Author Archives: Kenji Kagami
2016.10.12
新築マンションリフォームのメリットとは
[麻布台M邸]
新築マンションリフォームの麻布台M邸プロジェクト、詳細を詰めたデザインの見積りも纏まったので、解体工事に着手しました。
180平米の大きなお部屋の間仕切りが無くなっているので、とても広い空間になっています。
新築マンションリフォームのメリットは以下のようなことだと考えています。
- エアコンやキッチン設備機器、浴室や洗面などが最新の設備なので、全てが再利用が可能なこと(ただし、一度リフォームをすると新築時のデベ及びゼネコン側の保証は切れてしまいます)
- 全体がきれいなので、部分リフォームをしても、していない個所との差が生じにくいこと
- 既存図面類がしっかりしており、ほぼその通りに施工されているので、解体時に予想していなかった問題が発生しにくいこと
- フローリングや壁紙等がまだ販売されており(築古だと廃番になっていることが多い)、既存と合せるのが容易であること
今回もその法則に則って、設備はあまり弄らない作戦としています。キッチンは、シンクと食洗機、ガスレンジとレンジフードが入っているL字型カウンターはそのまま生かして、アイランドカウンターや背面収納を作り直す計画としています。
取り外したキッチン収納や扉材ですが、これも再利用することができるものばかりなので、一部屋を保管部屋として確保して、保存して貰っています。キッチンサイドパネルは加工して新しいキッチン収納の扉に利用すれば、既存キッチンと色味を完全に合せることができるので、捨てる手間もなくなり一挙両得なのです。
ダウンライトなどの照明器具やスイッチパネル、給排気のグリルや点検口なども再利用することを前提に取り置きして貰っています。
先にも挙げましたが、築年数が5年以下だと、CAD(コンピューターで描く手法)図面と施工された現場の合致度が高く、レーザーで正確に測っても図面と2~3ミリのズレしかありません。床下や天井裏の隠れた部分の配管やダクトもほぼ図面通りに走っているので、解体してみてアレッと思うことが少ないのです。もちろん、有力デベロッパーの建物で大手ゼネコンが力を入れて作った建物だという点もあるのでしょうが。
天井裏の懐も余裕を持って設計されているので、ダクトが走っている位置とダウンライトが重なっても問題なく施工できるようになっています。
ただ、設計側も無駄な設備移設などは道連れ工事(何かを動かすことで、他の部分にも関連してやり直すことになってしまう工事のこと)をなるべく少なくしたいという思惑もあるので、それなりの調整が必要です。
こちらはキッチンの天井です。ボード裏にリビング&ダイニング用のエアコンの本体が隠されており、当初は見えている天井カセット式エアコンを移設して、点検口も併せて移設する予定でしたが…。実はそれをすると隠ぺいエアコンまで動かす必要が生じて、ダクト移設の為に天井を全て落としてエアコンとダクトをやり替える大きな道連れ工事が発生してしまうので、パントリー収納の形状を変更して、対応することにいたしました(と書いても、全く判らないと思いますが…)。
施工をお願いしている青の田原さんと八木君、そしてうちの担当スタッフの竹田さんが打合せをしている様子です。
今回のお客さまは、こちらをリフォームしても、お子さまの学校のことなどがあるので、すぐに暮らすツモリはないとのことで、しばらくは賃貸として貸し出すことになる予定です。可変性を持たせた間取りとしたいとのことで、従来は3LDKだった間取りを2LDK+書斎(デン)としますが、状況によってはデンを取り壊して大きなLDにもできるようにしたいとのご要望がありました。
この写真で金属製の柱(LGSです)が3本立っていますが、この部分の壁を取り外したいのですが、手前の個室側の天井がこのLGSで支えられているため、撤去すると天井が落ちてしまうことが判りました…。
つぶしてしまう予定の個室側からLDKを見たアングルです。ところが、これについても天井裏を覗き込みながら、幾つかの工法の話をさせて貰いました。その後、田原さんから特殊な方法を考えれば、数年後にLDを広くしたい時に、比較的安易に壁を撤去できるように作れそうだとの嬉しい連絡が入りました!
奥の個室2室と洗面浴室はほとんど触らないのですが、こちらの長い廊下は途中に無駄に多くあった収納を取り外して、大きな飾り棚を設ける予定です。廊下の先の右下に見えているオレンジ色の箱は…
仮設用の分電盤ボックスです。従来の分電盤は位置を大きく動かすので、その移設が完了するまで、工事道具用の電源として、このような小型の仮設分電盤を使っているのです。
解体では、大量の廃材が発生しますが、共用廊下や荷物用エレベーターを汚さないよう、かつ木材やボード類、金属を別個に捨てることで廃棄費用を安くするために、きれいに分別されています。
2016.10.07
元麻布I邸 オーダーキッチンの組立て
[元麻布I邸]
高級マンションリノベーションの元麻布I邸の現場もいよいよ大詰めで、色々な工事が同時多発的に行われています。
造作家具は小物が先に設置され、キッチンは各種ユニットの箱が現場に運び込まれました。
これだけの箱ユニットが、キッチンの中に組み込まれていると考えると、キッチンの複雑さに改めて感動しておりました。
まずは壁際のガスコンロが入るカウンターが組み立てられています。濃灰のユニットに、濃灰のセラミックカウンターが乗って、左右にはブラッシュドアルミの扉が左右対称に取りつく予定です。
主寝室横の洗面所には、洗面カウンターが組み立てられた横、奥のトイレとの間仕切りのガラス壁が差し込まれていました。
トイレ側から見ると、ガラス壁の位置関係が判りやすいですね。現場で、職人さんがぶつかってケガしないように、ガラス板には大きくマスキングテープが×印状に張られています。透明なままだと、洗面所入り口から便器が丸見えになってしまうので、完成後に半透明フィルムの濃淡を現地でIさまご夫妻と一緒に選んで貼る予定としています。
来客用トイレは、手洗いカウンターはまだですが、先行して鏡の四周を縁取るウォールナットの枠が取り付けられていました。
210平米と大きなマンションなので、複数の工程が同時進行しています。一番奥の部屋である主寝室は天井の塗装は終わっていますが、壁はボードの目地をパテで埋めて塗装下地を作っている段階です。
天井廻りのモールディングの塗装は終わっています。本当はモールディングはOP系のツヤのある塗料で塗った方がきれいなのですが、こちら元麻布I邸では、揮発性物質に注意しているので、ツヤのない水性塗料を使って貰っています。
ユーティリティーでは、ちょうど塗装屋さんが2度目のパテ処理をしているところでした。
リビングの窓際では、スタッフの前田君が現場監督の神成さんと窓際の大理石の納まりを打合せしていました。
そのすぐ横のベランダに面した大きな窓サッシ枠の手前に、プリーツ網戸を収める付け枠が取りついていました。こちらも塗装して仕上げる予定です。
こちらはその二日後に伺った際の様子ですが、キッチンはすっかり組み上がって、完全に養生されていました。
ダイニング側から見ても、シンクカウンターが組み上がっています。
キッチン内部から両側のカウンターを見ると、このように右側ガスレンジカウンターは濃灰で、左側シンクカウンターは白とコントラストが付いたキッチンとなりました。
先ほど下地パテ処理をしていたユーティリティーは塗装が終わって、洗濯機横の収納と吊戸が取り付けられています。
玄関廊下と書庫廊下の見切りとして、焼き付け塗装でお願いしたスチールの薄枠も付きました。同じ廊下でも、角を曲がる度に色のイメージが変わってくるので、それを見切るための工夫です。
AVステレオシステムの構築も迫ってきたので、テレビとステレオ、電動カーテンと照明の調光を連動するシステムをお願いしているB&O六本木店(オーラス)の阿南さんに来てもらい、配線のための配管がきちんと入っているかをチェックして貰いました。
ステレオシステムは、リビングダイニング単独ではなく、書斎と主寝室もネットワークで組み込むことで、どの部屋でも好きな音楽をシームレスに聞くことができるようにする予定です。こちらはNAS(音楽のサーバー的な機器)とネットワークプレヤー(NASからの信号をアンプへ送り出す機器)を置く書斎での調査の様子です。
2016.10.04
既存造作棚の横に取り付ける造作家具について
[一番町A邸]
リフォーム工事進行中の千代田区一番町A邸の現場に、造作家具の第一陣が搬入され、取付けが始まるとのことで見学してきました。
今回取り付ける家具は、ほぼ全て既存の造作家具やキッチンなどの隣に、サイズや扉デザインを揃えながら取り付ける、面倒な作業でした。難しい造作家具の組立てや、面倒な建具の吊り込みでお世話になっている根津さんが扱っているのは、既存キッチンの横に取り付けるトール収納です。
このように既存キッチンの扉を外したユニットの横に下台を設置し、その後先ほどの写真の背の高い家具を乗せてゆきます。新しく作った壁に沿わせて組み立てる造作家具は、周りの壁の垂直や床の水平性の精度が高く信頼がおけるのですが、既存家具の隣となると、経年変化などで歪んでいることも多いので、細かい調整作業が大変なのです。
この写真でも、扉が5枚の普通の靴収納のように見えますが、一番奥の灰色に見える扉は、新しく作って貰った箱と扉です。こちらは既存収納の枠形状がちょっと変わったつくりになっているので、それも合せた形で追加して貰っています。古い扉は取っ手を取り外して、全面にダイノックシートを貼って、全体を一体化させて見せる予定です。
こちらは、現場を見ていて急きょ追加変更して付けて貰うことになった照明ボックスです。天井高さを稼ぐために、50センチ近くの段差がある折り上げ天井ですが、この部分にはダウンライトを埋め込むことができないことと、アゴを作って間接照明を作るとコストが掛かるので、このようなブリッジ状の照明ボックスを渡して、下向けにはレールと照明を、上部に向かっては間接照明を作って、上下共に照らす作戦です。
洗面カウンターを設置する予定の壁には、吊戸棚を固定するための下地工事が行われていました。
玄関ホールからリビングに入る建具は、大きな鉄製サッシを入れる予定ですが、そのための床掘り込みのフロアヒンジも取りついていました。第二陣の造作家具は、またしばらく経ってからの工事になりそうですが、そちらでもちょっと凝った家具をデザインしているので、完成が待ち遠しいです。