Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

クレーン(ラフター)を使っての建材荷揚げ

千代田区M邸

千代田区M邸は、ヴィンテージマンション4階のお部屋ですが、大きなテラスがあり、道路に面しているので、クレーン(ミニラフター)を使って建材を揚重しています。

これだけ広いテラスがあると、上階での荷受けも必要最小限の人手で済むので相当に楽だそうです。今回揚重しているのは、フローリング下地用の遮音マットです。

テラスから顔を出して下を覗いた様子です。十分に立派なクレーンに見えますが、正式名称としてはミニラフターとなるそうです。今回は道路と建物の間には電信柱や電線がなく、植栽のみなので、これも作業が楽になる要因だそうです。
因みに、クレーン車はトラックの荷台にクレーンがあり、トラックの運転席とクレーンの操縦室は別となりますが、ラフターの場合は、運転席と操作席が一緒のものを指すそうです。

室内に積み込まれた遮音マットと床下地材です。これだけの量がラフターを使うと2時間ほどで荷揚げすることが可能だそうです。これを地階の駐車場からエレベーターを使って搬入すると、養生手間や他の住人の方との兼ね合い等もあるので、丸一日は掛かるとのことでした。
費用としては、5万円(ラフターの賃料)+4万円(道路の警備員2名分)+3千円(道路使用許可料)の計10万円弱となるそうです。費用は掛かりますが、スピードとマンション住民の方々との調整、養生手間などを含めると、全然楽だとのことで、今後も荷揚げでラフターを2~3度使うことになりそうだとのことでした。

こちらは施工会社の現場監督の石坂さん、そのボスの樋口さん、そして社長の片岡さんと弊社副所長の前田君での現場定例打合せの様子です。

左官で仕上げる壁と建具枠の納まりのことが一番の話題となっております。今回は八掛(ハッカケ)枠という木製枠の縁が薄く見える特殊な枠で考えており、その検討を何度も行ってきました。

現場のコンクリートの床スラブです。下階の梁で囲まれた中央部分のスラブがクリープ現象で下がっており、レベル(水平度)が取れていなかったので、そのくぼんだ部分を薄塗のモルタルで補修して貰いました。

部屋全体のスラブレベルを調整する際には、セルフレベラーという液体を流し込む方法もあるのですが、スラブ段差や配管用の溝などがあるので、手作業の薄塗モルタル補修となりました。

床付けコンセントを設置する予定の場所は、少しでも厚みを確保したいので、このように薄塗モルタルを塗らないでくれています。このような細かい部分が青ならではの配慮で、ありがたく思っております。

在来工法浴室の配管と防水

渋谷区Q邸

現在工事進行中の渋谷区Q邸の浴室とシャワーユニット、お客さまと施工会社の青と設計の僕らで、色々と相談した結果、在来工法で進めることになりました。

Q邸には大きな浴室が一つ、さらに主寝室の奥にはシャワーブースがあり、それぞれを在来工法で作るべきか、オーダーユニットのシステムで作るかのメリットデメリットを何度も相談させて頂きました。
因みに、僕らはマンションリフォームでは在来工法の浴室は普段はお受けしていませんが、①低層マンションであること、②新耐震以降のマンションであること、③整形なプランのマンションであること、④地盤が良い場所に立っているマンションであること、⑤在来工法浴室の防水の保証についてのリスクを十分に理解して下さるお客さまであることの条件がすべて合致した場合は、検討させて頂いております。

こちらは在来工法の排水菅の接続口となる、バス兼トラップです。写真の黒い縁(ツバ部分)の部分がモルタルとフラットに埋め込まれていますが、ツバの部分まで防水塗膜を作ることで、床下に水が回らないようにするための排水金物となっています。

トラップの先には塩ビ製の排水管が接続されており、この写真のように床下の段差部分を通ってマンション共用部でもある竪管へと接続されています。

こちらは先ほどの浴室に比べて、すこし遅いペースで作り始められているシャワーブースの木製下地です。裏側にしたプラスチックバケツの上にレーザー測量機が置かれていますが、ちょうどこの四角く囲まれた部分がシャワーブースとなります。

反対側から見返すと、シャワーブースの立上り部分が木で作られているのが分かります。

1週間ほど進んだ現場写真で見ると、もう少しシャワーブースらしく組み上がってきているのが分かりますね。シャワー手前、写真の左側にはトイレが来るので、トイレの排水管が設置されています。因みにトイレの排水管から分岐されて、壁の内部で上へと繋がっている管は通気管で、この先にドルゴ通気弁を設けることで、トイレの排水がスムーズになり、かつトイレを流した際に他の葉汚水口からゴボゴボする音が出ないようにする機能があります。

シャワーブースからの排水管とトイレの排水管が交差する床下の高さはないので、トイレからの排水はシャワーを迂回するルートで配管して貰っています。

シャワーブースの内部は、奥の壁に埋め込みの水栓を設置し、その左横にシャンプー等を置けるニッチ棚を設けるデザインとなっています。

こちらはシャワーブース用のコーナー排水継手です。やはりこの黒いツバの部分まで勾配を持たせたモルタルでフラットに仕上げ、その上から防水層を張り付けてゆく形の排水金物です。

そのコーナー継手の上、仕上がった状態で設置する排水目皿とトラップのセットを…、

の片岡社長がお客さまご夫妻に説明してくれました。排水部分の清掃を気にしていらっしゃる奥さまも喜んで下さいました。

シャワーからの排水管は、以前コア抜きしながら、シンダーコンクリートに埋設されていた排水管を見つけた部分に接続します。

身長差のあるご主人と奥さまのシャワーの設置高さの最適寸法を測るため、同じマンション内の仮住まいにお邪魔して、シャワー高さを確認させて頂きました。

この日は、排水金物のチェックだけではなく、コンセントと照明等のスイッチ類の位置確認のためのお打合せもお客さまご夫妻と一緒に進めさせて頂きました。

ここはキッチン部分ですが、左側のコンクリートの壁や、右側の木製下地の所々に四角い白いカードが貼られているのが見えるでしょうか?

事前に竹田さんがスイッチやコンセントの位置をお客さまが確認しやすいように、スイッチやコンセントの形に切った紙を現場に貼り付けてくれたものなのです!

現場をご夫妻と回りながら、スイッチやコンセントの位置、高さなどを手直ししながら確認させて頂きました。

こちらはキッチン奥にある、集中コントロールパネル部分です。インターフォンや床暖房、スイッチ類やセコムのパネルも一緒に纏めたものです。

ダイニング上の折り上げ天井の下地も見て頂きました。ダクトのルートを変えることで、ダイニングの天井が約20センチほど上がったこと、お客さまもとても喜んでくださいました。

お客さまとの確認が終わった後も、現場は打合せ続きです。施工会社青の岡田さん、片岡さんたちに、現代製作所の吉岡さん、オーダーキッチンのリネアタラーラの現場担当の原口さんと電気のムラデンの井上さんを交えての打合せです。

キッチンはこれまで2度ほど現場に来てもらい、図面を修正して貰っていましたが、キッチンと造作家具の取り合いや、キッチン内の照明器具やスイッチの取り合いを確認させて貰いました。

原口さんが測った寸法と、青の現場監督の岡田さんが測った寸法がずれていた部分については、再度皆で実測して、正しい寸法を確認しました。

電気工事で使う照明器具のデモ機を持ってきてくれたので、点灯して明るさや色味を確認させて貰いました。キッチンと造作家具で使う照明器具が違ってしまうと、使い勝手でも色味で問題が発生してしまうので、共通して使える照明器具類を確認することができました。

RC壁へのコア抜き

千代田区M邸

ヴィンテージマンションリノベーションの千代田区M邸では、マンションの管理規約で、構造壁ではないRC壁(鉄筋コンクリート壁)についてはエアコンや床暖房用の穴を後から空けて良いとのルールがあります。ただ、雑壁(構造壁でないRC壁)と言っても鉄筋を切ってはいけないので、まずはレントゲン撮影で鉄筋の位置を探っていきます。

ホワイトボードにはコンクリート内部検査と書かれていますね。黄色く見える部分がRC像の柱と壁で(黄色は以前吹かれていた断熱材です)、元々2か所孔が開いていましたが、その上下で鉄筋がない部分を探ってゆきます。

こちらの機械がレントゲンを照射するマシンとなります。高さに合わせて架台を組み替えます。

レントゲン撮影する壁の背面側にこのような黒いシートを張り付け…、

壁裏のシート位置に合わせて、レントゲンを照射します。

何枚か撮影した後、下に停めた車に戻って20分ほどで、このようなレントゲン撮影された原寸大のフィルムが焼き上がります。白く格子状に見えているものが壁のコンクリート内に馬こまれている鉄筋となります。

それらの原寸レントゲン写真を、撮影した位置と照らし合わせながら、鉄筋の位置を壁に記してゆきます。

上の穴は既存の穴で、その直下に7センチほどの鉄筋の隙間を狙って孔を穿孔してゆきます。

こちらが孔をあけるコア抜きの機械です。コンクリート壁にピンを打ち込んでボルトで機械を壁に固定して、丸い歯を高速で回転させてコンクリートに穴をあけます。1本につき2~30分ほどの、それほどの騒音がない作業で孔が空いていきます。

中央の2つが元々の孔で、その下に新たな孔が2本、上に1本空きました。最後の1本を上に開ければ作業は終わりとなります。

きれいに抜かれたコンクリート、いわゆるコアサンプルがこちらです。コンクリートの老朽化(中性化)を測る時にはこちらのサンプルの方が重要になるのですが、今回はこちらは廃棄するゴミとなります…。
給湯機からの追い炊き用の管と床暖房用のペアチューブを通す穴を、何とか無事あけることができてホッとしております。

ちょうど10年前にも、高輪のヴィンテージマンションでレントゲン撮影からコア抜きの流れを、もう少し詳し説明したブログ記事もありますので、どうぞそちらもご覧ください。

当日は、もう一つ別の作業が入っていました。窓のガラスの交換作業です。これまではシングルガラスがが行ったアルミサッシでしたが、管理組合の許可を受けたうえで、真空ガラスに交換します。ただし、2か所だけは、建築基準法上の「延焼のおそれのある部分」として網入りガラスが入っており、この2カ所は交換することができませんでした。

こちらが現場に入ってきていた、真空ガラスのスペーシアです。高価なガラスですが、その分だけ窓の断熱性能を向上させるので、費用対効果は十分にあるものだと考えています。

こちらのマンションは、窓外ほとんどすべてに小さなベランダがついており、窓外に立ってガラス交換作業ができるので、とてもスムーズに工事が進みました。