Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

新規プロジェクト:麹町K邸リフォーム

麹町K邸

千代田区の麹町で新しいプロジェクトが始まりました。マンション敷地を持っていらしたオーナーのNさまが等価交換で建てたマンションの隣り合った2室を同時にリフォームするというプロジェクトです。

2戸連結のマンションリフォーム麹町N邸

図面上部の部屋は、しばらく賃貸で貸し出していたお部屋でしたが、賃借人の方が出たタイミングで、元々書斎兼事務所的に使っていた図面下の部屋と連結させて、一体で使えるようにリフォームなさりたいとのご希望でした。
ただ、建築基準法的や消防法的やマンションの区分所有法的に、最初から連結できるような作りになっていないと、一体化させるのはかなり難しいので、最初は連結しないでも使える方法を考えてリフォーム案を考えてみました。

麹町N邸現調

その後、実際のお宅を見て欲しいとのご依頼を頂いたので、2つの住戸の内覧に伺って参りました。
120平米の住居部屋はとにかく広々としたリビングが印象的なお部屋でした。

麹町N邸現調

セミオープンのキッチンと造り付けの収納があり、床はチーク材で張られていました。

麹町N邸現調

建設当初から思い入れがあったチークの床材は、前のオーナーの使い方で、この写真のように汚れていたので、賃借人と仲介に入っていた不動産屋さんに交渉して、プロの清掃を入れて貰うようアドバイスを致しました。

麹町N邸現調

キッチンはきれいな状態で、まだまだ使えそうなものでした。ただ、Kさまの奥さまの背が高いことと、国産ではなくミーレ等のドイツ製の食洗器を入れたいとのご希望で、このキッチンを再利用できるか検討してゆくことになりそうです。

麹町N邸現調

リビングダイニングは広く、キッチンも使い勝手が良さそうなのですが、エントランスからLDKまでの廊下が長く、各個室の前を通らないとLDへと辿り着けない動線が大きな問題です。ただ、2つの住戸を連結しても、相当な大改造しないとこの問題はクリアできなさそうです…。
(→その後、マンションを設計したゼネコンに確認して貰ったところ、消防法上の問題があって、2戸の連結は難しいとの結論が出てしまいました)

麹町N邸現調

こちら洗面は、お子さまも大きいので、ここまで大きな洗濯機はいらないだろうとのことで、作り直すことになります。奥の左にあるお風呂はまだきれいで、水栓金物の交換と、内装に薄型タイルの内張りをご提案しています。

麹町N邸現調

トイレの床は御影石張りですが、前の居住者の方がワンちゃんを飼っていたそうで、そのトイレの跡か、石の目地が汚れていることが気になりました。まずは再清掃し目地を打ち直して、どこまできれいになるかトライすることになりそうです。

麹町N邸現調

マンションを建てるときに特別にデザインして貰ったこちらの建具は、開き勝手が良くない(開いた時の扉裏の収納扉が開けにくい)という問題がありました。実測したところ、レバーハンドルの位置がちょうど中間にあったので、上下を反転して開き勝手は反対にすることを検討しています。

麹町N邸現調

こちらは隣の書斎兼事務所部屋です。以前からのお手持ちの家具をとりあえず入れているそうですが、ご主人の本格的な書庫兼書斎と事務所を兼ねたスペースへのリフォームをとのご希望です。

麹町N邸現調

壁に飾っている浮世絵等は、住戸側の廊下に飾りたいとのお話しでした。

麹町N邸現調

インテリアがお好きで、家づくりを幾度もご経験なさったKさまご夫妻とのお打合せは、そのたびに、新しいアイデアが生まれて、どんどん楽しい空間に昇華してゆきそうです。

石膏ボード張り-枠や詳細ディテール

代官山N邸

代官山の高層マンションリフォームのN邸現場は、建具枠が入ってボード張りが進み、空間の骨格が見えてきました。

まだキッチンも入っていない段階ですが、元の変形LDが、ここまでスッキリと広々とした空間に生まれ変わると、プロである僕らでも少々の驚きを感じています。

3LDKから変形3LDK(主寝室は変わらない広さですが、洋室2室はそれぞれ半分ほどの面積になっています)へのリフォームですが、LDK空間の広がりはお客さまも必ず喜んで下さるハズです!
奥の壁回りには、ミラーとキッチンパネルでフレームを作って、フレーム上部には間接照明を回すデザインとなっています。

フレームのディテールですが、上部フレームには照明用のダクトレール(照明器具を自由な位置に動かせるレール)とピクチャーフレームと埋め込んだシステムとしています。

フレームの反対側は、パイプスペース(PS)のパイプが通っている位置を避けた個所に、ボーナスでの本棚を設ける予定です。

左右のフレームの天井付近の様子です。まだザックリとした作りですが、キッチンパネルとカラーガラス、タイルを張ってゆくことで、カチッと納まってくる予定です。

玄関からL字に折れて、リビングダイニングへと続く廊下もすっきりとしてきました。

このウォールナット突板巻きの枠が廊下左右について、ガラス入りの建具を吊り込むことになります。

廊下と個室の間仕切りには、遮音を考慮して、断熱材を充填して貰っています。

LDと個室の建具は、クロス張りのインテリアでは愛用している神谷コーポレーションのフル・ステルス(F/S)という扉を使っています。枠にも扉にもビニールクロスを巻き込むことで、枠と扉を壁と一体に見せる優れモノです。下地段階では良く分からないと思いますが、クロスを張ると見事に枠が消えてくれるのです。

二つの個室間には、奥の部屋への明り取りのランマがきれいに空いています。
リビングの床はすでに養生されて見えなくなっていましたが…、

こちらの床を見て頂くと判るのですが、薄塗りの左官材でガタガタだったシンダーコンクリートの床下地をきれいに均して貰っています。

玄関横の納戸入り口にも先ほどと同じステルス枠を使っています。以前はタタキから納戸床レベルが上がっていたのが、今は室内床と同じ高さにまで下げられているのが判ります。
この枠の左上を見て頂くと…、

このように何やら細かい細工がされております。これはビニールクロスを張る際に、ただノッペリと張るのではなく、目地を通して、クロス張りのパネルを張り込んだように見せるための小さな工夫なのです。

奥の主寝室では、既存クロス剥がしの作業が進みつつ…、

LDでは新規のクロス張りの打ち合わせが進んでいます。

リフォームキューの現場監督の滝川さんと、営業&設計の森井さんが作業を分担しながら、細かく今後の仕事の流れをチェックしてくれている様子です。

マンションリフォームにドイツ製輸入キッチンを使う難しさ

外苑前C邸

ドイツ製高級輸入キッチンのジーマティック社のフルオーダーキッチン取付けが外苑前C邸で始まりました。

ジーマティックキッチン据え付け@高級マンションリノベーション

戸建て住宅を設計していた10年以上前、そして別荘インテリアのお手伝いなどで、ジーマティックさんのお世話になったことがありましたが、マンションリフォーム&リノベーションに特化してから、久しく輸入キッチン会社さんを採用することがありませんでした。

ジーマティックやブルトハウプなどのドイツ製輸入キッチンについては、箱(この写真に写っているキッチンのベースとなる箱部分)の頑丈さ、そして金物類(引き出しの金物や開閉扉の蝶番など)の精度の高さは良く知っておりましたが、解体して墨出ししてからでないと最終的な寸法が出せないことが多いマンションリフォームでは、納期的に難しいケースが多く、これまでお客さまにご提案はしても採用できないことが続いておりました。

今回も当初は上記の事情から国産の高級輸入キッチンで計画を進めておりましたが、お客さまのドイツ製キッチンへの強いこだわり(お友達幾人かから強い推薦があったそうです)に加え、元のキッチンと位置がほぼ同じで、壁位置も大きく変わらないこと、扉材にメラミン(と言っても仕上げは鏡面塗装のように見える本当に精度が高い仕上げです)を使うことでの納期短縮、そして最後は担当者の神蔵さんの粘り強い頑張りがあって、工期が4か月と限られている中でマンションリフォームでドイツ製輸入キッチンを採用することができたのです!

ただ、その中で一点難しいと思っていたのが、ダイニング側と繋がるカウンター部分の取り合いでした。職人さんがちょうど立っている個所なのですが、壁裏に引き込める小扉2枚を開け閉めすることで、ダイニングとキッチンが繋がるシステムを考えていました。

カウンター甲板とダイニング側の収納壁まではジーマティック社が、ダイニング側の収納の扉はリフォーム工事会社のリフォームキューが作るという分担で、何とか問題を解決することができました。

キッチン側から見て、ダイニング側に繋がる小扉の横には吊戸棚が枠内にピタッと収まっていますが、これは事前にリフォームキューが詳細な図面を作ってくれたことで、きれいに納まりました。

その指示図がこちらです。リフォームキューが現地調査した原寸(ゲンスン)から書き起してくれた図面にこちらが注意書きを書き加えたものです。

組み立て始めて2日目ですが、まだ組み立て前の部材がリビングに積み上がっています。

寝室にも、大量の引き出しが積まれていました。

設備配管については、事前にジーマティック社が書いてくれた設備図を元に、配管位置をリフォーム工事会社が施工して入れていたので、ぴったり寸法で配管が箱内部に飛び込んでいました。
あとは、天板が無事に載ってくれば、キッチンはほぼ完成です。