Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

新規プロジェクト_仙石山T邸リフォームが始まりました

仙石山T邸

新規マンションリフォームプロジェクトです。これまでも幾つかのお手持ちのマンションをリフォームして賃貸に回すお手伝いをしてきたTさまからのご依頼のプロジェクトです。

森ビルのアークヒルズ仙石山レジデンスの120平米のお宅をご購入なさったので、まずは部屋を見て、どのようなリフォームが考えられるか提案して欲しいとのご依頼がありました。

・120平米の広さがありながら、2LDKの間取りで、玄関や廊下の広さの割には、リビングダイニングがそれほど広く感じられないこと、
・マンション共用部に比べて、専有部室内が白っぽくて高級感が感じられないこと、
・前のオーナーがちょっと癖のある壁紙などを張っており、個性が強すぎるので、それらはやり直すべきこと、
等をザッと拝見しながら指摘させて頂きました。

因みに、こちらは個性的な壁紙の一つで、廊下とリビングの壁一面がこの幾何学的な壁紙となっていました。

こちら主寝室の壁紙も、光沢質の何とも言えないシロモノでした…。

玄関入ってすぐの玄関ホール兼廊下は、メリハリに乏しい空間で、正面性が感じられないので、素材感と照明計画も含めて、何とかすべき点だと感じました。

水回りも浴室や洗面も、決して安っぽい訳ではありませんが、築年数が8年経っているので、すこし時代を感じる部分があるので、それらはなるべく費用や手間が掛からない方法でお化粧直しするようにアドバイスさせて頂きました。


これまでに10回以上、リフォーム&リノベーションのお手伝いをしたことがあるので、まずはこれまでお好きだった素材のうち、コストパフォーマンスが良いものを選んで持ってゆきました。

ご自宅ではなく、あくまでも投資的な目的でのリフォームなので、どのような賃借人をターゲットとして考えて、どこまで費用を掛けてカッコよくするのか、居心地を良くするのか等、色々な観点からお話をさせて頂きました。

投資用とは言え、ご本人もリフォームやインテリアが大好きな方なので、最初からこれまでもチームを組ませて貰ってきたリフォームキューの岩波さんとスタッフのテテウーさん、そして弊社からは副所長の前田君と神崎さんにも参加して貰い、どのようなリフォームが可能なのかを三案ほど提案させて頂くことになりました。

→リフォーム工事完成後の仙石山T邸の様子をご覧ください。

FGボードを使った曲面(カーブ)壁の作り方

赤坂N邸

高層マンションリフォームの赤坂N邸では、部屋の中央にカーブした壁が出てきます。ちょうどこのカーブ壁を作っているタイミングで工事現場を見ることができたので、簡単に解説いたします。

広々としたリビングの全容の写真の右手中央に曲がった壁があります。赤坂岬の突端(笑)のような形状のカーブ壁です。

少し角度を変えて近寄ってみると、このような形になっています。ちょうど右側の大工さんが貼っているのが、FGボードと呼ばれる壁ボード材です。石膏系の不燃ボードながら、濡らすと曲げることができて、乾いた時には濡らした際の形状を保持するという優れものの材料なのです。

上の写真で張っていたのが、この小さなFGボードでした。バケツに入れた水にスポンジを浸して、たっぷりの水分をFGボードに吸わせてから、カーブ壁に沿って押し付けてゆきます。

カーブ壁の内側から見ると、まだLGS(軽量鉄骨下地)の下地が見えているので、どのようにカーブを設定しているかが分かりますね。

僕ら設計側が、何を基準にどのようなカーブを作りたいかを図面化したものがこちらの寸法入り平面詳細図です。

図面の指示に沿って、床に墨を出して、LGSのランナーを曲げて配し、そこに壁下地を立ててからFGボードを張ってゆく算段となっています。

FGボード一枚張りでは、継ぎ目の部分が出っ張ってしまうので、継ぎ目部分を違えながら二重張りをして行きます。こちらのボードは大分大きなボードですね。


三枚の連続写真です。左から、まずは端部をビス固定し、そこからゆっくり力を掛けてカーブに沿ってボードを固定してゆきます。まだ寒い室内空間でしたが、職人さんたちは汗まみれで頑張ってくれていました。

ボードの下側端部は、L字型の金属巾木を入れていたので、そこに差し込みながらカーブを固定してあります。

中央に横継ぎ目が見えますが、下部は2枚目のボードを張ったことで、カーブが滑らかに仕上がっています。まだFGボード一枚張りの上部は、ボードの継ぎ目が出っ張っていて、スムーズなつなぎ目になっていませんね。

ようやくカーブ壁の全容が固まってきました。背部では、共同設計者の3D空間創考舎の石川利治さんが、施工をお願いしているリフォーム会社のタキズミの現場監督の池谷さんとこの後に続く工事の打ち合わせをしてくれています。

実はカーブ部分は、壁だけでなく、天井の折り上げ部分にもあります。扇型の大きなLDの天井に、窓の形に沿ってこのような折り上げ天井ラインが作られています。

その最先端に埋まっている天井カセット式エアコンの先には、さらにスクリーンが埋め込まれる予定なので、その墨出しも行われていました。

カーブ壁から玄関・廊下側を見返したアングルの写真です。カーブ壁からこの廊下壁に沿って、先日決定した左官材の が塗られてゆくことになります。

玄関側からみると、このようになっています。床に小さな穴が開いていて、電気の線が出ているのは、超コンパクトな床付けアップライト照明の配線となっています。

この日は、お客さまのNさまも現場に来てくださったので、仕上げ材の最終確認もさせて頂きました。

ステレオ音響、テレビなどのAV機器にもこだわりのあるお客様なので、壁裏や天井裏には大量のCD管(写真の赤いチューブで内部に後から配線を通すことができる)が仕込まれています。

お客さまも、ほぼ形が決まって見えてきたカーブ壁の出来をとても喜んでくださっています。


床の幅広ヘリンボーンフローリング張り

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸のご夫妻二人が最初からこだわっていた、床フローリングの幅広ヘリンボーン柄張りが始まりました。

と言っても、すぐに釘を使ってフローリングを張ってゆく訳ではありません。まずは専門のフローリング屋(一般の大工さんではなく、フローリングを張る専門家です)がフローリングの精度を確かめながら、仮並べをしてゆきます。

接着剤をつけず、合板の直角な角を利用しながら、実(サネ・フローリング同士を平面的につなぐオス(凸)とメス(凹)型のデコボコ)の働き幅を確認してゆきます。

こちらがアップで見たフローリングのサネです。へリングボーン張りの場合は、このサネを切る位置が、通常のフローリングと変わっており、その精度が重要になるのです。

精度は相当に良いことが確認できた所で、実際にノリ(接着剤)とタッカーを使ってフローリングを張ってゆきます。

左上の部分に接着剤が塗られていますが、このようにヘリンボーンの山の登頂部分に墨を打って、そこに合わせながら張ってゆきます。

まずは横一列にジグザグに張ったうえで、一カ所だけ垂直方向に延びていっていますが…、

実はそこに床付けのコンセントが仕組まれているので、その正確な位置出しをしていたのです。この写真で職人さんが床の下地ベニヤをカットしているのが、床付けコンセントの場所となります。

これは床下地を張る前、数日前の様子なのですが、向こう側から手前でビニールまかれた線が丸まっている個所まで電線が繋がっています。一旦大よその位置を出したうえで、電線は巻き取っておきます。

電線の上に敷かれたベニヤ板に、へリングボーン張りの墨を打ち、そこをジグゾーカッターで孔をあけてゆきます。

コンセント埋め込み孔だけでなく、電線を埋め込む溝も掘ってゆきます。この時点で、右側からヘリンボーンのフローリング張りが迫ってきている状態です…。

巻き取っておいた電線を溝に埋め込んで、四角い孔部分に巻いておいておきます。

プロのフローリング屋さんの腕は確かで、複数人(今回は4人)が有機的にお互いを補助しあいながら作業が進んでゆくのが凄い所です。

現場に並べられたこれだけのフローリング材の山が見る間に無くなってゆきっます。因みに、今回採用したこの幅広のヘリンボーン張りのフローリングは望造さんに特注でお願いしたものです。

張り始めから2時間ほどでここまで進んできました。

気がつけば、先ほどの床付けコンセント部分まで張り上がっていました!
今回はへリングボーン張りはリビングダイニングだけですが、廊下や寝室やウォークインクローゼットもフローリング張りなので、あと2日程の日程で全てのフローリング工事が終わりそうです。