Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

天井高を上げて空間のボリュームアップ

南麻布S邸

南麻布のマンションリノベーションS邸の解体工事がスタートしました。元々大きなマンションで、一つ一つの空間も大きかったのですが…

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間仕切り壁を撤去してみると、キッチン部分まで含めてLDKで110平米の大きな空間が姿を現してきました。後日廃棄予定ですが、工事中も使用するため残っている冷蔵庫がシュールです。

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このリノベーションでは、部屋の間仕切りを撤去して平面的に広くするだけでなく、天井裏の設備配管類を整理して、天井の高さも上げる計画となっています。因みに、床は既存がカーペットだったので、遮音マット上にタイルでボーダー状に張った中にフローリングで仕上げるので、リノベーション後は4センチ上がることになっていますが、天井は平均で14センチ上がるので、結果的に部屋全体の天井が10センチアップすることになります。

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110平米で0.1m分空間がボリュームアップするので、11立米の空間が新たに生まれる計算になります。通常の天井高を2.5mとすると、約4平米(1.2坪)分の面積を加えたことと等しい計算になります。天井を上げるための費用が約60万円程度の見積りとなっておりましたが、坪当りの単価が300万円として計算しても、360万円分のボリュームを得たことになります。

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天井の高さを上げるのは無駄なことのようにも思えますが、以上のように計算すると、十分元が取れるものなのです。ただし、設備のルート変更や天井埋め込みのダウンライトの個所に制限が出たりします。写真に写っているのは窓際のカーテンボックスと梁と天井下地のLGSの関係ですが、こういった細かい部分をどのように仕上げるかも空間のきれいさに大きく影響してきます。
実際には計算上のボリューム以上に空間の伸びやかさが全然変わってきますので、数値では現すことができない価値がありますが…。

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こちらは天井高さとは関係ありませんが、既存の分電盤周りを解体した状況です。縦型は使い易い反面、ちょうど収納などで使い易い高さの空間を費やしてしまうので、今回はスペースの活用度合を高めるために、靴収納の棚の上に横型に変えて置くこととしております。

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キッチン周りの設備の配管状況も確認することができました。図面通りの配管位置でしたので、当初設計していた通りのキッチンを設置することができます。

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玄関はタタキの仕上げを、既存の花崗岩から大理石へと変更するので、既存の石を剥がしています。もとはタタキからリビングの床までフラットでしたが、LDKが40ミリ上がるので、上り框を設けることになっています。

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最後まで決まっていなかった来客用トイレの仕上げを確認している様子です。

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天井の折り上げ部分にモールディングを付けることになったのでその形状と、壁に張る大理石の最終確認をさせて頂きました。

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解体現場での記念撮影です。左からリフォームキューの営業・設計担当の森井さん、うちの竹田さん、Sさまご夫妻と各務です。天井も十分高いので、慎重186センチの僕がまだ小さく見えますね…。

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最後のオマケの写真です。音楽好きなSさまご夫妻はBowers&Wilkinsの高級スピーカーをお使いになっています。今回はテレビの音もアンプを通してスピーカーで聞けるように、配線埋め込みで仕上げる予定なので、現在お使いの接続ケーブルを支給して頂き、先行配管しておくことになったので、高級ケーブルを持って来て頂いたものでした。

スケルトンからの床モルタル補修・断熱補強・墨出し

広尾N邸

スケルトン状態まで解体されていた広尾Nプロジェクトですが、床スラブのクリープかシンダーコンクリートの精度の問題か、既存床レベル(平行性)の精度が非常に悪かったので、左官工事でレベル調整をしてもらいました。

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最も高いところと低いところで4センチほどのレベル差があったので、一番高いところを基準にモルタルで補修していきました。

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セルフレベリング材という便利な製品の採用も検討しましたが、既存の配管立ち上がり箇所や、PSを囲むコンクリートブロックなどに隙間があって、レベラーが流出してしまう危険性があったので、手塗の左官で作業してもらいました。ちなみに、濡れ色の箇所は、見に行った当日に塗られた箇所で、室内に入ることができませんでした。

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設備配管を通すために作ったガター(溝)部分は、このようにきれいに補修されていました(ちなみに、こちらは先ほどの写真の4日後に現地に行った際のものです)。

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屋上階の住戸で、昨年の夏の暑さが尋常でなかったとのことで、外壁部分と天井には全体に発泡ウレタンの断熱材を吹き付けてもらいました。

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床左官、壁断熱が終わった後は、墨出しを工務店にお願いしました。大工さん3人でレーザーを使って正確に墨を出してゆきました。

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プライベートな寝室部分の壁の位置が描かれていますが、判るでしょうか?

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間近によってみると、このようにスタッドの位置が記されています。左官でレベルがきちんと出ているので、墨だし作業もやりやすいとのことでした。

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ユニットバスとユニットシャワーをお願いすることになっている東京バススタイルの和久田さんに現地に来てもらい、設備の流れや床段差などについてお施主さまに説明してもらいました。当初考えていたよりもユニットバスの床段差は小さくなりそうです。
リフォーム工事の下準備が整ったので、いよいよこれから本格的なリフォーム工事が始まります!

 

 

設計検査&竣工お引渡し

高級高齢者向けサービスアパートメントS邸

長らく工事が続いていた高級サービス付き高齢者向けアパートメント(通称:サ高住)のリフォームプロジェクトS邸の設計検査を行いました。

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施工をお願いした高島屋スペースクリエイツ、下請けの建築工事の、同じく下請けの造作家具工事の現代製作所に立ち会ってもらっての検査です。

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設計側からは、担当の前田君に加え、スタッフの竹田さんや岸本さんにも手伝ってもらいました。造作キッチンの調味料収納の棚引出がブレがちだったので動作を確認してもらっている様子です。

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開くと造作収納とフラットに収まる難しい建具の動作確認も怠りません。以前高島屋SCさんの施工側の検査に立ち会った際に、特に動作部分の慎重なチェックの様子に感銘を受けてから、同じように可動部分は一通り動かしてチェックするようにしています。

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全てをチェックした後で、施工側に立ち会ってもらって、チェック項目を確認してゆきます。お引渡しまで、あまり時間がないので、どのくらいのスケジュールで是正工事ができるかを調整してもらいます。

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こちらはオマケです。こちらの建物は工事時の塗装や接着剤などの臭気に対してとても厳しいルールがありましたので、浴槽塗装時に現場に入れて貰った脱臭装置です。こちらの装置は、印刷工場・病院等産業用脱臭装置だそうで、千葉の会社が持っていたものを、現場監督の山崎さんがわざわざ千葉まで出かけて、デモンストレーション行って貰い、その性能を確認したうえで、特別にリースしてもらったものだそうです。
なお、工事する際には、職人さんには装置と一緒に浴室内に閉じこもってもらい、外から厳重な目張りをしたうえで作業してもらいいました。

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その様な大変な作業を重ねて完成したのが、こちらの浴室リフォームです。真っ新に生まれ変わった浴槽が輝いて見えました。

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検査を終えたところで、ここまでの総括をしている様子です。現場関係者ほぼ全員が集まる最後の機会だったので、設計側からの感謝の意を伝えさせて頂きました。

その後10日間で是正&補修、未成工事の施工を終えてお施主さまに立ち会って頂いての竣工お引渡しの様子です。

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お施主さまご夫妻に加え、お施主さまのFP(ファイナンシャル・プランナー)の方も立ち会ってのお引渡しとなりました。早速に、難工事だった浴槽の再塗装を確認してもらいました。

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一通りの機器の取扱いやメンテナンス方法をお伝えした後、竣工お引渡し書類にサインして頂いている様子です。

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背面壁に壁掛けテレビはついていますが、まだ家具も入っていない状態なので、自分たちが暮らしてゆくイメージが湧かないとのことでしたが、すっきりとご自分たちの好きなイメージに出来上がった空間については大満足だとの言葉を頂くことができました。
来週からは、家具や家電等の搬入が始まるので、まだ油断することができませんが、とにかくここまで無事進んで、ホッとしております。