Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

建築家向けフローリングのIOCショールーム訪問

六本木N邸

これまでに何度もお世話になっている建築家向けのフローリング材メーカーであるIOC(アイ・オー・シー)が南青山にショールームを作ったとのことで、六本木N邸のフローリングの相談に伺って参りました。

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建築家・バケラッタの森山さんにデザインを依頼したインテリアは素材感を全面に打ち出した、ちょっとハードな印象の空間でした。

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フローリング張りの壁の下部がこのようにサンプルの引出になっており、IOCがこれまで建築家のニーズを聞きながら開発してきた多様なフローリングのサンプルを見せて頂きました。

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六本木N邸では、ダークな色のフローリングを検討しているので、まず現在あるフローリングのサンプルから、なるべく色味の濃いものを出してもらいました。

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木目が強いものは避けたいのと、もっと黒い床材を探していることを、IOCの寺内さんに聞いたところ、オーク材を燻蒸したサーモオークにオスモ自然塗装のウェンジ色を塗布してマットに仕上げたフローリングを特注で作ったことがあるとのことで、その時の実例写真を見せて貰いました。時間が掛かってもよければ、特注対応で表面の単板が4ミリの厚突きで、幅180ミリ、長さも1800ミリのフローリングを作ることができるとのことだったので、まずはサンプルを作ってもらうようにお願いいたしました。

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折角ショールームに伺ったので、フローリング以外の仕上げ材を見せて頂きました。左から

  • 凹凸感を演出できるチークの羽目板
  • 中国の灰色の焼成レンガ
  • ガラスモザイクタイル

です。

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フローリングの単板突板の技術を使った建具も何種類が展開していました。こちら特注対応で、フローリングと揃えた扉を作ることが可能とのことでした。

 

ビニールクロス張り工事@南麻布S邸

南麻布S邸

普段はあまり使わないビニール製のクロスですが、こちらの南麻布S邸では、壁面と天井面に張っています。実は、ちょうどリノベーション最中にお施主さまにとっての初めてのお子様が生まれるので、男の子の赤ちゃんが汚しても、張替えしやすいようにビニールクロスを使うことになったのです。

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塗装に比べると圧倒的に仕上がる時間が短く、現場を見ているうちにどんどん仕上がってゆくのは圧巻でした。

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自動クロス糊付機を使って、ビニールクロスに糊を付けています。右側に見えているタンクに乗りを入れて、実測した面積をキーボードに入力しておくと、あとは手差しでビニール壁紙を入れて行けば半自動で糊を付けて行ってくれるそうです。糊が足りなくなれば補給指示が出て、指定していた面積分だけノリ付の壁紙を作ってくれるスグレモノです。裁断機能もついているので、クロス端部も同時にきれいにカットしてくれています。

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機械で糊付けしたビニール壁紙はカンガルー袋と呼ばれる養生用の袋に入れておけば、すぐには乾かないそうです。一度にある程度ノリ付けしてからは、一気に貼り付け作業です。とにかく南麻布S邸のリビングダイニングは広く、天井と壁ではクロスの種類が違い、さらにはダイニング壁にはアクセントクロスを使っていますし、玄関やユーティリティーも違うクロスを使っているので、結構面倒な作業なようですが…。
一般的にクロス仕上げとなると、どうしても空間がベタッとした印象で、画一的な仕上がりになってしまうので、こちらではクロスの種類を使い分けて、さらにはモールディングなども混ぜて、安っぽく見せないためのデザインの工夫をしています。

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塗装で仕上げてもらっているモールディングが視覚的アクセントとしてエッジが効いているので、天井や梁型部分のの普及品クロスも安っぽく見えなくなっていました。

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玄関のコーナー部分の仕上がりの様子です。天井のクロスと手前玄関側のクロス、そして奥のリビング側のクロスで3種類のクロスが交わっている箇所です。ここだけでみると、クロスらしい野暮ったさが感じられますが、スリット部分にガラスが差し込まれるので、すっきりとしたイメージで仕上がるハズです。

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こちらはユーティリティーやパントリーなどの作業用動線上で使う引き込み扉です。神谷コーポレーションのクロス巻き込み用建具を使っています。クロスを巻き込みやすいようにうまく金物などが工夫されています。

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こちらがメーカーの仕様要領です。建具も天井までのフルハイトで、さらに建具だけではなく、枠もある程度クロスで隠せる仕様となっており、その名も「ステルス建具(!)」という製品です。慣れないと施工は面倒なようですが、仕上がりがクロスで統一で来て、嫌味がないデザインなので、クロス仕上げでコストダウンをする際には重宝する建具です。

 

虎ノ門ヒルズレジデンスのリフォーム工事進行中

虎ノ門ヒルズM邸

新築・超高級マンションの虎ノ門ヒルズレジデンスの内装リフォーム工事も着々と進行中です。

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リビングダイニングの壁は4面とも白系のビニールクロス張りだったので、ソファーを置く背面の壁は大理石張りとしています。CPも考えて、定尺の300角の大理石を使っていますが、それをそのまま張るとチープな感じになってしまうので、半分に割ったものと4分の1に割ったものをランダムに、かつ所々を水磨きに変えて貰い張ってもらっています。

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大理石の硬質感や照明を受けて輝く感じが、虎ノ門レジデンスのようなハイグレードマンションの内装には合っていると考えてのことです。ただ、ピカピカに仕上げてしまうと、却って安っぽさも出てしまうので、今回のようなデザイン張りとしています。

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目地なしで積み上げで張ってもらっていますが、隣同士の大理石がきっちり固定されて剥がれないように、瞬間接着剤を使っていました。

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石の背面に見ているのが、二液性の接着剤で、小口に見ているのが瞬間接着剤です。

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大理石はカットする作業が大変なので、このようにすべての材料を指定した大きさで買ってしたうえで現場に持ってきてくれています。

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大理石張り壁の横に見えていたのが、テレビ収納壁です。テレビは薄型になって壁に収めることができますが、DVDやブルーレイ、ケーブルテレビのデジタルチューナー、さらにはスピーカーと連動させるためのアンプなどは四角い形状で奥行きがあるので、どうしても四角い箱が出っ張りがちです。今回はこの壁の裏面にある靴収納箱を利用して、背面にAV機器類を入れて、写真の貫通口を通して結線することを考えています。

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こちらは当初、前田君がラフに作ったテレビ・ステレオ配線図をリフォームキューの弱電屋さんが結線図に仕上げてくれたものです。これだけの機器をテレビ近くに置く必要があり、それぞれをメンテナンスできるようにしておくので、相当大きな収納ボックスがテレビ背面に必要になるのです。

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キッチンのカウンター部分の立ち上がり壁の下地も出来上がっていました。オリジナルはデザイン重視で、シンクカウンターの前面に目隠しが全くありませんでしたが、実際に使うことを考えると洗剤やスポンジを片づける場所もなく、きれいに使えないと感じたので、少し野暮ったいかもしれませんが、このような目隠し壁を作ることとしました。
ただ、このまま全面を白いクロスで仕上げると、本当にダサくなってしまうので、カラーガラスと大理石を使って、スタイリッシュに仕上げる予定です。

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少しだけサワリをお見せしますが、目隠し壁の甲板部分は大理石を廻すことにしています。その取り合いを打ち合わせ中のリフォームキューの石原工事部長とうちのスタッフの前田君です。

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プライベート部分の廊下突き当りの造作も出来上がりつつあります。カラーガラスを張って、周囲にフレームを廻して、その中にピクチャーレールを仕込むデザインです。