Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

増築玄関のデザインの意図

伊豆OK別荘

伊東の別荘デザインリフォーム現場もいよいよ終盤に差し掛かって参りました。以前のコラム別荘の新しい玄関の考え方でも書いたとおり、かつては建物下部のピロティーから、急勾配で上がっていた玄関を、年配のオーナー夫妻のために、外部に緩やかな勾配の階段とこじんまりとした玄関ホールを増築することになっています。古い別荘に対して、新しい要素が加わるので、デザイン的には全く別の構成要素が取り付くイメージとしています。

増築玄関

階段の箇所の上部には、既存の押入れが出っ張ってきているので、それを避けるように、階段が少し歪むことをデザイン要素として取り上げています。外側に歪んだ形となったことで、上手く人を招き入れるデザインになったのではと自負しています。古い別荘の外観は、ベージュが風化したような色なので、この玄関部分の色合いは、全く変えてダークグリーンとしました。

緑の板金張りの増築玄関

緑の植栽の中に埋もれた箇所であることと、緑の中を通り抜けて、新しく生まれ変わったインテリア空間に入ってゆくイメージで、この色を選びました。鋼板の張り方も、普通の葺き方ではなく、板金屋さんの技術が必要な一文字葺きとしました。増築部分が一つの塊に見えるようにするためです。

坂倉準三展@神奈川県立近代美術館 鎌倉

見学記

昨年までの教え子たちに誘われて、鎌倉の神奈川県立近代美術館の「坂倉準三展」に出掛けて参りました。 坂倉準三の軌跡 学生時代に坂倉事務所にアルバイトに行ったことがあり、建築史の教科書や雑誌を通して勝手に親近感を持っていた、偉大な建築家の展覧会です。

 ある程度は知っているツモリでいた彼の活躍振りですが、改めて回顧展として拝見して、その活躍の場の広さと量、質の高さに圧倒されてしまいました。 複雑に建物が重なり合った渋谷駅の構想、新宿駅前広場のモニュメンタルな構造、パリ万国博覧会の詳細な模型や、彼の手書きの図面は、見ていると彼の息吹が感じられるようで、何時までも飽きませんでした。

神奈川県立近代美術館 鎌倉 そしてその展示会の会場、この神奈川県立近代美術館-鎌倉の建物が、坂倉氏の設計であることも、展示が素晴らしく感じた要因だったのでしょう。 二階の濃密な展示を見た後、一階の池と庭へと開放された広場で、風に吹かれながら学生たちと展示の感想をおしゃべりすることが、とても幸せに感じるひと時でした。 展示会に誘ってくれた学生さんたち、どうもありがとうございました。

幼稚園増築園舎の見学会

見学記

仲良しの建築家・須田充洋氏の設計事務所SUDA設計室が設計した幼稚園園舎増築の見学会(オープンハウス)に伺ってまいりました。大船駅から車で10分ほど離れた、のどかな田んぼと住宅がちょうど具合良く混ざった場所にこの幼稚園はあります。道路からは古い園舎しか見えませんが、裏手に周ると、遊具が並んだ園庭に正対するように、増築部分が建っていました。完成一歩手前の段階でしたが、まずは外構の豊かさには驚きました。
大きく出っ張った光を透過する屋根の下には、屋根以上の大きさのウッドデッキが張られています。デッキも単なる平面ではなく、ある箇所は階段状に掘り込まれ、砂場も埋め込まれ、手洗いや靴収納がパラパラと配置されています。しかし一番のクライマックスは写真の水溜りプールでしょう。暑い日にこのプールに水を貯めれば、子どもではなく大人でも遊びたくなるようなデザインになっていました。

園庭のプール

園舎内部はすっかり安定したSUDA設計事務所の仕様となっていました。無垢材のフローリングに、AEP塗装壁、シナ合板目透かし張りの天井に、シナランバーコアOSの造作家具の内装です。二つの部屋がどらからでも開閉できる工夫や、造作家具はいつも通り緻密に工夫が凝らされていましたが、教室の裏にある薪ストーブコーナーは、幼稚園では新しい試みではないでしょうか。火を使う楽しさと、裏あわせの危険、そんな重要なことをこの場所で学ぶことが出来そうです。

増築幼稚園園舎のインテリア

(まだ本当は完成はしておりませんが…)「無事の完成、おめでとうございます!」