Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

グラスルーチェの取付け設置@代官山T邸

代官山T邸

色々と高級な機器類を採用している代官山T邸でも、もっとも設計側で気になっていたのが、グラスルーチェのシステムとその取付け方法でした。

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グラスルーチェとはハナムラ・トレーディング社が開発した、ミラーガラスでテレビを隠すシステムです。ハナムラのホームページには、グラスルーチェの説明として「TVはインテリア空間のデザインを壊す存在です。そんなTVの存在を消すをテーマに、TVを“美しいしつらえに変える” 壁面システムを考えました。TVを壁面の中に特殊システムを使 い躯体と一体化し全面にガラスを引っ掛け壁面の一部にするビルトインシステム」と書かれています。この写真は、新宿オゾンにあるグラスルーチェのショールームを訪問した際のものです。

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代官山T邸のお施主さまは、ご相談当初から、このグラスルーチェのシステムを寝室に採用したいとのことでした。写真は、解体工事前に、その寝室にテレビとテレビをカバーするミラーガラス、その横の棚を、設置予定の壁にテープでマーキングしてみた時の様子です。

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これが壁を指定の寸法で解体した際の様子です。工事は既に進んでおり、グラスルーチェのシステムを固定するたけに、壁下地のLGS(軽量鉄骨)が切り欠かれており、木製フレームが周り、また配線関係のCD管も通されている段階ですね。天井にはスピーカー用の丸穴があけられ、CD管が回されています。

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ハナムラ・トレーディングの担当者が書いてくれたディテールと、こちらで用意した寸法図を元に打合せを何度もしています。テレビだけでなく、アンプを入れて、ブルーレイと繋げ、天井に埋め込み式のスピーカーを入れる計画なので、その配線図も書いて貰いました。

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更に工事が進んで、横のウォールナット突板の棚が入り、グラスルーチェを固定するための柱材や、背面の合板も張られています。

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グラスルーチェのシステムとは直接関係はありませんが、横の壁にこのようなニッチを作り、ここにアンプやブルーレイを設置します。ちょうどこの壁の背面がウォークイン・クローゼットだったので、箱の背部を出っ張らすことができました。因みにアンプ類は使用時に相当な熱を発するので、空気抜けの孔も設けています。

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ウォークインクローゼットの天井に設けた点検孔にこれだけのCD管が届いています。後日CD管内部に通線して、先ほどの機器用ニッチに接続してゆきます。配線は、最後に壁を作って隠してしまう予定です。

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いよいよ待ちに待った(?)グラスルーチェ取付けの当日です。ハナムラからは担当の大西さんと職人さんが二人、それにリフォームキューの現場監督の岩波さんに電気屋さんが揃いました。

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こちらが、テレビを固定するためのフレームです。その後ろにはハナムラ側が用意してくれた薄型テレビも届いています。

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まずはテレビに配線を繋げ、動作を確認してから、フレームに固定します。

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テレビと共にフレームを固定した際の様子です。アルミのフレームと設計図通りに設置された木軸の下地がピッタリと重なり、そこにビスで固定されました。フレームはガッチリ固定されていますが、テレビはまだこれから微調整があるので、完全にはフレームに固定されていません。

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あとはガラスをはめ込むだけなのですが、その前にアンプとテレビの接続、スピーカーからの音の確認、インターネットの接続ができているか、外付けのハードディスクとの相性などをチェックする必要があります。まだ、ご入居前でインターネット接続にだけ問題がある事が判りましたが、その他の問題はクリアできたので、ガラスを取り付ける作業に入ります。

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写真がブレて見にくくなってしまいましたが、二人掛りでGLAS LUCEマジックミラーを引っ掛けます。ミラーは素手ではもてないので、ガラス用の大型吸盤を使っています。実際の引っ掛け作業は、2分ほどで終わりますが、テレビとミラーガラスの位置が全くズレないように、何度も付ミラーを外してはテレビ位置を微調整して、また付け直すという作業を繰り返してゆきます。右手奥では、設置したアンプを調整をしていますね。

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これで長かったグラスルーチェの取付けが完了しました。テレビの電源をオフにしていると、このミラーガラスの奥にテレビが隠されていることが全く判りません。横にデザインした木製の棚ともピッタリ寸法が合っており、実にカッコ良くレイアウトすることができました。大西さん始め、職人の皆さん、どうもお疲れ様でした!

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最後に、テレビがオフな状態とオンの時を同じアングルで比較した写真です。外が明るい時点での撮影だったので、反射してちょっと判りにくいですが、何度見ても黒いミラーの後ろから画像が飛び出てくるような感じで、とても不思議な体験でした。

天井羽目板張り@品川区Y邸

品川区Y邸

リビングエリアとダイニング・キッチンエリアを天井と壁の収納扉のデザインで区分けする計画の品川区Y邸リフォームプロジェクトで、ダイニング天井部分の羽目板(はめいた)張りが始まりました。

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写真手前がダイニング部分で、奥の窓際に向かってちょうど半分位のところで天井に段差があり、そこまで羽目板を張ることになっています。

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薄手でサネがないウォールナットの羽目板なので、両面テープと速乾ボンドとの併用で取り付けて貰っています。長く垂れ下がっているのが両面テープです。

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このように、奥から手前に向かって、両面テープを一枚分ずつ剥がしながら接着してゆきます。

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段差部分のディテールです。小口はウォールナット材が張られていないので、後日塗装やさんに似た色を小口に塗って貰うことになっています。

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他の部屋でも大工さんたちの最後の工事が進んでいます。こちら主寝室の天井には、物干し用の木製造作竿が設置されました。風通しの良い室内の場所に洗濯物を干したいとのご要望だったので、寝室の頭の上に二本の物干しバーを取り付けました。

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主寝室の反対側には、左に布団を収納する押入れ、右には通り抜け可能なウォークイン・クローゼットを計画しています。

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ダイニング横の窓上には、キッチンや洗濯機置き場の奥行きに合わせたフレームを作って、その上部に既存エアコンを取り付けるためのニッチを作って貰いました。

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このタイミングで、拭き取り塗装仕上げの巾木の色味を決める必要があったので、急遽ペンキ屋さんに現地に来て貰い、路上で塗り見本を作って貰いました。

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ナラ材の巾木に、AEPの白いペンキを塗って貰い、時間を少し置いてから拭き取って貰ったサンプルです。置いた時間を長くすると、白の定着量が多くなります。写真の右側がより白いサンプルで、こちらでお願いすることにしました。
後はLDKの家具とキッチンの取付けを待つばかりとなりました。

広尾のヴィンテージマンションリフォーム計画が始まりました

広尾I邸

広尾の築39年、153平米(46坪)のヴィンテージマンションのリフォーム計画が始まっています。

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実は、初めてお話を伺った際には、既にリフォーム工事の工務店が決まっており、プランも当然決まっていたプロジェクトなのです。お施主様が海外に在住中で、デザイン的な助言や留守中の工事チェックで手伝ってくれないかとのご依頼があって、「デザインアドバイス」&「施主代行としての工事チェック」という形でお手伝いすることになりました。

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共通のお知り合いが居たという事情はありますが、メールのやり取りだけで仕事の範疇をほぼ決めて、来日した際に初めて打合せをしたのが、工事着工当日という超変則でのアドバイスは、当然ながら初めての経験です。

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3時間ほどの集中したお打合せをしただけでしたが、その直前にした僕らの現調の結果をお伝えして、予定していなかった浴室周りの排水管の交換も実施することになりました。その打合せの2日後には、写真のような状態で、天井も解体されていました。130701hirooHtei_kaitai-4

キッチンが外された状態での打合せで、かつてはキッチン内にあった洗濯機を洗面に移設し、その場所に冷蔵庫を移設することが決まりました。

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こちらはキッチンキャビネット内に隠されていた謎の配管類です。竣工時の図面の読込みと、管理会社へのヒアリングで、大きく出っ張っている配管は、既に使われなくなった床暖房の給湯管で、更に竣工当初のシンダーコン埋設のキッチン排水管はコロして、5年ほど前にスラブを貫通して新たなる排水管を設置していることが判りました。130701hirooHtei_kaitai-6

こちらは玄関裏の点検口から入ることができたPS内部の配管状況です。手前左の竪管が雑排水と汚水を合流させて排水竪管で、そこから3本の管が横引きされているのですが、なぜか銅管と亜鉛メッキ鋼管が併用されていました。シンダーコンクリート内部のどこかで何らかの方法で異種金属が接続されている可能性もあるので、その危険性をお施主様にお伝えしたうえで、この部分の排水管は全て交換することになりました。
実は、その後の管理組合・管理会社との折衝でも、色々なやり取りがありました。当初はPS内は共有部分なので交換できないと言われましたが、状況を現地にて示して粘り強く交渉した結果、却って横管は今回の工事で交換して欲しいと依頼されることなりました…。130701hirooHtei_kaitai-9

こちらはかつての浴室があった個所の解体状況です。竣工当初は在来工法での浴室だったものを、一度パンユニットの浴室にリフォームされていました。排水管から交換することになったので、オーダーユニット浴室の東京バススタイルの眞柄さんと和久田さんに現地に来て貰い、浴室リフォームの方法を検討致しました。

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さすがこの道のプロのお二人で、現場でどんどんマーカーで工務店さんへの指示を書きこんでゆき、床段差のレベルや、天井高さの設定、給水・給湯管の位置、排水管のルートなどを決めていってくれました。

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そうこうしている間にリビングの天井もほぼ解体され、メールでのやり取りで、新しい天井の形と照明のレイアウト計画も決めることができました。工事の流れを落さない形で、何とか上手くアドバイスして行ければと思っています。Hさまご夫妻、そして工務店の武田さん、どうぞこれからも宜しくお願いいたします!