Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

引き込み扉の枠廻りディテールの作り方

お台場K邸

港区台場の高層マンションリフォームの現場の様子です。

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床のフローリングは完全に養生されており、壁・天井共に石膏ボードやベニヤ板の下地が組み上がりつつあります。

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天井は2段に分かれており、その段差部分にはLEDの間接照明が仕込まれます。下段の天井にはオークの羽目板が張られてゆく予定です。

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引き込み扉を多用しているので、壁下地も面倒な作りになっています。壁でポケットを作って、その内部に引き戸が引き込まれるので、壁の厚みや作り方も複雑なのですが、とても良い精度で作られていました。

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こちらが引き込み扉のポケットの下地の様子です。すでに扉の吊レールの半分が固定されています。奥に見える水色の線は、コンピューター用のLAN配線です。

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リビングに面した個室の扉は、壁はタイルで仕上がり、扉の表にはカラーガラスが張られるという特殊な作りなので、建具枠も複雑な形をしています。

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コンパクトな個室には、コンセントやスイッチを入れる壁が少ないので、現場のSOUの中川さんに工夫して貰って、壁の端部にコンセントボックスを埋め込んでもらいました。幅木も壁とフラットに収まる仕様なので、枠やボードとの取り合いも細かくコントロールして貰っています。

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玄関から続く廊下側からリビングダイニングを見返した写真です。暗い共用廊下から、シックな玄関を通って、天井の高いLDKにアプローチする空間のシークエンスの出来上がりが楽しみです。

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廊下からリビング入ってすぐ横に、照明のスイッチやインターフォン、床暖房のコントローラーなどが集中するスイッチボックスを作っています。表から見るとスッキリしていますが、背面はこのように配線が絡み合っています。

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こちらはその1週間後に訪問した際の様子です。天井にはオーク羽目板が張られ、クッチーナにお願いしたキッチンがほぼ組み上がっています。

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フルオーダーでお願いしたキッチンで、2段カウンターで構成されており、LD側に面した箇所は、最終的に建築工事で仕上げて貰うことになっています。施主支給工事でお願いしたキッチンですが、SOUの中川さんも壁面ときちんと揃っているかをチェックしてくれていました。

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L字型の内部の様子です。こちらはシンプルな直線型キッチンとなっています。ガスレンジ直上のレンジフードは、普段はデザイン性や清掃性からアリアフィーナを使いますが、高層マンションの風圧を計算して貰った結果、今回は暖冷工業のレンジフードを使うことになりました。

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天井羽目板と引き込み扉と特注のスチールサッシが取りつく箇所のディテールも、きれいに作られていました。

 

ウェブサイト「カガミ・デザインリフォーム」に新プロジェクト掲載しました

虎ノ門ヒルズM邸

こちらのブログでも更新が滞りがちですが、昨年から新しいプロジェクトを全く更新できていなかった「カガミ・デザインリフォーム」のウェブサイトに二つのプロジェクトをアップいたしました。

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一つ目はこちらの虎ノ門ヒルズレジデンスM邸です。すでに完成お引渡しから一年近く経ってしまったプロジェクトです。
虎ノ門ヒルズの共用部分に合わせたグレードアップリフォームの詳細が判りますので、どうぞご覧ください。

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こちらは比較的新しい六本木の新築マンションリノベーションN邸です。完成したばかりなこともあるのでしょうが、ブログでの反響も一番高いプロジェクトです。
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180平米以上の大型マンションの前面スケルトンリフォームなので、写真の枚数も多いのでウェブサイトも2つに分けています。
六本木N邸-2もどうぞご覧ください。

黒檀をメインにした仕上げ材の最終決定と解体着工@渋谷区S邸

渋谷区タワーマンションS邸

マンションリフォームのアドバイザーとしてお手伝いしている渋谷区のタワーマンションS邸のでは、幾度も仕上げ材の最終確認を重ねながら、ようやく解体工事に着手することができました。

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パノラマ状に景色が広がる高層マンションのコーナー住戸ならではのダイナミックな空間を早々と体験することができました。

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ただ、ここまでに本当にしつこいほどの仕上げ材確認と、材種変更になった場合の見積り変動を計算しながら、本当に密度の濃い打ち合わせプロセスを経てきました…。

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僕らだけの打合せであれば、通常4~5か月ほど掛かる仕上げ材とデザインの打ち合せですが、ここまでの色々な経緯があったこともあって、大手N社と2か月で決定する作業をお手伝いする約束でしたので、毎週(時には週に2回)の打合せが続きました。

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その分、ご自宅やショールームでの仕上げ材確認だけでなく、この写真のように現地にサンプル材を持ち寄っての現場確認や、朝や昼の光でのサンプルの艶確認、仕上げ材が一つ変わった場合に全体のバランスがどう変化するか等のきめ細かい打ち合わせをすることができました。

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最後までカギになったのが、この写真の手前に見えている黒檀の突板の種類とその仕上げ艶についてでした。黒檀の突板はとても高価ですが、好きな方たちには大人気の突板で、日本全国の突板屋さんを探してもらっても、中々良い木目や色柄のものが見つからないのが現状です。特に今回は大型建具2本とその枠、キッチンの造作家具と飾り棚と多くの家具と扉に同じ柄の黒檀(エボニー)を使いたいので、その素材探しとサンプル作り、価格調整に時間が掛かってしまいました。

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解体着工直前ギリギリになって、何とか打ち合わせに届いた二種類の黒檀の塗装見本です。中央と右が黄味掛かった黒檀の7部ツヤと鏡面塗装のサンプルで、左が赤味が強いサンプルの鏡面サンプルです。

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材料の質感やメンテナンス(お子様が二人いらっしゃるので、汚れることを気になさっていました)の比較から決まっていたフローリング材を大きな面積で張ったものを確認なさりたいとADワールドのショールームを訪問した際に、上記の黒檀のサンプルが届きました。

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実際には、インテリアのプロではないお客さまは、サンプルを見れば見るほど、何をベースにして仕上げ材を決めてゆけば良いのかに迷われてしまいがちなので、N社との打合せ後に僕らだけが残って、フランクな意見交換をしたりしながら、最後に仕上げ材を最終決定することができました。工事金額のメドも立ったので、解体前に(実際には半年ほど前に景色を確認するために、部分的にボードが剥がされていましたが…)お施主さまのSさまご夫妻とN社のみなさんと記念撮影をいたしました。

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解体工事着工して約1週間でこのようなスケルトン状態になりました。

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もとキッチンがあった個所の天井裏のダクト状況です。同時給排システム(排気した量と同じだけの新鮮な空気が給気されるシステム)のレンジフードの位置を、大きく移設することになるので、ダクトの重なりをどこに持ってきて、どのルートでダクトを通すかを検討してゆく必要がありそうです。

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床スラブが一段下がっている位置に集まってきている給水と給湯の配管です。

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同じマンションの違う階に現在居住中のお施主さまご夫妻に立ち会って頂き、玄関回りの取り合いを確認している様子です。

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床に張られた青色のテープが、リフォーム後に立つ壁の位置で、それらと設備の絡みを見ながら細かい施工方法を確認してゆきました。

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脚立に登って、床スラブを見下ろした様子です。まだリフォーム後の家具レイアウトをどうするか迷っている状態なので、ここから壁下地が立ち上がってくるまでの間にレイアウトを仮決定して、ダウンライト照明や床付コンセントの位置を決定してゆく必要があります。
一応、僕らのアドバイス業務としては工事着工時までの仕上げ材とプラン作成助言でしたので、もう業務は終了したことになるのですが、やはりここまでお手伝いしてくると、現場も見たいですし、仕上げがどうなるかまで見届けたい気持ちの方が強いので、このブログに工事状況を掲載させて頂く代わりに、ここからは費用なしで現場を見学させて頂くことになりました。