Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ステンレスのウレタンカラー真鍮色仕上げ

代々木上原I邸

最近、真鍮(しんちゅう・ブラス)をアクセントに使ったインテリアをご希望の方が増えていますが、真鍮を使った場合の問題は、使っていると錆びてくることです。取っ手などの場合は手や指の汗、触らない場所でも空気中の湿気でうっすらと錆が浮いてきます。ピカールのような研磨剤入り乳化性液状金属磨きを使えば、比較的簡単に錆は取れますし、錆を経年変化だと理解して喜んで下さる方は問題ありませんが、そういったことは面倒だとい方には、ステンレスにウレタンカラーを掛けて真鍮色に近い色の金属を作ることができます。

ステンレスのウレタンカラー真鍮色仕上げ

この写真の左右の金属板、右が真鍮の磨き仕上げ、左が真鍮のバイブレーション仕上げに見えますが、実は共にステンレスにカラーラッカーで仕上げたものなのです。

ステンレスのウレタンカラー真鍮色仕上げ

斜めから見ると、このようになります。カラーステンした後、傷が付きにくいようにウレタンのクリアコートを掛けているので、完全な磨きのようにはなっていませんね…。でもさびが発生せず、扱いが容易なのは魅力的です。

ステンレスのウレタンカラー真鍮色仕上げ

代々木上原I邸では、扉の取っ手や2種類の違った素材の見切り材などで真鍮色カラーのバイブレーション仕上げを使う予定なので、造作家具の現代製作所の藤田さんにサンプルを作って貰っています。

ステンレスのウレタンカラー真鍮色仕上げ

廊下からLDKに入るデザイン扉では、二種類のファブリックと木突板に真鍮色カラーを使うので、その色味のマッチングを確認するためのサンプルです。

ステンレスを真鍮色にカラー仕上げ

こちらの写真は確認後3週間後の物ですが、壁にスイッチを仕込むための見切り材をステンレスの真鍮カラーで組み上げている様子です。

最終的に仕上がった、お引き渡し時の様子がこちらです。壁の見切り材は写真ではほとんど目立たない存在ですが、一緒に見えてくる建具の取っ手と繋がってくることで、精度が高く仕上がっていることが分かるでしょうか…。

ペントハウス吹き抜けの解体状況確認

関西I邸

いよいよ関西I邸の解体工事が始まりました。まずは先行して詳細を決めて発注をしてゆく必要があるオーダーユニットバスのサイズ決定をする必要があるので、浴室部分から解体を始めて貰っています。

これまで天井高さ2.4メートル(折り上げ上部)だった空間の天井を取り去ったことで、傾斜天井に沿って約4メートルの高さの空間が現れました!
解体前は、この写真の銀色のダクトの下に天井があったのですから、その上に隠れていた空間の大きさには驚かされますね。

天井の高さをどのように活かすかでワクワクするところですが、当日はオーダーユニットバスをお願いしている東京バススタイルの眞柄さんがわざわざ東京から現地に来てくれていたので、まずは浴室部分の打合せからとなります。

浴室の床レベルの設定に於いては、ダウンスラブ(水回りの部分だけ床コンクリートスラブが一段下がっている)の高さとこの写真にある排水竪管の横引き管のフランジ位置が重要になってくるのです(実際にはもう一点、浴室床から浴槽のマタギ寸法も重要になります)。

当然ながらお客さまからは、できれば浴室床を洗面や他の床と同レベルでフラットにして欲しいとのご要望は頂いておりましたが、既存図面からの計算では、最大で10センチほどになるのではと設計していましたが、眞柄さん、現場監督のHさんと弊社担当スタッフの竹田さんとの打ち合わせで5.5センチの段差で行けることが分かりました。

もう一つ、この壁に沿った配管のうち、奥の配管が途中で曲がっているのですが、この曲がった個所がクセモノで、新しく設ける浴室の天井付近に絡んでくる位置であることが分かり、浴室内に梁欠きを作ることになりそうです。

梁欠きと言っても、ちょっと分かりにくいので、こちらの資料は事務所に戻ってから竹田さんが作ってくれたお客さまへの説明用の資料です。

お風呂については、問題点の整理ができたので、現場監督のHさんと斜め天井のあるマンションのベントハウスの特徴でもある、吹き抜け部分のデザイン的な処理のことを相談しました。

白い箱が空中に浮かんでいるように見えるのは、天井裏のロフト収納への折り畳み式階段です。2つの住戸それぞれにロフト収納がありますが、先行解体したこちらの部屋のロフト階段は位置も向きもそのまま再利用致します。

子ども部屋を2室設ける南側のエリアも中央を走るダクトを整理すれば、天井高さかなり高くすることができそうです。

天井の勾配に合わせて、ダウンライトの据付寸法を考えながら、暫定的な天井高さを決めました。

かつての天井裏を走っていたダクト、配管、電気配線のそれぞれの意味を理解した上で整理することで、きれいな空間を作ることができそうです。

主寝室部分も頑張れば変形ではありますが、天井高さをそれなりに上げることができそうです。

解体して分かったことの一つが、竪館が通っていると考えていたPS(パイプスペース)が給水と給湯菅を通しているだけの専有部だったことです。マンション共用部に当たる排水管や通気管等の竪管は動かせないので、このエリアに計画していたトイレが窮屈な寸法でしたが、給水給湯管は専有部で自由に動かせるので、余裕のあるトイレを作ることができるようになりました。

隣室の解体はまだそれほど進んでいませんが…、

キッチンは撤去されて、排水管の流れが見えてきました。かつてのキッチンは床が一段あがっていたのでさか、排水管の位置を工夫することでフラット床のキッチンにすることができることを確認することができました。

こちらの住戸の玄関エリアの解体状況です。こちらは、今の計画だとロフト階段の位置があまり良くないので、位置を変えるか向きを変えるかして、何とか使い勝手の良さと空間のデザイン性を両立させたいと、担当スタッフの竹田さんと考えております。ただ、まだ判断をするための材料が出揃っていないので、解体が進むのを待つしか無さそうです。

こちらの資料はお客さまに解体状況をご説明するために後日作ったものです。天井の高さを上げると仕上げをする範囲が増えたり、照明計画も作り直す必要があるので、施工金額ご上がってきます。次回のお客さまも一緒の現場解体状況確認時までに追加金額をお示しするために工務店に追加見積もりの作業も進めて貰うことになりました。

設計&施主検査@渋谷R邸

渋谷R邸

高層マンションのエッジが効いたシャープなインテリアデザインの渋谷R邸の設計検査と施主検査を同時に行いました。

渋谷R邸では、僕らはデザインアドバイス(設計までで施工監理は行わないスタイル)でのお手伝いでしたので、本来であれば設計者側の検査は行わないのですが、このブログへの記事掲載と完成後の竣工写真の掲載をご了承くださる特約で工事中も定期的に施主代理としてチェックをして、検査にも立ち会うお約束となっておりました。

同じマンション内に元々暮らしていらっしゃったRさまご夫妻は、頻繁に現場にも覗きに来てくださっていたので、ビフォーとアフターを見比べての驚きはなかったようですが、それでもシャープでエッジが効いたデザインにはとてもご満足して下さっているようでした。

こちらの大理石は、Rさまご自身が岐阜県の関ヶ原石材にまで足を運んで選んでくださったものです。

日程的に検査となってしまいましたが、現場はまだ施工中で完成一歩手前の状況でした…。

新しくご購入する大型テレビの壁掛け金物や、発注と納品のタイミング等について、設計施工で工事をお願いしたプレステージプランニングの松永さんとRさまで直接やり取りをしてくれています。弊社設計担当の前田君も色々とアドバイスをしておりますが、最終的な取り決めは施主と施工者で直にお願いするのがデザインアドバイスの進め方となります。

大きな壁面AVボードの右端には、このような収納が設けられています。扉付きの収納と扉無しで照明付きの飾り棚収納、更にはその下にお掃除ロボのルンバの基地も設けています。床の仕上げが変わっていますが、AV収納の部分だけは廊下からの大理石調タイルが続いています。
因みに、これらの造作家具はRさまの以前からのお知り合いとのことで、Glaughtureの大内さんにお願いしたものです。

人がいない状態でAVボード壁を見ると、このようになっています。一つの大きな木製フレームで枠取った中に、造作家具とタイル壁を組み込み、中央に大型の壁付けテレビを設置することになります。右側には、廊下からの扉が取り付きます。

養生を剥がしてレザー張りの扉を閉めた様子です。左側の木製フレームAVボード壁と鏡面ステンレスの小壁で見切られているのが判るでしょうか?

AVボード壁に直行したブラックキッチンの様子です。ここまで大きくて黒いキッチンは初めて設計しましたが、とにかくシャープで締まっていて、カッコ良いのです!

窓側から見ると、このようになっています。アイランドキッチンの内側は手を抜いても良い部分なのですが、ここまで塗装で仕上げて貰っています。ミーレの食洗器だけは、コロナと戦争のことで新品が手に入らないので、以前こちらの部屋で使われていた白いパネル付きの食洗器を転用しています。

現場で接着した大判タイルのコーナーの仕上がり具合もとても良く、現場で作業したのか、工場で溶接したのか分からないほど精密に仕上がっていました。

背面収納の一部は扉を再度に収納できるシステムを使ってバーコーナーを設けています。

検査で一番喜んで下さったのが、こちらのオーダーメイドのサウナです。まずは担当の前田君が入って…、

次に、身長186センチの僕、各務が寝転がってみて(天井のスプリンクラーを撮影しています)…、

最後にRさまご夫妻に入って頂きました。皆が見ている前で入るのを最初は遠慮なさっていましたが、一旦サウナに入ったら、お二人でこれからの暮らしのことを想像しながら、しばらく籠ってお話しをしていらっしゃいました。

こちらはサウナの手前の洗面所です。当初は浴室やサウナのサイズに追いやられて、ワンボウルタイプにするかまで悩んだシンクですが、最終的には解体後の寸法確認までお手伝いすることで、このようなツーボウルでも余裕の広々とした洗面所に仕上がりました。

ウクライナの戦争のことで、イタリアからの船便が遅れてお引渡しに間に合うか分からない状態だったポリフォーム(イタリア)のウォークインクローゼットの部品が、無事日本に届き組立てが始まっていました。

ここまで頑張ってくれたアクタス社の弊社担当の三上さんとポリフォルムの組立ての専門チームの方々です。ギリギリお引渡しに回わせることができるとのことでした。

こちらの写真は、ほぼ仕上がった来客用のトイレです。工事が煤でいる最中での検査だったので、検査しきれない場所が多く、Rさまご夫妻には申し訳ありませんでしたが、コロナや戦争のことで納期がひっ迫していた状態も良くご理解下さっていたので、現場側が頑張って何とか仕上げようとしている姿勢を評価して下さりました。

来週からは仕上がっている部分からお引越しが始まることになりそうで、竣工写真を撮影するタイミングがなさそうなので、取り急ぎ仕上がっている部分は、写真に写る範囲だけを片付けて、何枚か撮影させて頂きました。それにしても、シャープでカッコよい空間に仕上がりました!