Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

特注のベッドサイドテーブルの工夫

代々木上原I邸

代々木上原I邸のお客さまから、主寝室のベッド横のサイドテーブル(ナイトテーブルやナイトスタンドとも呼ばれます)を特注で作りたいとのご要望を頂きました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

ミニロボットのような可愛らしいプロポーションのサイドテーブルを2台デザインさせて頂きました。

オーダーのサイドテーブルを置く前の状態はこのように壁にニッチを作っただけの設えでした。実は当初の計画では、サイドテーブルを購入する予定で計画を進めていましたが、ベッドのヘッドボード造作の工事をお客さまのIさまが見学にいらっしゃった際に、折角の壁の厚みがあるので、そこに棚を作って貰えればサイドテーブルは不要なのではとのお話しがあって、このようにデザインになった経緯がありました。
その後実際に暮らしながら使ってみると、ベッドに横たわった状態ではニッチでは使いにくいとのことで、こちらのデザインにあったサイドテーブルを特注でデザインして欲しいとのお話しになりました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

まずはニッチの中にすっぽり差し込まれるタイプのサイドテーブルのアイデアを担当スタッフの神崎さんに図面がして貰いました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

その上で、神崎さんと造作家具をお願いしている現代製作所の藤田さんと三人でご自宅に伺って、大よそのサイズ感を確認して頂きました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

基本的な仕上げの材料はヘッドボードやすぐ横にある家具の仕上げと揃えることが決まっていましたが、サイドテーブルの上面に張るエコレザー(人工レザー)の色味だけをIさまと一緒に決めさせて頂きました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

オークのふき取り仕上げと、ライトグレー色のエコレザー、そしてカラーステン仕上げの取っ手の組み合わせとなりました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

造作用の図面作成と見積りのために藤田さんが現調をしてくれました。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

現代製作所が作ってくれた製作図に対して…、

オーダーのナイトテーブルの工夫

カガミ建築計画で真っ赤に注釈を入れて返した図面です。現代製作所は造作家具のプロですから、家具の作り方についてはどこにもケチをつける所はありませんが、僕らが書き加えたのは使い勝手を如何に良くするかの観点から赤チェックを書き加えました。
サイドテーブルの使い方としては、

  • 寝ている間にスマホを充電すること。
  • テレビリモコンややスタンド照明、寝る前のドリンク置き場
  • 読みかけの本や雑誌、読書時のめがね収納
  • 寝る際に使うアイマスクやヘッドホン、アクセサリー用の引き出し収納

といった用途でしょうか…。
中でも最も重要なのはスマホの充電ですね。

オーダーで作ったベッド横のサイドテーブルの工夫

以前はサイドテーブルの上面にコンセントを付けたこともありましたが、意外と刺したコンセントが目立ってカッコ悪く見えることもあったので、今回は壁のコンセントを延長してUSBタップをオープン棚に入れておくことにしました。

オーダーで作ったベッド横のサイドテーブル

製品としてはいたって簡単なものです。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

床付近の壁に元々あったコンセントからUSBタップのコンセントを伸ばして…、

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

収納背面を通して…、

オーダーで作ったベッド横のサイドテーブル

オープン棚の上部において置くというシンプルな構成です。横に空いている孔が…、

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

ベッド側のサイドに空いている孔となり、ここから事前にスマホの充電用のコードを差し込んで、垂らしておくという算段なのです。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

正面から見るとこのような作りですが、

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

脚は少し凹ませているので、ベッドの上からは浮いているように見えるようにデザインしています。ベッドは取り付け工事の際のホコリが載らないように養生されています。

オーダーで作ったベッド横のナイトテーブル

テーブル上面のスティッチ入りのエコレザーもきれいに収まっています。スマホやコンセント、ドリンク類を置いた時にもレザーのお陰で音もせず、使い勝手もとても良いとIさまに誉めて頂きました!

以下は、これまでにカガミ建築計画でオーダーで作ってきたベッドサイドテーブルを紹介いたします。

特注サイドテーブル

天板面をレザー張り面と少し凹んだトレー状の面を作って引き出しのほかに大き目の収納を作った事例でです。

元麻布I邸の特注サイドテーブル

少しクラシカルなデザインになるように正目から見た時に縁が回るようにデザインした元麻布I邸のナイトテーブルです。

中央区S邸の特注サイドテーブル

中央区S邸では、ベッドで簡単な食事ができるように引き出し引きトレーをサイドテーブルに仕込みました。荷重が前面に掛った際に傾かないように家具内で背面壁にシッカリと固定しています。

港区R邸の特注サイドテーブル

港区R邸のご主人さまの寝室サイドテーブルは、重厚な寝室インテリアに合わせて、大理石とシャム柿の突板を合わせた濃厚なデザインとしています。

渋谷M邸の特注サイドテーブル

渋谷M邸では、ベッドとヘッドボード、サイドテーブルと書斎テーブルまですべてが一体化するデザインとしています。

六本木N邸の特注サイドテーブル

特注のヘッドボードと一体型で、飛び出すようなデザインで作った六本木N邸のサイドテーブル(というよりサイドカウンターですね…)もコンパクトながら照明器具とコンセントとスイッチと引き出しを組み合わせたデザインとなっています。

造作家具の工場見学

関西I邸

関西I邸の工事をお願いしているK工務店から、来週以降組立てを開始する造作家具が自社工場に揃ってきたとの報告を受けて、検査を兼ねて工場見学に行って参りました。

関西I邸_造作家具の工場見学

元々が専業の造作家具工場だったというだけあって、大きな敷地に鉄骨の建物と倉庫が並ぶ中、関西I邸の箱もの家具が並べられていました。

関西I邸_造作家具の工場見学

色々な素材や色味の造作家具とオーダーの建具を組み立てて空間を作るのがカガミ建築計画の得意な手法なので、造作家具の量はかなり多くなります。

関西I邸_造作家具の工場見学

同じ家具の中でも、部位によって色味やツヤの指定が違うので、初めてのお付き合いの造作家具屋さんだと間違えてしまうことが多いのですが、今回は工務店自体が造作家具屋さんでもあるので、ザッとチェックしたところ間違いはなさそうでした。

造作家具の図面打合せ@関西I邸

工場で箱もの家具を作り始める前の段階から、このような施工図とそのチェックを3度ほど繰り返して、更に特に間違えやすそうな部分には赤丸を付けて打ち合わせをしてきたことで、ミスを最小限にしているのですが。

関西I邸_造作家具の工場見学

箱ものには、棚板もつきもので、メラミンでも色違いや、オープン棚では塗装仕上げの棚板もあるので、相当な量になります。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

さらに今回は特注の建具(扉)もK工務店酸にお願いしています。先日のブログ記事で一旦現場に収まっている建具をお見せしましたが、一度現場の枠に仮付けしてサイズ等で問題が無いことを確認してから、工場に持ち帰って塗装をしてくれているのです。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

引き戸の特注金物は2枚共通していますが、右側の扉はフラット仕様なのに対して、左側の扉は装飾用に溝を掘っています。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

こちらは装飾扉で鎌錠付きの建具です。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

玄関ホールからLDへの扉は、人工レザー張りとなっているので、色味も変わってきます。

冷蔵庫横のあの変則的な2連取っ手の建具もきちんと塗装されていました。

関西I邸_オーダー建具の工場見学

因みに塗装も自社工場で塗っているとのことで、塗装工場部分も見学させて貰いました。鏡面塗装までの精度は出せないそうですが、7分ツヤあり位までは自社工場で塗ることができるとのことでした。

関西I邸_造作家具の工場見学

さらに、テレビ下のAV収納のカラーガラス扉の細工や…、

関西I邸_造作家具の工場見学

元々お客さまが漏っていらしたウォールナットのテーブルをアレンジしてサイズアップした大テーブルを作る作業もお願いしているので…、

関西I邸_造作家具の工場見学

ウォールナット材と組み合わせる御影石の部品も確認させて貰いました。

ジュリアン・チチェスターの装飾鏡

代々木上原I邸

代々木上原I邸の装飾鏡にトラブルが発生しました。最終的には関係者のご尽力で解決しておりますが、まずはその顛末をブログに書いておきます。

マントルピースと装飾鏡とパネリングウォール

チェズニー(Chesney)のマントルピース上の装飾鏡はインテリアのセレクトショップのオーセンテリア経由でお願いした、イギリスのジュリアン・チチェスターのものです。因みにチェズニーのマントルピースもオーセンテリアさんにお世話になりました。

julian Ch

カタログ掲載の正規品のサイズは1070×1070ですが、それだと上図の右下サイズで明らかに大きすぎるので、オーセンテリアけーゆで900×900にビスポーク(特注)でお願いしました。

こちらは900角に拡大コピーしたものを台紙に張ったモックアップを現地に持って行った際の写真です。このようにして慎重にオーダーして届いた装飾鏡は当然無傷でとてもきれいで、Iさまも喜んで下さっていたのですが…。

納品後半年ほど経ったところでIさまからご連絡があり、鏡に割れがあるとのことでした。

装飾鏡の割れ

鏡部分に何カ所かの割れがあるとのことでした。すぐに弊社担当スタッフの神崎さんがIさまのお宅に伺ったところ、大小4つほどの割れのラインが入っているとのことでした。オーセンテリアの石黒社長にも現地に来て見て貰い、イギリス本国にも確認をしてみたところ、木背フレームと鏡の間に余裕がすくなく、湿度が高い日本の気候で木製フレームが伸び縮みしたことで鏡に負荷が掛かってヒビが入ったのではとのこと、交換して貰うことになりました。

ただ、単純に交換すると言っても、同じ作り方では同じようなトラブルが発生してしまうので、作り直して貰うに際して、オーセンテリア石黒さんと弊社の神崎さんで打ち合わせをした内容メモがこちらです(お客さまのIさまにもご説明するためのメモでもあります)。

Julian Chichesterの装飾ミラー

大変ながらくIさまには待って頂きましたが、ようやくイギリスから代替品が届きました。

ジュリアン・チチェスターのミラーの交換

右に置かれているものが割れた鏡で、左側が新しく届いた装飾鏡です。当たり前ながらそっくりですね!

本国との調整で、全ての目地部分をカットするとラインがガタガタになってグレード感が乏しくなってしまうとのこと、一番膨張リスクのある個所の鏡に最低限のカットを入れることで収めることとなりました。ここまでご迷惑をお掛けしましたが、このようにきれいで、エレガントな鏡が戻ってきたことで、Iさまも喜んで下さっています。石黒さまも粘り強く対応して下さったこと、本当に感謝しております。