Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

カーブ&段差天井のボード下地@港区三田A邸

港区三田A邸

先日の壁や天井の下地工事で、躯体の歪みを補正することができたヴィンテージマンションリフォームの港区三田A邸の現場に、ボードが張られてきました。

表題の段差&カーブ天井ですが、そのうちの段差はこちらの写真でL字型に天井と壁が段違いになっている個所です。正方形で広いリビングダイニングはとても気持ちが良いのですが、照明計画や家具レイアウトが難しく、天井の段でダイニングとリビングを緩やかに区分けし、更に段差のアゴ部分に間接照明を仕込むことで、天井の高いリビングエリアを明るくするデザインをご提案しました。

ボード張工事@港区三田A邸リノベーション

左側の天井が高い部分がリビングエリアで、右側の天井が一段下がったエリアがダイニングとなります。 リビングの壁には横ラインが走っていますが、ビニールクロスをパネル張りするための下地となっています。

ボード張工事@港区三田A邸リノベーション

逆から見た写真です。ダイニングの天井部分を良く見ると、スリットが掘られていますが、ここにはライティングダクトとスポットライトが埋め込まれる予定です。

ボード張工事@港区三田A邸リノベーション

ダイニングからさらにキッチン・玄関ホール側に寄ったアングルの写真です。梁型と天井がカーブで繋がっているのが判るでしょうか?これはリビングダイニング側から見た梁型の存在感を少しでも和らげるためのデザイン的工夫なのです。手前の壁に黒い帯が張られていますが、こちらの説明はまた後程…。

R天井のボード下地@港区三田A邸リノベーション

港区三田A邸では、玄関ホールからリビングダイニングが壁や扉なしで一体で繋がる平面計画となっていますが、ここでは梁が一種の結界的な役割を担っています。また玄関ホールの壁は灰色のタイルを目地なしで張って、重量感を演出しています。

段差張りのディテール

天井からカーブのラインが梁型に纏わりついていますが、その梁を逆側からみると、このような形状となっています。固い梁型から少し離れた所から、薄い皮膜がカーブを描きながら天井を作っている構成としてデザイン致しました。

梁下のディテール詳細スケッチ

以前のブログでお見せしたこちらのスケッチが、その元イメージですが、まだ、この状態でも判りにくいですね…。

カラーガラス壁の見切り@港区三田A邸リノベーション

さて、先ほどの写真にも写っていた、こちらの黒い帯で縁取りされた壁ですが、こちらは黒いカラーガラスを張るための見切りと下地なのです。

カラーガラス壁の見切り@港区三田A邸リノベーション

廊下からキッチンへの引き込み戸の枠部分の アップ写真ですが 、こちらは人が頻繁に出入りする開口部になるので、カラーガラスの構造的な弱点である端部に物がぶつからないように黒く焼き付け塗装したL字型の金物を先行して取り付けて貰っています。ポツポツと張られた長方形の物はガラス固定用の両面テープで、壁面の所々に発している黒いテープは、カラーガラスを0.2ミリ(約名刺一枚分の厚み)程度の目透かしで張るので、そこから下地が透けて見えないようにするためのテープです。

カラーガラス壁の見切り@港区三田A邸リノベーション

この壁のカラーガラスは壁端部を回り込んで壁の小口まで張られるので、このように細かい箇所にまで焼き付けアングル金物が回っています。

壁ボード張り工事@港区三田A邸リノベーション

廊下奥の個室や水回りなどのボード張りも順調に進んでいます。こちらは廊下に面した納戸収納の内部です。引き込み扉も設置され、枠もクロス巻き込みで仕上げられる予定です。

床フローリング張り

養生が被せられており、見ることが出来ていなかった床フローリングですが、養生シートを一部剥がして、張り具合を確認させて頂きました。


お客さま主導での高級キッチンショールーム巡り

外苑前C邸

現在リフォーム計画進行中の外苑前C邸ですが、特にキッチンに強いこだわりをお持ちの奥さまに引っ張られる形で、高級キッチンショールーム巡りをしています。

ジーマティックの高級輸入キッチンショールーム

こちらはドイツの高級輸入キッチンのジーマティックの青山ショールームです。僕らが主戦場としているマンションリフォームでは、解体から竣工お引渡しまでのスケジュールを考えると、輸入キッチンは納期的に厳しく、検討すらしないことも多々ありました。ただ、今回はCさまが、僕らがキッチンショールームの案内を始める前に、お友達からの推薦やご自身の研究で、こちらのジーマティックやポーゲンポールのショールーム回りをスタートさせていたので、後追いする形でショールーム巡りをすることになりました。

ジーマティックの高級輸入キッチンショールーム

こちらはショールーム1階にある少しクラシカルなスタイルのキッチンシリーズ「Beaux-Arts (ボサール)」です。

ジーマティックの高級輸入キッチンショールーム

Cさまのお友達には、こちらのジーマティック派、ポーゲンポール派、クッチーナ派にキッチンハウス派と、それぞれがご自身が使っているキッチンを推したり、長く使って問題があった個所などをアドバイスしてくださる方がいらっしゃるようで、こちらも勉強になっています。

ポーゲンポールの高級輸入キッチンショールーム

こちらは新宿アクタス内のポーゲンポールです。これまでは、広尾のポーゲンポール東京ショールームに伺うことが多かったのですが、二つは役割分担が違っているようで(アクタスは正規輸入代理店、ポーゲンポール東京は日本法人のポーゲンポール・ジャパン直営店)、Cさまは両者を見比べて、今回は新宿アクタスのポーゲンで見積りを進めたいとのことでした。

ポーゲンポールの高級輸入キッチンショールーム

イタリア輸入家具のポリフォルムではアクタスにお世話になっていますが、キッチンで真剣に検討するのは初めての経験です。

ポーゲンポールの高級輸入キッチンショールーム

Cさまが事前にこちらに伺った際に気に入った素材を並べて貰いました。

改めて高級輸入キッチンのドイツ御三家(ポーゲンポール、ジーマティック、ブルトハウプ)のうちの2つのシステムを拝見して、扉の塗装クオリティーの高さと、メラミン扉の精度の高さに驚きました。特にメラミン扉は小口の処理が本当に上手で、よほど注意してみないと塗装との違いに気が付かないほどのレベルでした。
また、輸入キッチンは納期的にマンションリフォーム&リノベーションでは難しいと思っていましたが、壁や柱との取り合いにある程度の余裕を見ることができることや、複雑な建築工事との取り合いを作らない、また工事スケジュールを4か月ほど見ることができれば、採用することもできそうだということが判ったのは大きな収穫でした。

オーダーキッチンのクッチーナ代官山ショールーム訪問

別日に訪問したのが、お馴染みの代官山のクッチーナです。ジーマティックやポーゲンポールが、華麗なデザインなのに対して、こちらは堅実なデザインで派手さはありませんが、使い勝手重視の展開となっています。

オーダーキッチンのクッチーナ代官山ショールーム訪問

言い方は悪く聞こえるかもしれませんが、普通の主婦が十分に使いこなせるキッチンで、機能性と収納を強化して、それをきれいに展開しているのが、こちらクッチーナだと思っています。

オーダーキッチンのクッチーナ代官山ショールーム訪問

とはいえ、1階や上階には、輸入キッチンにも負けない華やかな(その代わり実用性は乏しいですが…)キッチンも展開しています。

オーダーキッチンのクッチーナ代官山ショールーム打ち合わせ

シンクの形状や、ごみ箱システム、ガスかIHかのレンジなどを具体的に選ぶのに適したショールームですので、まだキッチン本体の形は決まっていませんが、どのような機器類を選ぶべきかについて打ち合わせをさせて頂きました。

オーダーキッチンのアムスタイル代官山ショールーム訪問

クッチーナから道を挟んだ向かいにある、やはり僕らにとっての定番であるアムスタイルショールームも訪問致しました。ここまで4社、更にはキッチンハウスや僕らが推薦したまだ駆け出しのモービリティーポも見比べていらっしゃるので、さすがにCさまも少し疲れたようで、それぞれの特徴を比較しながら、改めてお友達のアドバイスをこちらでも整理して、考えてゆこうとの話になりました。

完成後の外苑前C邸の様子もどうぞご覧ください。


防振釣り木と防振木レンガ

駒沢X邸

駒沢X邸のお客さまからは、上下両隣のお部屋の方への音漏れと、他住戸からの音の伝達をなるべく最小限にしたいというご要望を伺っておりました。施工をお願いしている青の片岡さんたちと相談して、躯体(床や壁や天井のコンクリート)と内装の縁を切るのが良いだろうとの考えで一致しました。床については、遮音置床システムで対応できますが、天井と壁の組み立てが問題になりました。

防振釣り木の組み立て

そこで、天井スラブから天井を吊るための釣り木をこのような構成で作って貰うことになりました。

防振釣り木用金物

スラブに空いているアンカー孔に差し込む金物には、ゴムパッキンを挟み込んで、音や振動が伝達しにくいように工夫しています。

防振金物の組み立て

既製品でこのような金物が売っている訳ではないので、現場側で部品を発注して、現場の大工さんに一つずつ組み立てていって貰うのです。

防振釣り木の組み立て

金物を組んで、それを釣り木に接合するのも大工さんに手作業です。

防振木レンガ

壁と新たに設ける壁下地とは、やはりゴムで防振した木レンガを作って貰いました。

防振木レンガの組み立て

木レンガとは、コンクリートの壁面に取り付ける木片で、壁下地などを釘打ち固定できるようにするための部品です。木片に写真のような厚みのあるゴムを設置して防振木レンガを作って貰いました。

壁への防振木レンガの取り付け

こちらが、防振木レンガを壁に取り付けた様子で、

天井スラブに取り付けた防振釣り木

こちらが防振吊り木を天井スラブに取り付けた様子です。

スケルトン状態の駒沢X邸

大工さんたちの細かい組み立て作業で、徐々に現場に防振下地が組みあがってゆきます。

床給排水管と床下地の取り合い

以前に設置されていたキッチンの給排水管を避けながらの床の遮音下地造りも進んでいました。

PS回りの壁下地検討

玄関近くにあったPSは解体しましたが、上下階を貫通している配管は動かせないので、床に型紙を置いたような形状でカバーを作る計画ですが、どうやってそのカバーを作るかも打ち合わせ致しました。