Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

内装仕上げ材確定のための打合せ5連チャン

渋谷区タワーマンションS邸

大手リフォーム会社N社と設計施工契約を結んでいたSさまが、渋谷区のタワーマンションリフォームの設計途中で僕らにアドバイスを依頼してきた最も大きな理由が、仕上げ材の決定ができなかったことでした。ぼくらが手伝い始める前までの経緯を聞いていると、「最初にまだ仕上がりの希望もほとんどない状態で示されたイメージが先行してしまい、それを目標にデザイナーが提示してくる仕上げ材を確信なく選んでいるうちに、全体のテイストが決まってしまった」ことが原因だったようです。

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仕上げ材の決定に加え、その途中での追加見積りの提示方法にもお互いの意見の相違があったことで、こんがらがってしまっているようでした。N社側の意見は、同じリフォームのプロとしてわかる部分も多いので、なぜ彼らがそのような方法でデザインを進めてきたのかを事前に説明しながら、改め伺ったSさまのご意見をN社側に伝える通訳的な役割をしながら打合せを進めてゆきました。

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僕らはよくリフォーム設計者が進めるように、「まず床の素材を決めましょう。それから順番に壁、建具と造作家具、そして照明を」という進め方は普段からほとんどしていません。全体の素材候補を見て頂きながら、色々なイメージ写真を見比べて貰って、それらのデザイン的な傾向を分析し、そのイメージに似た空間を作るのであれば、こういった素材を組み合わせると良いのではという方法を使っています。写真は白とグレーとライトブラウンを基調にして、アクセントとなるレザー調や強い木目の素材を組み合わせたイメージを見て貰っている様子です。

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少しずつ、部分部分で素材を決めてゆくのではなく、何度も同じレベルで素材の組み合わせを見て貰い、お施主さまの素材や仕上がりに対する感覚が熟成されてゆくのを一緒に横でお話ししながら待っているような感覚です。その途中でも、お施主さまが好きそうな素材があれば、改めて提示して、それらがそれまでのどのテイストに合いそうかのお話もしてゆきます。

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なるべく僕らがこれまで設計してきた空間の施工写真をお見せしながら、その時の素材の組み合わせに新しい素材を入れ込んだ様子を想像して貰うようにしています。

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天然素材の突板や模様が入った大理石などについては、過去のサンプルをお見せしても、同じものが手に入る可能性はほとんどないので、なるべくその時点で手に入るベストと思われる素材サンプルをお見せするようにしています。こちらでは、ウォールナットの縮み柄模様が付いた突板と黒檀の突板ロールのサンプルをN社側で用意してくれたものを確認させて貰いました。黒檀については、実際に使うツヤで塗装して貰わないと実感がわかないので塗装サンプルを作ってもらうことになりました。縮み柄のウォールナットはお施主さまの僕らも気に入ったので、ほぼ採用が決定いたしました。

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N社のショールームで、N社の担当スタッフの前だけでの打合せだと、お施主さまの本心が伺えないこともあるので、数回に1回は僕らだけでお施主さまのご自宅に伺って、そこまでのプロセスが良いか、問題点があるとすればどんなところか、僕らの施工事例を見て頂きながら、現時点で選んでいる素材を組み合わせた場合、どの事例に近いようなイメージになりそうかなどをお話させて貰っています。

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N社側でも仕上げ素材を設計に落とし込んだCGパースを作ってくれています。パースを見ながら、違った素材を使った場合のイメージや、家具と照明などについても打ち合わせを重ねてゆきます。

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改めて仕上がった来た黒檀の塗装サンプルと白系の大理石、それにフローリングや輸入壁紙などを重ねて素材同志のマッチングを確かめてゆきます。

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暗くなってからのN社ショールームでの打ち合わせだけだと、素材を日中に見た時のイメージが掴めないので、現地に各種素材を持ち寄って確認してゆきます。

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決まったと思っていた素材が思わぬ影響で変わったり、暗い中で見ていた時には魅力を感じなかった素材が、明るい現場に置いてみたら、思わぬ魅力が発揮されて検討に上がってくることもあるのが不思議なところです。

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メインとなるリビングダイニング、キッチンや玄関ホールだけでなく、トイレや洗面、廊下などのサブの空間についても、実際にその場に素材を持ち込んで確認してゆきました。こちらの写真は、うちのスタッフの竹田さんがSさまのご長男と子ども部屋のイメージをお話している様子です。Sさまは、N社が子どもをうまく巻き込んでくれていないこともにも軽い不満を持っていらっしゃったので、僕らは(いつもと同じですが)子どももなるべく一緒に打ち合わせに参加して貰い、特に子どもの部屋の仕上がりイメージをきちんとヒアリングしてゆくようにいたしました。
ここまでである程度の仕上げ材や照明計画が決まってきたので、契約着工前に見積りの増減を纏めて貰うことになりました。

設計契約&工事契約そして解体@お台場K邸

お台場K邸

昨年から計画がスタートしていたお台場K邸、海外在住のお施主さまKさまが工務店との契約と工事着工前の近隣挨拶のために、来日してくださいました。

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事務所にお施主さま、工事をお願いすることになったSOUの尾崎社長、そして僕、各務の三者で工事契約書を読み合せてから記名捺印してゆきました。実は、僕らとの設計契約もまだでしたので、その前に重要事項説明をしたうえで、設計契約にもサインをお願いいしました。

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スカイプでのお話や、サンプルを郵送してみて貰っていましたが、物を見ながらの打合せは久しぶりでしたので、復習を兼ねて仕上げ材の確認をさせて頂きました。

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契約の翌日にはお施主さまと一緒に現地で、管理事務所への挨拶と、近隣住民の方々へのご挨拶周りを致しました。挨拶が終わったところで、先日部分解体した結果を改めて現地でお施主さまにご説明いたしました。

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Kさまも現地をゆっくり見るのは久しぶりでしたので、どこがどうなるかを現地の空間でシュミレーションして疑似体験して頂きました。

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Kさまを囲んで、現場監督をお願いすることになった中川さんとうちのスタッフの前田君、私各務の4人での着工前の記念撮影です。長かった準備期間もようやく終わり、いよいよ工事着工です。
…と書いているうちに日ほど過ぎて、ほぼスケルトンにまで解体が済んだので、見に来てほしいとSOUの中川さんから現場に呼ばれました。

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ほぼスケルトンの現地の様子です。

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床スラブの段差とその中を通る給水給湯と排水管の様子もしっかり判ります。

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以前は天井点検口から一部しか見えていなかった天井裏に隠されていた排気ダクト類や自火報、スプリンクラーの配管もすべてが確認できました。

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墨出しをしておいてくれた中川さんと前田君が問題点を打合せしている様子です。基準にすべきラインは事前に確認していたので、デザイン的には問題ありませんでしたが、それらを実現するためには設備配管類を移設吸う必要がありそうです。

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二人で細かい寸法や設備配管位置まで確認していってくれています。

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当初から問題になっていた、移設したトイレの排水ルートを判りやすく実物模型(?)で示してくれている様子です。トイレ排水は背面抜きにしてそこから勾配を取ってスラブ段差まで持ってゆく計画です。

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こちらは現地で中川さんが描いてくれたスケッチです。排水管の勾配と、その上に置床のパーチクルボード、床暖房用の下地合板、床暖房、フローリングと張ってゆく順番に層ができてゆきます。従来の床レベルからどのくらい上がることになるかを、このスケッチで確認致しました。

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天井裏のダクト類についても、やはり天井のスラブ段差との絡みで、写真上部に見えているロスナイを廊下に移設したり、スプリンクラーの配管ルートを変更する必要がありそうでした。お施主さまのKさまには、当初よりある程度の予算のバッファーを見て貰っておりましたが、その中で納まるかどうかの見積りも急いで作ってもらうことになりました。

 

 

 

 

7種類の取り扱い説明付の竣工お引渡し@六本木N邸リノベーション

六本木N邸

設計&施主検査で見つかった問題点の補修や未成部分の施工が終わった高級リノベーション工事、六本木N邸も無事竣工お引渡しとなりました。

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中央にお施主さまのNさまご夫妻、リフォームキューの営業と現場担当、キッチン施工、ウォークインクローゼット支給工事、、家具コーディネーター、テレビAV関連工事、そして電気工事、照明関係の方々との竣工時記念撮影です。先に帰ってしまったオーダーユニットバスの担当者も含めて、7種類の設備等の取り扱い説明付きの長時間お引渡しでした。

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こちらは前日に3時間ほどかけて調整して貰ったテレビ・AV・音響と空調&照明&窓のブラインドすべてを連動させるクレストロン制御のスマートホームシステムです。今回は施主支給工事で別途工事だったので、補修工事のタイミングで入ってもらいました。

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お施主さまお手持ちのコンピューターゲームも接続したAV収納の内部レイアウトの様子です。背部からテレビやスピーカーに繋げる配線スペースがありますが、機器量が多く作業も大変だったようですが、うまく作動するように調整できたようです。

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テレビシステムの取り扱い方法をB&Oの村瀬さんが説明してくれました。

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お預かりしていたアイ・パッドを持ち帰ってソフトをインストールして、コントロールシステムの端末として使えるようにして貰っています。

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家具レイアウトをした際に、2か所用意してあったエアリアルヨガの場所の一つは使わないであろうことがわかったので、急遽セール中のB&Bのお店に伺って、ちょうど在庫があったパトリシア・ウルキオラデザインのラウンジチェアのHUSKを購入することになりました。

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在庫品で購入できたのは黒いファブリックだったので、もう一色予備用にクッションを購入することにして、そのアクセントカラーを選んでいる最中です。

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メイズの柚澤さんに選ぶのを手伝ってもらったベッドのリネンの肌触りを確認して頂きました。

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主寝室のカーテン、足元のラグの入って、ほぼ完成形になった主寝室です。シックでスタイリッシュでカッコよいです!
1点だけ遮光仕様でお願いしたカーテンでしたが、足元が少し浮きすぎているので、こちらについては再調整して頂くようお願いいたしました。

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お引渡し時の取り扱い説明も多岐にわたりました。洗面脱衣の使い方の後に、オーダーユニットバスの説明を東京バススタイル和久田さんにお願いしました。

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浴室内テレビの使い方やオーバーヘッドシャワーや追い炊きの方法を丁寧に説明して貰っています。

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キッチンはSSKの臼田さんです。主にガスレンジとオーブンの使い方を奥さまに説明して貰いました。

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タイム&スタイルにお願いしたウォークインクローゼットの使い方はそれほど難しくありませんが、ベルト掛けなどの取り付け位置を指定して頂きました。

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こちらは事前に奥さまに現地に来ていただいて、ダイニングの床に敷くラグを選んでい頂いていた様子です。マナ・トレーディングが扱っているベルギーさんの高級ラグ、リミテッド・エディションとアメリカのチルウィッチのコントラクト用ラグのサンプルをお見せいたしました。

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スタイリッシュでカッコよいラグばかりですが右下のレザーを使ったダークなものに決定いたしました。

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ミノッティのソファーのクッションの色彩、肌さわりが思っていた以上に地味だったので、追加でクッションを作りたいとのことで生地サンプルも持ってゆきました。

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とても仲の良いご夫婦で、ここまでデザイン決定ではほとんど同じご意見だったNさまたちですが、このクッション選びではお二人の意見に相違があって、相当苦戦致しました。

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お二人それぞれに選んでいただいた生地を並べてみましたが、お互いの意見を尊重しながらも、アッチコッチと悩み続けて、結局この日は決めることができませんでした。

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丸々4時間ほど掛った取扱い説明とお引渡しの種類説明ですが、何とか無事終えることができました。根気強く最後までご説明を聞いてくださったNさまご夫妻、どうもありがとうございました。そして無事の竣工お引渡し、どうもおめでとうございます!