Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ヴィンテージマンションリフォーム白金台P邸完成!

白金台P邸

工事がほぼ終わったヴィンテージマンションリフォームの白金台P邸に設計検査で伺って参りました。

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まず何よりも、この窓から見える緑が一番の贅沢なので、その景色を邪魔しないようなデザインを心がけました。造作家具は、設計要素の中でも、最も好きなもののひとつですが、この景色と一緒に見える造作家具は、大人し目なデザインにしています。

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LDでも緑の景色と反対側にある壁には、少し凝ったデザインの造作家具をデザインしてみました。廊下からの扉は、以前は一枚でしたが、他の場所から移設してきた扉と合せて、両開きに変更しています。

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リビングもそうでしたが、フローリングの張り方は少し工夫しています。まっすぐにフローリングの筋を通さず、空間単位でボーダーを廻した張り方にして貰っています。床暖房(温水式)が入っていると、このようなボーダー張りは難しいのですが、今回は床暖房がないことをメリットにできないかと考えて、この張り方にチャレンジさせて貰いました。

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デザイン的にもう一つチャレンジしてみたのが、この廊下のブラケット照明(壁付け照明)です。廊下の幅が十分に広くないと、却って狭く感じてしまい要素ですが、今回は広過ぎる廊下だったので、アクセントとして採用させて頂きました。よく見ると、扉の大きさが違っていたり、廊下に防火扉が2枚も合ったりと、整理することができない要素が多くある廊下でしたが、このブラケット照明のお蔭で、一体感が感じられるようになったのではないでしょうが…。

色々な是正すべき点を指摘させて貰って、一週間の補修期間を経て、次はお施主さまと一緒の施主検査です。

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時間の都合が付かず、暗くなってからの施主検査になってしまいましたが、照明の中での独特なヴィンテージ感に、Pさまご夫妻はお二人ともとても喜んでくださいました!

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リノベーション後に再販することを考えていらっしゃるので、こちらのキッチン設備にはそれほど費用を掛けていませんでした。ただ、それでもデザイン的なこだわりをある程度表現したかったので、大理石柄のタイルを斜め45度に張ってみました。壁際で黄色ジャケットを着ているのは、AllAboutの高級マンションのガイドの坂根康裕さんです。
実は、当日の夕方からお施主さま検査の前に、坂根さんにお願いして、こちらのマンションを取材して頂いていたのです…。その時の記事が「ヴィンテージマンションリフォーム事例」です。

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広いリビングダイニングには、大の大人が7人入っても、全く狭さを感じさせませんね…。と同時に、家具がないと広さの実感が湧かないので、急遽お施主さまにお手持ちの家具やラグ、小物等を入れて頂くことになりました。

白金台P邸 (8)

お施主さま検査での指摘事項を直しながら、お手持ちの家具や新しく購入頂いたラグ、小物類などを現地に持ってきていただき、僕らがお手伝いしてステージングしてみたのがこちらの写真です。

白金台P邸 (1)

緑だけが見える快適なテラスには、新しく屋外用の家具を購入して頂きました。リフォーム前からあったウッドデッキも、清掃したことで、本当にきれいになっています。

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少し広く感じられた玄関のベンチにも、素敵なクッションと小物を置いてくださったことで、快適なコーナーになりました。廊下奥のガラス張りの部屋は、書斎か書庫をイメージしていましたが、テーブルとイスを置いてくださったことで、ちょっとした打合せができそうなミニオフィスにも見えるようになりました。

白金台P邸 (4)

廊下からリビングへのエントランス前に、ジャストサイズのラグを置いてくださったのも効いています。

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ダイニングの家具の上の小物や、ガラス扉に移り込んでいる、鮮やかな赤色のラグも、マンションが持っていたヴィンテージ感を強く感じさせる要素になってくれています。

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どなたかが暮らし始めれば、恐らくテレビを置くことになる個所には、円形のオブジェが、飾り棚にも小物が置かれています。ダイニングエリアとリビングエリアを、文字通り色分けしてくれるラグも、このためにお施主さまが購入してくださったものですが、本当に素敵になりました!

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出来上がりの様子を、まだきちんとご紹介していなかった洗面と浴室です。こちらは、ヴィンテージ感よりも、清潔でスタイリッシュに感じることに主眼を置いてデザインいたしました。

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来客用のトイレは、周りをコンクリートの躯体壁で囲まれていたので、広さの調整ができませんでしたが、床と揃えたタイルを壁面にも張り、黒い木製フレーム鏡などで、廊下の雰囲気に繋がるように考えてみました。

 

解体で現れたキッチン部分の逆梁への対処法

原宿K邸

先日アップした原宿K邸のブログ記事で、解体時に予想していなかったカ所に逆梁が現れて、キッチンのレイアウトを大幅変更することになった件のその後の経緯です。

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上のCGが解体前まで進めていたキッチンのデザインです。ダイニング側から見て、左側手前にはテレビを置いたカウンター、右手には、正面奥のガスレンジから、出窓前のシンクを経て、大きくL字に曲がったカウンターが対面で伸びてきていました。キッチンに入って左側の調理機器を置くカウンターや冷蔵庫が設置されていました。
解体で現れた逆梁はせい(高さ)が20センチ近くありましたので、冷蔵庫を20センチ嵩上げすれば、物理的には同じレイアウトが可能ですが、それでは使い勝手は極端に悪くなってしまうので、急遽キッチンレイアウトを大変更することになりました。

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元々築古で図面もきちんとしたものがなかったので、何かあった時の為に解体をリフォーム工事本体とは別契約にしてあり、解体後に改めてリフォーム案を検討しお見積りを作り直してからリフォーム本体工事契約を結ぶスケジュールとしていました。時間的には3週かのほどの余裕があったので、ご主人さまにもオーダーキッチンのアムスタイルの代官山ショールームに足を運んで頂きました。

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やむを得ない事情とはいえ、急ぎでリフォーム案を変えると、何か大きなポカミスをしてしまうことがありがちなので、キッチンについてはここまであまり打ち合わせに参加してくださっていなかったご主人さまに立ち会って頂くことで、冷静な判断をすることができたと思っています。

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当初案(左)と最終的に決まった案(右)のレイアウトを比較した図面です。
シンクとガスレンジのレイアウトは全く変わっていません。図面上部に紫色の点線で示した部分が逆梁の個所で、新しい案では冷蔵庫をダイニング側に少し出っ張らせて、その代りにその部分にビルトインのスチームオーブンと調理機器を置く収納カウンターを設けました。また、中央部分のスペースが少し大きかったので、幅40センチのアイランドカウンターを設けることになりました。

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こちらが最終的なレイアウト(実際には面材の色や細かいレイアウトは、ここからもさらにグレードアップされていますが…)をCGにして貰ったものです(CGは2枚ともアムスタイルにお願いしています)。ガスレンジがある正面の壁には、以前ショールームで確認したイタリア・フィアンドレ社の大判タイルをブックマッチの形で張って貰うデザインとなっています。

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キッチンレイアウトの変更とその見積りも上がってきて、他のコンクリートが傷んだ箇所の補修見積りも揃ったので、最終的な金額とスケジュールをご説明したうえで、リフォーム本体工事の契約をお施主さまと辰(しん)の間で結んで頂きました。
ここまでまどろっこしいプロセスを辛抱強く見守ってくださったKさまご夫妻、どうもありがとうございます。いよいよ、ここからリフォーム本体工事開始がいよいよ開始です!

新規プロジェクト・成城Z邸が始まるまでの経緯

成城Z邸

新しいプロジェクト、成城の低層マンションリノベーションプロジェクトZ邸が始まります。お施主さまのZさまから初めてメールでご連絡を頂いたのが2015年の5月ですから、約2年前のことになります。頂いたご相談メールは以下のような内容でした。
「初めまして。先日、成城に約160㎡の中古マンションを購入しました。〇月中の引っ越し目標に不動産仲介会社が候補に挙げたリフォーム会社の中から選んだ会社とリフォーム内容を進めている段階です(リフォーム会社とはまだ契約はしてません)。生活形態が一般的ではないのか、彼らが作ってくれたリフォーム案がどうもしっくりきません。自分の中で好みやイメージはあるのですが知識がないので具象化できない状態です。」とのことでした(メール文章は、プライバシー保護の為に、一部改変しています)。

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具体的な引っ越しのスケジュールがあるので、基本的にはここまで相談してきたリフォーム会社で工事は進めたいとのことで、この案に対して有料で構わないのでアドバイスが欲しいとのご依頼でした。基本的には、初回にこちらの事務所に出向いて頂いてのお打ち合わせは無料としておりますので、事前に送って頂いていた資料を見ながら、何が問題なのか、僕らがアドバイスをするとすれば、どのようなことが可能かをご説明させて頂きました。
それに対して、Zさまから「今日はありがとうございました。人さまのリフォームなのに真剣で親切な対応感謝します。特に全体像のバランス、細かい造作(モールディングのお話)など眼からウロコでした。短時間でリフォームを終わらせようということ自体が間違えなんでしょうね。少し考えてみます。
今後、アドバイスを賜るかどうか改めてお返事させてください。本日は本当にありがとうございました。」とのご連絡を頂きました。その後、幾度かスケジュール感覚や具体的な費用等についてもメールでやり取りさせて頂きましたが、どうしても引っ越しのスケジュールを動かせないので、今回は諦めますとのご連絡がありました。

その後、3か月ほど経ってから、再度以下のようなメールがZさまから届きました。
「お久しぶりです。以前、成城マンションのリフォームのことで相談させていただいたです。お願いがありメールさせていただきました。
その後、リフォーム会社さんに基本設計料をお払いし、プランを練ってきました。リフォームプランも大筋が決定し、ショールーム巡りをしています。マンション組合からのリフォーム許可も出ました。まずは解体をしてみないとわからないことがあるので今月△日くらいから解体が始まる予定で、その前に工事契約をすることになっています。
しかし、どうもひっかることがあり本当に契約してよいのかな、とこの後に及んで躊躇しております。一度、各務さんに有料のご相談をお願いしたいです。」との内容でした。

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もうそのリフォーム会社との打合せも4か月以上続けてきたそうで、図面も見積りも出来上がっており、マンション管理組合への申請・許可も下りており、あとは契約を結ぶだけで、工事着工時期まで決まっているとのことで、この段階から何か有用なアドバイスすることは難しいのではと考えて、当日はお返事をためらっておりました。

メールを頂いた翌日に、他のお客さまと一緒に青山にあるミノッティのショールームに伺ったところ、何とそのZさまと偶然鉢合わせになったのです!

元々Zさまは、少しクラッシカルな雰囲気の空間に、モダンでスタイリッシュなミノッティの家具を入れたいとのご要望で、ミノッティの家具を採用した経験が豊富な建築家をインターネットで探して、僕らのことをお知りになったそうです。そういった意味では、ミノッティのショールームでお目に掛かる可能性はあったのでしょうが、ご相談メールを頂いてお返事をどうお返ししようか迷っているタイミングでしたので、何かのご縁を強く感じました。その場では、ご案内をしたいたお客さまもいらしたので、お返事を致しますとだけお伝えして、事務所に戻ってからすぐにご連絡して、お打ち合わせの日程を決めさせて頂きました。
(写真は、その後にミノッティ・ショールームにご一緒した際のもので、参考写真です。)

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改めて、リフォーム会社が作った図面と見積りを拝見しながらお話をさせて頂きました。残念ながら図面は平面図とイメージ図的な展開図が数枚しかなく、お見積りもZさまが指定した部材だけはスペックされていましたが、それ以外は一式見積りばかりで、全体的に経験不足なことがすぐにわかるような内容でした。Zさまが不安に感じていた内容と、こちらが指摘したことがほとんど一致したこともあり、リフォーム会社との契約はひとまず見送ることになりました。
そこから先は、①お施主さま側のアドバイザーとして打ち合わせに参加しながら、その会社と計画を進めることにするか、②スケジュールを大幅に伸ばしたうえで、僕らがデザイン・設計をゼロベースからやり直すか、或いは③僕らが良くお願いしているリフォーム会社の幾つかの候補の中から選んだ会社に設計施工でリフォームをお願いして、僕らがデザインアドバイスで入るか(こちらの方が②よりスピーディに工事に入れます)の3つの方針を比較検討して、最終的には③の方針で、かつリフォーム会社はリフォームキューで担当者は岩波さんと森井さんで進めることになりました(写真は後日、スタッフの竹田さんと一緒に成城のお宅を訪問した時のものです)。

ここまでのリフォーム計画を進める際には、ずっと僕らのブログを参考にしてきてくださったそうで、お願いすることになったリフォームキューの担当の岩波さんのこともブログでご存じだったことも信頼関係を築く上では大いに役に立ったようです。

以上のような経緯を経て、改めて成城Zさまのお宅の全面リフォームのお手伝いをすることになりました。Zさま、どうぞ宜しくお願いいたします!