Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

壁とフラットなテレビの収まり@虎ノ門ヒルズレジデンス

虎ノ門ヒルズM邸

壁とフラットになったテレビを設置することは、以前から考えていましたが、今回の虎ノ門ヒルズレジデンスのリフォームで実現(実験?)できることになりました。

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この写真正面に見えている不思議な升上に区切られた壁にテレビを設置します。左側のスリットは、背面にある靴箱に繋がっています。

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壁は上中下と3段に分かれていますが、上段と下段には写真のようにウォールナットの突板を張ったパネルを建具として固定してゆきます。

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中段にこのテレビをはめ込むのですが、果たしてうまく行くのでしょうか…。

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実は、テレビを取り付け金物にセットするには、テレビの左右と上部に10センチ以上の隙間がないと出来ないのです。そこで上部と下部のパネルを建具として納めることで、セッティングの際にはこの写真のように開いて隙間を作り、セット後に扉を閉じてフラットに収めるという考え方を採用したのです。

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テレビ横のパネルを開けると情報コンセントと背面へと抜けるスリットが空いており、そこから背面のAV機器へとケーブルが続くという仕組みです。

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こちらがTV壁の背面にある既存靴収納の内部です。ステレオと連動したアンプ、ブルーレイなどのAV機器を入れています。電源をオンにしていると相当高温になってくるので、棚板に工夫をして排熱できるようにしています。

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こちらが最終的に出来上がったTV壁の様子です。左側が普段の様子で、右側は取り外したり結線のルート変える際のメンテナンスモードです。将来的にテレビのサイズを変えたくなった場合には、扉パネルを作り替えれば、まだサイズアップができるように考えた苦心のディテールです。

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他の工事も順調に進んでおります。ランダム模様でかつ、本磨きと水磨きを混ぜた壁の大理石張りはきれいに出来上がっていました。

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特注でお願いした玄関ホールとLDKを仕切る引き戸も吊られて、その横の袖壁の姿見の鏡も張っていました。

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姿見と言っても、この袖壁にはスイッチやコンセントが入っていたので、事前に位置を厳密にはかって、鏡に穴をあけてから設置してもらっています。

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余りにフラットで遠近感が感じられなくなっていた折り上げ天井面の装飾用のレーリングも良い感じに仕上がっています。

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折角オープンでスタイリッシュなキッチンなのに、調理するうえでの必需品である炊飯器や電子レンジを置く場所がなかったので、壁面にビルトインで電子レンジをおさめ、その下に引き出しでトースターと炊飯器を収納できるように工夫したキッチンキャビネットです。
これであとは最後の山場であるカラーガラスの取り付けを待つばかりとなりました…。

 

 

 

床仕上げ_フローリング&タイル張り@南麻布S邸

南麻布S邸

南麻布S邸のリビング・ダイニング・キッチンの床は、空間性や使い勝手を考えて、3種類の大理石調タイルと1種類のフローリングを張り分けるデザインとしています。

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ソファーを置いてリラックスするリビング部分のほとんどは、こげ茶と黒い色が混ざったダークな色調のフローリング張りとなります。

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窓の位置や天井の折り上げの位置とフローリング張りの位置があっていることが判るでしょうか?壁際の柱型と手前廊下部分はボーダーとしてタイル張りとなります。

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ちょうど作業中なのが、ダイニング部分のタイル張りです。大理石調タイルは、欧州(特にイタリアやスペイン)からの輸入ものが多いのですが、まだ日本ではあまり主流となっていないので、一つの材種・メーカーでは望ましいタイルが見つかなかったので、2社3種類のタイルを張り分けることになりました。

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そうなると、タイルの厚みやサイズが微妙に変わってくるので、ボーダー張りにする際に、サイズ違いを調整するために、写真のようにさらに細かくサイズ調整用のボーダーを廻すことになります。デザイン的にも結構効いてくる部分なので、幾度も図面を直してサイズを決めてゆきました。

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判りやすいように色は変えていますが、このような図面を起こして、リビングのフローリングの範囲、ダイニングやキッチンのタイル張りのエリアを指示してもらいました。

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フローリングと2種類のタイルの張り分けの様子です。事前に現場で厳密な墨出しをして貰っているので、バッチリあっていました。

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こちらの写真はタイルをどのように張ってゆくかの工程を順に追ったものです。
左から、まずモルタルに接着剤を混ぜたものを鏝(コテ)で床に塗ります。次は吸盤がついた特殊な持ち手でタイルを張ります。最後は、指先と手の平の感覚で、平滑さと目地の通りを見ながら、木槌で微調整してゆきます。

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まだタイルが張り上がっていませんが、大きなリビングダイニングの空間が、だだっ広いだけでなく、ちゃんと空間の使い勝手に合わせてゾーン分けされていることが判る床構成になってきました。

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因みに、こちらの図面は現場監督の富田さんが大事に持っていたものですが、床の平滑面を確保するために、現場を完全に解体した際に床スラブの段差がどれだけあって、どの部分もモルタルで調整すべきかを指示した図面です。このような地道な作業が重なることで、きれいな床面が出来上がってくるのですね。

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こちらが翌日に見に行った現場写真です。すでに床タイルは全て張られていました!

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フローリングにかぶさっていた養生を少し剥がして、3種類の床材が張り分けられている様子をパチリ。

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キッチンの中央部分には、3種類目のタイルが張られていました。

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玄関の三和土(タタキ)部分の大理石も張り始められていました。こちらは床スラブからの厚さが十分になるので、砂にモルタルを混ぜたものに、ノロを掛けながら張ってゆくスタイルでした。

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その他の作業もどんどんハイピッチで進んでいます。石張りの壁の背部には引き戸を引き込むポケットが出来上がっており、プライベート部分とパブリックを分けている壁の端部の丸い部分も張り上がっていました。

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子供のプレイルームを仕切るための大きな引き戸も現場に届いていました。搬入できるサイズか、実験をしたうえで搬入したものですが、本当に階段室ギリギリだったそうです。竹田さんと比べるとそのサイズの大きさが判りますね…。

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玄関ホールとリビングの間仕切り扉も取り付けられていました。コンフォートで特別に作った貰った、ゼブラウッド張りの大型扉です。

 

天カセエアコン接続&下地造作工事@白金台Y邸

白金台Y邸

先日解体が終わった白金台Y邸の現場では、大工さんが入っての下地造作工事と、天井カセットエアコンの接続工事が同時進行で進んでいます。

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リビングにはこれから大工さんが設置してゆく床の遮音用下地やベニヤ板が所狭しと並んでいました。

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スタッフの前田君が見上げているのがダイニング部分の下がり天井のLGS下地です。

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天井のLGS下地が組まれた中で、天井カセットエアコンの冷媒管を溶接作業中です。

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リビングの奥では設備職人さんがエアコンの冷媒管とドレイン管の配管ルートを確保していました。

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今回は冷媒管を外部のベランダに通すスリーブが小さく、本数を通すことができなかったので、大型の天井カセットエアコンしか選ぶことができませんでした…。奥にキッチンの天井カセットエアコンも見えています。

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白い管が冷媒管で電気の線と一緒に結束されています。壁際を通っているの灰色の管がドレイン管です。

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リビング側から見返したダイニングの下がり天井の様子です。木の羽目板が張り廻されることで、きれいなフレームとなってくれそうです。

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先ほどの工事の2日後の現場のようです。下がり天井の下地にベニヤ板が張られていました。元のダイニングの天井高さはリビング正面の梁型と同じ高さだったので、随分天井高さを上げることができたことが判ります。

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下がり天井と壁の端部の取り合いです。天井に描かれた墨出しの墨とピッタリ合って施工されていました。この下がり天井上部にはLEDの間接照明が入ります。

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リビング奥のニッチにも冷媒管などの配管用のPSを避けて、LGSの下地が立てられています。横にベルトのように廻された木製下地は、その高さに書斎の甲板を固定するための補強材です。

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キッチンは電気式床暖房パネルを撤去した後、置床を組み直しての床下地が組み上がっていました。

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レベル(水平性)が悪かった廊下は、左官屋さんがモルタルで均してくれていました。この上に、遮音マットを敷いて、フローリングで仕上げる予定です。

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下地が出来上がってきたので、造作家具屋さんが現場に来て、採寸と細かい取り合い部分の打ち合わせをさせて貰いました。こちらの家具屋さんとも何度か工事を一緒にしているので、これまでに設計した事例のディテールなどを例えに出して説明するとすぐ理解してくれて、とてもスムーズに打ち合わせを進めることができました。