Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

別荘の新しい玄関の考え方

伊豆OK別荘

以前の別荘の玄関は、ピロティー下部にあり、そこから角度40度(!)の急勾配で二階のリビングへ入ってゆく構成となっていました。お歳を取ったお施主さま夫妻には、あまりに危険だとの事で、今回の別荘リフォームでは新しい玄関部分を増築することになりました。緩やかな外階段を上れば、小さいけれど明るい玄関ホールがあり、直接リビングへとアプローチできることになります。

因みに、建築基準法の「防火及び準防火地域外における、床面積の合計が10平方メートル以内の増築は、確認申請が不要である」
という法規を利用して、この玄関部分は申請なしで増築しています。

ちょうどこの玄関部分は、木製サッシの引き込み部分と重なっており、さらに、既存の屋根が一番落ちてきている箇所であり、色々なカラミがあります。既存のモルタル壁、増築部分の板金、そして木製サッシの枠が複雑に交差するので、その入念な打合せを行いました。半分まで野地板を張って、手が届く範囲まで板金を施工し、その後残りの野地板と板金を工事するという、二段階のプロセスで、何とか難しい箇所をクリアできそうです。

空間の骨格がようやく固まってきたことで、光や空気の気持ちよい流れが見えてきた気が致します。

造作家具-1 リビングのロングカウーンター

白金台S邸

白金台のマンションリノベーション現場に、造作家具(作り付け家具)が据え付けら始めました。約50平米(30畳)の広さがある”リビングダイニング”ですが、その東側の壁に、ロングカウンターが据え付けられました。

作り付け家具の設置

このロングカウンター家具は、甲板(カウンター材)、”扉仕上げ材”ともに、床のフローリングと同材のナラ材を使っています。甲板には、約3ミリの厚さの無垢材を突いてもらった、特注の板を使っています。仕上げは、オイル仕上げかウレタン仕上げか随分迷いました。

オイル仕上げは、しっとりと仕上がり、無垢材の厚みと重みが引き立ちますが、仕上がり感が乏しいという問題があります。ウレタン仕上げは、きれいに仕上がりますが、無垢材の上に塗膜を作ってしまうので、折角の質感が表現できません。

色々調べたところ、両者の良さをイイトコ取りした、オイルフィニッシュ用ウレタンオイルというものが見付ったので、サンプルを作って確認したうえで、この仕上げ材を使って貰いました。

このカウンターは長さが約7mもあります。ダイニングに掛かった左から

  1. 漆器や壺などの収納棚
  2. 陶器の収納引出し×3
  3. 予備収納
  4. ステレオ、DVD等のAV機器
  5. DVDやCDのストック棚
  6. ゴミ箱や雑誌などを積んでおくオープン棚

として使う予定なので、各用途に合わせて、スライド丁番や三段引き出しレール、スゥィング金具などを使って、使い勝手をデザインいたしました。だっだ広い部屋のように感じていましたが、このロングカウンターが取り付いたことで、スケール感が生まれてきました。

どのように家具をレイアウトするかも、より具体的に考えられるようになりました。

壁の羽目板張り

伊豆OK別荘

伊東にある中古別荘の工事現場の報告です。本日も笠原君が一人で現場を確認してきてくれました。
この別荘リフォームでは、インテリアに羽目板を採用しています。羽目板(ハメイタと読みます)とは、壁面に木の板をつなげて張ったもの、あるいはその材料のことをいいます。縦に張るか、横に張るかで見栄えが異なり、材料の色見やフシのあるなしでも大きく違い、さらに接続部である実(サネ)の形状によっても、見た目がガラリと変わってくるので、張り方の仕様も重要なポイントです。

レッドシダーの羽目板

今回は、羽目板としてウェスタンレッドシダーを採用しています。これまでも、箱根C別荘リフォームでも使ったことがありますが、比較的フシが少なく、色のムラも少なく素直な材料なので気に入っています。今回は特注品で、羽目と羽目の接合部の溝の大きさが最小になるように、面取りの寸法を極小にしてもらっています。
張り方に関しても、普通であればはきちんと枠を廻してその中にレッドシダーを張ってもらうのですが、今回は周囲の枠をなくして、レッドシダーの小口を見せるデザインとしています。

羽目板の小口納まり

この写真をよく見てもらえると、右側表面に張ってあるレッドシダーの小口が見えてくると思います。枠なしなので、開口の上部をどう納めるかも、笠原君に、十分に検討してもらいました。大工さんたちにとっては、逃げのない、大変な納まりだと思いますが、その分シンプルできれいなディティールになってくれるハズです。