Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

銘木ツアー お茶室リフォーム-2 

お茶室リフォーム

お茶室設計の細かい図面が仕上がり、設計者がリフォームの際もっとも注意をする見積り段階です。お施主様と打合せを重ねて、実施設計図面を作成し、三社の工務店に”見積り”を依頼しました。全く同じ条件なのに、見積り金額は変わるもので、一番高い所と安い所店では100万円以上の差が付きました。

詳しく見積り内容を調べると、お茶室の経験がない工務店では、未経験の部分を高めに見積もっていることが、一番リーズナブルな価格の工務店では、お茶室を作った事があるベテランの大工が現場監督を兼ねることで、経費を削減している事が判りました。

K工務店が、工事内容の理解も深かったので、更に交渉を重ね、始めに僕らが概算で見積っていた価格の範囲で、何とか諸々の工事を含めて纏めてもらうことになりました。

いよいよ、ゲストルームをお茶室にリフォームする工事が始まりました。まずは実際に柱や壁の位置出しをする墨出しからスタートです。K工務店の大工兼現場監督の伊藤さんと慎重に打ち合わせつつ、位置を決めている写真です。

事前に事務所の秘密兵器のレーザー測量器で綿密に測量してあるので、大きな誤差はありませんでした。

銘木ツアー

K工務店に紹介してもらった川崎の銘木屋「湯川銘木店」にお施主様と銘木ツアーです。材木倉庫のような外観からは想像できない銘木の森に彷徨い込んだようで、とても不思議な体験でした。一応、図面上では材料を指定していましたが、あらかじめ銘木店で選んでおいてくれた材料は、どれも美しく、特に赤松皮付きの床柱は、素晴らしいものを見繕ってもらいました。

洋館内にお茶室をつくることになった事の次第 お茶室リフォーム-1 

お茶室リフォーム

港区高輪で洋館(大使館に見まごう程立派な洋館です!)のゲストルームをお茶室にリフォームした顛末記を、これからシリーズで順にご紹介いたします。

お施主様であるアメリカ人男性のSさまとお茶の先生でもあるS先生、そもそもお茶を通して知合ったそうです。文化に憧れて日本にいらしたご主人は、紹介されたお茶の先生に一目惚れだったそうです。

それから熱心に先生のお茶レッスンに通い、色々と教えてもらう中でSさまが購入した洋館に、お茶室を作ることになったそうです。自宅でお茶のレッスンが出来れば、日本の文化にへの造詣が深くなり、先生のプライベートレッスンも受けられるからでしょうか。

私も学生の頃からお茶室には興味があったので、

  • 山崎の待庵、
  • 京都・裏千家の今日庵、
  • 愛知・犬山の如庵

等を見学してきましたが、いざ実際に自分に設計が任せられると、あまりに判らないことばかりで、勉強のし直しでした。

色々な本を読んで、インターネットで調べて、幾つかの素案を作ってみました。ゲストルーム内の全ての造作を撤去して、本格的な六畳の茶室を作る案、既存の家具を残して、小さな畳の六畳を作る案、四畳半で入口に小屋根を掛ける案など、5つほどの素案を作って、先生とお話しました。スケッチは完成したものとほぼ同じスタイルのもので、提案した当初のものです。

完成写真・図面等の情報はお茶室リフォーム_高輪S邸をご覧下さい。

ニューヨークの最高級リフォーム・リノベーション事情

その他

留学と就職でアメリカに滞在していた時の体験を基に、ニューヨークでの高級リフォーム事情(英語ではRenovation=リノベーションです)を書いておきます。僕が働いていた設計事務所、Cicognani Kalla Architects(略してCKA)は、マンハッタンの中心部で古いマンションやタウンハウスの最高級リフォームを、郊外ではそれらのお客様の新築別荘の設計をメインの仕事としていました。ボスがイタリア人でしたので、お客様は欧州系のお金持ちの方が多かったです。

お施主様は風格があり、歴史やエピソードがある建物を好みましが、一般的にも、アメリカでは予想以上に古いものが尊重されていました。アンティークの置物 やキルト、そしてマンションもプレ・ワー(第一次大戦以前に建てられた)のマンション に住む事が住民のステイタスとなっています。古いマンションの外観は古いままに、内部のインテリアや設備を刷新するリフォームは、新築以上にノウハウと丁寧さが必要な仕事とされていました。歴史的建造物の指定を受けた建物の場合、申請許可を得るだけでも半年以上掛かって、それからようやく工事で、それも装飾や金具は全て再利用することも多く(実はそれらだけでも一財産なのです)丁寧な解体から始まり、約1年かけて工事をするような調子でした。

全てを刷新するリフォームと違って、歴史を紐解いて、改装後にも歴史が引き継がれるようなリフォームの事例を紹介します。画家で作家でもある女性と二人の子供の為のタウンハウスのフルリフォームです。お施主様が描かれた絵のテイストに合せて、全体の調子を整え、照明やタイル等まで、ほぼ全てをお施主様と一緒にアンティークショップで選ぶ、というコダワリで完成したリフォームでした。