Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

新築マンションリノベの恵比寿A邸 ビフォーアフター

ザ・ライブラリー

リノベーションブランドのザ・ライブラリーの告知ブログです。
新築マンションをご購入なさって、洗面と浴室を除いた全てをスケルトンからリノベーションした恵比寿A邸のビフォーアフターです。

ほぼ同じ角度から見たビフォー(上)とアフター(下)の写真比較なのですが、あまりに空間が違いすぎていて、何が起こったのかが分かりませんね…。

リノベーションのビフォーアフターの平面図で見た、赤い三角のAから見た写真での比較です。薄い紫色のエリアがリビングダイニングキッチンで、赤がキッチンです。
次の写真が青字Bから見比べたビフォーアフターです。

元々は3LDKだったお部屋を1LDK+WICという構成に作り替えているので、LDKが大きくなっています。大きくなっただけでなく、景色の良い向きの窓を全て取り込んだLDKなので、とにかく明るく開放的な空間となっています。
リノベーション前のリビングダイニングが小型のダイニングテーブルとソファしか置けないレイアウトだったのに対して、リノベーション後は1350φの丸形ダイニングテーブルと、大きなレザー張りのソファを入れても余裕の部屋になっていることもリノベーションの大きな成果だと思っています。

こちらが緑色のCから見たビフォーアフターです。アフターの右手前に大理石の壁を作って、窓側にテレビを壁掛けで設置できるようにしたことで、壁側にゆったりとしたソファをレイアウトすることができました。
その他、寝室や玄関などのビフォーアフターの比較写真と記事については以下のブログをご覧ください。

新築リノベでの既存材の活かし方

ザ・ライブラリー

ザ・ライブラリーで設計施工でお手伝いしている新築マンションリノベの千代田区O邸のブログです。
お客さまとの契約から短い期間でしたが、一気に実施設計を完了し、いよいよ工事の着工日を迎えました。

今回の千代田区O邸は、新築マンションということもあり、既存を活かしながらのザ・ライブラリーらしいインテリア改修になります。
初日は、壊さない部分の養生を行い、全体の計画を集まった職人さんたちに説明をしていきます。一部間仕切り壁の移動や、トイレの移設もあるため、一部を解体して、想定通りいくか確認を行っていきました。

照明計画が大きく変更になるため、天井は大々的に剥がし家具が取りつく部分は寸法通りに下地を組んでいきます。

一般的な鉄筋コンクリート造(RC)のマンションは、真っ白な空間に柱や梁型がやけに目立ちます。その出っ張ったり凹んだりした躯体の存在感をいかに消すかがザ・ライブラリーのマジックなのです!上の写真はそのための下地を組んだ後です。既存よりも天井が低くなる部分もありますが、ラインを整える作業がいかに大事かは完成にかけて順にご紹介していきます。

天井のフレームの中に木製の下地を入れているところです。これは、お施主様の希望のmoooiヘラクレウム3リニアというペンダント照明を吊るための物です。
この手の大型の照明器具を設置するためには、初めの段階で、器具の寸法や、吊る位置など正確に墨出しをして下地を入れておく必要があります。ということは、購入するテーブルや置く位置も決まっているということですね。前回のブログでご紹介したように先に置き家具を決めて照明計画をすることはとても重要なことなのです。よくお施主様の方から「家具は後で考えます」とのお話を頂くこともありますが、今お持ちの家具を使用する場合も事前に大きさを確認させていただくようにしています。

今回採用する間接照明についても事前に墨を出しを行い下地を組む前に出幅や、ライン照明の設置位置を確認していきます。

今回の一番の難関はトイレの移動でした。事前の内覧会の時に確認できたお陰で、配管の移設ルートを最小限に解体して引き込みなうすことが無事できました。

あとは元通り床下地を張り込み便器の配管工事は完了です。以下、詳細はザ・ライブラリーブログをご覧ください。

壁の厚みと建具枠の形について 

文京区S邸

解体工事がほぼ終わり、これから墨出しとLGS工事に移ろうとしています。文京区S邸の工事をお願いしている施工会社のでは、これまでの幾度もの弊社との関係の中で、解体後すぐにLGS工事に移行せず、墨出し時に詳細な施工図を作ってくれる流れとなっています。その中で現場監督の織田さんから幾つかの質問が届きました。

既存の躯体を現場採寸して起こした図面に、こちらが作った平面図をもとに壁の位置を書き込んでくれた図面です。建築で作る壁は、施工側は壁芯(壁の中央線)で現場のLGS屋さんや大工さんに指示をして作っていきますが、(マンションリノベーションでは)設計側は壁面(仕上がった壁の表面)の位置で設計をしてゆくので、その整合性を現場監督の織田さんが調整してくれている訳です。
施工図を見ると、建具(扉)と建具枠の部分が白く抜かれていますが、この枠の考え方が早く決まらないと施工図が出来上がらないので、枠の指示と幾つかの細かい質疑が現場側から上がってきました。

新築の建物の場合、相当に厳密に躯体壁が作られるので、壁の芯の位置もかなり図面通りに施工されていきますが、築年数が15年を超えるマンションの場合、躯体の歪みがあるので、どこでその歪みを解消してゆくかもこの墨出し時に解決しておく必要があるのです。歪みを解消する考え方については、設計側の考えと同じだったので、まずは墨(スミ)についてはOKを出して、LGS工事を進めてもらいます。

早速にLGSの壁下地が立ち始めている現場の様子です。

メールのやり取りでもある程度問題は解決できるのですが、こちらの現場では毎週曜日を決めて定例打合せを行うこととしているので、現場監督の織田さん、青の片岡社長、造作家具&建具工事をお願いしている現代製作所の吉岡さん、弊社設計担当の竹田さんと各務で、現場で打ち合わせをしてきました。

当初設計側から現場に渡している建具表がこちらです。

建具枠についての基本的なデザインを竹田さんが現場でスケッチで渡していたものがこちらです。

それに対して、現場側が提示してきたのが、こちらの枠製作図です。僕らのスケッチの方がオーソドックスな作り方で、作りやすく安価なのではと思っていましたが、青と現代製作所からの話では、「後者の提案した枠形状だと、LGS→ケーシング一体の枠取付→ボード貼の流れとなり、材料代はアップしますが現場取付費はダウンします。弊社が提案した枠形状だと、LGS→枠取付→ボード貼→ケーシング取付の流れとなり、材料代は確かに下がるのですが、2度手間になるので現場取付費はアップします。」とのことでした。もともとお客さまもしっかりとした枠と建具で、ペコペコしたものは嫌だと仰っていたので、こちらの方針で進めることが決まりました。

標準的な枠の作り方は決まりましたが、変則的な枠も多数あるので、それらを現場打合せで相談しながら順番に決めてゆきます。

このスケッチの下は標準枠ですが、上は玄関からSIC(シューズインクローゼット)への扉枠で、大きなケーシングを内側につける必要がないので、薄枠にできるように工夫したものです。

このような細かいやり取りを経て、全18枚の木製建具と枠図が上がってきました。実際にはこれに加えて、1枚のスチール扉、1枚の防火扉、そして2枚の浴室&シャワールームのガラス扉がありますが、それら全ての枠の作りが決まってから、最初の施工図が上がってくる算段となるのです。

現代製作所の吉岡さんには造作家具もお願いしているので、ついでと言ってはナンですが、難しそうな部分の家具の打ち合わせもさせて貰いました。

特にリビングのテレビ背面に来るメンテナンス用の隠し扉の部分は、まだテレビ壁のデザインも決まっていませんが、どのような丁番を使ったどんな隠し扉のデザインにするかを相談させて貰いました。

こちらは現場の石膏ボード壁に相談しながら描いた隠し扉のスケッチ図です。

その他、パントリーや、希少本を収納する本棚などのディテールの相談もさせて貰いました。マンションリノベーションでは、大きな間取り案を考えるところも好きですが、こういった細かいディテールを詰めてゆくところも大好きです!

そうこうしている間も工事現場はどんどん進んでゆくので、スケジュールに遅れが出ないように僕ら設計も必死に追いかけてゆきます。因みにいつも現場がこのようにビハインドで進むわけではなく、おおよその現場はデザインも設計図も先に出来上がっているのですが、今回はお客さま側の都合で、現場に入る直前に大きなデザイン的な方針変更があったため、このような追っかけっこになっているのです…。