代々木上原I邸の現場では、装飾扉枠であるケーシングの取付けが始まっています。
枠自体には装飾はほとんど施されていませんが、厚み20ミリ、幅100ミリの白く塗装されたカッチリとしたケーシングが回っています。左側の枠の扉は開き戸で、右側の床が一段上がっている洗面所に取り付く扉は引き戸になります。それでもケーシング枠は同じに見えるように工夫をしています。
ケーシングは壁と扉を明確に分ける要素です。床と壁を分ける巾木と同じ色味で壁を一回りしていきます。モダン建築では、壁と扉を一体化させることも多くありますが、クラシカルな要素のケーシングを使うと、扉自体を引き立ててくれるのです。大きな壁の中央にケーシング付きの扉が付く場合は、本当にシンプルな納まりになりますが、廊下の幅が限られた中でのケーシングは色々な工夫をしないと扉がケーシング分だけ狭くなってしまうのです。
洗面所側から見た、同じ2本の建具のケーシング枠です。因みに右側の白く見える枠は、浴室のステンレス枠で、白いのは養生用のシートです。
扉の高さが変わってくると、当然ケーシング枠の取り付け位置も変わってきますが、同じ寸法のケーシング枠を使って、扉の装飾のバランスをとるときれいに見えるのです。
因みにケーシング枠は壁のボードより先に施工します。建具枠一般的なことですが、枠が出来てからようやく石膏ボードを張ることができるのです。既製品の扉ではシンプルな枠が付いてくるセットとなっていますが、複雑なケーシング枠を作る場合は造作家具より先行してケーシング枠のディテールを納める必要があるのです。
上階の寝室では、壁の装飾パネル作りも進んでいました。
パネル壁装飾と言っても、実際にパネル状のものを壁に貼り付けるのではありません。昔は建具のようにパネルを作って、それを壁に貼り付けていたようですが、今は壁と一体型で見せたいので、壁にモールディングを取り付けてから塗装したり、今回は逆に壁の一部を凹ませてパネル状に見せるデザインとしています。
凹ませる部分をどう作るのかは、色々な選択肢があります。簡単に作る場合はフクビ等のプラスチック製の見切り材を入れるだけでもできますが、プラスチック部分への塗装の載りが悪いので、今回はユニットバスの枠などによく使われるカイダー材を使っています。硬質合成樹脂製のカイダー材は耐水性に優れ、結露対策にも効果的、木のように加工施工が簡単だという性質があります。
塗装下地用のパテで隙間をボードとカイダー枠の隙間を埋めてフラットにして、白く塗装します。
こちらが仕上がった壁の様子です。通常の少し出っ張ったモールディングを使ったパネル壁に比べると、モダンに仕上がってきます。壁面にキャビネットを置いたり、アートを掛けたりする場合に出っ張りがないので使いやすいというメリットもあるのです。
先日ご紹介したマントルピースを設置した壁は、家具を寄せて設置することは無いので、通常の出っ張ったパネル壁の作りとしています。
ミハシの木製サンメント12×21のモールディングをボード壁に接着したものとなります。
こちらは塗装で仕上げると、このような風情になります。
壁と天井の見切り材でもあるモールディングの加工も始まっています。モールディングは日本の装飾部材のトップメーカーであるみはしの既製品を使っています。コーナー部分のトメ加工(45度に切ってすり合わせる加工)のためにガイド付きのスライド丸鋸を大工の矢野さんが用意してくれています。
長物の巾木材や、階段下の扉用の無目(ムメ:溝のついてないフラットな木製材)の枠材や巾木材も現場に入っており、順次加工されて取り付けられていく段取りとなっています。
メゾネットの下階のこちらは、キッチン周りのカーブ壁です。養生材でほとんど隠れていますが、水でぬらすと曲げることができるFGボードで加工されたカーブ壁の下地が出来ています。正面壁も木製下地が入っている個所には、マンションのインターフォンや照明スイッチが入るボックスが仕込まれる下地です。
カガミ建築計画としては珍しい在来工法での浴室はコンクリートブロックの下地が出来ていました。
こちらは担当スタッフの神崎さんが、施工をお願いしてる青の初台の事務所に行って、納品されたボッチのガラスシェード:28シリーズの照明器具の検品に立ち合ってきた様子です。
全て手吹きのガラスなので、細かい気泡等は個性として捉えることができますが、割れやヒビが無いかを手袋をつけて全品確認してきてくれました。
こちらはボッチと同じスタジオ・ノイが扱っているオルーチェというブランドのキンというペンダント照明のシェードです。ウォークイン・クローゼットのアイランドカウンターの上部に取り付ける予定です。
大小4つのペンダント照明を、高さと位置を違えて吊るす予定で、そのためのベース部材もオルーチェから取り寄せています。