Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

黒檀の特注建具吊り込み

代官山T邸

造作家具もほぼ設置し終わった代官山T邸リフォーム現場に、新しい建具が吊り込まれ始めました。通常の僕らの設計では、扉よりも造り付け家具の方に重点を置いてデザインするのですが、今回は以前も紹介した黒檀の建具に一番の思い入れがあります。

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まだ、取手部分が取り付けられていませんが、現場の出入りの職人さんたちも、鮮やかなデザインに目を奪われるようで、皆そっと手で撫でながら出入りしていました。

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取手は取り付ける部分を寄って撮った写真です。

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ちょうど建具の四角いすき間に、この特製取手がはめ込まれます。下部に開いた小さなビス孔で建具に留め付けるデザインです。

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簡単に外れないように、ピッタリの寸法で作って貰っているので、注意深く建具側を削り合わせながら、何度か差し込んで調整してゆきます。

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ようやく建具と取手が合体しました!玄関ホール側から見た建具ですが、右側にはまだガラスが入っていませんが、左側の鏡と鏡面磨きのステンレス枠と合わさると、不思議な浮遊感が生まれてきました。

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因みに、こちらが製作途中の建具の様子です。まだ塗装されていない黒檀の板は、どうにも頼りない状態ですね。

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上の突板を、このように井桁に組んだフラッシュ枠に張り込んで、建具に作ってゆくのです。内部を木質のベニヤ板で充填してしまうと、重たくなりすぎるのと、建具両側の温度や湿度の条件によって反ってしまう可能性があるので、このような方法で作って貰うのが一般的です。

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黒檀の建具だけでなく、造作家具の扉も設置されました。こちらはギャラリーを兼ねた収納廊下のウォールナット張りの建具です。約100センチ幅のクローゼットが8本並んだ大収納力の廊下です。

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主寝室の書斎コーナーのテーブルの設置されました。片持ちで作りたかったのですが、正面本棚の高い位置の本棚を取ろうとすると、どうしても天板に手をつくことが予想されたので、左側に三角形の鉄フレームを組んでもらいました。こちらも全てウォールナット張りです。

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ワンちゃん用のペットスペースの床にもカーペットタイルが張られ、ほぼ完成です。後はLED照明のカバーを取り付けるだけです。

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浴室のアートパネルも無事設置されました。アメリカで作って貰ったものを輸入しているので、納期が一番心配していたものですが、間に合わせることができました。

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浴室内の水栓金物類も、テレビを除いて取付け完了です。

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洗面の浴室ガラス前には、PSヒーターのタオルウォーマーも取り付きました。ちょうど良い目隠しにもなりそうです。

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作業が終わり、職人さんたちに続いて現場を出る直前に振り返って撮った黒檀(エボニー)の建具です。夕方の照明に映えた黒檀の建具は、幻想のように美しく、少し酔ってしまいそうでした。

オーダーキッチンの組み立て@品川区Y邸

品川区Y邸

品川区Y邸では、造作家具工事に二日遅れて、オーダーキッチンの取付けが始まりました。

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排気のダクトルートと排水の配管ルートが複雑なので、箱を組んでカウンターを載せて、ハイ出来上がりとは行かず、細かい個所は修正しながらの根気のいる作業が続きます。

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このように、対面型カウンターにシンクがレイアウトされていますが、排水は背面の窓側の中途半端な高さまで流さなければならないので、床下を通すわけにはいかず、左側の棚の中を通し、冷蔵庫裏の壁を伝って、寝室との間仕切り壁を通過し、背面のキャビネット内に至るルートを通ることになります。

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排水管の接続の為に、シンク下に入り込んで繋ぎこんでくれています。

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こちらは、ガスレンジ下に入る、コンベックオーブンの取付けです。シンクカウンターの横にはコンセントや照明のスイッチも入っているので、その配線孔も開けて貰っています。

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お施主さまのYさまに立ち会って頂き、シンク横の冷蔵庫隠し壁に取り付ける布巾掛けの高さを決めて貰いました。青いシールの個所に決まりました。やはり女性同士は、キッチンの使い方で話が弾むようで、リブコンテンツの担当の大江さんとうちのスタッフの竹田さんとで、女性三人で話が盛り上がっていました。
なお、このキッチンの打ち合わせについては、「オーダーキッチンの活用の仕方」で紹介しております。

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こちらはキッチン工事ではありませんが、このキッチンを組み立てる直前に、ガスレンジ正面にある窓に、曇りフィルムを貼って貰いました。当初は、写真左のように、枠の奥に引き違いの窓があったのですが、可動部や金物に油煙が付くと、お掃除が大変になるので、枠の手前にガラスを取り付けて貰い、更にそこにフィルムを貼って汚れに対処しやすいように考えています。

床大理石の補修工事@代官山T邸

代官山T邸

代官山T邸の白い大理石張りの床は、お引渡し時からのものなのですが、前の持ち主の方の使い方の問題なのか、傷がついていたり、端がチップしている個所が、当初より多数ありました。工事が始まる前に、現場監督の岩波さんと、僕ら設計側で床を這いつくばってチェックして、石を交換しなければ治らない傷と、補修可能な傷に分けてマークしておきました。

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当初の検査で、張替部分は決まっていたので、大きな工事がほぼ終わったこの段階で、大理石の張替工事に入って貰いました。

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築浅の高級マンションでは、機械を使って床石を斫るのは、騒音クレームに繋がりやすいので、職人さんたちに頑張って貰い、手壊しでの作業をお願いいたしました。

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きれいに床下地のベニヤ板が見えるところまで斫って貰った後は、薄い灰色の二液性エポキシ系接着剤と、濃い灰色の速乾性セメントを点付けして、更に大理石が過度に沈み込まないためのアルミ箔を丸めたものを配置して、その上から大理石を張ってゆきます。
ベッタリ接着剤を塗ってから石を張る方法もあり、本来はその方法の方が床暖房がある場合の効きが良いのですが、周りに石が張られている今回のようなケースでは、レベルを調整しやすい点付け方式で張った方が良いという判断です。

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二液性ボンドは乾いて強度が出るまでほぼ丸一日掛かりますが、速乾性セメントは2~3分で乾いてしまうので、素早い作業になります。

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大理石を張り直して、10分ほどして速乾セメントが完全に乾いたことを確認してから、コテで目地詰めして貰います。因みに、既存大理石の目地はそれなりに汚れていたので、後程サンドペーパーで磨いて貰う予定です。

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こちらは石を張り替えずに、補修をしている様子です。写真左側のネットリした素材が樹脂で、ハンダゴテで溶かしながら色調整をして、パテヘラやカッターの刃を使って傷に刷り込んでゆきます。柄合わせで、線を書いたりして、周囲と馴染ませたうえで、磨きをかけて大理石の艶に合わせてゆきます。石張りは職人技という感じですが、こちらはよりアーティストに近いイメージです。

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石屋さんが入るのは今回は最後なので、他の部分で石に絡む部分も全て仕上げていってもらいます。こちらは玄関ホールとリビングを繋げる建具のフロアヒンジ部分です。機構をカバーする石の蓋を取り付けて貰いました。

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リビングの石張り壁に取り付けるB&OのCDプレイヤーのバックボードも、石屋さんに取り付けて貰いました。

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シャワー水栓や天井にぶら下がるレインシャーの配管の為に開けたユニットバスの壁にも、色調のあった大理石を張り直して貰いました。