Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

パッと見には進んでいない現場も、細かい部分は着実に進んでいるのです

渋谷区N邸

新築高層マンションリフォームの渋谷区N邸の工事が着々と進んでいます。

といっても3週間前にアップした写真とみくらべて、それほど進んでいるようには見えないかもしれませんね…。しかし、表題に書いた通り、パッと見ただけでは、それほど進んでいるように見えない現場も、細かい部分は着実に進んでおり、それをきちんと監理してゆくことが設計のお仕事なのです。

まずは壁下地のベニヤ板が張られていますね。

天井のLGS下地と、照明ボックスも吊り込まれています。天井のLGSには細かい段差がつけられており、間接照明のアゴを取り付ける方法を現場監督と大工さんが工夫をしてくれていました。

窓際のニッチコーナーの天井には、配線ダクト用の木製レール下地も取り付けられました。窓際の天井を見ると…、

窓枠に取り付ける電動シェードの為のコンセント穴があけられています。因みにこの既成の枠にはお化粧でダイノックシートを上から張る予定となっています。

引き戸の枠には上吊り用のレールがはめ込まれていますし、スプリンクラーの配管もされています。

こちらが引き込み扉用の上吊りレールの詳細です。金属色の小型鉛筆削りのように見える部品を、建具の先端に埋め込むことで、吊り込みができるのです。

スプリンクラーは、マンションの指定業者での施工となります。梁型があって天井裏のスペースがほとんど取れない中でも、うまく金物を使ってスプリンクラーヘッドを吊り込んでくれています。スプリンクラーの位置も消防署に申請した通りの位置に配管されているかをチェックして回りました。

玄関ホールの引き込み扉の袖壁の木製下地です。

玄関ホールの建具正面に立ってリビングダイニング側を見た景色です。

斜め壁の付近では、建具枠も取り付けられ始めています。通常の建具枠は3方枠と言って、左右枠と上枠を一体で作った門型の枠を取り付けるのですが、今回は木製フレーム枠が大きくわたってくるので、左右の枠だけを単独でつけて貰う形となっています。まだこれだけだと、どんなデザインになってゆくのか見えてきませんが、設計者の頭の中では完成に向かっての段階が見えているのです(ちょっと偉そうですね…)。

天井のLGS枠が出来上がったところで、担当スタッフの前田君が現場監督とダウンライトの位置確認をしてくれています。

赤丸をした箇所は、ダウンライトはLGS下地をうまく避けて入れることはできるのですが、この個所のダウンライトはユニバーサルタイプと呼ばれる、向きを変えることができる器具となっています。LGS下地を折り曲げた位置のフランジがそのままだと、器具の向きを変えるときに邪魔になるので、赤丸箇所だけフランジを折り曲げてくれているのです。
ここまで着実に作業は進んでいるのですが、なかなか肉眼で成果が見えてこない段階でした。しかしこの段階での着実な工事が、仕上げのクオリティーに大きく影響してくるので、見栄えが良い工事がない段階でもきちんと現場を監理しておきたいものです。

元麻布J邸ビフォーアフター

元麻布J邸

先日リフォーム工事が完成しお引き渡しを終えた元麻布J邸のビフォーアフターの写真をいくつかご紹介いたします。

空間的に最も変わったのはこちらのキッチンからの写真だと思われます。上のビフォー写真では、壁で閉じられており顔を扉の所まで出さないとダイニングやリビングの様子が分からなかったキッチンですが、フルオープンなペニンシュラ(半島型)カウンターのキッチンにすることで、料理の下ごしらえをしながらダイニングで勉強するお子さまや、ソファでテレビを見ている人とお話ができるようになりました。

キッチン自体も以前はI型の一列キッチンだったものを、ガスコンロからIHコンロに変えたおりますが、シンクカウンターをペニンシュラ側に持ってきた二の字型キッチンに変更しています。右手前の黒いボックスは冷蔵庫収納となります。

キッチンから一歩出てダイニングからリビング側を見たビフォーアフター写真がこちらです。リフォーム前はキッチン、ダイニング、リビングが全て引き戸で仕切られていましたが、それを全ててっきょしたことで空間が広がりました。上のビフォー左奥に2連の小型窓がありましたが、ちょうどその中央の方立に袖壁をつけて、子ども部屋の壁位置としています。

テレビを取り付けた壁からキッチン側を見返したビフォーアフター写真がこちらです。以前はダイニング壁に鏡が張られていたので、広さ的にはビフォーも広く見えますね…。ただ、お子さまがまだ小さいJさまのお宅では、キッチンから家中のLDK、そして扉を開いていると子ども部屋の様子までが垣間見ることができるこちらの空間の方が、圧倒的に暮らしやすいと思われます。

壁がなくなっただけでなく、天井の折り上げ形状も複雑な2段仕上げからすっきりとした1段に変えたことも大きな変化ですね。天井の折り上げ面が大きくなって、それだけでも空間が広く感じる効果があります。

梁型の底面の高さで、カーテンボックスやクロス壁の見切り壁も揃えているので空間の線が整理され、全体にスッキリしたのが分かると思います。

もしかしたら一番変わったのはこの廊下かもしれませんね。左側が元の廊下で、左右にそれぞれの空間への扉がバラバラとついていました。右側のアフターの洗面廊下は廊下の長さに沿ってダブルシンクの大型カウンターを配置し、その奥にはビルトインの洗濯乾燥機を収納しています。反対側の壁面には床から天井までのトール収納を3本入れています。ただの通り抜ける廊下空間を少し幅を広くして、機能を与えることで、お部屋全体の空間を効率的に使うことができました!

かなりコンパクトになった主寝室ですが、正面の左右にある細い引き戸を開けると、2つのコンパクトなウォークインクローゼットがあり、収納力が大幅にアップしています。左側の扉奥はウォークスルークローゼットとなっており、子ども部屋と繋がる仕掛けになっています。

最後は玄関ホールのビフォーアフターです。元の空間も木目調でシックで良かったのですが、かなり暗かった(この写真では露出調整で明るく見せています)のを空間を整理して、無駄な折り上げ天井を廃し、素材感のある大理石壁とレザー張り建具とクロスパネル張りの壁を作り、リビングダイニングの空間と質感を揃えました。

家具が入った空間での施主検査@ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリーのティーザー・ブログです。
まだ全てではありませんが、リノベーション工事が終わりおおよその家具が入ったところで、お客さまのOさまご夫妻に現地に来ていただき、施主検査をさせて頂きました。検査とは言いつつ、お二人にとっては改装されたご自宅を自分の目で見るのは初めてのことですので、玄関に入ったところから、リビングダイニング、生まれ変わった洗面脱衣室などを見るたびに、大きな声で歓声を上げてくださいました!

施主検査といっても、ザ・ライブラリーでのお客さまの検査は、虫眼鏡やボール(床が斜めになっていないかを検査する道具)を持っての欠点を探す検査にならないように考えています。流れとしては、まずはお二人に完成して、家具がある程度入った空間が完成した喜びを味わって頂きます。一通りすべての空間を見て頂いた後で、事前にザ・ライブラリーのメンバーでチェックした不具合や瑕疵のある箇所をご一緒に見て頂くという流れにしています。岸本さんと田口さんが持っている図面に赤チェックがされているのです。

モザイクでちょと見にくいですが、お子さまの部屋の建具枠の内側に傷がある箇所を岸本がOさまご夫妻にお見せしています。

床の大理石張りの廊下部分では、開口部位置を変えるために張り替えた部分の大理石の色が違ってしまっていることをご説明いたしました。これは事前に契約の際に色違いが生じる可能性をご指摘させて頂いていたので、お二人からもこの程度であれば問題ないと言っていただきました。
以下は、ザ・ライブラリーブログをどうぞご覧ください。