ダイニング空間のインテリアを大きく左右する要素であるペンダント照明とダイニングテーブルの選び方について纏めてみました。
黒い大理石磨き仕上げ天板のダイニングテーブルに合わせたのは、カガミ建築計画でも良く使うガラス製ボール型シェードの多灯使いペンダント照明です。ガラスボールの多灯型はガラス質の輝きの華やかさと多灯のボリューム感で、モダンなダイニング空間を引き立ててくれます。
ペンダント照明:S 5024PNBLKCG(ビジュアルコンフォート、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:Pathos(B&Bイタリア)
ダイニングチェア:Leslie(ミノッティ)
多灯型ボール球ペンダントというと、弊社で一番良く使っているのが、こちらのタイプとなります。1本の支柱から木のように枝分かれした先にボール球が付いていて、非対称な自由な形が特徴のシャンデリア照明となります。こちらはとにかく広いリビングダイニングで天井も床も全てフラットに作っているので、ダイニングの場所を規定するために、ラグを敷いて天井も一部ステンレス板張りとしています。
ペンダント照明:Dallas Medium Chandelier(アーテリアーズ、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:Filigree(モルテーニ)
ダイニングチェア:Chelsea(モルテーニ)
同じタイプのペンダント照明を使っても、空間の明るさと色調、そしてダイニングセットが変わると雰囲気もガラッと変わって見えてきます。空間自体はシンプルで清楚ですが、華やかなペンダント照明と植栽が加わったことで、立体感(奥行き)が感じられるようになりました。
ペンダント照明:Dallas Small Chandelier(アーテリアーズ、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:Fly(フレックスフォルム)
ダイニングチェア:Outline(モルテーニ)
同じペンダント照明ですが、こちらは支柱の色とガラスボールが透明から白に変わったことで、少しクラシカルな様相を纏っています。ブロンズの支柱色は壁面の真鍮目地に合わせたもので、乳白色ガラスは白系の大理石と上手くマッチしていますね。
ペンダント照明:Dallas Small Chandelier(アーテリアーズ、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:Column(アルフレックス)
ダイニングチェア:Aston(ミノッティ)
しつこく、ダラスシャンデリアの第4弾です。今回はシックに支柱を黒にして、ガラスは透明に戻しています。天井や鉄骨梁との位置関係で、ダイニングテーブルとペンダント照明の中心位置がずれているのですが、こちらの器具だと中心が見えにくいので、ズレが気にならないというプチ・メリットがあるのです。
ペンダント照明:Dallas Medium Chandelier(アーテリアーズ、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:オリジナル
ダイニングチェア:Ventura & Sophie(ポリフォーム)
ガラス球多灯型でも、こちらはもっとコンパクトなペンダント照明となります。コンパクトな円形ダイニングテーブルに合わせたサイズ感となっています。こちらの器具はガラスボールの色を多様なバリエーションの中から選べることが特徴で、透明と乳白とブラウン色を混ぜています。
ペンダント照明:28.7 Cluster(ボッチ、スタジオノイ)
ダイニングテーブル:AVA(トム・フォークナー、オーセンテリア)
ダイニングチェア:Outline(モルテーニ)
ガラス球多灯型ですが、吊り方の考え方が違ったこちらは、イタリアヴィストジ社のペンダント照明です。通常は、ペンダント照明の一番下がった部分を第二具テーブル上80~85センチに設定するのですが、こちらのお宅ではご主人さまが低いペンダントはどうしてみ嫌だと仰られたので高め(100センチ)に設定しました。空間のバランス的には低い方がペンダントの存在感が強く感じられて良いと思うのですが…。
ペンダント照明:Puppet Ring SP7(ヴィストージ、ルミナベッラ)
ダイニングテーブル:Astrum(マクサルト)
ダイニングチェア:Chelsea(モルテーニ)
ガラス球多灯型からは離れますが、こちらはペンダントを3灯吊るしたスタイルです。小さめのペンダントを複数吊るすことは良くありますが、本当に小さいペンダントだと存在感が薄く消えてしまうので、やはりある程度大きさとデザイン性があるものを選ぶべきだと思っています。こちらのペンダント照明も上と同じヴィストージ社の照明です。
ペンダント照明:ジョガーリSP35(ヴィストージ、ルミナベッラ)
ダイニングテーブル:Howard(ポリフォーム)
ダイニングチェア:Ventura(ポリフォーム)
徐々にデザインがクラシカルなペンダントへと移行していきます。全体にクラシカルな色調の中のこちらのペンダント照明は、遠目に見るとクラシカルなシェード照明ですが、ダイニングに座って見上げるとガラス製のモダンなシャンデリアに見えるという2面性を盛った器具です。2枚のエクステンションリーフを加えて、全長3040ミリの長大なダイニングテーブルにはこの位のボリューム感があるペンダント照明が似合いますね。
ペンダント照明:CHC1526PN-NP(ヴィジュアル・コンフォート、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:CE.33H-301(サァラ麻布)
ダイニングチェア:Vendome(フィリップセルバ)
白いカラーガラス張りの天井からつるしているのは、イタリアのムラーノ島のガラスを使ったバロビエール・エ・トーゾのモダンクラシカルなペンダント照明です。モダンな家具とクラシカルでシックなカーテンとマッチすることを意識して選んだ照明器具です。シャンデリアはどうしても日本のマンションの天井高さでは実現が難しい中で、高さも長さもぴったりの照明が見つかりました。
ペンダント照明:
ダイニングテーブル:Concord(ポリフォーム)
ダイニングチェア:Outline(モルテーニ)
こちらのガラスシャンデリアはイタリアのデ・マヨのものですが、こちらはよりクラシカルなデザインとなっています。円形の折り上げ天井にはメダリオンを設けてその中心からクラシカルスタイルのガラスシャンデリアを吊るしています。円形の折り上げから吊るしたクラシカルなシャンデリアで中心性が強まって感じられますね。
ペンダント照明:2400 K10 Shade(デ・マヨ)
ダイニングテーブル:施主支給品
ダイニングチェア:施主支給品
こちらはモダンでちょっとクールなペンダント照明です。木製のボックスの内部に照明器具が埋め込まれていますが、中央は長いLED照明で、端部には首を振って照らす位置を変えることができるユニバーサルタイプの灯具が入っています。天井のレイアウト上、天カセエアコンの近くにペンダント照明が来ることになってしまったので、風で揺れにくい照明をということも一つの選定理由でした。
ペンダント照明:COMPASS BOX(フロス)
ダイニングテーブル:Diamond(モルテーニ)
ダイニングチェア:FLYNT CROSS BASE(ミノッティ)
最後のこちらは下を照らさず上を照らすアップライト照明です。折り上げ天井の平場にヘリンボーン柄の突板を張っており、それを照らし上げるためにこちらのタイプの照明を選びました。これだけだとテーブル上が暗くなってしまうので、ペンダント照明の影ができないエリアを考えて、折り上げ内に8灯のダウンライト照明を仕込みました。
ペンダント照明:ARN5501(ビジュアルコンフォート、ベイカー@東京)
ダイニングテーブル:Truly (ボナルド)
ダイニングチェア:Tyler(カッテラン)
以下は、設計デザイン段階でどのようにペンダント照明をお客さまと決めてゆくかのプロセスを簡単にご紹介しておきます。最初はとにかく印象的なペンダント照明器具とダイニングセットのイメージ写真を集めてお客さまにお見せしていきます。
彫刻のような大きく印象的なものから、こちらのような小ぶりの灯具を幾つか並べるアイデアなどもお見せしました。こういったシートや断片的な写真をプレゼンテーション時やメールでお送りしながら、お客さまに発想を膨らませて頂きます。
ある程度イメージが固まってきた所で、実際に日本で手に入れることができる灯具でPSE認証が取れるものをか、また納期が間に合うかを見極めながら、最終候補となったペンダント灯具のモックアップを作ります。こちらは工事現場で打合せテーブルをダイニングテーブルに見立てて、モックアップを見比べてみた時の様子です。
工事現場だとスケール感は分かっても、使った時のイメージや高さ関係などが分かり難いので、最終候補となった灯具のモックアップを仮住まいのダイニング上から吊るして何日か暮らして貰ったうえで、高さも含めて決定とします。ペンダント照明は、彫刻のように空間に対して大きな影響力があるインテリア要素です。特にダイニングの中心性を高めて、視線が窓から外に抜けてしまうのを引き留める役割もあるので、何度もお客さまと検討しながら時間を掛けて決めてゆくものだと考えています。