Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

左官下塗りと窓の種類 お茶室リフォーム-10

お茶室リフォーム

高輪S邸のお茶室リフォームにいよいよ左官屋さんが登場しました。まずは、左官仕上げの本塗り前の下塗りが仕上ってきました。砂と左官材の配合具合で、砂が多いのが下塗りで、仕上がりに近くなるに従って、左官材の量が増えてゆく仕組みになっています。因みに、今回の左官仕上材は珪藻土です。

左官下地

お茶室の窓は色々な呼び方の窓がありますが、こちらのお茶室では入り口側に下地窓を、床の間の側壁には、掛軸を柔らかい光で際立たせる効果がある墨蹟窓(ぼくせきまど)をつけています。

左官仕上げの下地窓

これらの窓は、縁を丸く塗りまわす蛤刃(はまぐりば)で左官の塗り仕舞い(しまい)を納め、内側には掛け障子を掛けます。今回は特に小さなお茶室ですので、窓周りだけでなく、至る所が左官屋さんの腕の見せ所となります。

玄関リフォームの小さな工夫-2

その他

R邸リフォームでは、2階寝室から外に出られる物干しを玄関アプローチの上部に作りました。物干しに降った雨水をどう処理するか悩んでいたころ、お施主様からは雨水を何とか庭の水遣りに使いたいとのご要望がありました。そこで二つの問題を合体させて、雨水を流す樋下に受鉢を設置し、溜まった水を庭の水遣りに使うように考えました。アプローチの壁も、受鉢の置く位置に合わせて欠き込んで、ちょうど嵌った形になっています。ボウフラが沸くのを防ぐために、金魚を飼って、視覚的にも遊びがあり、機能的にも無駄のないデザインができました。

元々外部と1階床の高さの差が大きく、これを何とか解消したいという事も、リフォームの一因でした。そこで玄関を外に拡張した事にあわせて、中段にもう一枚床を挟んで、2段の玄関框としています。わざと段違いが目立つように、違う色のフローリングを貼って、視認性を高めてみました。

先週お呼ばれで、R邸に伺って参りましたが、他の来客の方々からも「客としても招かれ勝手が良くなった」との不思議なお褒めの言葉を頂きました。

天井仕上げと扁額 お茶室リフォーム-9 

お茶室リフォーム

先日貼り始めた杉杢目板の天井板が張り上がり、竿縁の晒竹(さらしたけ)が取り付けられました。通常であれば、天井板は屋根裏から釘で留めるので、釘が見えなくなるのですが、今回の場合、屋根裏が無いので、室内側から釘を見えないように天井板を貼るのが大変な作業だったそうです。

室内茶室の天井張り

大工の伊藤さんが持っているのが、お茶室の席名を記す扁額(へんがく)です。タモの皮付き材で、工務店からのプレゼントです。

扁額

これからお施主様が、知り合いのさる書道家の先生にお願いして、茶室席名を筆して頂くことになっています。