Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

赤坂W邸ビフォーアフター

赤坂W邸

ブログでは設計や工事途中のプロセスをご紹介してこなかった赤坂W邸のビフォーアフターの写真を紹介させて頂きます。カガミ建築計画のOBスタッフである後藤さんとご主人の関さんが主宰するハク・アーキテクツ・スタジオとの共同設計プロジェクトです。

青山W邸ビフォーアフター

元々ご両親が住んでいたお部屋を、今回のお客さまであるWさまご夫妻が受け継ぐことになり、子育て世代のライフスタイルに合わせた全面リノベーションのお手伝いをさせて頂きました。

青山W邸ビフォーアフター

グレージュカラーをベースに石目模様や真鍮などをアクセントとしたモダンクラシックテイストの静かな空間デザインとなっております。写真は、まだお引渡し直後で家具や調度品が揃っていない段階での写真です。

青山W邸ビフォーアフター

リビングダイニングは、家族が集いやすい広さを確保し、オープンキッチンからダイニング、リビングと繋がる一室空間と合っています。キッチン本体とカウンター等の造作家具を統一したデザインとして、置き家具も色や素材のトーンを合わせてコーディネートしています。

青山W邸ビフォーアフター

今回のプロジェクトは、ちょうどタイミング的に弊社事務所のスタッフが忙しい時期と重なってしまったので、特別に普段から仲良くさせて貰っているハク・アーキテクツ・スタジオさんに声を掛けて共同で設計とさせて頂いた次第です。実は解体工事が終わった段階で、コロナのことで工事を中断せざるを得ないことになり、丸一年の中断後にプラン変更を行ってから工事を再開したという長いプロセスを経ての計画となりました。
共同設計と言っても、僕、各務は間取りやインテリアのデザインアドバイスが中心で、図面作成や現場の工事監理はほぼ全てハクのお二人にお願いした形となっております。施工はカガミ建築計画とも幾つかプロジェクトでお付き合いがあるプレステージプランニングさんにお願いしました。

キッチンはお料理大好きで、収納にも強いこだわりがある奥さまと一緒に考えに考え抜いて作ったものです。食材の搬出入をしやすいように玄関とダイニングからの動線を配慮し、家事をしながら子供の勉強を見ることができるようにダイニング側のカウンターを広くしています。オーダーキッチンのアルノさんにお願いして作って貰ったキッチンです。

変形の洗面スペースは、個室とはせず廊下の一角に設け、複数人で同時に手洗いや身だしなみを整えやすくしています。洗面とは別に洗濯乾燥機のある脱衣コーナーを作っています。

浴室はTOTOのハーフユニットバスの上部に大理石柄のタイルを張って、コストパフォーマンス良くグレード感のある浴室をデザインすることができました。

こちらは、リビングの奥に設けたミニ書斎です。お子さまたちがリビングから少し隔離された場所で読書したり、パソコンを見たりする場所として作りました。アーチ形の開口部と背面壁に張った本棚柄のクロスで独特の可愛らしい空間に仕上がりました。

ダイニングテーブルは、フィアンドレのセラミックタイルを使って、ハクの関さんがオリジナルデザインでアルノに作って貰ったものです。ダイニングチェアは藤栄のVIENNAシリーズの家具で、ダイニング上のペンダントはMoooi(モーイー)の可憐なデザインのものです。
上記写真の全てが、ハクの関さんが撮影してくれたものです。プロジェクトについてはハクのAOハウスのページにてより詳しく説明してくれています。

二層吹き抜けのペンダント照明吊り込み

ザ・ライブラリー

TAGKENとのリノベ共同ブランド、ザ・ライブラリーの紹介ブログです。
先日のブログ記事で、マンションリノベで「なかなか二層吹き抜けを作ることができません」と書いたばかりなのに、ザ・ライブラリーで取り組んでいる中央区の高層マンションのメゾネット住戸では大きな吹き抜けがあります。この吹き抜けには多灯のペンダント照明器具を吊り込むことになっています。

こちらが工事前にザ・ライブラリーで作った吹き抜けのペンダント照明のイメージCGです。ペンダント照明は、トムディクソンのメルトです。歪んだガラスが有機的で不思議な世界を演出する、単なる照明を超えた空間オブジェのような器具です。

上部には円盤状のディスクがあり、そこから個別の照明が吊るされるのですが、その高さはオーダーでどのようにでもできるものとなっています。ただ、今回のように大きな吹き抜け上部から吊るす場合は、一度吊るしてしまうと、その後の高さ調整を簡単にすることができません。

そこで下階から見上げたCGだけでなく、吹き抜け階段を上がった上階から見下ろしたアングルのCGも作って、ペンダントの高さをSさまに確認して頂きました。これもCGならではの方法ですね。
事前に高さ設定を決め、トムディクソン社にワイヤーの長さを指定して現場に納品して貰い、いよいよ吊り込み作業です。

吹き抜け天井作業用の足場

吹き抜けにこのような大きな櫓(ヤグラ)を単管足場で組みます。
以下は、ザ・ライブラリーブログをご覧ください。

マンション二層吹き抜け天井のデザイン

関西I邸

マンションリフォーム&リノベーションでは、元々がメゾネット住宅(上下階を階段で繋ぐ住宅)でない限り、中々二層吹き抜けを作ることができません。二層吹き抜けや高い天井は、戸建て住宅ならではの贅沢と考えていましたが、関西I邸はマンション最上階住戸で、天井裏に隠れていたスペースを取り込むことで、二層吹き抜けとほぼ同様の高い天井を実現することができました。

約60平米(36畳)の広さのLDKに対して、最大で3.8mの高さの勾配天井のおおらかな空間を実現することができました!

ほぼ同じアングルからのリノベーション前の空間と比べると、平面的な広さもですが、それ以上に立体的な空間の広がりに驚くばかりです。

弊社副所長で、I邸プロジェクトの担当の竹田さんの立ち姿が入ると、空間の大きさがより良く分かります。空中に吊られたような箱状のものは、元からあるロフト収納です。

掃き出し窓側からダイニングキッチン側を見返した写真です。当初はキッチン上は低い天井でデザインしていましたが、折角の高天井を伸ばすことができるのだからと、Iさまに追加金額の了承を得たうえで広げさせてもらいました。

この様子を見に来てくださったIさまも、予算追加になったが、キッチン上まで傾斜天井が伸びてきて、やはり良かったと喜んで下さいました。

キッチン中央に立って、パントリー側を見返すと、2枚の引き戸を経て、玄関ホールまで一直線に動線が繋がり、その直上に屋根裏収納の空気抜きの窓が開く、如何にも空気の抜けが良さそうな空間になりました。

設計の中途段階で、こちらの図面、LDKの展開図をIさまにお見せした時に、「どんなふうに仕上がるのか想像するのが難しい…」と仰っていたことが思い出されます。

傾斜天井部分は、不燃仕様のウォールナット突板の木製ルーバーで仕上げていますが、これは当初から二層吹き抜けの傾斜天井が実現できるのなら、是非木製ルーバーでとのご主人さまのご意向でした。

これだけの大きな面積の傾斜天井を木製ルーバーで仕上げた経験はなかったので、弊社設計担当の竹田さんと工務店の現場監督のHさんが何度も図面のやり取りをしながらデザインを進めてくれました。
竹田さんがデザインを示した図面を提示し…、

Hさんが現場で工事をしながら実寸を確認し、施工図に仕上げてくれたのがこちらです。

濃灰色に塗装した鉄骨張りの上に、直行するような黒いボックスには、ダイニングの大型ペンダント照明を吊るし、かつトラックライトを入れる照明ボックスとなっています。ダウンライトのための孔も、木製ルーバーをどのようなピッチでカットするか、綿密に検討致しました。ダウンライトの孔から赤いものが見えていますが、これは電気配線です。

実は高天井はLDKだけでなく、主寝室にも設けることができました。二層吹き抜けほどの迫力はありませんが、通常のお部屋よりかなり天井が高くなりました。

こちらが主寝室の展開図です。解体前に、理論的にこうなっているハズだと竹田さんが書いてくれた図面ですが、実際には3次元的に天井を捻ると、仕上げ工事も面倒になるので、簡略化した形の天井となりました。

めったに設計することができない、二層吹き抜けの高天井の関西I邸、ここからどのように仕上がってゆくのか、設計者としてもとても楽しみです。