Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

遮音仕様の壁下地の作り方

駒沢X邸

遮音仕様の床、そして天井が出来上がってきたヴィンテージマンションの駒沢X邸は、次の段階として遮音仕様の壁を作り始めています。

遮音仕様の壁下地

通常のマンションリフォームでは、壁を最初に建てて、その後床、天井と続きますが、上下階への遮音を考えると、今回のような順番になってきます。

遮音仕様の壁下地

写真左側の壁は、窓があり断熱材の吹かれている外壁側の壁で、右側のコンクリート下地の壁の奥は、このお宅の水回りになります。

遮音仕様の壁下地

普通に考えると、自分の部屋内での遮音は必要なさそうに感じますが、実際にはコンクリート躯体である壁から上下階の住居との戸境になる床スラブは一体の造りとなっているので、音や振動が伝わってしまう可能性が高いのです。

上下階を貫通するパイプカバーの作り方

そこで、この写真のような木レンガを壁に接着剤で張って、そこに壁の木製下地をビス固定してゆきます。

遮音仕様の壁下地

そのうえで、壁裏に隙間があると太鼓現象で音が伝達されてしまうので、隙間を埋めるための断熱材を充填してゆきます。その上から石膏ボードを張って、更にその上に遮音パネルを張って塗装仕上げをしてゆきます。

単純な作業のようですが、コンセントや照明のスイッチボックスなどが壁に入ってくるか所は、そこから音漏れがしないように隙間に断熱材を充填したり、

最初の石膏ボード張りの際には、すべての隙間に遮音コーキング材を打ってゆく等、色々な細かい配慮が必要になります。

コンクリート躯体の壁に絡まない単純な間仕切壁は、すでに床と天井で遮音措置をしているので、建て方も簡単になります。

キッチン部分の間仕切壁が立ってきた様子です。 キッチンのカウンターや吊戸棚を床や天井にビスで固定してしまうと、遮音のバリアを作った幕が破れてしまうので、全て壁固定にして貰うため、間仕切壁には通常よりも余分に木下地材やベニヤ板を入れて貰っています。

キッチン間仕切壁をダイニング側から見た様子です。工事をお願いしている工務店・青の片岡社長の左後ろに見えている灰色と銀色の2本の竪管は上下階を貫通している排水と通気のパイプです。

上下階を貫通するパイプカバーの作り方

この2本の竪管は共用部なので、撤去することも移動することもできません。位置的には玄関入ってすぐ横で壁内に隠すことができない位置なので、楕円形の筒で隠すことを計画しています。

上下階を貫通するパイプカバーの作り方

先日の打ち合わせで実測した数値に基づいて作って貰った左の図面に沿って、モックアップの型を現代製作所に作って、現場にはめて微調整してゆきます。竪管2本共に遮音用の鉛シートを巻き付けても、サイズ的に問題なさそうだったので、このモックアップサイズでカバーを作り始めて貰うことになりました。

PSの遮音

壁裏のPS内部に入ってくる竪管は、寸法が十分あるので、こちらには鉛シートを巻かず、断熱材を詰め込むことで遮音対策をすることとなりました。

因みに、これらの遮音対策は、リフォームの設備やデザイン、仕上げなどとは別で、部屋の基本性能をどこまで上げるかという項目でしたので、別の見積りを作って貰っていました。床以外の、天井と壁、天井裏のダクトの遮音をすることの費用は約600万円ほど掛かっています…。

港区三田A邸リフォーム完成

港区三田A邸

デザインアドバイスでお手伝いしてきた港区三田のA邸のリフォーム工事が竣工致しました。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

広いリビングダイニングから玄関ホール、キッチン、そして奥のプライベートゾーンへと続く廊下が間仕切りなしに繋がる間取りが特徴的なお宅です。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

リビングダイニングは、天井の段差と照明で緩やかにエリアを区切っています。右側の床がタイル張りエリアは玄関ホールとキッチンとなります。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

玄関ホールとキッチンは、ダイニングを経て繋がりますが、玄関入って正面にはカラーガラス張りの壁と人工レザー張りの引き戸で仕切られています。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

キッチンはオーダーキッチンのクッチーナで奥さまが選んでくださったダークトーンの木目扉に白いカウンター…、

港区三田A邸リフォーム竣工写真

背面の家電カウンターは同じ扉に黒いクオーツストーンのカウンターとなっています。玄関側から回り込んだ黒いカラーガラスの壁と一体化させています。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

玄関ホールは床タイルと色調を合わせたダークトーンのタイル壁とチークの造作棚、そして鏡面塗装の靴収納扉と合わせて、スタイリッシュな空間に生まれ変わりました。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

玄関ホールの床は斜めに切り込んだ大きなタタキを設けています。まだお子さまが小さいので、ベビーカーも置ける広さをイメージしています。靴収納の扉が、廊下壁の端部まで伸ばされていることが、この写真の右手前で判りますでしょうか…。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

奥のプライベート空間は、なるべく費用を抑えるデザインで考えていますが、こちらの洗面は柱型の出っ張りもデザインに取り込んだ仕様としております。

港区三田A邸リフォーム竣工写真

まだ家具が入っていない段階での竣工写真なので、広さも使い勝手も想像しにくい状態ですが、デザインに強いこだわりをお持ちのAさまご夫妻が、ここまでの出来にとても感動して下さっているので、僕らにとっても嬉しい竣工となりました。撮影の翌日から、ご主人さまが布団を持ち込んで仮住まいを始めるとのことでしたので、家具なしではラストのタイミングで撮影をさせて頂きました。

遮音天井・二枚目の遮音ボード張り

駒沢X邸

上下隣接住戸からの音、そしてこちらのお部屋からの音漏れを気になさって、部屋全体を遮音仕様で作っている駒沢X邸の天井工事の第二弾です。

遮音天井の石膏ボードの目張り

リビングの折り上げ天井の形に添って、まずは普通の石膏ボードが張られています。この上から遮音ボードが張られるのですが、その前のボード継ぎ目処理が一つのカギになっています。

遮音天井の石膏ボードの目張り

フラットな部分をよく見ると、石膏ボードの継ぎ目に何かが塗られているのが判るでしょうか?通常の塗装仕上げ用のプラスターボード二重張りでは、下地のボード継ぎ目は何もしないのですが、ここからの音漏れを防ぐために遮音用のコーキングを詰めているのです。

遮音天井の石膏ボード配線孔の目張り

全ての天井の隙間を埋めるので、配線類やダクトなどの設備が天井を貫通している個所も全て遮音コーキングを詰めて貰います。

遮音天井の石膏ボードの目張り

通常は壁下地を先行して建てて、そのあとで天井と床を張るのですが、遮音仕様となると、床と天井先行で、壁が後になるので、特に壁内にコンセントや照明スイッチ用の電気配線をする箇所には大量の線が現れ、それらを全てコーキングしてゆくという、中々面倒な作業になります。

遮音天井の遮音ボード張り

一枚目の天井下地が出来上がった所で、二枚目の遮音ボードを張ってゆきます。これが普通の石膏ボードの3倍ほどの重量があるので、職人さんも三人掛かりでの作業となります。配線のための穴も余分に開けないので、配線位置を全て事前に墨出しして孔をあけたうえで張ってゆくという大変な作業になります。

遮音天井の石膏ボードの目張り

一枚目のボードの継ぎ目と二枚目の遮音ボードの継ぎ目が重ならないことも重要です。

玄関扉の枠隙間埋め

その他の工事としては、玄関扉の枠とコンクリート躯体の間に隙間があり、音漏れだけでなく防火区画としても問題があることが判ったので、その隙間も詰めて貰っています。

玄関扉の枠隙間埋め

普通のモルタルでは乾燥時に収縮して隙間が空いてしまうので、無収縮モルタルを詰めて貰いました。

玄関扉の枠隙間埋め

このように仕上がりました。玄関扉から共用廊下への音漏れを気になさっていたお客さまのXさまも、モルタルを詰めた後に音を体感してもらったところ、随分良くなったと喜んでくださいました。

キッチン設備配管位置確認

キッチンの据え付けの配管チェックに、リブコンテンツの鈴木さんが僕らとタイミングを合わせて現場に来てくれたので、吊戸棚などを天井ボードにビス止めすることができないこと(遮音仕様の天井に穴をあけられないため)なども説明させて貰いました。