Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

中央区S邸のCGプレゼン@ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリー

新規リノベブランドのザ・ライブラリーで進めている中央区の高層メゾネットマンションリノベS邸、ようやくCGが完成したので第一弾のCGプレゼンテーションをお客さまに見て頂きました。

中央区S邸のCGプレゼン@ザ・ライブラリー

メゾネットならではの吹き抜け空間の明るく伸びやかな空間と…、

中央区S邸のCGプレゼン@ザ・ライブラリー

お客さまのSさまの好みのシックで、ちょっとダークで素材感のあるインテリアをどのように一体化させるかが、空間をデザインするうえで一番の鍵になっています。

中央区S邸のCGプレゼン@ザ・ライブラリー

プレゼンテーションでは、パートナーの田口さんがモニター上でCGを動かしつつ、机の上に並べた建材、素材のテクスチャーや色味を確認しながら空間を歩きすすめていきます。

中央区S邸のCGプレゼン@ザ・ライブラリー

CG内で空間を見て頂いた後は、本日のメインイベントでもあるVRゴーグル(VR=ヴァーチャル・リアリティー)をSさまに装着して貰いました。出来上がったリノベーション空間を散策する体験をして頂きました。ゴーグルをつけていないモニター上のように双子の画像が並んでいるだけなのですが、ゴーグルをつけるとまさにその場にいるような感覚を体感して頂くことができるのです!
以下、続きはザ・ライブラリーのブログをご覧ください。

大理石製マントルピースの作り方と費用

乃木坂U邸

乃木坂U邸では、当初のお客さまからのご要望として、リビングにはマントルピース型を置いて、その左右に飾り棚を設けたいとのお話しがありました。
因みに「マントルピース」とは、暖炉そのものをさす「ファイアープレイス」に対して、壁に取り付ける枠とその装飾要素を意味する建築用語です。和室の床の間のように、部屋の重心がどこにあるかを意味づけるものでもあります。

こちらが完成したマントルピース型と左右の飾り棚です。本物の大理石で作ったマントルピースの重厚さはさすがの存在感に仕上がりました。開口部分に黒いカラーガラスを貼ったので、奥行きもあって本当に火を燃やせそうな雰囲気になりました!

代々木上原I邸の大理石製マントルピース

Uさまご夫妻は、以前弊社が設計した代々木上原I邸の無垢大理石製のマントルピースをホームページでご覧になったことがあったそうで、あまりクラシカルでないモダンデザインのマントルピースが良いとのご意見でした。この時のマントルルピース型の組立ての様子はこちらのブログに書いています。

代々木上原I邸のイメージからモダンデザインの大理石製マントルピースのイメージを幾つか探して作ったイメージシートです。①や④も良いけど、②の黒い大理石製のイメージで進めたいとのご意向を伺いました。

プロジェクトの担当スタッフで副所長の竹田さんがまずは見積り用に作ってくれた図面がこちらです。

概算見積りの段階でお客さまから是非作りたいとのことで進めることが決まり、工事会社リフォームキューの下に入ってくれているキダマーブルが素案として作ってくれた施工図がこちらです。

施工図と同時に探してくれた大理石のスラブ写真がこちらです。設計側からは石種は「ゼブラカルニコ」でと希望していましたが、良い石材が見つからず、キダマーブルの齊藤副社長が見つけてくれたものがこちらの「グリジオカルニコ」でした。今回は艶(ツヤ)を一段階落とした水磨きで仕上げるのでで、黒い部分が真っ黒でなくても良いとの判断です。

現場での寸法確認や左右の飾り棚の寸法変更などもあって、最終的にほぼ決まったのがこちらの図面となります。

ここからが制作プロセスとなります。上記の施工図の下地ラインに従って、ベニヤ板でマントルピースの下地型を大工さんに作って貰いました。もう、これに真っ黒な塗装を掛ければ、それだけでも立派なマントルピースになりそうですが(笑)。

大理石工場で加工されてきたパーツを組み立てていきます。職人さんがねっとりとした接着剤を団子状に塗ってベニヤ下地に接着していきます。

使用している接着剤は2液性エポキシ性接着剤で、団子状接着剤で厚みを持たせて不陸(ガタツキ)を調整します。約40分で硬化し始めるのですが、比較的ゆっくりと慎重に作業ができる接着剤を使っているそうです。

一番内側の枠の部分だけ、黒く塗装した細身の木製枠を造作家具工事で取り付けていますが、底板と天板から順番に石材パーツを張っていきます。

各パーツは、スラブから石の柄が繋がるように切り出されており、また接着順によって小口(石材の端部)が磨かれている部分や磨かれていない部分が分かれています。こちらのパーツはL字型に工場接着された物で、黒い割りばしのようなものがはめ込まれていますが、これが石材パーツが折れたり割れないようにするための補強鉄筋となっています。

竪の部材を全て張ってから、横のパーツを小口に載せながら張っていく順番となります。

まだ、開口部内の黒いカラーガラスが張り上がっていませんが、黒い水磨きのマントルピースの完成です!

正面か見るとこのようになっています。石の柄が繋がっているのが判るでしょうか?

カラーガラスを貼った後の完成後のマントルピースです。これでUさまのお宅のクリスマスのサンタさんに間に合わせることができました!

最後の写真はディテールです。
今回の大理石製マントルピース造作工事ですが、見積り金額としては、大理石と木製下地造作まで含んだ工事費が約100万円でそこに工務店経費が10%、僕らの設計監理費用が15%、更に消費税が加わって最終的な金額は約140万円となりました。単体で考えると、確かに高い金額ではありますが、好きな石種を選べて、デザイン(クラシカルな装飾があるタイプは無理です)やサイズをカスタマイズできることを考えると、可能性が広がる選択肢だと思っております。

多灯ペンダント照明のレイアウトの決め方

代々木上原I邸

ペンダント照明と言えば、ダイニングテーブル上に大きく印象的なデザインの照明を吊るすというイメージが強いですが、最近は小粒のペンダント照明を集合体として見せる方法にも調整しています。
今回ご紹介するのは、メゾネットマンションの代々木上原I邸の階段踊り場の多灯ペンダントです。こちらのお宅では、下階のパブリック空間と上階のプライベート空間を区分けるために、階段部分を木の仕上げ材で包み込んだトンネルのような空間としています。階段の踊り場の壁上には小粒のペンダント照明を星空のように(ちょっと大袈裟?)パラパラとレイアウトしています。

木製のトンネルのように見せるコツは階段室の入り口廻りを全て木製のフレームで囲っていることなのですが、わざと階段空間を暗くして、その先に上へと導くように星空のような照明が散りばめられているデザインとしています。下階の廊下を玄関からリビングへと通ると、左手にチラりとこの照明が見えるのです。

階段踊り場の多灯ペンダント照明

多灯ペンダントの群れは完成した状態を見ると簡単そうに見えるのですが、各照明機器の高さを調節してパラパラ感を演出するのは設計側にも施工側にも相当な苦労があるのです。

階段踊り場の多灯ペンダント照明

施工的には狭く天井が高い空間での作業となること、小さなフランジの根本を触るだけでは高さ調整はできないので、この写真のように手前の天井に点検口を設けたことで、何とか電気屋の職人さんに作業をして貰いました。これはダイニングや玄関などの多灯ペンダントでも重要なことですが、吊元をきれいに見せるためには、近くに電気屋さんが天井裏まで潜り込めるような天井点検口が設ける必要があります。

階段踊り場の多灯ペンダント照明

選んだ照明はカナダ人デザイナーが設計したボッチ(Bocci_スタジオ・ノイ)の14シリーズという製品です。そしてこのなんとも手が掛かる電気配線工事を頑張ってくれているムラデンのヤマトさんは、施工会社の青の現場監督の石坂さんの高校の同級生なのです!

弊社設計担当の神崎さんが工事前に描いてくれた配当イメージです。途中で数が少ないのではとのことで、2灯追加しています。実際に吊ってみないとどのようにみえるか分からないのですが、それでも設計者としてある意図をもってデザインするようにしています。

一応完成した様子を上階から見下げたのがこちらの写真となります。現場でのIさまとやり取りで多少変更していますが、概ね設計当初案通りにレイアウトされています。

階段を上っている途中で踊り場から見上げた様子がこちらです。壁に張ったカラーガラスに写り込んで、本当に多数の照明が散りばめられたイメージに仕上がりました!

設計側は左側から階段を上がっていく視線と連動して、右肩上がりのレイアウトでとても良いと思っていたのですが、Iさまからは、追加での費用が掛かっても良いのでレイアウトを変更したいとのこと、違うレイアウトも考えて貰えないかとのことで神崎さんが作ってくれた資料がこちらです。

階段入り口から上へと誘うように見えるこのレイアウト、設計者としてはとても気に入っているのですが、弊社は常にお客さまファーストですので、次回他のカ所でのメンテナンス工事に入る段階で、どうすべきをご相談することになっています。

イタリア製大型クローゼット家具の組立て

因みに、同じ代々木上原I邸の大型ウォークインクローゼットもフランジ付きですが、多灯ペンダント吊りでした。