Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

塗装下地作り@乃木坂U邸

乃木坂U邸

モールディングやパネリングのデザインを多用した乃木坂U邸のリフォーム工事現場では、塗装下地作りの作業が進んでいます。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

リビングの顔をなる壁面に、木製のマントルピース型も出来てきました。その上の壁に現代アートのようなものが描かれているのは塗装下地のパテ跡となります。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

塗装下地の説明の前に、まずはマントルピースの下地の木組みを紹介しておきます。厚み25ミリの大理石を張り合わせて暖炉型を作るのですが、大理石を張るためにはこのような正確な形のベニヤ下地が必要になるのです。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

マントルピースの左右には本棚が来ますが、それらの本棚は巾木と同じ寸法の台輪が付くので、その台輪だけは巾木と一緒ん大工さんに作って貰いました。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

マントルピースと本棚の台輪の取り合いはこのようになっています。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

因みに、この巾木はずっと壁を回り込んでゆき、引き戸が収まる壁端部ではこのような納まりになり…、

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

窓際の部分では、このようにすっぱりと切断されたりしています。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

こちらが玄関ホールの壁と天井ですが、塗装下地のパテは、基本的には石膏ボードの継ぎ目と、石膏ボードを下地のLGAにビスで固定した際のビス後の部分をパテで扱いていく作業となります。通常の石膏ボードのサイズが910ミリ×1820ミリとなるので、横方向は910ミリピッチでパテのラインが入ってくることになります。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

こちらは、マントルピースのある壁の90度回転した側の壁となります。右に空いている開口が玄関で、左側(中央)がプライベートの廊下へ繋がる開口となります。こちら壁にもモールディングやケーシングが入っていますが、それらを避けながら下地の石膏ボードにパテが当てられています。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

因みにパネリングのための装飾材は接着剤と隠し釘でと石膏ボードに固定されています。塗装する際においては、木製のモールディングやパネリング材は艶のある塗料(OP)で、壁や天井の塗装は艶のない塗料(AEP)で塗装することになります。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

天井はこのように互い違いにボードが張られているので、パテ跡もアミダクジ状に見えてきます。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

モールディングを壁端部に回して、壁そのものは石膏ボードで組まれた部分は塗装の塗り分けが面倒になります。こちらは下がり天井のような形になっており、そこに吊り戸のレールが埋め込まれています。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

その壁の裏側にはライトコントロールスイッチ(調光のシーンコントローラー)が入ってくるので、壁の厚みも100ミリとして、ライコン用スイッチの孔が開けられています。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

キッチン部分は、PS(パイプスペース)が随分コンパクトになりました(パイプスペースがマンションの登記記録上で専有部になっていることを確認の上縮小しています)。下の配管だけ石膏ボード面より出っ張っていますが、キッチンキャビネットに隠れて見えなくなります。

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

廊下の壁も…、

モールディングとケーシングとパネリングの塗装

リビングの折り上げ天井の内部やモールディングを使った枠もパテ準備が進んでいます。ここから塗装作業に入ると、一気に仕上がり感が出てくるので今から楽しみにしております。

石膏ボード張り&パテ処理@六本木Y邸

六本木Y邸

ギャラリーのような生活感のない空間を目指してリフォーム工事進行中の六本木Y邸の現場の様子です。

石膏ボード張り@六本木Y邸

石膏ボード(別名プラスターボード)とは、石膏(プラスター)を主成分とした板素材の両面に特殊な板紙で挟んだ建築材料です。安価ながら軽量かつ頑丈で、そこそこの断熱・遮音性があり、壁や天井を張る下地材として今の建築にはなくてはならない基本の建材です。

石膏ボード張り@六本木Y邸

ギャラリーのような白い空間に仕上げるには、塗装仕上げか薄手のビニールクロス張りが候補として挙がっておりました。僕らとしては継ぎ目なくシームレスに白が続く塗装が良いのではと思っておりましたが、清潔好きなYさまの奥さまは水拭きできる素材が良いとのことで、白いクロス張りで進めることに決まりました。塗装仕上げの場合は、下地の石膏ボードは割れを防ぐために2重張りにするのですが、クロス仕上げの場合は1枚張りとなります。クロス屋さんが、石膏ボードの継ぎ目や、ビス孔をパテで均してくれています。折り上げ天井内の白い現代アートのような印(笑)がパテ処理の跡です。

パテ処理はクロス屋さんが行うもので、このパテ処理が上手だとクロスがきれいに張れると言われていますが、それと同じくらい、石膏ボード張りの技術が最後の仕上げ度合いを左右する重要な工程となります。この写真を見ても、石膏ボードぼ継ぎ目がきれいに繋がり、ビス孔もリズム良く並んでいるのが良く分かりますね。

石膏ボード張り@六本木Y邸

ボードが張られると、リノベーションで生まれた空間のサイズやプロポーションがしっかりと見えてきます。弊社担当の前田君(中央)が現場監督の神成さん(左)と話しているのが、キッチンエリアです。TOYOキッチンスタイルでお願いしたステンレス製のハードな仕上げのオープンキッチンです。

石膏ボード張り@六本木Y邸

そのキッチンは横から見た所です。キッチンの突き当りには、色選定打ち合わせの際に選んだメタリックブラックのキッチンパネルが張られています。
左側の袖壁には小さくて四角い開口が空いていますが、このすぐ裏に奥さまのワークスペースを組み込む際の明り取りとして開口を設けたものです。

石膏ボード張り@六本木Y邸

キッチン背面には、壁面全てを使って奥さまのワークスペースを組み込んだ収納を作ります。袖壁の端部に厚みが見えると、ギャラリーのようなシャープな空間を目指すには邪魔になるので、アルミのL字型アングル金物を使って、壁端部をスッキリ見せる工夫をしています。

担当スタッフで副所長の前田君が描いてくれたこの部分の詳細スケッチ(左)と、それを元に施工会社・リフォームキューの営業設計担当の坂本さんが起こしてくれた施工図(右)です。

石膏ボード張り@六本木Y邸

写真右側のキッチン横のPS(パイプスペース)の出っ張り部の側面にインターフォンや床暖、給湯器や照明スイッチ類を纏めています。

使い勝手として良いかどうかの判断はあったのですが、ギャラリーのような生活感を無くした空間にするためには、極力コンセントやスイッチといった壁に入ってくる要素を減らすことが重要だろうと考えて、このようなデザイン的な処理をしています。

石膏ボード張り@六本木Y邸

こちらは壁掛けテレビの背面壁の配線です。壁裏に穴を作って、単純にテレビからの配線を床置きのAVキャビネットの背面へと流す工夫です。この壁の裏が洗面とトイレなので、壁の中には断熱材を詰めているのですが、この部分だけはYさまにもご説明の上、断熱材を取り去ってツーツーとしております。

テレビと壁掛け金物、その他AV機器との接続を纏めたシートを前田君が作ってくれて、これでYさまのご承認を貰っております。

石膏ボード張り@六本木Y邸

玄関ホール、寝室側もボードが張られ、向かって右手の書斎の壁上からのハイサイド窓からの光の具合も確認できるようになりました。

FGボードで苦労して大工さんに作った貰った曲面壁も二層目が張り終わって、大分形が落ち着いてきました。

寝室と同じくらいの大きさのある収納量抜群のWICも空間の骨格が見えてきました。

石膏ボード張り@六本木Y邸

寝室の壁には、大工工事で本棚を壁いっぱいに作ります。厚みのある壁をLGS下地と石膏ボードで作って、ボードに棚柱(通称:ガチャレール)を取り付けて本棚化していきます。

最高級ウォークインクローゼット家具の組立て

代々木上原I邸

ヴィンテージのメゾネットマンションリノベーションの代々木上原I邸では、上階に大きなウォークインクローゼット(WIC)を設ける計画となっています。約20平米(12畳)の部屋の四周にクローゼット棚を設けて、中央に大きなガラス張りのアイランドカウンターを設けるというレイアウトです。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

まずは完成後のイメージから。イタリアの高級家具ブランド、B&Bイタリアバックステージというシステムを使った設計となっていますが、イタリアのハイブランドのファッションショップのような雰囲気になりました。

ウォークインクローゼットのビフォーアフター

左側がビフォー(天井が解体済みで床の仕上げ材も撤去された状態)で右側がリノベーション後のアフターの写真です。左手奥の柱型部分だけしか共通しているものがありませんね…。

計画中にB&Bイタリアが作ってくれたCGがこちらです。

イタリア製大型クローゼット家具の実測

まず既存の造作棚と壁を撤去して、天井が貼られて壁下地ができたところで、B&Bイタリアの担当者の大山さんに現地に来てもらい、実測してもらいました。当初設計側で指示した寸法図と違ったところがないかを確認する作業です。

イタリア製大型クローゼット家具の実測

大きな出来上がった白い空間に内部のウォークインクローゼット家具を組み上げるだけだと簡単なのですが、今回は扉や造作家具で覆われない部分の壁まで、B&Bイタリアの世界観で纏めようとしているので、扉枠との取り合いや高さまで厳密に実測打合せをしております。

最終形のプランはこちらで、B&Bに実測してもらった寸法を書き込んだ採取的な寸法図がこちらです。床のレベル(水平度)壁の矩(カネ・垂直度合い)や壁同士の平行の制度のこともあるので、どこで逃げ(バッファー・建築用語で誤差を吸収させる意)のフィラーを入れるかも考えた寸法図となっています。
すべての寸法を特注で作ることができるオーダーの造作家具であれば、後での調整も楽なのですが、ある程度の寸法システムがあって、さらにイタリアで事前に部材を揃えた上で発送してもらうのが外国製のシステム収納の難しいところで、今回はB&Bと事前に決めた寸法に基づいて壁を立てて貰うという逆算的な作り方となりました。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

現場にシステム収納の部材が届きました。ノックダウン方式(すべての材料を細かな部品と部材に分割し、現場への搬入を簡単にして、現場で組み立て・据え付けをする方式)というと欧州ではドイツが得意そうに思われますが…、

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

、高級家具ではイタリアが圧倒的で、工場で精密に作られた部材を特殊なオリジナル金物を組み合わせる方式は毎回見ごたえがあります。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

一つ一つの部材には、このような立体図が貼られており、この部材がどこに使われるものかが、初見でわかる仕組みになっているのも、細かいですが素晴らしいアイデアですね!紙の貼り付け方がちょっといい加減で剝がれそうなのが少々心配ですが…。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

ほぼ天井まで届くサイズのパネルが30枚以上並んでいますが、この立体図に従って、それぞれの壁面に並ばされています。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

最初に壁面み沿った背面パネルが固定され、床の台輪(黒い四角いフレーム)が置かれサイドパネルという流れで組み立てられます。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

床に置かれて真上から撮影した台輪がこちらです。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

代々木上原I邸の床は、マンションの管理規約の関係でフローリングにできなかったので、サイザル麻となっています。台輪は床にぴったりと固定されるのではなく、写真の銀色の丸いシリンダー状のアジャスターで少し浮いた状態で固定されます。少し浮いていることで、事前に配線しておいた電気の線が通せるようになっているのです。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

パネルが段々と組みあがってきた様子です。床だけでなく、天井にもパネルは固定されず、浮いているのが分りますね。仮に取り外すことになった場合でも床と天井に小手されていないので、きれいに外すことができるのがこのシステム家具のスゴイところなのです。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

廊下側から入って正面壁の中央部分だけ、背面パネルの色をオレンジ色にしてアクセントにしています。

B&Bイタリア側で用意してくれた施工用の展開図です。展開図の赤い部分に壁固定用の下地を入れてほしいとの依頼でした。また、巾木部分にコンセントをつけるので、どこから配線を出しておけばよいのかの指示も左側の平面図に記載されています。

イタリア製大型クローゼット家具のディテールて

電気の配線は本当に簡単で、延長コードを床上に転がしておくだけで、そこから先は低圧用のトランスを接続して、台輪下の間接照明へ繋げる形になっています。

イタリア製大型クローゼット家具のディテール

コーナーは二種類の納め方があり、柱型があった場所はこのようにサイドパネルを2枚組んでいます。通常はどちらかの収納ボックスを差し込む形となります。まだ組み立て途中ですが、間接照明を試しで点灯すると本当にきれいなのです!

イタリア製大型クローゼット家具のディテール

床付近を覗き込んだ写真では、台輪もサイドパネルも床から浮いていて、そこを間接照明が照らしているのが分ります。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

WICの中央に置くアイランドカウンター収納です。この上に引き出しとガラス製のカウンタートップが乗ります。

ガラストップのアイランドキャビネットは日本には初めて入ってくるものだとのこと、日本側もよくシステムが分っていなかったので、弊社の担当の神崎さんとB&Bイタリアの大山さんと本国で、何度も質疑のやり取りをして内容を確認してからの発注となりました。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

すべての部材の平行と垂直が担保されていないと、棚板の設置がきれいにできないので…、

イタリア製大型クローゼット家具のディテール

ある程度組みあがってからの矩(カネ)の調整がとにかく大変なのです。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

ようやすべての部材の矩の調整ができたところで、センターのアイランドカウンター設置です。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

丸2日の作業でここまで組みあがりました!間接照明とアイランドのガラス面がキラリと光って華やかでとてもきれいです。組みあがると、職人さんたちのここまでの苦労が昇華された気がするのです。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

アイランドカウンター上には建築工事でペンダント照明を吊るします。天井からの吊り下がりがきれいに見えるように多灯用のフランジを取り付けています。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

選んだペンダント照明器具はオルーチェのKIN(キン)(スタジオ・ノイ)でサイズ違いの4灯吊りです。取付時にはアイランドを外して、高さを確認するためにまた戻してと、地味ながら大変な作業なのです…。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

ちょうどアイランドカウンターの上で、歩いても当たらないエリアなので、思い切って低めに設定しました。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

建築工事で用意した建具のミラーも入って、完成したWICです!どのアングルから見ても、どこにもスキがない完璧なWICですが、やはり主役となる洋服がないと、主のいない宮殿を見ているような寂しさがあるのです…。

そんな時に、B&Bイタリアの大山さんから魅力的なご提案がありました。
B&BでもここまでのサイズのWICの施工事例はなかったので、B&Bがお付き合いのあるエルメネジルド・ゼニアから洋服や小物を借りて、洋服を入れた状態での撮影をさせて貰えないかとのお話でした。お客さまのIさまにご相談したところ、Iさまの洋服は黒が多く、洋服を入れた状態でも華やかな様子にならないので、ぜひ記念に撮影してくださいとのことになりました。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

お客さまのIさまにご相談したところ、Iさまの洋服は黒が多く、洋服を入れた状態でも華やかな様子にならないので、ぜひ記念に撮影してくださいとのことになりました。
運び込まれた洋服や小物を、やはりB&Bで用意してくれたハンガーに掛けてスタイリングしてくれている様子です。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

ガラス張りのアイランドカウンターは内部までよく見えるので、ネクタイやスカーフまできれいに飾ってくれています。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

洋服・小物入りで撮影させて頂いたWIC写真がこちらです。中央のアクセントのオレンジ色が効いています。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

右端と左端は姿見用の鏡張り建具なので、向こうまでWICが繋がっているような錯覚を覚えますね。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

アイランドカウンターも透明感があって素敵です。お客さまのIさまも、どのように洋服を収納したらきれいに見えるかの参考になると喜んでくださいました。

ちなみに、こちらは当初に計画していた、今よりもサイズが1.5倍ほど大きいWICのレイアウトプランです。アイランドカウンターとアイランドクローゼットがある約30平米(18畳)のWIC案でした。

隣接したオープンなシューズインクローゼット(SIC)とも繋がった本当に大きな案でしたが、窓際にはご主人さまの趣味室を作ることが最後に決まって、この案は残念ながらボツとなってしまいました…。

以下はその他の弊社で設計デザインを手がけた大型ウォークイン・クローゼットの実例ブログです。
男女別の造作ウォークインクローゼット@六本木N邸
ポロ(イタリア)社で組んだウォークインクローゼット@渋谷区Q邸
ポリフォーム(イタリア)で組んだウォークスルークローゼット@渋谷R邸