Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

3種類の排水管の経路@渋谷区N邸

渋谷区N邸

新築マンションのLDKと玄関ホールのリノベーションプロジェクト、渋谷区N邸の解体工事が着工となりました。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

普通、解体工事の最中はガラ(ゴミのこと)が多く、釘や金属破片などが散らばっており危なく、見るべき箇所はあまりないので、解体工事の最中に現場には行かないようにしています。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

ただ、今回は天井裏のダクトルートと床下の排水管ルートの早期確認のために、解体が終わる前に我慢できずに(笑)現場に行ってしまいました。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

一番見たかった、床下の排水管の一部が見えています。こちらは元のトイレの便器からの汚水管(右側の太い管、し尿を含む管)とトイレ内の手洗いからの雑排水管(左側の細めの管)です。マンションの住戸専有部内には、3種類の排水管が通っています(厳密にいうとエアコンのドレイン排水管と、まれに専有部内を通っている雨水排水管を加えると5種類ですが…)。こちらの汚水管と雑排水管は部屋内では別の管ではありますが、室外のPS(パイプスペース)の竪管では合流します。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

玄関ホールに入って左側のリビングダイニング側が解体されているのですが、キッチンから流れてくる雑排水管が一部見えています。こちらのマンションのキッチンにはシンクの生ごみ処理機のディスポーザーが取り付くので、キッチンからの雑排水管は他の浴室や洗面からなど雑排水管とは合流しない、ディスポーザー系統雑排水管としてマンション地下のディスポーザ専用浄化槽へと直結する仕組みとなっています。

当初、デベロッパーに見せて貰った図面では、床下の配管図はこのようなものでした。この配管図に新しい間取りを重ねると、トイレの汚水管とキッチンからのディスポーザー系統雑排水管が交差してしまうので…、

ちょっと変形ではありますが、このようなルート取りをすれば解決できるのではと、担当の前田君が考えてくれていました。

しかし、デベロッパーへのリフォームの申請の際に、このようなメモ書きを先方からもらいました。当初僕らが貰っていた図面とは、排水管の大本となる部分からルートが違っていたので、最新の配管図を見せて貰ったところ…、

こちらが正しいものだということが分かりました。この図面が正しいとすると、キッチン系列に排水管を大回ししてもクロスなしで排水することはできません。情報が錯そうしていたので、早い時点で現場確認に行ったという次第です。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

空いている床から床下を覗き込んだところ、3本の排水管が並んでいることが分かりました(写真では2本のように見えますが、その奥に1本通っています)。また、区画貫通箇所はかなり低く設定されていたので、これであればうまくクロスさせることができそうです。

そしてこちらが、現場の情報を確認したうえで、前田君が作ってくれた排水管が交差する計画図です。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

その2週間後の現場です。すっかり解体された室内に、すでに設備工事屋さんが排水管を設置し始めていました。

緑色で丸をした2箇所で排水管がクロスしています。左下から流れてきてるキッチン系列の雑排水管が最初にトイレ手洗いからの雑排水管の上を交差し、その後直角に曲がってから、右上の柱奥から流れてきているトイレの汚水管の上をクロスしています。

向きが変わっていますが、真上から見た排水管がクロスする状況です。今回は床下の寸法に余裕があり、さらに区画貫通部の排水管位置が低かったので、無事クリアすることができましたが、少しヒヤリとしました。普通のマンションではリフォーム申請をしても、何のコメントもなく工事許可がおりることが一般的ですが、今回はデベロッパー側から排水についての指摘があり、そのことで排水管ルート図が違っていることが分かったという珍しいケースでした。きちんと図面を見てアドバイスをしてくれたデベロッパーの担当者に感謝です。

渋谷区N邸の解体と排水管経路

キッチンからの排水管がきちんと勾配を取って配管されていることを一応確認させて貰いました。

解体工事中に確認すべき事柄について

新宿区T邸

お客さまのTさまご夫妻、施工会社・の片岡社長と現場担当の樋口さん、カガミ建築計画の設計担当の岸本さんと前田君、そして僕、各務が揃っての工事契約を済ませた新宿T邸、いよいよ解体工事から茶工となります。

まずは恒例(?)の記念撮影から。そしてわざわざ契約のために仮住まいから、来てくださっていたお客さまが帰られた後は…、

リノベーション工事後のビフォーアフターのための写真を撮影しておきます。

そして、ここからはそのちょうど2か月後の様子です。解体に際しては、まず最初に電気屋さんが来てエアコンや照明機器、インターフォンやコンセントなどの電気設備類を外していきます。電気屋のムラデンの担当は久しぶりに井上さんです。この部屋のこのアングルの写真だけを見ると、解体工事はあまり進んでいないように見えますが…、

同じ部屋の90度回転したアングルの写真ではここまで解体が迫っており…、

壁裏のプライベートルーム周辺はここまで解体が進んでいるのです!

天井裏に隠されていたダクト類も全てあらわになっています。

この写真でちょうど解体しているエリアが元の浴室や洗面所のエリアです。

ほぼ同じアングルのからの1時間後の様子です。天井裏の設備以外は、床も壁もLGS下地もほぼ解体されています。このエリアだけ先行して解体してもらったのには、実は訳があるのです。

オーダーユニットバスをお願いしてるヴェルデの立花さんの現地調査がこの日だったのです。

青の樋口さんが纏めてくれた大判の施工図とヴェルデのユニットバス図を比べながら…、

細かい寸法を実測しながら、床レベルの設定や排水ルートの確認、壁位置を確定していきます。

この作業のうち、一番面倒なのが排水勾配から床レベルを導き出すところです。立花さんだけでなく、ベテランのオーダーユニットパンの製作会社の方も応援に来て、洗面所の床とほぼフラットにできることを確認してくれました。

その後は、樋口さんと補助の池田さん、弊社設計担当の岸本さんと前田君と、現場定例打ち合わせに移っていきます。

工務店の青でも、会社設立の時から参画していた樋口さんは、とにかく事前に問題点を把握してタイミングよく質問してくれるので、前田君との相性も良く、岸本さんもとても勉強になっているようです。

皆が定例打合せをしている間に、気になった個所を僕、各務が撮影して回ります。この東京駅の路線図のような景色(笑)は、床下の給排水+電気の配管です。青が給水管、赤が給湯管、緑が床暖房やお風呂の自動給湯用ペアチューブ管、オレンジが電気配線用CD管で、太い灰色の管が排水管です。

写真左側の壁の裏、バルコニーに2台の給湯器がありますが、太い給水管が2本、赤と緑とオレンジ色の管が集まっているのが分かりますね。

部屋の中央に一つ残された小さな電話ブースのようなものは…、

以前の奥の部屋にあったシャワーブースです。新しく作り直すと、数百万円するシロモノなので、当初の設計では何とか残して再利用をと考えていましたが、このエリアにキッチンが来ることになったので、泣く泣く撤去することになっています。

解体時に確認しておくべきことの一つが、天井裏に隠されていた梁の貫通孔のサイズと位置です。この梁は奥に来るのがユーティリティーで天井高さもある程度下げる想定なので、それほど重要ではありませんが…、

このシャワーブースの上の梁はとても重要なのです。この梁の奥に新しいキッチンが来るので、レンジフードからの給排気をどのルートで通すのかを検討するうえで、最重要資料となるのです。今回はマンションの新築時の竣工図に梁のスリーブ(梁に事前に空けられた穴)の記載がありましたが、早い時点であまり信頼できないことが分かっていたので、特に重要なのです。結論から先に言うと、一番望ましい位置に大きなスリーブが空いていたので、レンジフードの給排気を天井を下げることなくうまく回すことができそうです。一応、スリーブが不足していた場合には、キッチンとダイニングの天井を一部下げてダクトを通すルートも想定していましたが、その必要がなくなりました。

リビングの壁掛けテレビの高さと変形収納について

元麻布J邸

デザインアドバイスで進めている元麻布J邸の壁下地が立ち上がってきた工事現場の様子を見に行って参りました。

先回は解体直後で床下に隠れる配管類の設置段階でしたが、今回は床下地が完成し、壁下地や天井のボードも張られてきている段階で、かなり具体的に空間の様相が見える状態となってきました。

ベランダ側の掃き出し窓サッシ回りもかなり整理ができてきました。もともとはエアコンの冷媒管を通すPS(パイプスペース)として、かなり余裕の寸法でしたが、冷媒管を壁に寄せることで、窓回りをすっきりとさせることができました。

既存の梁型と冷媒管に対して、どのようにカーテンボックスや壁を立てるかを写真に赤線を書き込んで検討した際の資料です。

リビングのコーナーにもエアコンの冷媒管が何本か通っていますが、ここは造作家具を作って被せることでPSを隠すデザインを検討中です。

右側の壁にハイテグラ17と書かれていますね。ハイテグラは左官会社のフッコーのオリジナル建材で、素焼きのタイルの上から、目地材でもある左官を塗り上げる特殊な仕上げで、その厚みが17ミリという意味です。この壁に壁掛けテレビを設置する予定となっています。正面壁の奥に子供部屋、そこから通り抜け型のクローゼットを抜けて、主寝室までが一直線に繋がります。右上の梁型の端部が木で仕上がっていますが、その溝にライン状のLED間接照明を入れる予定です。

こちらは、リビングダイニングからプライベート空間へと繋がる洗面廊下の空間です。この個所は天井裏に梁型があるので、天井を落としています。

LDKから洗面廊下に入ってすぐ左側手前部分に銀色の設備竪管が見えます。その左側が洗面廊下への引き込み扉のポケット収納です。配管類はこの場所に設置する造作家具で隠すこととなります。

プライベート側から見返した洗面廊下です。この写真だと天井の低さが気になりますが、天井高さ2100ミリで天井一杯までミラーキャビネットが入るので、狭く感じない予定です。

プライベート空間の奥には、タカラスタンダード社のユニットバスがすでに設置されていました。

こちらは一番奥の主寝室でです。正面に2つの白い枠が見えますが、右側がミニウォークインクローゼット、左側が先ほどの子ども部屋を通ってリビングまで繋がる通り抜け型のクローゼットとなります。

そうこうしているうちに、お客さまのJさまご夫妻が現場に来てくださいました。

ハイテグラの壁と横の造作収納について、弊社のデザイン担当の松藤さんがJさまご夫妻に説明をしてくれています。

テレビ壁の右側には端部を斜めにカットした変形収納が設置されます。一旦は予算のことでキャンセルになりましたが、DVDプレヤーなどを入れる収納が欲しいとのことで復活しました。

壁掛けテレビのサイズやDVDレコーダーの寸法を落とし込んだ平面図がこちらです。

僕ら設計側が書いたデザイン画を造作家具のアルノが施工図化してくれたものがこちらです。

テレビの設置高さを見て頂きたかったので、リフォームキューの坂本さんと大久保さんと滝川さんにリ僕らが設定した高さで壁掛けテレビのシルエットを黄色いテープで貼ってもらいました。

ソファの位置、ダイニング位置と色々な位置になっていただきテレビの高さを確認していただきました。

Jさまご夫妻が帰られた後は、照明スイッチやインターフォンなどの弱電関係の設備打ち合わせをさせて貰いました。