Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

キッチン円形シャフトの成形

杉並区S邸

以前から出来上がる様子を徐々に説明してきた、キッチンのアイランドカウンターを貫通する円形シャフトの成形工事の最終段階です。

キッチン円形シャフトの成形

まずは、VU管に15mのベニヤ板を割いた下地を取り付けてゆきます。

これはVU管の厚みだけでは曲げベニヤ板を固定させるには脆弱過ぎるので、きちんとビスが効くように下地を組んでいます。

曲げベニヤ板の張り込み

その上から曲げベニヤ板を張り込みます。曲げベニヤ板は、通常のベニヤ板とは違い、張り合わせる薄板の繊維方向を統一させることで、ある一方向に曲がるように作られた建材です。因みにVU管の外形が218ミリで、そこに15mの木製下地を両側に張っているので、248ミリの丸形に厚さ4ミリの曲げベニヤを張っています。このベニヤは最小曲がり直径が250ミリなので、ちょうどギリギリのサイズになっています。

曲げベニヤのビス固定

この曲げベニヤをビスでかっちり固定し、更にその上からもう一枚曲げベニヤを張回します。

FGボード張り

その上から、以前から水に浸してある程度丸形に形を付けておいたFGボードをビスで固定してゆきます。FGボードは、石膏系でありながら曲面施工が可能な不燃ボードで、特徴としてはソフトで腰が強く、厳しい曲率半径でも容易に施工でき、靱性や遮音性に優れている建材です。

5ミリ厚のFGボードを二重に張って、円型シャフトの完成です。朝9時から夕方5時まで掛かって、ようやくこのレベルまで仕上がりました。最終的な仕上がり寸法は計算上は284ミリです。実際にはそれより少し膨らんで290ミリ程度に仕上がったようです。完成後の様子は杉並区S邸リノベーションをご覧ください。
最初の頃の様子も思い出すために、参考写真を以下に載せておきます。

フィブロックで区画貫通処理

本来はブロック壁があることで防火の区画をしていましたが、そのブロックが当初から壊れていたので、上下階を貫通する配管類を全てフィブロックで防火処理をしました。

アイランドカウンター貫通の配管

その上で、排水管を遮音用の鉛で覆って、エアコンのドレイン管を寄せて一本に纏めた段階です。

VU管を使った円形シャフト

VU管でその上から覆ったところです。ここをベースに本日の作業が進みました。

 

 

 

 

 

 

特注スチール製扉の吊り込み

杉並区S邸

リビングと廊下、リビングと書斎廊下を区切る、特注のスチール扉の吊り込みの様子です。

特注スチール扉の吊り込み

六本木T邸では、横桟を何本か入れて細かい影を付けましたが、今回は空間もおおらかでザックリした仕上げを多用しているので、それに合わせてシンプルに四方に厚めの枠を回すデザインとしています。吊り込み作業は二人掛りで、ガラスをはめた状態でガラスに吸盤を付けて持ち上げています。

鉄製扉の下端

珍しい鉄扉の下端の様子です。四角い鉄製の部品の個所に床のフロアヒンジを組合せて、その部分を中心に扉が回転します。因みに、扉は錆び防止塗料で塗られた状態で、まだ最終的な色になっていません。

床のフロアヒンジ

こちらが床に埋め込まれたフロアヒンジです。フローリング材でカバーしていますが、その下に機構が隠されています。

オーダースチール扉の押し縁詳細

こちらは天井で吊っている個所の様子です。ガラスが入っていますが、まだ押し縁も横だけが留められた状態で、竪は固定されていません。

押し縁を留めた時点で、この変性シリコンを押し縁とガラスの隙間にシールしてゆきます。

シーリング打ち

因みに変性シリコンは通常のシーリング材と比較すると、シールした上から塗装することができる代わりに、経年変化による劣化(ヒビ割れ)が起こりやすいことが特徴です。今回は室内使用で、防水などの機能を負っていないので、色味を考えて採用しています。
完成後の様子は杉並区S邸をご覧ください。

 

 

高級オーダーキッチンの組み立て-2

杉並区S邸

高級オーダーキッチンの組み立ても二日目です。

浜田山マンションリノベーション現場

写真右手がキッチンの組み立て様子で、その手前や左手では家具の取付けや、スチール扉の取付けも同時に行われています。

高級オーダーキッチンの組み立て

先日は白い箱だけだったものに、突板の扉と人造クオーツ大理石が組み合わさってくると、急に空間に質感が生まれて、引き締まってくるのがよく判ります。アイランドカウンターと貫通するパイプの取り合いも良く判ります。

カウンター貫通の丸柱詳細

クオーツストーンは他の人造大理石のように溶接はできませんが、きちんと計画通りに寸法が取られているので、ピッタリと納まっています。灰色の丸パイプとカウンターの間には1センチほどの隙間がありますが、これは後日丸パイプに曲げベニヤとFGボードを張り付けてゆくことで消えてゆく隙間です。

曲げFGボード

こちらが、先日現場で八木監督が曲げて、テープで形を保持してくれていたFGボードです。これでキッチンカウンターの丸パイプをカバーしてゆきます。

 

リビング造作家具の組み立て

こちらはリビングに元々あったニッチを使った造作家具を納めている様子です。コンクリートの壁とピッタリ合わせて、カーテンボックスとの取り合いも考えながら、ピアノヒンジという珍しい(ピアノのフタに使われるヒンジ)を使って扉を吊り込んでもらっています。

ダイニング造作家具詳細

先回のブログでも紹介した、ダイニングの変形造作家具です。現場に合わせて微調整して貰った幕板を壁や天井と同じ白色塗装で仕上げて貰うと、大分違和感もなくなってきました。

廊下の造作ベンチ詳細

書斎廊下のベンチにも、蓋が付きました。こちらもピアノヒンジとステーを使って納めて貰っています。収納内部は桐の突板を使うことで、吸湿性を持たせています。

書斎廊下の本棚詳細

ベンチの反対側にある本棚も塗装がほぼ終わり、完成しました。廊下に面した子供部屋の内部壁はピンクと青の色で塗られているので、扉を開けていると、その色が廊下にも沁み出してきて、楽しげな雰囲気を醸し出してくれます。

分電盤の割り付けスケッチ

電気屋さんがこちらが書いた電気関連のプロット図(照明・コンセント・弱電)から書き起こしてくれた、分電盤のメモです。これを基に分電盤のスイッチへと線を割り付けていってもらいます。キッチン完成後の様子は杉並区S邸をご覧ください。