Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

渋谷区Q邸の解体工事着工

渋谷区Q邸

約2年前に最初のご相談メールを頂いて、マンション共用設備の問題や、コロナのことなどでゆっくりと、しかし着実に計画が進んできた渋谷区Q邸プロジェクトですが、ついにリノベーション工事が着工となり、解体作業が進みだしました。

年始頃にちょうど見積りも纏まって、工事契約をというタイミングでコロナ禍が大きくなって契約を延期した経緯がありました。もし、コロナのことで材料不足やマンションへの職人の出入り、はたまた在宅勤務の人が増えて工事騒音に対する注文がつくなどのことで工事が途中で止まってしまった場合、お客さまの仮住まいや工事経費についての負担が大きくなってしまうので、契約と着工を延期した経緯がありましたので、感慨ひとしおです。

実際には、一気に最初の写真のところまで壊されるのではなく、この写真のように二日ほど掛けて、電気屋さんとガス屋さんと警報屋さんが機器類の取り外しを行い…、

また、建具と枠は一部再利用となっているので、それらをどう取り外して、保管しておくかを施工をお願いしたの現場監督の岡田さんと片岡社長、建具と造作家具をお願いしている下請けの現代製作所の担当の吉岡さんと上林社長、弊社のプロジェクト担当の竹田副所長が綿密に打ち合わせをしてから、解体に取り掛かっています。

着工して1週間のタイミングで、現場定例打合せで現場を確認し、キッチンのPSなどの状況を確認することができました。元から分電盤以外に床暖房のリレースイッチ盤や集中冷暖房機器AHU(エアハンドリングユニット)のコントール盤等、重厚や設備や盤類が多かったのが、解体が進んだことで移設や簡易化することができることが分かって参りました。

こちらは各個室側の解体状況です。左側に3つ残っているのが、既存再利用をする建具枠で、正面の壁の向こうに見えているのが浴室とトイレと洗面の水回りです。

各居室の天井裏には、既存設備図には記載があって存在は頭では理解していたファンコイルユニット(FCU空調機)が見えています。それらの正確な場所と仕組み、さらにはダクトの経路もしっかりと確認することができました。

さて、水回りの解体状況ですが、大理石張りだった内装壁は金物で引っ掛ける作りだったので、比較的安易に取り外すことができたそうです。壁沿いに太り針金が残っているのが、その名残です。

二つあった浴槽は二つとも壊しました。浴槽の下は予想通りでしたが、下階には水漏れがなかったようなので、この下に隠れている防水層がきちんと水漏れをブロックしてくれていたようです。

こちらは玄関ホールの様子です。左側の壁下地が見えていますが、一部はコンクリートブロック(CB)造でその奥は鉄筋コンクリート(RC)造で、解体できる範囲もほぼ図面通りで皆ホッとしています。

関係者で現場のテーブルで打ち合わせの様子です。まだ解体最中なので、細かい部分よりも大きな進め方の方針等について打ち合わせをしました。

ただ、床付けコンセントについては、フローリングの下地の厚みが取れない為、設置が難しいと現場側から言われていたので、こちらで考えていた作りかをスケッチで説明したところ、これなら作れるのではとのことになりました。

打ち合わせ中に小さな音がしていたので覗いたところ、解体屋さんがクラッシャーという機械を使ってコンクリートブロック壁を壊していました!

このカニのような(笑)機械で、上側のコクワガタの歯のような部分がコンプレッサーの動力で狭まって、コンクリートブロックをかみ砕いてゆくのです。

こちらが現場に置かれているコンプレッサーです。音はコンプレッサーの音と、砕かれたCBが床に落ちる音くらいで、砕かれている音はほとんどしません。

ここまで解体工事とはいえ、大きな音を立てずに施工が出来ていますが、ここから先は大物のシンダーコンクリートの解体となります。この写真、壁の下を走っている木部材がモルタルのようなシンダーコンクリートに埋まっているのが判るでしょうか?水回りも含めて、大量のシンダーコンクリートでかさ上げされている部分を、コア抜きとセリ矢を使ったパッカー工法でここから1週間掛けて撤去してゆく大工事となります…。

オーダーキッチンのリネアタラーラSR打合せ

千代田区M邸

千代田区M邸のお客さまとの打ち合わせで、世田谷区用賀のオーダーキッチンのリネアタラーラに伺ってまいりました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

模様替えで新しくなったキッチンセットがこちらです。大理石のミストグレーにアンティーク加工を施したカウンターが印象的なアイランドキッチンでした。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

対面のアイランドにはコンロで、背面の壁面側にシンクという変形レイアウトで…、

リネアタラーラ_キッチンショールーム

シンク側ではカウンターだけでなく壁面にもミストグレーが使われていました。特に壁に沿って舐めるような光に当たって、アンティーク加工の大理石が艶やかに輝いていました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

シンクカウンター横の収納も工夫いっぱいで見どころ満載でした。キャビネットの床と天井には、小型のファンがついていて、収納内の空気が澱まないように工夫されていました。

大理石がお好きなMさまの奥さまは、やはりこのカウンターにご興味を持たれたようで、傷や汚れ、メンテナンス方法などについて確認してくださいました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

Mさまご夫妻だけでもこちらのショールームにいらしたことがあるので、好きな素材の確認という形での訪問でしたが…、

リネアタラーラ_キッチンショールーム

先回にはご覧になっていなかった最上階ロフトのこちらのキッチンを見た途端、本当に一目惚れなさったようで、今回のキッチンはこれと同じ仕様で作りたいとのお話しになりました!

リネアタラーラ_キッチンショールーム

全体にとても気に入ったそうですが、特に背面のこちらの食器収納の細い木フレームのガラス扉がとてもイメージに合っているとのことでした。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

木製のフレームに見えますが、実際にはアルミフレームに木の突板を張り回してこのように繊細に見せているとのこと、弊社担当の牧野さんから教えて貰いました。

リネアタラーラ_キッチンショールーム

アイランド側も細かくみると、ステンレスのバイブレーション仕上げの板を挟んで、シャープに見せるディテールでした。適度に節のあるオークの仕上げ材も奥さまが気に入った部分ですが、こちらはどこかの工務店が発注ミスで余ってしまったフローリング材を転用したものとのことで、全く同じものを手に入れることは難しそうだとのことでした。
残念ながらこのキッチンは、すでに売却が決まっているとのことで、数日中にバラシて北海道に持って行ってしまうとのことでしたが、もう一度ご確認なさりたいとのことで、この翌日にMさまご夫妻でショールームを訪問して、じっくり拝見なさったとのことでした。

コロナ期ならではのマンションリフォーム

番町H邸

5年前にほぼ全面リフォームのお手伝いをした千代田区番町H邸のお客さまから、二度目のリフォームのご相談を頂きました。

リフォームのご要望とその理由は、
・コロナで在宅勤務が増えたご主人のための書斎が欲しい、
・5年前はまだ小学生と幼稚園児だったお子さまたちが中学生と小学生になったが、在宅時間が多くなっているので、それぞれの部屋をきちんと用意してあげたい、
・家族揃って自宅にいる期間が増えて、以前は気にならなかった玄関周りなどのデザインを変更したい、
といったお話しでした。5年前は、ちょうどこのお部屋を購入なさった際に一緒のタイミングでリフォームしましたが、予算も限られていたので全ての希望を叶えることができなかったのが、コロナのことでご夫婦が話をする機会も増えて、ぜひこのタイミングで二度目のリフォームをなさりたいとの話になったそうです。

すっかり大きくなったお子さまたちとご主人がリビングに並んでくださった様子です。特に一番上のお子さまは、既にご両親の伸長を抜いており、もう家族5人で一緒のベッドで寝ることは難しくなってしまったそうです。

玄関ではコロナで宅急便を頼むことも増えて、納戸を使う頻度も増えたとのことで、もう少し扉と壁のデザインを揃えてスッキリ見せたいとのご希望でした。

玄関ホールとリビングの間の扉はここまで既存の物を再利用していました。ただ、家族全員が揃ってこの扉を開け閉めすると、下レール式の扉は音がうるさいので、上レールで吊った引き込み扉に変更なさりたいとのことでした。

トイレはもともと二つあり、普段はなるべく家族は洗面所隣にあるトイレを使っていたそうですが、家族全員が揃っているとどうしてもこちらの来客用トイレを使う回数も増えるので、掃除しやすくきれいなトイレにリフォームしたいとのご意向でした。


ご主人が書斎になさりたいと目論んでいたのは、主寝室の隣でかつては浴室とトイレがあった空間で、現在は物置として使っていたそうですが、床のカーペットにシミが出てきたので、それは直して欲しいとのご依頼でした。早速、以前のリフォームの時も営業と設計を担当してくれていたリフォームキューの坂本さんと一緒に水漏れ箇所のカーペットを剥がしてみました。
以前の排水口を掃除口として殺さずに残しておいたカ所から湿気が挙がってきているようでした。ただ、まだこの段階では窓や壁側からの水漏れや壁裏躯体の結露水である可能性も残っているので、次回は大工さんに来てもらい、壁のボードに穴をあけてチェックしてもらうことになりました。

1週間後の様子がこちらです。窓直下の壁は以前が浴室だったので、クロス裏にタイルが現れただけで、水漏れの形跡はありませんでした。

剥がした石膏ボードは湿気でやられていましたが、明らかに下からの水の形跡で、躯体壁からの水漏れや結露も痕跡はありませんでした。

排水口は、将来このお宅を外国人に売却することになった場合は、主寝室横に水回りが増設できる可能性を残しておいた方が、資産価値が上がるのではという当初の考えでしたが、もうそのようなことは考えなくても良いとのお客さまからのお話しもあったので、完全に埋めてしまうことになりました。また、外壁に面した壁裏に断熱材が吹かれていなかったので、寒がりであるご主人さまのことを考えて、壁を二重壁にして、躯体面に断熱材を吹くこと、窓も断熱性能が高くないので、断熱材の壁厚を利用してインナーサッシを設置することが決まりました。

リフォーム工事の現場監督の滝川さんにも同席して貰ってのリフォーム打合せの様子です。

リビングでは、新たに設ける扉のデザインが最も重要な要素になるので、まずは持参した素材を見て頂きました。

クロス巻き込みで壁を一体化するようなアイデアよりも、質感のある扉になさりたいとのことで、このサンプルのようなステッチを入れたレザー張りの建具をご提案することになりました。

扉の一部には明り取りのガラスを入れたいとのご希望だったので、リビング壁のデザインと仕上げも含めて、担当スタッフで副所長の竹田さんが幾つかの案を纏めてくれました。

プラン全体を見ながら、抜け落ちがないかを確認しながら、一つずつデザインと素材をつめてゆきます。

お子さまたちの部屋の壁紙は、各自に決めて貰おうとの話になっていたので、好みを事前に伺ったうえで、幾つかのサンプルを取り寄せておきました。

部屋での騒音対策として、フローリングの上にカーペットを敷き詰めることになったので、候補となるカーペットとビニールクロスを見比べながら、お子さまたちに選んで貰うことになりました。

ベースとなる白い壁紙は、5年の月日が経つと、品番変更になってしまい同じものが無くなってしまっているので、似た色のクロスサンプルを持ってきて、選ばせて頂きました。

来客用トイレ壁は、汚れも拭きやすく、デザインもスタイリッシュにできるので、大理石調タイルをデザイン張りとすることになっていたので、そのサンプルを持参して一緒に選ばせて頂きました。

リフォームキューの坂本さんが最初から打ち合わせに同席してくれたことで、ここまでのリフォーム項目、デザインや素材の決定、そして見積りや工事スケジュールの調整がとてもスムーズに進んでいます。