Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

星型リベット付きの装飾鏡

乃木坂U邸

乃木坂U邸のリビングダイニングのマントルピース上に、星型のリベットを取り付けた装飾鏡を取り付けました。

装飾鏡のスタッズ

洋書のインテリア本や雑誌では、このような鏡に取り付ける装飾は珍しくありませんが、日本では鏡の専門会社に聞いても、探しても見つけることができず、仕方がなくオーダーで作ることになりました。

装飾鏡のスタッズ

こちらが洋書から見つけた鏡の装飾イメージです。鏡自体も少し錆びていて、独特の雰囲気がありますね。

装飾鏡のスタッズ

鏡の専門会社へのヒアリングやインターネットで色々と調べた結果、このための特別な建築部材は無いようで、ジーンズや洋服に取り付ける、リベットやスタッズで良いものを探せば良さそうなことが分かってきました。因みに、この写真の部材は共に星型ですが、左側が8ポイントスター(8点星)、右側が12ポイントスター(12点星)と呼ばれる形だそうです。

装飾鏡用リベット

こちらがネットで実際に購入してみたリベットたちです。お客さまのUさまに見てい頂いて、指さしている小柄で可愛い8点星を使ってみることになりました。

装飾鏡の下地

フレームは鏡に取り付けるのではなく、みはしのモールディング部材を四角い枠状に組み白く塗装し、その中に割り付けた鏡を取り付けて貰いました。

装飾鏡のスタッズ

洋書のイメージ写真のように、鏡同士の間を1ミリ隙間を開けて、その奥を黒く塗装しておいて貰い…、

装飾鏡のスタッズ

事前にリベットに取付け用の棒をハンダ付けして貰ったものを接着剤を付けて交点に差し込んで貰いました。

装飾鏡のスタッズ

本大理石製のマントルピースの存在感と比べると、星が小さすぎたのかも知れませんが、お客さまのUさまご夫妻はとても気に入ってくださいました。

装飾鏡のリベット

ちょっとした工夫と努力で、素敵な装飾鏡ができたこと、僕ら設計側もちょっと嬉しくなりました。

加工大理石のサルバトーリ張り

関西I邸

関西I邸では、ソファが対面しテレビを置く予定の大きな壁をアクセント壁とするために、大理石を加工したサルバトーリ(イタリア)の素材を張ることとなっています。その材料が届き、いよいよ張り始めるとのことで現場に竹田さんと行って参りました。

吹き抜けのあるメゾネットリノベーション

ちょうどベニヤ板張りのまま残っている、こちら正面の壁がサルバトーリ張りの壁となります。

加工大理石張りの壁

そして、こちらが現場で開梱されたサルバトーリの材料一式です。

関西I邸_壁加工大理石張り

前回他の現場で同じ素材を張った際には、付属の金物が思っていたイメージと違い、イタリアとやり取りをして特別に交換して貰ったことがあったので、今回は問題ないことをまずは確認させて貰いました。

加工大理石張りの壁

サルバトーリには色々なバリエーションがありますが、今回採用したのはTratti(トラッティ)というタイプで、短冊状の大理石と金属目地が交互に入ってくるデザインの素材です。大理石は表面に細かいスクラッチ傷をわざと入れたような風合いです。

加工大理石張りの壁

束になっているこちらが金属の目地棒です。

加工大理石張りの壁

張り方のマニュアルのようなものは一切ないので、普通に張ると大理石を張って、目地を差し込んで、また大理石をという順番になってゆくのですが、そうなると大理石の厚みと目地材の寸法の違いで、目地棒が大理石から出っ張ってきてしまうのです。今回は大理石の表面と目地棒をフラットに納めたいので、以前の現場で職人さんたちと工夫した時の知恵を思い出して、事前に大理石裏に両面テープで目地棒を借り固定してから、セットで一緒に張ってゆくようにお願いしました。

加工大理石張りの壁

厚めの両面テープを使うことで表面から見るとほぼフラットになるという算段です。

加工大理石張りの壁図面

僕ら設計側が描いた大理石張りの壁面展開図に対して…、

加工大理石張りの壁

現場側が施工図として描いてくれた図面がこちらです。

加工大理石張りの壁

まずは現場に高さを揃えるための水糸を張って、図面通りに張っていきます。

加工大理石張りの壁

こちらが壁端部の張り始めの位置です。ピンク色の水糸が良く見えますね。コーナーは左側の白いアングル金物の位置まで折り曲げて張って貰う予定です。

加工大理石張りの壁

接着剤は二液型のBD石貼りエースです。

加工大理石張りの壁

端部のディテールです。目地棒と大理石をセットにしていることで、フラットに仕上がっていることが良く分かりますね。

加工大理石張りの玄関ホール

実は、今回の石屋さんは事前に玄関ホールで違うタイプのサルバトーリの加工大理石を張って貰っているのです。横張のベニヤ板の上下に張って貰ったのが、Lithoverde(リートヴェルデ)というタイプの加工大理石です。

玄関ホール典型図

こちらがその玄関の展開図です。コンパクトなスペースですが、色々な素材が入り混じった複雑な納まりとなっています。
サルバトーリの加工大理石は、これまで幾度か採用したことがありますが、それらの事例を纏めたブログもありますので、どうぞご覧ください。

玄関からパントリー越しにキッチンまで通じる裏動線

玄関からパントリー側の展開立面です。色々なタイプの見切りで素材を見切ってゆくスタイルです。

大理石調タイル腰壁のトレイ

石屋さんとタイル屋さんは職種が違って、石屋さんはタイルはあまり扱わないそうですが、今回の石屋さんはタイル張りも上手だとのこと、こちらのトイレのタイルも張って貰ったそうです。

引き込み戸と特殊金物のディテール

タイルの出隅の納まり、そして引き込み扉の隙間との納まりも細かく設計した通りに収めてくれています。扉はまだ塗装前の状態ですが、仮吊り込みをして貰っています。カガミ建築計画お得意の特注引き込み扉用の金物も上手く作ってくれていますね。

引き戸と超特殊引き手金物

キッチンからパントリーへの引き込み戸の取っ手は、ダブルで引手がある変形スタイルです。

引き戸と超特殊引き手金物

この状態だとなぜこのようなデザインになったのかが、イマイチ分からないと思いますが、写真左側の隙間に冷蔵庫が入るのですが、冷蔵庫の扉の開き具合の関係から、冷蔵庫が壁から扉の厚みの分の7~8センチほど出っ張ってくるので、その分取っ手を差し込み口を逃げておくためにこのような変形デザインとなっているのです。

超特殊引き手金物図面

裏側のパントリー側からは普通に使えるような特注引手の施工図です。竹田さんが細かくチェックして考えてくれたディテールです。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

乃木坂U邸

一般的なシンプルモダンなマンションがネオ・クラシカルスタイルにリフォームで大変身しました。その乃木坂U邸のビフォーアフターを写真と各部屋の拡大図面で徹底的に解説していきます。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

同じアングルから撮影したビフォーとアフターに見えないくらい変わったリビングです。ビフォーアフター写真の右上の番号が部分拡大図面の番号と一致しています。

マンションのリビングダイニングキッチンリフォームのビフォーアフター徹底比較

リビングダイニングとキッチンと廊下だけを取り出して比較したビフォーアフターの詳細平面図です。緑色だった壁でとじられていたキッチンが対面カウンターのオープンキッチンになったこと、また、玄関から各個室のプライベートエリアに直接行けるようになっていた廊下(図面青い部分)をリビングダイニングと一体化させたこと、さらには玄関からリビングへの扉が開き戸だったものを壁の中に扉が消える引き込み戸に変えたことで、LDKが格段に広がったのが分りますね。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

ダイニングからキッチンを見返した写真ですが、オープンカウンターになったことで、空間の広がりが全く違ってきました。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

ダイニングの端っこからLDKすべてを見返したビフォーアフターの比較写真です。以前の壁が1.5~2.5メートルほどセットバックしています。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

判りにくいビフォーアフターの写真ですが、玄関と居室を繋いでいた廊下をLDに合体させたことが分かりますでしょうか?

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

同じ廊下を玄関側から見返した前後比較写真です。トイレや水回りのサイズを調整しているので、厳密には右側の壁は同じ位置ではありませんが、リビングダイニングが廊下巾80センチ+壁厚10センチの計90センチ分広がりました。

マンションの廊下リフォームのビフォーアフター徹底比較

LDK以外にもう一つ劇的に変わったのがプライベートの廊下部分です。かつては2つの個室の前を通る普通の廊下でしたが、個室のクローゼットをそのまま60センチほど移動することで、廊下にダブルボウルの洗面カウンターを作ったのです。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

ただの通り抜けるだけの空間に、素敵な通り抜け型の洗面カウンターができたのです。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

壁にも装飾とブラケット照明を加えて、ガラリと空間の装いを変えています。実はこのアイデアはカガミ建築計画ではよく使っているのですが、「洗面」と「脱衣&洗濯機置き場」の機能を分けることが鍵となるのです。先ほどの比較図面をよく見ると、以前は浴室前の空間が「洗面&脱衣&洗濯機置き場」でしたが、リフォーム後は洗面が廊下に移動したので、浴室前の空間は単なる「脱衣&洗濯機置き場」つまり「ユーティリティースペース」になっているのです。家族以外は使わないユーティリティーはシンプルに作り、来客もトイレ使用時に使う可能性のある洗面廊下には良い素材や照明などに費用をかけてネオ・クラシカルなデザインを施している訳です。

マンションの玄関リフォームのビフォーアフター徹底比較

最後はマイナーば部分ですが、収納や機能を重視してリフォームした玄関部分を説明します。収納まで含めると、リフォーム前後でそれほど広さは変わっていませんが、収納を増やすことができています。赤く記した部分がPS(パイプスペース)で、これはマンションの上下階を貫通している竪パイプなので、位置が変わっていません(というか変えることができません(パイプスペースがマンションの登記記録で専有部扱いになっていることを確認の上形状を変えています))。浴室の位置も変わっていませんが、洗面脱衣から洗面を移動した分ユーティリティーがコンパクトなっていること、またトイレの入り口の向きを変えて、かつトイレ内の手洗いを無くして廊下の洗面を使うことにしたことで水回りがコンパクトになり、その分玄関スペースの幅を増やしていることが判るでしょうか?
PSの横に壁面いっぱいの靴収納を設け、かつその反対側にコート掛けとベンチを設けています。

天井も折り上げ天井にしたことで、空間のボリュームもアップしています。かなり付加(フカ)されていた壁にも照明スイッチと絡めて鍵置き場を設けています。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

玄関のたたき部分は大理石柄のタイルをボーダー張りにしています。靴の脱ぎ履きや買い物かご置き場ともなる造作ベンチの下までタタキが伸びているので、靴を置くスペースも実質増えています。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較

玄関からリビングダイニングを見返したビフォーアフター写真です。空間を分断していた廊下がなくなったことで、玄関ホールにも明るいリビングからの光が差し込むようになりました。

以下は以前にもオーダーユニットバスのリフォームブログでも紹介していますが、洗い場床と浴槽まで交換した浴室のリフォーム前後です。

ユニットバスごとすべて交換すれば、工事自体は楽なのですが、コストはかなり掛かりますし、SDG’s的にもあまり好ましくありません。

ちょうど既存のユニットバスが日ポリ製品だったので、浴槽と洗い場を変えて、壁はタイル上張り、水栓金物類はすべて交換、照明もやり替えることで、ここまで劇的にリフォームすることができました。

マンションリフォームのビフォーアフター徹底比較_平面図

最後にマンションのお部屋全体のビフォーアフターの平面図を挙げておきます。