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プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

カガミ建築計画の新事務所移転計画-7_後付けフロアヒンジの美しい建具の納まり

カガミ建築計画事務所移転計画

南青山の新事務所の建具(たてぐ)には、これまでのカガミ建築計画のノウハウをつぎ込んでいます。因みに、設計や建築業界では扉(ドア)や戸のことを総称して「建具」と言いますが、建具は開口部に取り付けられる可動部材の総称で扉(ドア)、引き戸、障子、襖、窓サッシなどを含みます。それに対して、「扉」は比較的重厚な開き戸をイメージさせる言葉で、「戸」は引き戸や障子・襖など軽快な開閉の建具をイメージすることが多いようですね。

まずはこちらの廊下から事務スペースへの開き扉からご紹介します。ウォールナット突板張り建具をフロアヒンジを使ったピボット扉として収めています。普通の開き扉は枠と丁番(ちょうばん・ちょうつがい)を使いますが、フロアヒンジの場合、枠も丁番も不要となります。
一般的な枠と丁番を使った扉は、施工性やコストパフォーマンスに優れており、メリットとデメリットは以下の様になります。
メリット

  • 枠付きで設置が簡単
  • コストを抑えやすい
  • 扉の開閉方向を明確に制御できる

デメリット

  • 枠や丁番が見える為、納まりやデザイン性に乏しい
  • 一般的には一方向にしか開かない(片開き)

それに対して、今回使ったフロアヒンジは、特殊な金物を使って扉の上下に軸を設けて開閉させるスタイルとなり、そのメリット&デメリットは以下の様になります。

メリット

  • フレームレスでミニマルなデザインが可能
  • 枠も丁番が見えないので、開放時のデザイン性に優れている
  • 大型・重量のある扉にも対応できる
  • 両方向に開くことができる

デメリット

  • 納まりに工夫が必要で、設計難易度が上がる
  • コストが高め
  • 扉の重量やバランス設計に注意が必要

戸先(トサキ)側のアップ写真を見ると分かりますが、枠が無い為、扉が開いた時に空間が繋がって見えます。戸先側に明り取りのガラス袖壁を作っていますが、ここにも枠が無いのが良く分かりますね。

こちらは戸尻(トジリ)側となりますが、ここにも枠が無いのが分かりますね。

建具の開閉時の動画を見て頂くと、バネが効くことで、0度で閉じた場合でも、90度で開いた場合でも、自然に扉が泊まってくれるのが判ると思います。
閉じた状態がデフォルトである場合には、枠と丁番で吊った建具で全く違和感はありません。ただ、開いた場合で空間が枠無しでスムーズに繋がるという意味では、廊下からリビングなどへの室内のメインと扉にはフロアヒンジを使った建具はデザイン的に適していると考えています

少し時間が遡りますが、今回の新事務所の建具と枠は、全てお馴染みの現代製作所さんにお願いしています。右が設計&営業担当の吉岡さん、左が建具職人の堀澤さんです。堀澤さんとは長いお付き合いで、20年以上にわたってお世話になっています。

後付け可能なフロアヒンジ金物_フリッツユルゲンス

こちらが堀澤さんの雄姿です。80歳を超えているハズですが、このくらいのサイズの建具でも軽々と吊り込んでくれる頼りになる職人さんです。

先ほどフロアヒンジの素晴らしいメリットを書き連ねましたが、実はこれまでのフロアヒンジの施工上の大きな問題は、床下を掘って、この写真のような大きなバネ付きの箱を埋め込む必要があることでした。床下に箱を埋め込む寸法的な余裕があることは必須の条件で、かつこのヒンジの発注はかなり早い段階にしないといけないので建具のサイズや重量を計算する必要があったり、床仕上げ材の厚みなども早めに決めないといけないという問題がありました。

それに対して、ハーフェレ社が1年半ほど前に国内で取り扱いを始めた、ドイツのフリッツユルゲンス社のフロアヒンジは、バネ付きの箱を建具の中に埋め込むという、180度発想を転換したシステムなのです。因みに、フリッツユルゲンス社はフロアヒンジ専門の金物メーカーで、ハーフェレ社は金物問屋となります。


簡単に図解すると、薄緑色の床埋め込みタイプのフロアヒンジと薄青色の建具埋め込みタイプのフロアヒンジの違いは、このようになります。床に埋め込まないのに、フロアヒンジと呼べるのかという疑問は多少残りますが…。

建具の下部にこのような四角い穴を掘り込んで置き、左側のバネ入りの箱を埋め込むのです。

事前に床につけておくのは、このようなシンプルな軸受け金物だけとなります。

といってもメーカーが部品と一緒に送ってくれるこのような型紙に沿って穴をあけ、

このような金物を取り付けるのです。

建具に埋め込む前の金物を当てて貰った様子です。

天井にもやはりシンプルな軸受け金物が取り付けられています。下部金物と上部金物の位置関係はかなり精密に合致していないと建具が歪んでしまうので、レーザーを使って厳密に設置する必要があります。

建具上部に埋め込む金物には、横に特殊なドライバーの先を突っ込む穴が開いており、この個所をひねることによって、金物上部の軸が飛び出て固定されるという仕組みになっています。

下部金物の裏には、3か所の小さなボルトが飛び出しています。

それぞれを調整することで、建具の開閉のスピードやバネの強さ等を後で調整できるようになっています。

建具の吊り込みが終わった後でも、この型紙を当てて、吉岡さんが右手に持っている金具を位置に合わせて差し込んで左右にまわせば、建具を外すことなくスピードなどを調整することができるという訳です。

因みにこちらの取っ手もカガミ建築計画が得意とするスチールで作ってもらった特注の取っ手となります。
フリッツユルゲンスのヒンジは、これまでの床埋め込みタイプに比べて、床を壊すことなく後付けで取り付けることができる(つまり工事範囲を少なくできる)こと、また、床下にスペースが無くても設置が可能なこと、更に、最大500キログラムまでと重量ドアにも対応するなど、設計だけでなく施工的にも優れた金物であることが、良く分かりました。さらに実際に毎日使ってみても、扉の軽さ、動きのスムーズと静かさなど、感嘆しております。まだ金額的にかなり高いことが問題ではありますが、採用される量が増えれば、価格も安くしてゆくことができるとハーフェレ社から聞いております。弊社としては、今後の標準仕様として積極的に採用したいと考えています。

理想のキッチンとは_素材・色味・デザインへのこだわり@世田谷区A邸

世田谷区A邸

世田谷区A邸プロジェクトは先回のブログでリノベーションプランがほぼ決まったので、より細かい設計へと進み始めています。奥さまのこだわりポイントの第一番でもあるキッチン打ち合わせからスタートです。

同じ世田谷区の用賀にあるリネアタラーラのショールームに伺い、ほぼ決定となったリノベ案を担当の牧野さんに見て貰いながら、まずはここまでの打ち合わせでふんわりと決まってきていたイメージから考えることとなりました。

まずは、これまで暫定的に選んできた素材を一通り並べてみました。この中で、コセンティーノで見た天然石クォーツサイトタージマハールは優先順位が高い素材となります。

角張ったデザインだけでなく、カーブを取り入れたデザインも考えて欲しいとのご依頼が以前あったので、リネアタラーラの牧野さんにお願いして、タージマハール材のハイカウンター部分にカーブができないかと、二枚重ねでサンプルを作ってもらったものをAさまに見て頂きましたが、この繋ぎのラインが気になるので、甲板の厚みを減らすか、カーブを中止するかのどちらかで進めることとなりました。

折角リネアのショールームには多様なビルトインオーブンと食洗器を並べてくれているので、それらの比較した話も聞きたいとのことでした。

食洗器については、大きくはトレイの違いと食器洗浄後の乾燥方法の違いを聞かせて貰いました。

ビルトインタイプのオーブンについては、庫内のサイズ、扉の開き方からミートセンサーやスチームオーブン付きといった機能の違いまで幅が広いことを聞きました。
色々と聞きましたが、まだA邸のオーブンと食洗器は壊れていないので、既存機器を再利用することになりそうです。ドイツ製のビルトイン機器は同じ規格で作られているので、壊れた時に簡単に交換することができるのです。

Aさまの奥さまはご自宅でお仕事もなさりたいとのこと、書斎スペースも作りたいとのご希望があったので、リネアタラーラのライティング・ビューローも体験して頂きました。

こちらはリノベーションレイアウトが決まってからの別日の打ち合わせの様子です。この日は工事契約に向けてのキッチンの概算見積りを作るために、仕上げ材のグレードを決めることが目的となります。

まずはこれまでの打ち合わせの中で挙がってきたイメージ写真等から、こちらで暫定的に選んでみたAさま好みの素材を机の上に並べるところから始めます。

この日の打合せは、ベースとなるタージマハールの大理石と合わせる素材や扉の色のイメージを固めることを目的としているので、タージマハールのカウンター材と塗装扉色の相性、オーク木目柄とを合わせながら候補を絞ってゆきます。

絞ったつもりでも、まだこれだけ候補が残っています…。

タージマハールと合わせるキッチンのメインカウンターの候補も、汚れに強いクオーツストーンやセラミック材から選んでいきます。
色味と素材の最終決定は、まだ少し後となるので、まずは工事契約に向けての見積りを作るための暫定仕様までは決めることができました。

取っ手・モールディング・素材のディテールと寸法の最終決定

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリーブログのご紹介です。
既に工事着工している横浜H邸ですが、話が前後しますが、着工前に順次決めていったディテールについての記事となります。
完成写真ではほとんど伝わらない「着工前のディテール決定プロセス」についての話となります。取っ手一本、モールディング一本をどうやって決めているのか──その現場をそのまま記録してみました。

輸入扉金物のジェイマックスショールーム訪問

クラシカルなモールディングデザイン空間に大理石張りのモダンなキッチンが入るお宅なので、建具の取っ手や造作家具のつまみは、クラシカルなものから選びたいとのこと、アメリカ産の輸入取っ手やつまみが豊富にあるジェイマックスの代々木上原ショールームにHさまと一緒に伺って参りました。クラシカルな要素とモダンデザインをミックスする場合、どこまでクラシカルな部分い拘るかはかなりデザイン的に難しい判断となるのです。

輸入扉金物のジェイマックスショールーム訪問

ドアノブやレバーハンドルは実際に握って動作を確認して頂くのが一番安全なので、Hさまにデザイン的に気に入って頂いた取っ手類は全て試して頂きました。

輸入扉金物のジェイマックスショールーム訪問

造作家具のつまみや取っ手類も同じデザインでも違う仕上げのものが多数展示されているので、PDFカタログを見比べるのと比較してもスピーディーにお気に入りのものを選び出して頂くことができました。

モールディングのサンプル

モールディングやケーシングもあまりカーヴィーなものではなく、アールデコ調でストレートなものが良いとのこと、特に壁と天井のモールディングは階段状になるように二つのモールディングを組み合わせることとなりました。

モジュール家具GIGIの図面チェック

モデュール家具のGIGIでお願いしているスチールとガラスを組み合わせた造作棚についても、細かい使い勝手とデザインの最終確認をさせて頂きました。

モジュールファーニチャーGIGIの色素材最終確認

仕上材サンプル一式をGIGIから借りて、弊社事務所でお打合せをして…、

モジュールファーニチャーGIGIの色素材最終確認

このように立体的に組み合わせて、同じように見える黒い素材でも素材感やツヤ感などを見比べながらベストマッチを探して行きました。

モジュール家具GIGIの図面チェック

実はこの打合せを経て、仮決めで入れていた素材はほぼすべて交換することになりました!ショールームで個別に見て考えた仮決め素材が、他の素材と合わせて考えてゆくことで逆転したことは、Hさまにもかなりの驚きだったようです。

寸法の実寸確認

家具の最終サイズ確認では、Hさまに実際に立って頂き、「このくらいの高さが使いやすいのでは」とアドバイスしながら、巻き尺で一段ずつ高さを確認していきました。
この後、浴室の建具やヘリンボーンの無垢フローリング、水栓のモックアップを使っての打合せなどに進みますが、それらについてはこちらのブログをご覧ください。