Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

設計検査&施主検査@千代田区M邸

千代田区M邸

ヴィンテージマンションリノベーションの千代田区M邸の設計&施主検査で現地に伺ってまいりました。

通常の建築家が設計した住宅の検査は、工務店の検査の後是正工事が入り、次の設計検査の後に是正工事が入り、最後に施主検査があり、その後再び是正工事が入るという流れになりますが、検査が複数回あることで、一回一回の検査が粗雑になったり、最後の施主検査があら捜しのようになってしまうことも多いのが実情です。カガミ建築計画では、工務店の検査については、工務店側にお任せしていますが、設計の検査と施主検査を一度に行うようにしています。

施主(お客さま)がいらっしゃる2時間ほど前に、スタッフと僕とで先行して検査を行い、施工をお願いしたの樋口さんと石坂さんに見て貰います。

施工精度が低い個所や、傷、未成工事だけでなく、引き出しや扉類等の細かい使い勝手…、

パッと見では見えてこない隠れた部分の施工精度までチェックしてゆきます。

現場でチェックした箇所については、養生テープで印をつけると共に、事前に施工会社と是正方法まで検討しておきます。

そこまで設計監査を進めて置いた所で、ちょうどお客さまが現地に来てくださいました。本日はご夫妻で時差があるとのことで、まずは先にいらっしゃったご主人さまが気になさっていた部分で、僕らがどのようなポイントをチェックしたかをご説明しながら見て頂きました。

その後に遅れて奥さまがいらしてくださったので、奥さまが一番気になさってきたキッチンや、インテリアの仕上げのレベルについてご説明させて頂きました。
どこまで細かいチェックをしても、お引き渡し後には細かい使い勝手のご注文や、手直しの依頼があるものなので、遠慮なくそれらについてはご相談して貰うことにして、検査当日は細かいチェックよりも出来上がった空間を施主、施工会社、そして設計の僕らで一緒に堪能させて頂くことをメインの目的としております。

通常では、検査前日に照明のシューティング(照明器具の照射向きを調整すること)や調光装置のルートロンの設定、間接照明の調整などを行っておくのですが、今回は電気屋さんのムラデンとタイミングが合わなかったので、お客さまが帰られた後にシューティングを行いました。

シューティングは周りが暗くならないと細かいニュアンスが見えないので、暗くなるまでムラデンの藤木社長と野村さんと石坂さんと、照明のシューティングの方針を事前に相談しておきました。

青の石坂さんと電気屋のムラデンの野村さんは、高校時代の同級生なので、ちょうど息の合った調整をしてくれています(笑)。

ルートロンのシーン設定も何度もやって貰っているので、慣れたものです。

天井の低い個所は、脚立なしで届くので、自分でシューティング調整してしまいます。コロナのことなどで、思っていた以上に長く時間が掛かった千代田区M邸ですが、もうすぐ竣工お引渡しとなります。

新規プロジェクト・目黒区O邸が始まります

目黒区O邸

目黒区の築30年のヴィンテージマンションの180平米をご購入なさったお客さまのLDK+玄関を中心としたリフォームプロジェクトがスタートしました。

目黒区O邸_現地調査

初回の打ち合わせは、弊社事務所で行い約1時間半ほど掛けて、どのような住まい方をご希望なさっているのか、スケジュールやリフォーム費用や家具購入などの予算感などをお話しさせて頂き、現地調査費用20万円が掛かることをご了承の上、ご購入なさったお部屋に伺ってまいりました。以前、同じマンションでスケルトンリフォームのお手伝いをしたことがあるマンションでしたが、実に10年ぶりの訪問でした。

目黒区O邸_現地調査

11年前にリフォームをお手伝いしたお宅も大きなお部屋でしたが、こちらもリビングダイニングキッチンだけで約65平米もある大きなお部屋です。因みに、この写真でリビング中央に一本足で立っている黒いもの360度カメラのシータです。

目黒区O邸_360度カメラのシータの画像

シータで撮影した写真はこのようになりますが、アプリで見ると…、

icon

このような画像に変換出来て、文字通り360度回転しながら見ることができるのです。特に初回の現地調査時(家具などが無い状態)で撮影しておくと、後でコンセント位置や天井の設備関係のレイアウトなどを確認することができる便利で、スピーディーなカメラです。

目黒区O邸_現地調査

弊社副所長の前田君と神崎さんが調査をしている横で、

目黒区O邸_現地プレゼンテーション

家具の無いリビングの床に座って2回目のリフォームの打ち合わせをさせて頂きました。

目黒区O邸_現地調査

用意していたものはこちらです。弊社の事例の中で、好みのプロジェクトを事前に伺っていたので、それらの写真をプリントし、各々で使われていた建材のサンプルも持っていきました。

目黒区O邸_初期リフォーム案

初回(先回)にお話しをした内容を事前に貰っていた平面図に赤ペンで落とし込んで簡単なリフォーム案も用意しておきました。

目黒区O邸_初期スケッチ

不動産情報に残っていた写真をベースに、スケッチパースも作ってみました。

目黒区O邸_現地プレゼンテーション

リフォーム案とスケッチパースをご説明している様子です。担当を想定している神崎さんは打ち合わせを聞きな、現地調査にも立ち会って、テンテコマイのようでした…。

目黒区O邸_現地調査

奥さまが重要だと考えているキッチンについては、排気ルートやPS(パイプスペース)の位置を確認しておきました(パイプスペースがマンションの登記記録上で専有部になっていることを確認しています)。一度リフォームしたことがあるマンションなので、ある程度PSの中身や、天井裏のエアコンの状態を予想できるのは安心感があります。

目黒区O邸_現地調査

とはいえ、脚立も持参して、天井裏を一通りチェック致しました。

目黒区O邸_天井裏調査


エアコンのシステムは共用部から送られてくる温水と冷水を冷媒にして、機械内部のコイル状の熱交換器で暖気と冷気に変えて、それを送付機で室内に送るシステムのファンコイルユニットでした。以前のプロジェクトでは、冷暖房システムを全交換しましたが、今回は使えるものはなるべく使うスタイルで進めるので、メンテナンスが必要になるかも知れません。

目黒区O邸_天井裏調査

電気配線は天井裏を縦横無尽に走り回っていて、あまり整理されていないようでした…。

目黒区O邸_現地調査

ご主人さまが気になっているのは、この玄関からリビングダイニング、そしてキッチンへの空間の繋がりとグレード感のあるインテリアなので、この玄関ホールは大きく手を入れることになりそうです。

目黒区O邸_現地調査

家族用のトイレと洗面は、浴室横にある洗濯機を移設して、再レイアウトすることになりそうです。この現調時のレポートをメールをお送りしたところ、Oさまご夫妻から、正式にリフォームプロジェクトとしてお願いしたいとのご返事を頂き、事務所内でも神崎さんを担当として、進めることになりました。Oさま、これからのお付き合い、どうぞ宜しくお願い致します!

スチールサッシと同じデザインモチーフの姿見

渋谷区Q邸

渋谷区Q邸では、フレンチな要素とシノワズリーな要素を混ぜ合わせたスチール扉をデザインしています。

このスチール扉のデザインをQさまご夫妻がとても気に入って下さっているので、玄関の姿見やトイレ・洗面の鏡にもこのデザインモチーフを取り入れています。


玄関の姿見です。天井を折り上げて高くしているので、全く同じデザインだと間が抜けてしまうので、横桟を1本追加しています。まっさらでなんの装飾もない姿見とは違って、個性のあるデザインの姿見はアートを掛けたのと同じような効果があると感じました!

扉は焼き付けのスチール角パイプを組み合わせて、さらにガラスを留めるための押縁(おしぶち)などが入っていますが、こちらはスチールではなく、木製で似たような形状で作っています。

一枚の大きな鏡を取り付けて、その周囲と指定した箇所に、このように塗装した木製枠を張り付けて仕上げているのです。ただ、スチールと似たような重量感を演出するために、角の曲がり具合や塗装の塗り具合もスチールに合わせて作って貰っています。

プロがよくよく見えると木製だと判ってしまうのですが、普通の方には扉と同じ造りに見えるレベルに仕上がってきています。

来客用トイレの鏡もプロポーションは変えていますが、同じデザインモチーフを使っています。

このタイミングでQさまご夫妻が現場に立ち寄って下さいました。

テレビとバイオエタノール暖炉はまだ設置されていませんが、リビングダイニングのフォーカルポイントのこの壁の仕上がりにはとても満足して下さっています。

玄関ホールは先ほどの姿見を見て、奥さまが歓声を上げてくだいました!ご主人さまは反対側のこちらの属策家具が隙間なくピタリと納まっていることに感心してくださいました。

寝室奥の水回りもここまで出来上がってから来るのは初めてとのことで、嬉しそうに見て回ってくださいました。

シャワーブースでは、シャワーフックの取付け高さを現場で試しながら決めてくださいました。

現場監督補佐の池田さんがセルフ塗装してくれたブラケットライトの具合も確認して頂きました。

その後にブラケット照明が取り付けられたのがこちらです。ドレッサー機能がある鏡なので、四周だけをスチールサッシと同じサイズの木枠で囲んだだけとしていますが、背面のシャワーブースの黒い枠も写り込み、姿見と似たような印象に仕上がってきているのではないでしょうか。

お二人で浴室のテレビフックの位置も決めてくださいました。

キッチンの奥では、大工の矢野さんがスイッチパネルの周囲の枠取りを造作してくれていました。

廊下突き当りのエアコン本体の扉の化粧もとてもきれいに仕上がっていました。鍵穴があること、ヒンジがちょこっと見えていることだけは隠せませんでしたが、ほぼ存在感を消すことができました。

神出鬼没の大工の矢野さんは、次に見たタイミングではベランダのウッドデッキ張り工事に入っていました。現場監督補佐の補佐の川野君が作った図面を元に、矢野さんが優しくかつ厳しく指導しながら人工木のウッドデッキを張ってくれています。

避難上必要な避難はしぼ部分のみはウッドでっきを張っておりません。

ウッドデッキにはアップライト(ダウンライトの反対で、下から上を照らす照明器具)を入れました。

屋外用で防水のアップライトは既製品でもあるのですが、大掛かりで取付け深さが大きく、口径も大きいものばかりでしたが、リクシル社で見付けたこちらの製品・グランドライトは、サイズも小型で費用もリーズナブルで、かつ明るさセンサーや消灯時間タイマー付きのトランスユニットを取り付けることができるので、こちらを採用させて頂きました。小型サイズのアップライトが、ちょうど人工木のウッドデッキ1枚の中に入るので、きれいに納めて貰うことができました。

玄関ホールでは、床石の大理石張りが行われ、

床の養生も完全に剥がされ、全体が竣工検査に向けて、一気に終盤に入ってきました。