Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

アートの仮コーディネート 

六本木T邸

六本木T邸リノベーションでは家具に続いて、今度はアート作品のコーディネートです。いつもアートのコーディネートをお願いされた際は相談に乗って貰っている、ギャラリークローゼットの新井紗絵さんと、事務所スタッフの岸本さんと各務の三人で、先日のギャラリー訪問の際に選んだ絵画を20点以上現場に持ってきてもらいました。

まず最初は、メインのアートを飾ることになる珪藻土塗りの大壁の部分から、候補のアートを一つずつ仮に飾って貰いました。なんと言っても、一番大きな壁面で、この空間のメインテーマともなる作品なので、大型アートを一つ飾るか、中型のアートを幾つも組み合わせるかから考え始めました。

灰色の壁の色味とアートの色味、壁のサイズとアートのサイズといった室内空間と比較しながら候補を決めても、実際に手で持ってみると中々しっくりくるものがありません。それでも幾つかの候補を決めて、次の壁へと移ってゆきます。

ダイニング脇の小壁は、サイズ的にピッタリのサイズのアートがそれほどないので、一枚ずつ現場に掲げて確認してゆきました。最初はこちらは容易に決められるだろうと楽観的だったのですが、どの作品を掛けても良さそうで、なかなか決め手になるものがありませんでした。

ソファー背面の壁にも幾つかの候補があり、それらを並べたところです。結局、3時間以上ずっと並べ替えつづけながら、最終的には、大壁には大型アートを2枚、小壁にはコラージュの黒い作品を、そしてソファー後ろにはソファーのレザーと対応したレザージャケットを描いた具象画をまずは掛けてみることとなりました。大変な作業でしたが、アートを架け替えるごとに空間の様相が一変してゆくさまは、本当に興味深くとても勉強になるひと時でした。

引渡しの際に、この仮レイアウトをお施主様に見て貰って、微調整しながら最終形を見付けてゆくことになります。最後の写真は仮に掛けたアートを撮影している新井さんの雄姿です。新井さん、そしてヘルプで入ってくださった斉藤さん、どうもありがとうございました。

高級輸入家具の搬入・組み立て

六本木T邸

六本木T邸に、大型の高級輸入家具が次々と搬入されてきました。

アルフレックスソファ搬入

まず一番に入ってきたのがアルフレックスのソファです。セブン・サロッティシリーズのNaviglio(ナヴィリオ)の大きめサイズのL字型です。座り心地が良いのは勿論ですが、仕上げの皮の質感、遠目から見たプロポーション、いつかは使ってみたいと思っていた憧れのソファです。

ナヴィリオ 背面接続金具

座面の裏に接続金具がついており、二つずつのソファーを連結して固定する方式となっています。ソファーのほかに、JABというラグもアルフレックスにお願いしました。3m20センチの角の大型サイズの敷物です。

カッシーナ ナーン

次に搬入されたのがカッシーナのダイニングテーブルとイスです。ピエロ・リッソーニがデザインしたNAAN(ナーン)という、スモーク色の極薄シルエットがまさに六本木T邸のイメージにピッタリだと一目惚れしたダイニングテーブルです。極薄ながらエクステンション可能で、2m40センチから3m40センチにまで伸ばすことができる優れた机です。

マリオ・ベリーニがデザインしたCABチェアーとフロアスタンドのMAGNA(マーニャ)という照明も今回はカッシーナにお願いしました。

このトラックが自分が設計している現場の前に停まっていると、今でもドキドキしてしまいます。

ミノッティ搬入

最後に入ったのがMinotti(ミノッティ)です。LEGER-HAMILTONという名前のサイドテーブルを入れて貰いました。写真のように、シャープで黒いスチールの脚に黒皮が上部に張られたスタイリッシュなサイドテーブルです。この種類のテーブルでは一番カッコ良いと僕らが思っている製品です。

全ての家具(アートも既に写っていますね…)が入った状態でのインテリア写真です。シックでちょっとハードでスタイリッシュな雰囲気になったのではないでしょうか。ここまで色々と相談に乗ってもらったアルフレックスの担当の野間さん、カッシーナの伊藤さん、そしてミノッティの梶野さん、どうもありがとうございました。そして一日中現場で搬入を見守ってくれた笠原君、どうもお疲れ様でした。

特注書斎机の組み立て

六本木T邸

六本木T邸の書斎に特注でオーダーした机が組み立てられました。幾つもの部材に分かれているので、その組み立ての様子を紹介します。

逆さまになっていますが、こちらが机の天板です。二台のコンピューターが使いながら三人程度の打合せをしたいとの、お施主様のご要望を叶えるために考えた形状です。組み立て用の穴が処々に空いています。

机の強度を保つには、天板にある程度の厚みが必要ですが、それだと見た目のシャープさが失われてしまうので、写真のように端部に向かってテーパーを切って、リビング側から見たときには薄く見えるようにディテールを考えています。 因みに右上に空いている四角い穴は、コンピューター用電源コード等を通す孔です。

 

組み立て手順は、まず裏返しのまま側板を立てるところから始まります。三角に見える部材は、角度の折れ目を調整する材料です。

 

三枚の側板が立ち上がったところで、それらを繋ぐ鉄製のプレートを取り付けます。二枚のプレートは、それぞれ側板に対して斜めに振れているので、ビスを使って固定する作業も大変そうでした。

二枚の鉄プレートが固定された真ん中の側板の詳細です。ここら辺りのディテールは、2か月前の打合せで決めた通りに作られています。床の不陸に対応するように、可動ねじを埋め込んであります。


組み立て後に逆転させて、正しい向きに設置された机を低いアングルから眺めた写真です。テーパーを取った天板端部のシャープさや、斜めに立てられたスチール板の美しさが見えるのではないでしょうか?

こちらが組み立て後の様子です。背部に造作家具と同じウォールナット材を基調とし、補強を兼ねた鉄材とテーブル面のメラミンを組み合わせた複雑な形状の机の完成です。以前の記事で紹介した模型と同じものになっています。オーダー家具屋YPOの廣瀬さんたちが組み立ててくれました。 搬入で30分、組み立てで2時間半、合計3時間の労作でした。どうもお疲れ様でした!