Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

お茶室の寸法(スケール) お茶室リフォーム-6 

お茶室リフォーム

お茶室に新しく入れる炉縁(ろぶち)が搬入されました。お茶室リフォームには、寸法の決め事が
沢山あるので、それらの幾つかを紹介いたします。

炉縁

お茶室の炉の寸法は桃山時代から決まっており、外寸1尺4寸(424ミリ)角という寸法が本日まで守らてきたそうです。お茶室にはこのような昔から守られてきた寸法や比率があり、この機会にそういったものを作りながら学べるのは、難しくもありますが、日本文化の底深い奥を見ているようで、とても感慨深いものがあります。
全体の進捗状況としては、入口脇と床の間の下地窓も据え付けられ、大分お茶室の骨格が見えて参りました。

畳の採寸

大工工事で枠が決まってきたので、建具屋さんと畳屋さんが寸法を測りに来ました。建具は、測った寸法を元に工場で障子・襖を作り、また現場に持ってきたときに削り合わせて調整する事ができますが、畳はそうは行きません。寸法の取り方も建具屋さんとは違って、竹尺とレーザーを使って、何度も何度も確かめながら測っている姿が印象的でした。

そして床の間へ お茶室リフォーム-5 

お茶室リフォーム

今回のお茶室リフォームで設計者として一番拘っているポイントの入り口の庇を紹介します。

小屋根に杉板を葺くのみを残して、入口庇がほぼ完成した状態です。立派な杉の磨き丸太で組まれた庇は、室内に足を踏み入れると思わず目を奪われてしまいます。こんな大きな材を、大工(兼現場監督)の伊藤さんは一人で持ち上げて狂いなく据え付けているのですから、やはり経験のある大工さんは凄いものです。
同時に床の間、床脇の天井が張られ始めています。


床の間は杉板目鏡板張り天井、床脇は杉柾網代張り天井です。床の間の落し掛け、床脇の無目鴨居も据え付けられ、大分床の間の雰囲気が出てきたのが判るでしょうか?
ここまで着工から2週間、大工の伊藤さんがこつこつ作業してきた木工事が大分落ち着いてきました。いよいよ来週から建具屋と畳屋が現場採寸となります。

大工の腕の見せ所 お茶室リフォーム-4 

お茶室リフォーム

床柱を据付がぶじ終わり、入口部分の框や隅柱の加工中です。手刻みで、柱の丸い型に合せて柱を加工している所は、最も神経を使う工事です。失敗してしまうと、高価な柱が無駄になってしまうという緊張感の中、大工の伊藤さんの腕は見事でした。

現場でこのような道具を見つけましたので紹介します。不整形な形の型をとる道具なのですが、このような道具を使いながら、少しずつ削り合わせながら調整して組み立ててゆくのです。

入口部分、踏み込みの上に掛かる庇ができてきました。今回のリフォームでは、洋館の中のお茶室と言う事で、洋風扉の内側に庇が作り出す雰囲気は最も気を使って設計した箇所です。室内なのに、一度外に出たうえで、再度お茶室に上がるような印象を与えたいのです。

柱、軒桁、垂木は杉の磨き丸太を使用しますが、丸材ばかりの木組みは定規が使えず、とても難しい大工の腕の見せ所です。