Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ナイルスナイル2024年1月号に掲載されました

渋谷区Q邸

富裕層向け会報誌のNIlE’s NILE(ナイルスナイル)の2024年1月号の、「住まうことの楽しさ特集」号に4組5名の建築家の一人として選ばれた記事が掲載されました。

ナイルスナイル2024年1月号_住まうことの楽しさ特集

ナイルスナイルには、実は2011年(もう13年前ですね…)にも取り上げて貰ったことがあるのですが、今回は「豊かで自分らしい住まい」をどう考えるかについて取材を受けました。

ナイルスナイル2024年1月号_住まうことの楽しさ特集

ポートフォリオは、恥ずかしながらの事務所打ち合わせ室での撮影です。取材陣の方々からは「「富裕層向けのマンションリフォーム&リノベーションなのに、事務所空間が取り澄ましていない研究室のような雰囲気で良いですねと」と変な誉められ方をして頂きました。

ナイルスナイル2024年1月号_住まうことの楽しさ特集

事例としては、渋谷区Q邸の写真を中心として、好きなものを集めただけでは、自分らしい住まいにならないのではといった逆説的なお話しをさせて頂きました。

ナイルスナイル2024年1月号_住まうことの楽しさ特集

こちらが今回の特集のタイトルページです。

ナイルスナイル2024年1月号_住まうことの楽しさ特集

ほかに取り上げられていたのは、長年の憧れでいつかは追いつきたいと目標にしている横堀建築設計事務所の横堀健一さんとコマタトモコさん、硬派で忌憚のない意見を聞かせてくれる尊敬する建築家の井上洋介さん、そして僕よりも若手ながら実績も姿勢も素晴らしい芦沢啓治さん錚々たる建築家のメンバーで、なぜこの中に一緒に選ばれたのか不思議な気持ちを持っております…。

新築マンション_千代田区O邸リフォーム提案-1

ザ・ライブラリー

新年早々、ザ・ライブラリーブログのティーザーからスタートです。
2024年の秋に完成予定の新築マンションをご購入なさった千代田区Oさまから、間取り変更のご相談メールを頂きました。

新築マンションリフォーム_千代田区O邸_オリジナル平面図

最初に頂いたメールは「2024年の秋に引き渡し予定のマンションですが、インテリア・家具及び照明と一部設備についてご相談をしたいです。」という素っ気ない(笑)メールでした。元々、ザ・ライブラリーは新築マンションの間取り変更やインテリアに対応しようと立ち上げたリノベブランドでしたので、大喜びで返信させて頂きました。
こちらからは、「初めまして、千代田区の新築マンションのインテリアと家具、設備の変更についてお問い合わせありがとうございます。新築マンションのモデルルームが残っているようであれば、そちらをザッと拝見させて頂いた後に、最寄りの喫茶店等で
お話しをさせて頂くことは可能でしょうか?差しつかえなければ、マンション名を教えて頂きたいの共に、間取り図をお送り頂けないでしょうか?。」と返信させて頂いた所でOさまから送って頂いたのが冒頭の間取り図でした。

新築マンションリフォーム_千代田区O邸_リフォーム提案-1

最初にパートナーの田口さん一緒に考えたインテリア提案がこちらです。リビングダイニングでは、長方形の長辺外壁側壁の柱型から柱型までを大きな木製フレームで囲って巨大テレビボードとして演出し、その背面にバラバラとあった扉と収納を纏めて見せ、キッチンのアウトセット引き戸を引き込み扉に変更する提案です。また玄関ホールが無く、ただ廊下が長く続くだけの単調な空間を、壁にカラーガラスや突板を張って、ホールらしさと突き当り感を出す提案としています。ご要望通りに間取り変更なしで、内装だけを触ってできることはこの程度しかありませんが、これだけだと提案としては凡庸な気がしたので、もう1案、間取り変更も含めた案を考えてみました。

新築マンションリフォーム_千代田区O邸_リフォーム提案-2

リビングダイニングについては、ほぼ提案-1と同じ内容ですが、洗面と玄関ホールとそれに挟まれた洋室3の壁や設備を細かく触ってそれぞれの欠点を補正した提案-2としています。
洗面と洋室3と玄関ホールだけを拡大した比較図も掲載している、ザ・ライブラリーのブログで続きをご覧ください。

大型キッチンの素材&色比較CGとその準備

文京区S邸

文京区S邸では、超大型のキッチンを計画しています。どのくらい大きいかというと、アイランドカウンターが4130ミリ×1500ミリ、背面のL字カウンターの長さが5120ミリと1380ミリで、その中にビルトインの冷蔵庫と冷凍庫とワインセラーとオーブンが組み込まれています。

大型キッチンのCG作成

Sさまは色々なウェブサイトやインテリア本、ピンタレストなどを見比べているうちに、どんなキッチンがご自宅用にベストなのか分からず、少々迷子になってきているようでしたので、サービスで素材と色味の検討用CG(コンピューターグラフィックス)を作ることになりました。扉は濃いグリーングレーかライトグレーかナチュラルなオーク、カウンターは白い大理石か黒い御影石、それらをどのように組み合わせるのが良いかを順列組み合わせ式に考えて4つのパターンを、弊社のCG番長こと副所長の前田君に頼んで作って貰いました(通常はCG作成を別途費用をお願いしておりますが、今回は工事費だけでも1億円を軽く超える大型プロジェクトなので、サービスでLDKだけのCGを作ることとしました)。

Sさまご夫妻が打ち合わせに事務所に来てくださった際のCG打合せの様子です。実はCGを作ったことは内緒でしたので、まず打ち合わせ室に前田君がいることに不思議な様子をしていらっしゃいましたが、その後前田君がCGを動かしながらお見せした所、食い入るように画像に見入って下さっていました。

通常、他の事務所でのCGは完成したものをプリントしてお渡しするようですが、前田君はザ・ライブラリープロジェクトでご一緒しているTAGKENの田口さんからの直伝の5Dレンダーソフトを駆使して、リアルにその場でSさまご夫妻のリクエストを聞きながら色味を変えたり、アングルを変えたりしながら見て頂くことができました。

大型キッチンのCG作成

まずは4種類のパターンを事前に作っていたものを見て頂きました。こちらはアイランドはカウンターが白大理石で扉が農灰、背面ユニットはカウンターが黒御影石で、扉はライトグレーものです。

大型キッチンのCG作成

キッチン通路に立ってみるとこのような雰囲気になります。ダイニング側から遠目でみていると判らない取っ手などのディテールが見えてきますが、ブロンズ色の取っ手は嫌だとのご意見を頂きました。

大型キッチンのCG作成

通路の反対側から見たアングルです。床のタイルはどのようなものを想定しているのかとの質問で、仮にベージュ色のタイルを敷いていることをお伝えしたところ、床材は重要だからもっと考えなければとのことになりました。コンロ前のタイルも要検討事項となりました。

大型キッチンのCG作成

扉材の色味を変えて、視点も変えながら色々と見比べてゆくうちに、一番良いと思われるデザインに収束してゆくことができました。
こうやってCGの効能をブログで説明すると、さすが文明の利器、このCG技術があれば素人のお客さまでも判断しやすいから、どんどん使うべきだと思われそうですが…、

大型キッチンのCG作成

実はCGを作るのは中々に大変な作業なのです。デザインする側としては、きちんと寸法が判るキッチンの平面図と展開図を用意する必要があります。

ビルトインの設備器具などは全てのスペックを指定して、CGを作る前田君に情報として渡す必要があります。

展開図の扉材なども、色味を付けて置くだけではCG化しにくいので、イメージ写真や素材を撮影したデータを用意しておくのです。

まずは素材は無視して、立体として変な所が無いかを確認したうえで、

大型キッチンのCG作成

4通りのCGを作るので、混乱しないように、それぞれの素材と色味を整理したシートで説明して、それぞれのパターンを作って貰うという面倒な手続きがあるのです。前田君も自分で設計しているプロジェクトであれば、時間が空いた時にCGの準備をすることができるそうですが、自分が担当していないプロジェクトのCGを作るのはかなり大変だったとのことでした。

キッチンCGを作る際に、リビングダイニングの他の部分を単純化したCGも作って貰っていたので、Sさまご夫妻に見て頂きました。当初は木の仕上げで温かみを出そうと考えていたダイニングですが、このCGだとモクモクしいので、木仕上げをもう少し減らして、絵を掛ける壁を作りたいとのことになりました。

もとのキッチンダイニング側は、キッチンが無くなるとかなり広がって見えるので、テレビ壁をもう少し工夫することと、正面左側の横長窓をデザイン的にどう処理するかが課題として見えてきました。

最後のこのCGは、打ち合わせの内容を反映して作り直してもらったものです。ペンダント照明も変わって、色味や細かいディテールが色々と変わっているのが判るでしょうか?
CGの準備を進めてくれた前田君、そしてCGのための資料作りを頑張ってくれた竹田さん、どうもお疲れさまでした。