと比較するとグレード感に劣りますね…。

こちらはご依頼があった個所ではないのですが、主寝室の正面奥にシャワーがあり、そこまでの細長い廊下があるのですが、奥のシャワーを全く使っていないとのことでした。

左側のアルミフレーム扉の奥のクローゼットを、廊下やシャワー分を取り込めば、かなり拡大できるのではとお話をしたところ、提案には興味があるので、どのくらい費用で、どのくらい良くなりそうかを提案して欲しいとのことになりました。

このバーコーナーやレザー張りの建具などのデザインをかなり気に入ってくださっているそうで、この雰囲気の延長として、ただ、もう少し明るめの雰囲気でダイニングとキッチンを繋げたいとのことでした。できれば年内に完成させたいとのこと、大急ぎで検討することとなりそうです。
2025.06.06
着工に向けての数々のお打合せ@大田区S邸
[大田区S邸]
ヴィンテージマンションリフォームの大田区S邸では、工事着工に向けて素材やデザイン、色味や家具等の打合せが進んでいます。

まずは弊社事務所に奥さまに来て頂いてのCGをリアルタイムで触りながらのキッチンの素材と色味のお打合せです。

上下の画像で、コンロ周りのキャビネットの色味が、上がグレーの塗装なのに対して、下が木目を残して灰色の染色した突板パネルになっているのが判るでしょうか?

当初はシャープでカッコよいイメージのキッチンになさりたいとのご要望でしたが、もう少し柔らかく暖かいイメージも加えてみたいとのこと、今ではすっかりCGマイスターになったスタッフの神崎さんにパソコンを触ってもらいながらイメージに合わせて、素材を色味を変えて、どのように変化するかをCGで確かめて頂きました。

そして、次は、キッチン素材イメージに合わせて、実際に染色した突板サンプルや、カウンター材としてほぼ採用することが決まった大理石のタージマハールと、そのコピーのタージマハール風のセラミックを、オーダーキッチンのリネアタラーラ・牧野さんに持ってきてもらっての確認お打合せです。

食材を置くカウンターはやはり本大理石で、ただ、ダイニングから少し距離が離れたコンロのバックセットは油汚れなどのメンテナンスが必要になるので、同柄のセラミックで進めることが決まりました。また、コーヒーカウンターなどの素材も決まったので、見積額をFIXすることができました。

建築要素の色きめが大分進んだので、気分転換も兼ねて(笑)インテリア要素のカーテンやラグの色味を見るためにマナ・トレーディング(通称マナトレ)のショールームにも伺いました。

僕らが良く採用するハンターダグラス社のシルエットシェードも、ビデオでなく、実物で仕組みを見て頂くことで、使い方も良く分かったと喜んで頂きました。

あまり高価なラグは使いたくないとのお話もあったので、マナトレの比較的安価ながら豊かな風合いのあるラグのシリーズも見て頂きました。ただ、残念ながら「これだ」というものは見つかりませんでしたが…。

あとは直接自然光が差し込まない、ランドリールームにはアクセントクロスを貼ろうとのことでその候補を探し始めたところ、こんなに色々な種類の壁紙があるのだと、深みにハマってしまいそうでした。

マナはモールディングも扱っているので、壁のこちらの装飾を見て、Sさま邸でもモールディングを多用する予定なので、壁のサイズとモールディングのプロポーションの具合も見て頂きました。

こちらも別日に、担当の竹田さんに枠材として使用する予定のケーシング材を壁に当てて、既存ケーシングとの違いを見て頂いた様子です。

カーテンの目星も付いたところで、ご契約前の最後のお打合せとして、家具決定のためにアルフレックスの恵比寿ショールームに行きました。

奥さまのご実家でも使っているというSONAシリーズで進めることとなり、その張地の確認です。サンプル帳で気になった生地の大判サンプルを出してもらい、それを実際のソファにあてがって比較するのです。

SONAがおいてあるコーナーは薄暗かったので、最終的にはアルフレックスSRの入り口近くに候補の生地を持ってきて、ちょうどご自宅と同じような自然光が入るエリアで色決めをさせて頂きました。

このような経緯を経て、設計の内容が固まり、見積り額も纏まったので、工事をお願いするリフォームキューの森井さんにも来てもらって、最終見積りのご説明をさせて頂きました。今までであれば、このまま記名捺印して貰って契約となるのですが、最近はオンライン上で工事契約を締結すると、印紙代(約3万円)を節約できるので、後日ネットで契約を結ぶこととなりました。
これでいよいよ、着工の日程が決まりました。