Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

リフォーム会社の検査中@横浜A邸

横浜A邸

工事が一通り終わって養生もはがされた横浜A邸で、リフォーム会社の検査があるとのことで、そのタイミングで現場を見て参りました。

先日、吊り込み作業が行われた2セットの両開きスチール扉が、凄い迫力の空間に仕上がっていました。

玄関ホールのトラバーチン大理石は、無理をお願いして、目地なし(眠り目地)で張って貰いましたが、リビングからの光を受けて、見事に輝いていました。このトラバーチン壁に穿たれた、横長の窓は…

壁の裏側にあるダイニングキッチン側から見ると、このようなレイアウトになっています。このダイニングキッチンは、二つの扉を閉めることで完全に仕切って、ファミリールーム的に使うことができる空間となっています。キッチンで調理中に誰かが玄関に帰ってきたときに、その様子が覗ける位置にこの小窓がレイアウトされているのです。

腰から下はクロスのパネル張り、窓の下端から上はチークの羽目板張りとしています。この横の目地ラインは、建具の横桟やキッチンのカウンターと連なった高さで設定されています。リフォームキューの工事側検査がすでに始まっており、是正が必要な箇所に緑色の付箋が貼られ始めています。

ダイニングキッチンからダブルの開き戸越しにリビングを見るアングルの写真です。先ほど説明した横目地が、建具を経て、柱型のパネル、そしてキッチンカウンターへと繋がっているのが判るでしょうか…。キッチン内の凹んだ箇所は冷蔵庫置き場となっています。

キッチンカウンター上のタイルとコンセントの取り合いです。タイルにコンセントを埋め込むことは難しいので、その代りスイッチプレートと同じ高さでタイルの目地を通して、このような収まりとしています。タイルは、イタリアのマラッツィ社のグリスフルーリーを使っていますが、この近さで写真を撮っても、本物の石に見える質感を持っています。

玄関ホールは、共用廊下からの玄関内側枠に、スチールプレートを差し込んで、枠なしでシャープに納めて貰っています。チークのフローリングを羽目板代わりに張って面としてのデザインを強調しています。既存靴収納は再利用、扉は基本的にダイノックシート張りとしていますが、一枚だけを姿見代わりに鏡張りに交換しています。

主寝室のウォークイン・クローゼットには、コンフォート社のシャープなアルミフレーム付きのガラス引き戸システムのライキが取りつきました。中央のアイランドカウンターは新しく設けたもので、壁紙をダークグレーで棚板はチーク柄で揃えて貰いましたが、シックで大人っぽい空間に仕上がっていました。

既存洗面家具の箱だけを残して、扉や天板カウンター、ボウルと水栓まで交換した洗面カウンターも生まれ変わっていました。メディスンキャビネットは間接照明をLEDに交換し、その下の壁は大理石モザイクタイル張りとしています。

入り口枠をステンレスにして、扉を強化ガラスに交換した浴室では、ちょうど水栓金物の交換工事が進んでいました。

レイアウト変更をして、大きな手洗いカウンターを設けた来客用トイレ空間にはカラーガラスを背面壁に張っています。パネル張りのクロスやクオーツストーンのカウンターと相まって、きれいな空間に仕上がってきています。

 

解体後に木製壁下地造作@白金台H邸

白金台H邸

パッカー工法を使っての在来浴室解体が終わった白金台H邸の現場です。

あれだけモルタルでべったり壁にくっつけられていたタイル類が、このようにきれいさっぱりなくなっています。

リビング側から見た、かつてのイートインキッチンですが、天井のダクト類以外はほぼスケルトン状態にまで解体されています。

キッチン内部からリビング側を見るとこのような状態です。実は、ここで注目すべきは、正面のコンクリート壁なのです。壁上部を見ると、こちら側からリビングダイニング側に向かって、3本のダクトが通り抜けており、実際にはこの柱は構造的にほとんど効いていないことが判るのです。とはいえ、躯体壁といわれるコンクリート壁は管理規約上は撤去不可能とされているので、撤去できないのがちょっぴり悔しいです…。

リビング側は天井とコンクリート壁に接しているGL壁はなるべく既存を再利用する予定なので、それほど解体されたイメージがありませんね。リフォームキューの設計・営業の森井さんと現場監督の高橋さん、造作キッチン工事をお願いしているアルノの鵜飼さんと、うちの事務所を手伝ってもらっている岩井さんが打合せをしている様子です。

こちらは、主寝室の横にあった洗面・浴室・トイレを解体した空間です。今回のリフォームでは、お化粧コーナーを設けた大きなウォークイン・クローゼットに作り変える予定です。

床のちょうど壁を立てる位置に、かつてのトイレの床埋め込み排水管が当たっていました。後日、やはり主寝室の横に手洗いやトイレが欲しいと再リフォームをする方がいらっしゃるかもしれないので、後程つぶれてしまった配管はきれいに直しておく予定です。

解体状況確認後、10日ほど経った後の現場では、木製壁下地の立ち上げと、フローリングに変更する床への遮音マット敷きが始まっていました。

今回は、床の高さを上げたくなかったので、最薄でLL40(古い基準ですが…)が確保できるわんぱく応援マットを使っています。実質上の遮音性能は、それほど期待できないとの説もあるのですが、実は今回のマンションは床材の遮音規定がないので、コンクリートのスラブに直にフローリングを張るよりは遥かに良いだろうと、このマットを採用しております。

リビング部分には遮音マットが敷かれ、すでにその上にフローリングを張りつけるための12ミリ厚さのベニヤ板がが貼られていました。

キッチン部分もきれいにセイルされて、空間の構えが見えてきます。ここにU字型の大型キッチンが設置される予定となっています。右上にダクトの箱が天井下地の下に出っ張っているのが見えますが、ここは吊戸棚で隠す計画となっています。

かつての廊下壁にあった分電盤が、所在なさ気に天井からぶら下がっていますが、これは納戸内部に移設予定です。

大きくレイアウトを変えている奥にある二つの寝室と水回りには、木軸を使った壁下地が経ち始めています。通常はLGSを壁下地に使うのですが、今回は壁を立てる量が少ないので、他の枠取付けや天井のボード張りなどと一緒に大工さんに木製下地を組んでもらっています。

こちらのお部屋があるのは、マンション最上階なので、天井裏にはこのように大量のグラスウール(断熱材)が敷き込まれていました。照明を計画を考える上で、普通のダウンライトは断熱材があると熱がこもってしまうので使えないので、SG型(またはSB型)のダウンライトを使うことになります。もちろん、新たに作り直す天井も同等の断熱材を敷き込むことになっています(最上階の断熱としては、本当は全ての天井を剥がして、コンクリート躯体に吹付断熱を施すのがベストとされています…)。

解体が終わっていた浴室周りにも新しい壁下地が立ち始めています。

この部分は浴槽やトイレ、洗面の位置が大きく動いているので、天井裏のダクト類も全てやり替えて貰っています。

主寝室横のWIC部分も壁の凸凹が整理され、壁下地の墨が出されていました。

 

モデュレックスのダウンライト研究@世田谷区Y邸

世田谷区Y邸

素材や色味に強いコダワリを持っていらっしゃる世田谷区Y邸のお客さまは、当然ながらそれらを照らす照明の光の質についてもとても研究熱心です。

そこまで強いコダワリが無いお客さまの場合は、ダウンライトはグレアレス(下から見て眩しくない)仕様で、広角でユニバーサル(照明の角度を変えることが可能)のLEDで、色温度は2700K(電球色)から3000K(白めの電球色)のダウンライトを良く使っておりました。Yさまご夫妻には、これまで僕らが使ってきたLEDダウンライトの色味をデモ機を借りたり、僕らがお手伝いしてきたリノベーション実例を体験して頂いて来ましたが、どうもちょっと違うとのことで、商業建築系の照明メーカーのモデュレックスに相談に行って参りました。

こちらが、恵比須にあるモデュレックスの打ち合せ室で、営業担当の荒木さんと石渡さんにお願いして、一般的な住宅用ダウンライトとモデュレックス社の製品との違いを説明して頂きました。

一番の特徴は光の質を追求した自社設計の高額制御技術と、よりコンパクトで、より明るく、そして高エネルギー効率を目指す製品開発姿勢とのことでした。開口径60φで、グレアレス仕様でも、色温度が2700Kから、3000K、3500K、4000Kと揃っており、調光システムも位相制御対応品もPWM制御対応品も揃えており、さらにLEDだけでなくハロゲンでも同形の器具を揃えているとのことでした。

更には、このトリムレス・フレームという別売りの器具を使えば、フチなしで塗装面とダウンライトをフラットに見せることができるとのことでした。

口径に合せた、各種レンズの種類も豊富なことも特徴の一つだそうです。展示する商品を如何に魅力的に見せるかについては、お金に糸目をつけない商業系で人気なことが、こんなことからも判ります。

それぞれの機器の特徴を伺った上で、点灯して光の質を見せて貰いました。実は、最近の一般的な照明器具メーカーは、LEDの新規ダウンライト機種の開発のスピードの速さに、ショールームが上手く対応できていなくて、体験したい照明器具を揃えきれていない会社が多い中で、ほとんど物を揃えてくれているだけでもモデュレックスの凄さを実感いたしました。

ショールームの地下には、このような照明体験ができる設備が備わっています。お客さまご夫妻がいる箇所が体験空間で、天井の高さを動かしたり、沢山並んだ照明器具の明りをそれぞれ単一で体験したり、合せたりしながら具合を確かめることができるのです。

こちらがコントロールデスクの様子です。僕らも良く使っているルートロンの調光システムを使って、コントロールしているようでした。こういったスタジオ型の照明体験スペースは、バブルの頃には各照明メーカーが作っていましたが、今ではここまできちんと揃えている会社が相当少ないのではないでしょうか…。

最初に打ち合わせをした地下1階の打ち合せ室から、地下2階のスタジオに移動するには、モデュレックス社の会社内部を通りぬけるのですが、これがまたカッコ良いのです!隈 研吾さんが設計したそうで、自然光が全く入ってこない空間ながら、高い天井からモデュレックス社の高性能照明が降り注いでいました。

これだけの書棚の本を会社勤務中に読むことは到底できないと思いますが、それでもこんな空間で働いたら楽しそうだなと思える素敵な事務所でした。因みにこちらの本のセレクションは、編集工学研究所長・松岡正剛さんだそうです。

初回の打ち合わせは、Yさまご夫妻と弊社の担当スタッフの竹田さんと各務だけだったので、二回目のモデュレックスとの打合せは、採用候補に挙がっているダウンライトのデモ機を持って、荒木さんと石渡さんにこちらの事務所に来てもらいました。施工をお願いしている青の片岡社長と現場担当の斉藤さん、そして電気工事のムラデンの藤木社長にも同席して貰っています。

お客さまに照明の光の質を確認して貰いながら、

事務所の天井にハロゲン2700KとLED2700KとLED3000Kを照らして、色味の違いを確認して頂きました。

そして三度目の打ち合せは、2度目と同じメンバーでモデュレックスの打ち合わせ室で行いました。すでに産休で休みに入っていた弊社スタッフの竹田さんも心配してくれて参加してくれています。また、竹田さんからプロジェクトを引き継いでくれて、プロジェクト契約の形で手伝ってもらっている岩井さんも、初めてお客さまとの打合せに参加して貰いました。

リビングダイニングでは、ハロゲン2700kとLED3000kをそれぞれトリムレスで2灯ずつ配灯したり、玄関や廊下ではLED2700KとLED3000Kを2灯ずつ配灯し、それぞれを隠れた収納内のルートロンのグラフィックアイで調光するという複雑なシステムを組むことになったので、お客さまにも確認して頂きながら、最終的な照明計画を詰めてゆきました。