290平米の大型マンションリノベーションの文京区S邸ですが、設計デザインが煮詰まる前にお客さまのご了承を得て、施工会社として内定した青の片岡社長と現場監督候補の石坂さんと一緒に設備調査に伺ってきました。
設備調査とは書きましたが、実は設備と絡んでくる床下のダウンスラブの範囲を確認することの方が第一目的でした。マンション竣工時の図面で、このお部屋の床伏図が2枚あって、どちらが正しいかが分からないので、出来得る限り今回の現調で確認したいと思っています。
本当は部分解体調査を行いたいくらいなのですが、そのためにはマンション管理組合の了承を得る必要がありそうでしたので、大きな音が出ない方法で色々と調べさせて頂きました。こちらは洗面したの引き出しを抜いた下にある点検口の確認です。
現場監督の石坂さんに潜り込んで貰い、カメラの写真だとどこを切り取っているのかすぐに判らなかくなってしまうので、携帯の動画で排水管ルートとダウンスラブの範囲を調べて貰っている様子です。
洗濯乾燥機がかつておかれていたユーティリティー部分は、給水の立上りとパーティクルボードの隙間から金尺(カナジャク)を差し込んで、確かにダウンスラブになっていることが確認できました。
一番厄介だったのが、この部屋の床下です。こちらがどうなっているかによって、水回りの床に段差ができてしまうかどうかが分かれてしまうのですが、床は全面タイル張りで剥がす訳には行かないので…、
壁のコンセントプレートを外して、壁裏にあるスイッチボックスの隙間から針金を差し込んでスラブの位置を調べようとしている様子です。部屋中のコンセントを外して調べてみましたが、残念ながらこちらの床下はダウンスラブにはなっていないようでした。そうなると、リフォーム案にも段差が生じてしまうので、お客さまの考え方も変わってきそうです。
ガス屋さんにも来てもらったので、ベランダの柵を開けて給湯器の型式と配管の本数を調べて貰いました。
床暖房や浴室の自動給湯のためのペアチューブの本数や、壁に空いている孔のサイズと個数も分かる範囲で確認して貰いました。
給湯器の下にある四角い箱状のものは、後付けタイプの即湯(ソクトウ)ユニット(即出湯ユニットと呼ばれることもあります)です。「即湯ユニット」とはあまり聞きなれない単語ですが、特に大型高級住戸では良く採用される機械なのです。給湯機から少し離れた位置の水栓蛇口をひねった時に、お湯が出るまでに数秒かかることがあると思います。そのストレスを解消するための機械で、これを導入すると、(理論的には)家中のどこの給湯栓でもシャワーでも即時に暖かいお湯がを出せることになるのです。ただ、この設備を入れればよいだけでなく、床下に流れる全ての給湯管をループ状(循環用配管)に組む必要があるのと、お湯を使わない時にも床下のループ管にお湯が流れ続けるので、エコ的には問題が無いとは言えませんが(リモコンスイッチで即湯を使わない時間を切ることもできますし、予約タイマー設定もあります)。
ただ、こちらのお宅の給湯配管を調べてみると、給湯器から給湯ヘッダーまでの部分にループを組んでいるだけで、そこから先はスター配管(単純に枝分かれする配管)となっているので、あまり効果が無いようです。新しい計画では、全ての給湯栓のカ所までループを組む計画で考えています(洗面カウンター下に小型の電気温水器を設置する際にも、これを即湯ユニットと呼ぶこともありますが、似て非なるものです)。
普段は鍵が掛かっていて出ることができない設備用ベランダがあるのも、こちらのマンションの特徴の一つです。
上を見上げると、上階にも同じ設備ベランダがあって、エアコンの室外機が置かれていました。
キッチンのシンク下にはディスポーザーがあることが分かっていたので、その品番も確認致しました。マンション毎に使えるディスポーザーが決まっているケースが多いので、このメーカーで新しいものに交換することになります。
ここからは設備調査とは別なお話しですが、ベランダを調べているときに、ベランダの天井(つまり室外)に穴が空いている個所を見つけました。塗装されたケイカル板(ケイ酸カルシウム板)が一部破損して下地材が見えているようです。
手を伸ばして携帯電話でアップ写真を撮ってみた所、ケイカル板の隙間から天井裏のLGS下地が赤く錆びているのが見えました。恐らく、上階ベランダか外壁からこの箇所に水漏れがあり、それが原因で下地材が錆びて、ビスが緩んでこのような隙間が生じたのではと推察することができました。バルコニー部分はマンションでは共用部(正確には専用使用権付きの共用部分)に当たるので、すぐにお客様経由でマンション管理組合に報告して貰い、補修の手はずを整えて貰うことになりました。