Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

大型インテリア模型の効用

渋谷区L邸

設計が進んできた渋谷区L邸では、設計協力をお願いしているハク・アーキテクツスタジオさんが、大きな模型を作ってくれました。

模型はかなりの労力がかかること、内装設計が変化しつつある中でどこで作り始めたらよいかの判断が難しいこと、模型がお役目ごめんになった時の処分が大変なことなどから、カガミ建築計画では長らく作っていませんでした。

しかし、Lさまご夫妻の前にこの模型を置いて天井を外して覗き込んで頂いた時の喜びようは、模型の効用の大きさを本当に強く感じる瞬間でした。

今回の模型はスケールもかなり大きく、素材やディテール、さらには内部の造作家具や置き家具まで作っているので、その準備もそれなりに大変でした。全ての壁や造作家具のデザインを一通り決めるためにこういったラウンジのテレビ壁の造作家具のデザイン検討をしたり、

特注で作る大型のスライド扉のディテールも早めに検討する必要がありました。

廊下壁面の造作本棚と一体に見えるミニキッチンも細かい使い勝手や素材などを検討したうえで、模型製作に入ってもらったのです。

その造作本棚とミニキッチンの模型がこちらです。右奥のラウンジのテレビ壁のデザインや間仕切りの特注スチール引き戸のディテールもキチンも模型に反映されていますね!

因みに、同じ個所をCGでも書き起こしてみました。ミニキッチンのバックセットに大理石を貼る予定なのですが、模型だと中々表現しにくいので、大理石の柄をかえた2枚のCGを作ってみたのがこちらです。

目線で見ることができたり、小物が入った様子を確認できたり、ここではお見せしていませんが、夜景などを確認できること、正面のカラーガラスなどの素材の表情を見比べることができるのはCGのメリットですが…、

誰がどのようなプロセスで作ったかが良く分からないCGと比べると、ハクの後藤さんと関さん、その手伝いの方が作った模型は工芸的な楽しみありますよね。ソファがリアルに作られているだけで、どうやって作ったんだろう、とにかくすごいなと感心してしまいます!

こうやって俯瞰で見ると、空間同士のつながりが良く分かるのも模型の効用ですね。ラウンジのソファの背面壁の後ろにはウォークイン。クローゼットがあるのだなと、直感的に理解することができます。

こちらはウォークインクローゼット部分の模型です。ガラス天板の引き出しや、鏡張りの建具まで表現されているのです。

主寝室のレザー張りのバックパネルがカーブして、造作飾り棚の中に差し込まれているといった設計者こだわりのディテールも模型に表現されているのは、一緒に設計をしているハクさんが模型を作ってくれているから分かってもらえるのだと思います。

間取りについてのブログでご紹介した、変形のランドリールームもこのようなアングルで模型を見ると、隣室との壁位置の絡みが良く分かって、納得しやすいとLさまご夫妻も喜んでくださいました。

こちらは事前に撮影した模型写真ですが、模型空間の中に携帯電話を突っ込んで目線の高さに合わせて撮影すると、よりリアル度が高まりますね。

ハクの後藤さんが模型に携帯を差し込みながら、内部を歩いている様子を動画的に奥さまにお見せしている様子です。CGはリアルっぽくて、出来上がりを想像しやすいと良く言われますが、ずっとCGを見ていると飽きてきてしまいます…。それに対して、模型はとにかく楽しい、皆で見ているだけで盛り上がる、模型を回転させたり、携帯を差し込んだりと長く飽きないというメリットがありますね。

最後の写真は、真上から模型を見下ろしたものです。
後藤さん、関さん、素晴らしい模型の製作、どうもありがとうございました。お陰さまで、打ち合わせが本当に盛り上がりましたね!

ハイブランドのキッチンツアー-3@城南R邸

城南R邸

先日のハイブランドキッチンツアー-1ハイブランドキッチンツアー-2の続きで、城南の2邸(最上階のご自宅用の住戸Aと1階のゲストハウス的住戸B)同時リノベーションのRご夫妻と、日本最高峰オーダーキッチンのアムスタイルとイタリア最高峰キッチンのアルクリネアとのショールームを回りました。

ハイブランドのキッチンツアー@アムスタイル

代官山のアムスタイルのショールームはとてもコンパクトですが、スタイリッシュでシャープなデザインのキッチン事例が4本並んでいます。

ハイブランドのキッチンツアー@アムスタイル

ここまでイタリアとドイツの欧州勢のハイブランドキッチンを見学してきましたが、日本のソコヂカラもお見せしたくアムスタイルをご紹介させて頂きました。海外キッチンは納期が時間が掛かること、現場での細かい対応が難しいこと、そして何より日本独特の料理や片付けの仕方への理解が少ないことが欠点となります。

ハイブランドのキッチンツアー@アムスタイル

その点、アムスタイルであれば、上記をクリアしつつ、海外ブランドにも遜色ないデザイン性と細かい対応も可能なところがウリとなります。

ハイブランドのキッチンツアー@アムスタイル

こちらはキッチンの背面ユニットの中に洗濯乾燥機を隠して収納する事例です。Rさまご夫妻もアムスタイルであれば、イタリア&ドイツのキッチンの良い所を参考にしながらオリジナルのキッチンを作れそうなことを理解してくださったようです。

ハイブランドのキッチンツアー@アルクリネア

そして長い一日の最後に伺ったのが原宿のアルクリネアです。担当の齊藤さんが、イタリアの他のキッチンブランドとの立ち位置の違いやアルクリネアの特徴、そしてデザイナーのアントニオ・チッテリオのデザイン哲学をまずはプレゼンしてからショールーム見学が始まります。

ここでこれまでのキッチンを見ながらお話してきたことが全て変わってしまいました…。

Rさまご夫妻がアルクリネアのキッチンに恋をしてしまったのです!

ハイブランドのキッチンツアー@アルクリネア

それまではマンション1階の住戸Aのキッチンはブルトハウプかジーマティックかアムスタイル、マンション最上階住戸Bのキッチンはモルテーニなのではとお二人とお話をしていましたが、ここで全てが逆転してしまったのです。

ハイブランドのキッチンツアー@アルクリネア

アルクリネアのキッチンの考え方の基本は「シェフズ・キッチン」となります。プロの料理家を自宅に招いて本格的な料理をして貰うためのキッチンであるというコンセプトなのです。

ハイブランドのキッチンツアー@アルクリネア

耐久性と利便性から合理的に考えられたこのステンレスカウンターキッチンを是非採用したいというのがRさまご夫妻の共通したお考えでした。

ハイブランドのキッチンツアー@アルクリネア

アルクリネア社と提携するフォスター社が作ったカウンターと一体型のステンレスシンクがご自身たちの理想だとまで仰っていただきました。設計側の前田君と僕は、アルクリネアが採用となる可能性があるとしたら、ゲストハウス的な1階の住戸Bだと勝手に想像していたのですが、大逆転で最上階のペントハウスの住戸Aがアルクリネアに決まりそうです。ただ、住戸A&Bがアルクリネアとなると、似たようなキッチンになってしまうので、マンション内に自宅と別荘を併せ持つようなイメージで考えると、、違う考え方のキッチンを入れた方が面白いのではと考えているので、住戸Bは他のキッチンで進めることができないか検討してゆくことになりました。
長いながい丸一日掛けてのハイブランドキッチンツアー、大きな収穫がありましたが、お付き合いくださったRさまご夫妻、どうもありがとうございました!

CGのキャッチボールで進むインテリア計画

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリーの告知ブログです。
横浜H邸のお客さまのHさまはしばらくお仕事がお忙しいとのことで、メールを通じてのCGのやり取りで設計が進んでいます。

まずは先行して、Hさまが一般向けCGソフトを使って作って送ってくださったリビングダイニングキッチンのCGがこちらです。お仕事が忙しくなると、そのストレス解消のために、無理やり休み時間を作ってこちらのプロジェクトのデザインに没頭してしまうとのことで、デザインの質も、CGの腕もどんどんうまくなってしまうそうです(笑)。

こちらはザ・ライブラリーで作ったほぼ同じアングルのCGです。これまでのお打合せの中で、CG作成依頼費用として55万円(消費税込み)を頂いての作業となります。
ザ・ライブラリーでは、ライノセラスまたはスケッチアップで立体を立ち上げて、D5レンダラーでレンダリングしたCGなので、空気感まで伝わるCGになっていると思いますが、HさまのCGも中々のものですね。

家具などのデータがソフトに入っているとそれなりの精度が出ますが、こちらのキッチンのように大理石のブロックのようなデザインを一般的なCGソフトで作るのはまだまだ難しいようです。

ザ・ライブラリーで作ったCGでキッチンの3つの案を見比べたものがこちらです。アイランドカウンター横の①②③のボタンを押すと、キッチンのデザインが変わるような作りのCGをお見せしたところ、「さすがプロ!」と喜んで頂きました。Hさまが作ったCGと比較すると、一番目立つ違いは大理石の表現でしょうか。壁のモールディングの凹凸感やキッチンの扉同士の隙間や台輪といった細かい表現、あとは外からの自然光の表現(リビングのオットマンの影がアイランドカウンター部分に表れている)などの細かい違いの積み重ねがザ・ライブラリーのCGのリアルさにつながっているのだと思います。ただ、簡単な設計のアイデアから、素人の方でもCGが作れるようになっていることは、僕らプロとしても大きな脅威です!

ザ・ライブラリーCGでは、マンションリノベーションのビフォーとアフターをボタン一つで切り替えることができるのも一つの特徴です。洗面と浴室も同じ天然大理石を使って一体に見せるデザインとなっています。

浴室の内部壁を大理石で仕上げるのはかなりハードルが高いのですが、オーダーユニットバスの東京バススタイルと相談しながら400×850サイズの大判の大理石をアルミで裏打ちしたもので現場張りできないかを検討して貰っています。

Hさまからは、CGをお送りした数日後にCGに直接コメントを書き込んだ添付書類付きのリクエストメールが届くので、僕ら設計施工側でCGだけの手直しで対応するのではなく、造作家具屋さんや石材屋さんと根本的なところから相談して、どう対応するかを検討してゆきます。
以下、続きはザ・ライブラリーブログをご覧ください。

洗面や浴室もこのようなリクエストが届くので、僕ら設計施工側でCGだけの手直しで対応するのではなく、造作家具屋さんや石材屋さんと根本的なところから相談して、どう対応するかを検討してゆきます。

また、Hさまからは建具をガラス入りのスチール建具にすることは可能かとご質問があったので、まずはこちら側でデザインの候補を事例写真から探してお見せして、

設計担当の岸本が簡単なスケッチを描いた上で、それをCGにしてお送りしています。

リビングから寝室への扉も、当初は目隠しとなる木製建具でしたが、壁全面をスチールサッシと半透明の型板ガラスで作り、真ん中の2枚を固定として、左右のガラスが中央に重なるように一本引きで納めるように調整した案がこちらです。
まだまだデザインや素材を検討すべき箇所は残っていますが、いつまでもCG上でだけの設計を進めるわけにはいかないので、そろそろ概算でのお見積りを作って、より現実的な進め方に落とし込んでゆくタイミングになってきました。