Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

インテリア雑誌「I’m home.」のアーキテクト・ファイルに取り上げて貰いました

ニュース

昔から大好きだったインテリア雑誌「I’m home.」(商店建築社)が毎号、一人(一組)の建築家を取り上げて紹介してくれる、アーキテクト・ファイルに取り上げて貰いました!

編集部の下山田さんと旧知のライターの小森さんとカメラマンの合田さんが、わざわざこの特集記事のためにうちの事務所に取材に来て、顔写真も撮ってくれた、力の入った記事です。どうも傍から見ると、僕の事務所は何の苦労もなしに今のマンションリノベーション設計者のポジションを見つけたかのように思われるのですが、実はここにたどり着くまでに色々な苦労をしているというお話をしたところ、下山田さんも小森さんもとても驚いたようで、そのことを素敵な文章にしてくれました。
これまでに幾度か弊社がお手伝いした事例を掲載して頂いていますが、今回は代表作ということで、外苑前C邸元麻布I邸、そして近作の渋谷区Q邸の写真を取り上げて貰いました。

I'm home.のアーキテクト・ファイルに各務謙司が取り上げられました

こちらが現在発売中の「I’m home.」130号の表紙です。

I'm home.のアーキテクト・ファイルに各務謙司が取り上げられました

事務所の打ち合わせ用のテーブルで、スケッチを描いている様子を撮影してもらったプロフィール写真がこちらです。

I'm home.のアーキテクト・ファイルに各務謙司が取り上げられました

写真は全て再掲載のものなので、あまり目新しくはありませんが、下山田さんと小森さんの目で読み解いてもらった僕、各務の記事が面白いのですが、さすがに全文をここで掲載するわけにはいかないので、ぜひ本屋でご購入ください。
因みに、建築家として取り上げて貰った番号でいうと、29番目にあたるようです。この特集は、2019年8月の100号を記念として始まられた連載シリーズだそうです。僕の記憶では第1番目に紹介されていたのが、尊敬し目標としている建築家&インテリアデザイナーの横堀建築設計事務所の横堀さんとコマタさんだったと思って調べてみたら…、

第一号で紹介された建築家は、まさかの井上洋介さんでした!同年代で活躍している建築家としては、一方的に存じ上げてはおりましたが、当時は全く面識がありませんでした。最近は仲良くさせて貰っており、井上さんの近作の用賀の離れも見学させて貰い、僕らが設計した渋谷区Q邸の内覧会にも来てもらいました。玄人好みで、超硬派な本格建築家の井上さんが最初に取り上げられていたことは、本当に驚きでした…。

そして、こちらが勝手に第一号だと思っていた横堀さんとコマタさんは第2号でした。お二人のことは、まだ売れない建築家&インテリアデザイナー(失礼!)として赤坂の古いマンションに事務所があった頃から存じ上げておりました。それが久が原の住宅やフォレストテラス松濤のモデルルーム、そしてコシノジュンコ邸を設計した頃から「I’m home.」御用達の建築家になったかのような勢いで有名になってゆく姿を横目で見ていたことをよく記憶しております…。
全てのアーキテクト・ファイルを読み返していたら、仕事になりませんね。ただ、憧れだったこの特集に取り上げて貰えたことは本当に名誉だと思っております!

3種類の排水管の経路@渋谷区N邸

渋谷区N邸

新築マンションのLDKと玄関ホールのリノベーションプロジェクト、渋谷区N邸の解体工事が着工となりました。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

普通、解体工事の最中はガラ(ゴミのこと)が多く、釘や金属破片などが散らばっており危なく、見るべき箇所はあまりないので、解体工事の最中に現場には行かないようにしています。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

ただ、今回は天井裏のダクトルートと床下の排水管ルートの早期確認のために、解体が終わる前に我慢できずに(笑)現場に行ってしまいました。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

一番見たかった、床下の排水管の一部が見えています。こちらは元のトイレの便器からの汚水管(右側の太い管、し尿を含む管)とトイレ内の手洗いからの雑排水管(左側の細めの管)です。マンションの住戸専有部内には、3種類の排水管が通っています(厳密にいうとエアコンのドレイン排水管と、まれに専有部内を通っている雨水排水管を加えると5種類ですが…)。こちらの汚水管と雑排水管は部屋内では別の管ではありますが、室外のPS(パイプスペース)の竪管では合流します。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

玄関ホールに入って左側のリビングダイニング側が解体されているのですが、キッチンから流れてくる雑排水管が一部見えています。こちらのマンションのキッチンにはシンクの生ごみ処理機のディスポーザーが取り付くので、キッチンからの雑排水管は他の浴室や洗面からなど雑排水管とは合流しない、ディスポーザー系統雑排水管としてマンション地下のディスポーザ専用浄化槽へと直結する仕組みとなっています。

当初、デベロッパーに見せて貰った図面では、床下の配管図はこのようなものでした。この配管図に新しい間取りを重ねると、トイレの汚水管とキッチンからのディスポーザー系統雑排水管が交差してしまうので…、

ちょっと変形ではありますが、このようなルート取りをすれば解決できるのではと、担当の前田君が考えてくれていました。

しかし、デベロッパーへのリフォームの申請の際に、このようなメモ書きを先方からもらいました。当初僕らが貰っていた図面とは、排水管の大本となる部分からルートが違っていたので、最新の配管図を見せて貰ったところ…、

こちらが正しいものだということが分かりました。この図面が正しいとすると、キッチン系列に排水管を大回ししてもクロスなしで排水することはできません。情報が錯そうしていたので、早い時点で現場確認に行ったという次第です。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

空いている床から床下を覗き込んだところ、3本の排水管が並んでいることが分かりました(写真では2本のように見えますが、その奥に1本通っています)。また、区画貫通箇所はかなり低く設定されていたので、これであればうまくクロスさせることができそうです。

そしてこちらが、現場の情報を確認したうえで、前田君が作ってくれた排水管が交差する計画図です。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

その2週間後の現場です。すっかり解体された室内に、すでに設備工事屋さんが排水管を設置し始めていました。

緑色で丸をした2箇所で排水管がクロスしています。左下から流れてきてるキッチン系列の雑排水管が最初にトイレ手洗いからの雑排水管の上を交差し、その後直角に曲がってから、右上の柱奥から流れてきているトイレの汚水管の上をクロスしています。

向きが変わっていますが、真上から見た排水管がクロスする状況です。今回は床下の寸法に余裕があり、さらに区画貫通部の排水管位置が低かったので、無事クリアすることができましたが、少しヒヤリとしました。普通のマンションではリフォーム申請をしても、何のコメントもなく工事許可がおりることが一般的ですが、今回はデベロッパー側から排水についての指摘があり、そのことで排水管ルート図が違っていることが分かったという珍しいケースでした。きちんと図面を見てアドバイスをしてくれたデベロッパーの担当者に感謝です。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

キッチンからの排水管がきちんと勾配を取って配管されていることを一応確認させて貰いました。

解体工事中に確認すべき事柄について

新宿区T邸

お客さまのTさまご夫妻、施工会社・の片岡社長と現場担当の樋口さん、カガミ建築計画の設計担当の岸本さんと前田君、そして僕、各務が揃っての工事契約を済ませた新宿T邸、いよいよ解体工事から茶工となります。

まずは恒例(?)の記念撮影から。そしてわざわざ契約のために仮住まいから、来てくださっていたお客さまが帰られた後は…、

リノベーション工事後のビフォーアフターのための写真を撮影しておきます。

そして、ここからはそのちょうど2か月後の様子です。解体に際しては、まず最初に電気屋さんが来てエアコンや照明機器、インターフォンやコンセントなどの電気設備類を外していきます。電気屋のムラデンの担当は久しぶりに井上さんです。この部屋のこのアングルの写真だけを見ると、解体工事はあまり進んでいないように見えますが…、

同じ部屋の90度回転したアングルの写真ではここまで解体が迫っており…、

壁裏のプライベートルーム周辺はここまで解体が進んでいるのです!

天井裏に隠されていたダクト類も全てあらわになっています。

この写真でちょうど解体しているエリアが元の浴室や洗面所のエリアです。

ほぼ同じアングルのからの1時間後の様子です。天井裏の設備以外は、床も壁もLGS下地もほぼ解体されています。このエリアだけ先行して解体してもらったのには、実は訳があるのです。

オーダーユニットバスをお願いしてるヴェルデの立花さんの現地調査がこの日だったのです。

青の樋口さんが纏めてくれた大判の施工図とヴェルデのユニットバス図を比べながら…、

細かい寸法を実測しながら、床レベルの設定や排水ルートの確認、壁位置を確定していきます。

この作業のうち、一番面倒なのが排水勾配から床レベルを導き出すところです。立花さんだけでなく、ベテランのオーダーユニットパンの製作会社の方も応援に来て、洗面所の床とほぼフラットにできることを確認してくれました。

その後は、樋口さんと補助の池田さん、弊社設計担当の岸本さんと前田君と、現場定例打ち合わせに移っていきます。

工務店の青でも、会社設立の時から参画していた樋口さんは、とにかく事前に問題点を把握してタイミングよく質問してくれるので、前田君との相性も良く、岸本さんもとても勉強になっているようです。

皆が定例打合せをしている間に、気になった個所を僕、各務が撮影して回ります。この東京駅の路線図のような景色(笑)は、床下の給排水+電気の配管です。青が給水管、赤が給湯管、緑が床暖房やお風呂の自動給湯用ペアチューブ管、オレンジが電気配線用CD管で、太い灰色の管が排水管です。

写真左側の壁の裏、バルコニーに2台の給湯器がありますが、太い給水管が2本、赤と緑とオレンジ色の管が集まっているのが分かりますね。

部屋の中央に一つ残された小さな電話ブースのようなものは…、

以前の奥の部屋にあったシャワーブースです。新しく作り直すと、数百万円するシロモノなので、当初の設計では何とか残して再利用をと考えていましたが、このエリアにキッチンが来ることになったので、泣く泣く撤去することになっています。

解体時に確認しておくべきことの一つが、天井裏に隠されていた梁の貫通孔のサイズと位置です。この梁は奥に来るのがユーティリティーで天井高さもある程度下げる想定なので、それほど重要ではありませんが…、

このシャワーブースの上の梁はとても重要なのです。この梁の奥に新しいキッチンが来るので、レンジフードからの給排気をどのルートで通すのかを検討するうえで、最重要資料となるのです。今回はマンションの新築時の竣工図に梁のスリーブ(梁に事前に空けられた穴)の記載がありましたが、早い時点であまり信頼できないことが分かっていたので、特に重要なのです。結論から先に言うと、一番望ましい位置に大きなスリーブが空いていたので、レンジフードの給排気を天井を下げることなくうまく回すことができそうです。一応、スリーブが不足していた場合には、キッチンとダイニングの天井を一部下げてダクトを通すルートも想定していましたが、その必要がなくなりました。