Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

お客さまと一緒に大理石を選ぶ意味-1_岐阜県大垣市の石工場見学

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリープロジェクトのご紹介ブログです。
最初のご相談時から大理石素材に対して強いこだわりを持っていらっしゃったHさま。キッチンショールームでは大理石をキッチン全面に使われた迫力にとても喜んで頂けましたが、自分で多様な選択肢の中から好みの大理石を選ぶような体験はまだでしたので、一度研究のためにもザ・ライブラリーのメンバーとHさまで岐阜県の関ケ原市と大垣市エリアに広がるの大理石工場と倉庫を見学して回ることになりました。

洗面+浴室+トイレ部分の大理石をお願いする予定のキダ・マーブルの齊藤さんにお願いして、Hさまとザ・ライブラリーから田口さん、岸本さんと現場監督の栗原さん、そして各務の総勢4名で新幹線の岐阜羽島から車に乗って大垣から関ケ原エリアを案内してもらいました。最初に訪問したミナミ石材が用意してくださっていたのがこちらのアラベスカートですが、しょっぱなから美しいアラベスカート見て、Hさまのテンションもかなり上がって、この大理石の枚数が揃うのなら、これで決めても良いとのお話もありました!
因みに、アラベスカートという名前は、白地にグレーのアラベスク模様(波のような模様)が入ることから、この名前で呼ばれています。

ただ、アラベスカートはここのところずーっと人気で、枚数が揃うものがほとんどないとのことで、最初のスラブももう1枚しか残っていないとのことでした。それでも、後ろの山に無造作に並べられているアラベスカートはどれも美しく、Hさまはうっとり(笑)なさっていました。

立てかけられていたものから、一枚を取り出してみてみたいとのことでしたので、ミナミのスタッフの方に、それを吊り出して、前面に持ってきてもらいました。

こちらもとてもきれいな模様が入っているものでしたが、左側は肌理の細かい泡状の模様があるのですが、右側が大きな白い部分があり、採用するには難がありそうでした。ただ、白っぽい部分を日塗工のカラーチャートで見ると、どのくらい白いのかを田口さんが見比べてくれております。

次に伺ったのはコスモマーブルです。こちらでも、齊藤さんが事前にHさまの好みをお伝えしておいてくれたので、倉庫の前面にアラベスカートとスタトゥアーリオ系の白い大理石を並べてくれていました。

ここでも素晴らしい出会いがありました。こちらのアラベスカート・カルペーボラ(Arabescato Calpepola)です!右側が緑色掛かっていますが、それでも美しい!とHさまには喜んで頂いたのですが、残念ながら枚数の問題がクリアすることができませんでした…。
因みに、アラベスカート(Arabescato)には幾つかの石柄があるとされており、一番有名なのが灰色と白のコントラストが美しいコルキア(Arabescato Corchia)、アラベスカートとカルカッタの中間体のようなカルペーボラ、そして、もう少し柔らかな模様のファニエッロ(Arabescato Faniello)やもっと温かい雰囲気のヴァッリ(Arabescato Vagli)などがあります。それぞれ、イタリア・トスカーナ州でアラベスカートが取れる採掘場の名前だそうです。
以下アラベスカート各種を比較した表やそれらの実例写真などは以下のブログ記事をご覧ください。

ニューヨークの友人建築家の設計事務所訪問-1

ニュース

ゴールデンウィーク明けにニューヨークに行ってきた際に、友人の設計事務所を2か所訪問させて貰いました。そのうちの一人のニコラス・スタノスさんの事務所と彼の設計事例の見学の様子をブログに記しておきます。

ニコラスは、1994年から1996年まで修行をさせて貰ったCicognani Kalla設計事務所(CKA)の元同僚です。CKAでは彼の方が先輩でしたが、僕が修行している間に、学部卒業だった彼がハーバードのデザイン大学院に進学したので、ハーバードでは僕が先輩という関係です。僕が帰国後、ニコラスはまたCKAに戻って20年近く働いてから独立して、今はスタッフを3人を抱える設計事務所を主宰しています。

こちらが彼の設計事務所の様子です。ニューヨークのミッドタウンでセントラルパークのすぐ近くのおそらく築100年くらいのかなり古いビルの中にある事務所です。
ニコラスが手伝ったお客さまのお宅が、お客さまの都合で売却されることになり、ちょうど販売されているとのこと、そのお宅を見学させて貰えることになりました!

新築マンションを購入した以前のお客さまの妹さん(当時一人暮らし!)の為に、新築未入居時点からスケルトンにして改装したお宅とのことです。約600平米で、当時42億円(!)で購入したお宅を約8億円(インテリは別途)かけて改装したそうです。

リビングルームが2つあり、大きなダイニングルームにイートインスタイルのキッチン、そして5寝室(全てに水回りセット付き)という豪邸です。

2つのリビングの中央にあるダイニングは12人掛けの巨大テーブル(搬入の関係で2つに分かれています)となっています。

上が、新築分譲時のインテリアイメージCGで下が現在の様子です。当初は中央のこの空間がラウンジ的に使われる想定だったのが、ニコラスのリノベーションでダイニングになったようです。

ダイニングは2つのリビングの中央で、このような列柱に囲まれた空間となっています。因みになぜお客さまが売却されることになったのかというと、お客さま(女性)が新たに結婚することになり、二人そろってマイアミに引っ越すことになったそうです。最初はセカンドハウスとしてこのお宅も持ち続けることも考えられたそうですが、マイアミで約2倍の広さのお宅を購入することになったので、売却することになさったそうです。最初の売値は55億円だそうです!

マンションの上層階で、ワンフロアを占めるお宅で中央に共用部コア(エレベーターや非常用階段)がある間取りとなっています。

こちらはキッチンです。ニューヨークの豪邸では初めて見たポリフォーム社(イタリア)のキッチンでした。

イートインコーナーがある大型キッチンですが、それでも郊外にある豪邸などと比べると、コンパクトなキッチンでした…。一番驚いたのが、イタリアハイブランドのキッチンがニューヨークの豪邸で取り入れられていることでした。日本では、イタリアやドイツのハイブランドキッチンは富裕層の垂涎の的と言われていますが、アメリカの富裕層の間では実は現場造作のキッチンの方が好まれているいます。

主寝室のウォークインクローゼットもポリフォームでした。僕も個人的にはポリフォームは大好きですが、なぜポリフォームのキッチンやクローゼットシステムなのかをニコラスに確かめたところ、お客さまからの指定だったとのことです。因みに、ニコラスはポリフォームのライバルブランドのモルテーニの名前を知りませんでした…。
日本ではイタリアハイブランド家具=高級家具というイメージですが、アメリカではカスタマイズできず(アメリカ家具はほとんどカスタマイズ可能です)、デザインも画一的で(確かに似たようなデザイナーが持ち回りで各ブランドをデザインしていますね)、かつ軽くてペコペコ(アメリカの家具はどれもスーパーヘヴィーですから)なので、豪邸で見かけることは少ないのです。

こちらが主寝室です。ニコラスの体と比べるといかに広くて、天井高さも高いかが分かりますね。因みに、今回の写真で室内に置かれている家具類、アート類は全て中古不動産売買の仲介会社が手配したステージング会社が販売用に持ってきたもので、お客さまの私物は一切なく、ニコラスも安っぽくて好みではないと悲しがっていました。

主寝室奥の手洗いにはふんだんに大理石が使われています。

シャワー室も、ニューヨークの富裕層が好みそうな大理石のアラベスカート貼りです。日本では白系の大理石をキッチンや水回りに使うことは、どんなに撥水処理やコーティング加工しても、長年洗剤やシャンプー等を使っていると黄色っぽい染みが浮いてくるので好まれません。ニコラスに聞いてみたところ、あまりに汚れてきたら、貼り直せばよいとのことでした。因みに、日本ではマンションの浴室やシャワー室は、防水パンと一緒にユニット化したものが主流ですが、米国では今もこれからもおそらく在来工法です。

ニコラスに今回のリノベーションで一番大変だったことを聞いたところ、窓回りの造作だとのことでした。分譲時の窓回りは薄っぺらでフラットに見えて軽かったので、きちんとした枠を4方にまわし、その中に部屋によってはカーテンボックスや遮光性ブラインドなどを埋め込んで黒くてしっかりとした造作窓枠にすることだったとのことでした。

最後のこちらの写真が分譲時の窓回りイメージです。

松濤D邸のキッチン&浴室リフォームのご依頼

松濤D邸

2020年のリビングダイニングと玄関と洗面とトイレ、そしてキッチンの一部のリフォーム、その翌年の主寝室のリフォームをお手伝いさせて頂いた松濤D邸のお客さまから、キッチンと浴室をリフォームしたいとのご連絡を頂いて、4年ぶりにご自宅に伺って参りました。

都心とは思えない、窓から隣地の公園の緑しか見えない、まるで森の別荘のようなお宅です。

今回一番リフォームしたいのが、このキッチン本体とのことです。6年前に初めてリフォームのご依頼があった際は、リノベーション済みのマンションを購入なさっており、まだ新品だったキッチンを捨てるには忍びないとのことで、ここまで使ってきたそうですが、細かい使い勝手の面で不満があるので、作り替えたいとのことでした。

向かって右側のバックセットは僕らがお手伝いして作ったものですが、リフォームでダイニング側への開口を大きくして、もっとオープンなキッチン空間になさりたいとのこと、使える部分は再利用したいですが、かなり手を加えることになりそうです。

こちらがリビングダイニング側から見返したキッチン側の様子です。正面壁に大きな絵が掛かっていますが、その壁の半分ほどは図面で見る限り、撤去できないコンクリート壁なのです。当初はアイランドカウンターキッチンにできないかとのご要望でしたが、竣工時の図面があっている前提とするとそれは難しいそうです。

因みに、こちらが竣工時の図面集から撮影した当該部分の躯体図です。図面中、上部がリビングダイニングと、ー400と記されているエリアがキッチンです。W15と記されている部分がコンクリート躯体で、B5と書かれている部分が開口でいる最大幅隣ります。

もう一つのリフォームポイントの浴室です。手前右側に少し見えている洗面カウンターは5年前に作り直していますが、浴室もやはりご購入時は新品のユニットバスだったので、そのまま使ってきたそうですが、もっとグレード感を上げたいとのご要望でした。

浴室内部がこちらです。きれい好きなDさまご夫妻らしく、とてもきれいな状態でしたが、樹脂製の浴槽やアルミフレームの扉などは、僕らが良く使っているオーダーユニットバスと比較するとグレード感に劣りますね…。

こちらはご依頼があった個所ではないのですが、主寝室の正面奥にシャワーがあり、そこまでの細長い廊下があるのですが、奥のシャワーを全く使っていないとのことでした。

左側のアルミフレーム扉の奥のクローゼットを、廊下やシャワー分を取り込めば、かなり拡大できるのではとお話をしたところ、提案には興味があるので、どのくらい費用で、どのくらい良くなりそうかを提案して欲しいとのことになりました。

このバーコーナーやレザー張りの建具などのデザインをかなり気に入ってくださっているそうで、この雰囲気の延長として、ただ、もう少し明るめの雰囲気でダイニングとキッチンを繋げたいとのことでした。できれば年内に完成させたいとのこと、大急ぎで検討することとなりそうです。