Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

目立たないけど実に重要な下地造作工事について

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリープロジェクトの紹介ブログです。
千代田区O邸の工事は順調に進んでいます。

リビングダイニングの一番クライマックスとなるテレビ壁の造作が進んでいます。と言われても、何が進んでいるのかよく分かりませんね…。既存の梁型の石膏ボードをはがして、門型の木製フレームを挿入する準備をしている段階です。ウォールナット柄の木製フレームを取り付けるのですが、ビスで固定する際に表からビス穴が見えないように梁型の表の石膏ボードをはがして、上から引き寄せるように固定しようと考えています。

バルコニー側から見ると、このような様子になっています。右手前下を見て頂くこと、この部分だけ石膏ボードがはがされているのが分かるでしょうか?実はこの個所のボードと下地LGSを外すことでAVボードの奥行きを確保する算段となっているのです。

テレビ壁の反対側、納戸と洋室2への入り口側の壁です。納戸は扉も扉枠も内部造作も全て撤去していますが、洋室への扉枠はそのまま残しています。ただ、元々は白かった枠ですがトープ色のダイノックシートを張っています。中央の壁も腰辺りに線状にシートが貼られていますね。

それをアップで見たものがこちらです。このボードの背面は洋室2のクローゼットになっているので外せないのですが、納戸と洋室2の扉を一体のデザインに見せるために、この石膏壁を残しつつ、門型フレームやカラーガラスを貼ることで一つのデザインみ見せる工夫をしているのです。ちょうど帯状になっている箇所はカラーガラスの継ぎ目の箇所にあたり、正面から見たときに名刺一枚分透かせて張ったカラーガラスの隙間にボードの色が見えないようにこの帯状のシートを張っているのです。

こちらはキッチン側の壁です。一番右がキッチンへの入り口、その左にパネル壁、収納(扉は外してあります)そして廊下への開口と並んでいます。

同じ壁を斜めから見た写真です。キッチンの扉は、リフォーム前はアウトセット引き戸(壁の前(キッチン側から見ると外側)に扉があり、その位置で開閉する引き戸)だったのですが、それだとダイニングから一番よく見えて、絵などを飾りたくなる壁の前を引き戸が通ることになるので、引き戸レールはそのままに、アウトセット引き戸の前に薄い壁を立てて、引き込み戸(戸袋の中に戸を引き込むタイプ)にリフォームしたのです。

右手に見える白い枠が元のキッチンの枠で、その手前の天井にシルバーの吊り戸レールが見えます。そのレールの手前側(写真左側)に薄壁を立てて、引き込み扉変えたのです。扉自体は交換しますが、元の枠と上吊りレールはそのまま再利用するのです。
以下、続きはこちらのブログをご覧ください。

カーテンポールの選び方について

文京区S邸

クラシカルなお宅で良く使われるカーテンポールですが、最近はエレガント系のインテリアのご相談のお客さまからも良く話題が上がります。日本ではカーテンポールや装飾カーテンレールと呼ばれますが、英米ではカーテンロッド(Curtain Rod)と呼ばれています。

イメージ写真は、お客さまの好みのAmber Interiorから借用したものです。今回はこれと全く同じものではありませんが、日本で手に入る最高級品質のフランス製のHoules(ウレスと読みます)のカーテンポールから選ぶこととなりました。

ウレスの本国サイトを見ても、仕上げが良くわからなかったり、組み合わせが分からないなどで中々選択が進まなかったので、日本のウルスの代理店のAnonimo Design(アノニモ・デザイン)の黒澤さんに相談したところ、サンプルブックを本国から取り寄せてくれました。

中身はこのようになっており、カーテンポールのシリーズと太さと仕上げが分かるサンプルが詰まっていました!

早速、Sさまの奥さまとの打ち合わせに持って行って確認して頂きました。当初から金属質の黒いポールが良いと仰っていましたが…、

シンプルなデザインのロッドでこのような金属質の鈍い黒のものがあることが分かり、とても喜んでくださいました。

アノニモ・デザインの黒澤さんと嘉納さんに色々と調べて貰うと、シングルポールでカーテンを1枚掛けるだけだとシンプルな支えだけで良いのですが、ダブルポールでレースとドレープの2枚掛けとなると、重量もかなりのものになるので、支えの構成が複雑になることが分かりました。

今回選んでいるシリーズでいうと、このような形で斜め下から支える材は必要になるのです。ただ、各部品の寸法は判りますが、上のサポートと下のサポートの距離などの細かい寸法がこの資料では判りません…。

またまた、黒澤さんにお願いして、購入することを前提として、1セットポールとサポートセットを取り寄せて貰いました!

ポールと組み合わせるとこのようなスタイルになります。

因みに、こちらがカーテンリングとなります。

窓の両端であれば、これはこれで良さそうですが、大きな窓の中央部にこれが来ることになるのは何とも避けたいと考えていたところ、中央には天井から支えるサポートがあることを黒澤さんが教えてくれました。これはSさまの奥さまが事務所に来てくださっての打ち合わせの際に黒澤さんと嘉納さんに来てもらってサンプルをお見せしている様子です。

この日は、Sさまの好みの麻のカーテンのサンプルも、アノニモが扱っているZimmer Rohde(ツィンマーロード)のコレクションから幾つか持ってきてもらいました。

具体的なカーテンを選んでいるうちに、当初は寝室には薄いレースのカーテンと厚手のリネン(麻)のドレープを考えていらっしゃったSさまですが、寝室にはレースとドレープの中間程度の透け感のあるリネン1枚にしてもよさそうだとのお話になり、サポートのこともこれで解決することができそうです。

全ての窓のカーテンポールが1本でよいとなると、サポートもシンプルなもの一つだけで済ませることができます。そしてウルスの優れているところは拡張性があるところなので、やはり寝室には2枚欲しいということになったら、天井サポートを使ってカーテンポールを2本に後日の工事で増やすこともできるのです。

後は仮に選んだリネン生地の縫製です。上記の画像はRoomfortuesdayから借用したものです。日本のカーテン縫製の一般的なものは、2段目の2倍ヒダや3倍ヒダですが、Sさまはそれは好みではないとのことで、3段目のEuro Fan Pleatで進めたいとのことになり、この縫製サンプルを作ってもらうこととなりました。この特殊な縫製は普通のカーテン屋さんではできないとのこと、こう言ったことに詳しいアノニモの黒澤さんに協力してもらって、本当に助かりました!

インテリア雑誌「I’m home.」のアーキテクト・ファイルに取り上げて貰いました

ニュース

昔から大好きだったインテリア雑誌「I’m home.」(商店建築社)が毎号、一人(一組)の建築家を取り上げて紹介してくれる、アーキテクト・ファイルに取り上げて貰いました!

編集部の下山田さんと旧知のライターの小森さんとカメラマンの合田さんが、わざわざこの特集記事のためにうちの事務所に取材に来て、顔写真も撮ってくれた、力の入った記事です。どうも傍から見ると、僕の事務所は何の苦労もなしに今のマンションリノベーション設計者のポジションを見つけたかのように思われるのですが、実はここにたどり着くまでに色々な苦労をしているというお話をしたところ、下山田さんも小森さんもとても驚いたようで、そのことを素敵な文章にしてくれました。
これまでに幾度か弊社がお手伝いした事例を掲載して頂いていますが、今回は代表作ということで、外苑前C邸元麻布I邸、そして近作の渋谷区Q邸の写真を取り上げて貰いました。

I'm home.のアーキテクト・ファイルに各務謙司が取り上げられました

こちらが現在発売中の「I’m home.」130号の表紙です。

I'm home.のアーキテクト・ファイルに各務謙司が取り上げられました

事務所の打ち合わせ用のテーブルで、スケッチを描いている様子を撮影してもらったプロフィール写真がこちらです。

I'm home.のアーキテクト・ファイルに各務謙司が取り上げられました

写真は全て再掲載のものなので、あまり目新しくはありませんが、下山田さんと小森さんの目で読み解いてもらった僕、各務の記事が面白いのですが、さすがに全文をここで掲載するわけにはいかないので、ぜひ本屋でご購入ください。
因みに、建築家として取り上げて貰った番号でいうと、29番目にあたるようです。この特集は、2019年8月の100号を記念として始まられた連載シリーズだそうです。僕の記憶では第1番目に紹介されていたのが、尊敬し目標としている建築家&インテリアデザイナーの横堀建築設計事務所の横堀さんとコマタさんだったと思って調べてみたら…、

第一号で紹介された建築家は、まさかの井上洋介さんでした!同年代で活躍している建築家としては、一方的に存じ上げてはおりましたが、当時は全く面識がありませんでした。最近は仲良くさせて貰っており、井上さんの近作の用賀の離れも見学させて貰い、僕らが設計した渋谷区Q邸の内覧会にも来てもらいました。玄人好みで、超硬派な本格建築家の井上さんが最初に取り上げられていたことは、本当に驚きでした…。

そして、こちらが勝手に第一号だと思っていた横堀さんとコマタさんは第2号でした。お二人のことは、まだ売れない建築家&インテリアデザイナー(失礼!)として赤坂の古いマンションに事務所があった頃から存じ上げておりました。それが久が原の住宅やフォレストテラス松濤のモデルルーム、そしてコシノジュンコ邸を設計した頃から「I’m home.」御用達の建築家になったかのような勢いで有名になってゆく姿を横目で見ていたことをよく記憶しております…。
全てのアーキテクト・ファイルを読み返していたら、仕事になりませんね。ただ、憧れだったこの特集に取り上げて貰えたことは本当に名誉だと思っております!