Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

ワンちゃんが快適なフローリング探し

渋谷区L邸

大型メゾネットマンション渋谷区L邸では、愛犬のMちゃんが滑りにくいフローリングを探しています。それも、なるべく無節のきれいな木目で、幅広で厚突きで高級感のあるフローリングです。
今のお住まいは、前オーナーがリノベーションした際に、既存フローリングの仕上げを削って、白い塗料を現場で拭き取りをした特殊な仕様で、塗りムラがあり仕上がり感が悪く、また実(サネ)にも隙間が空いてしまっており、お好みではないとのことでした。また、塗料の関係で滑りやすく、ペットのMちゃんが滑って腰を悪くしてしまうので、Mちゃんが良く歩く部分だけ、Lさまご夫妻で滑り止めのワックスを塗ってきたそうです。

これまでワンちゃんがいるお宅でご推薦をしたことがある、木材輸入ブランドのADワールドが扱っているノルド(フィンランド)シリーズをまず体験してもらうことになりました。奥さまとMちゃんにショールームに来てもらいました。MちゃんをあやしてくれているのはADワールドの担当営業の阿部さんです。

好奇心旺盛なMちゃんは、スキップフロア(床のレベルが少しずつずれた床)のADワールドのショールームが気に入ったようで、じっくりフローリングの脚触りを確認するどころか、どんどん登って行ってしまいます(笑)。

Mちゃんが歩いている音が、フローリング材によってコツコツといった音やサッサッという音に代わることが気が付きました。コツコツ音のフローリングでは、急ストップしたり、高速で回り込もうとしたときに脚が滑ってしまうのですが、サッサッ音のフローリングでは実に動きが良いことが判りました。幾つかのフローリングが張られている床の中で、一番快適そうだったのがこちら、ADワールドが扱っている高級フローリングの中でも最も高級なリストーネ・ジョルダーノ(イタリア)のスライドでした。
さすがお客さまと同じく、良い物の価値を知っていらっしゃる!
ただ、スライドシリーズは仕上げの色味のバリエーションがあまりなく、どの色味も奥さまがあまり好みではないとのことで、

そこで当初のお目当てのノルドではなく、より高級なリストーネ・ジョルダーノのコレクションの中から、奥さまが気に入った質感と色味のフローリング材をまず選び、それをMちゃんに歩いて貰いました。小さい面積の床材サンプルでは、中々Mちゃんもその気にならず、あまり歩いてくれないのと、幅広のストレート、無節の材は、フローリングの厚みが薄い物しかないとのことで、気になるフローリング材を何種類か持ち帰ることになりましたが、決定にまでは届きませんでした。
後日、ご自宅で持ち帰ったサンプルを見た頂いたところ、ショールームとは色味が違ったイメージでグレーすぎて、あまり好みではないとのこと、スタート時点に戻ってしまいました…。

次に奥さまとMちゃんと一緒に伺ったのは、カガミ建築計画でも一番のお気に入りフローリング、表参道にあるスカンジナビアン・ハウジングのショールームです。

ここでもMちゃんは気持ちよく北欧の高級家具の間をすり抜けて、気持ちよさそうに散歩してくれました。ただ、こちらのショールームに敷いてあるフローリングは重歩行用(素足や靴下、スリッパではなく、靴での歩行、つまり店舗用)のフローリング材で、Mちゃんには少し滑り過ぎで、かつツヤや仕上がり感が奥さまの好みとは違っていました。

スカンジナビアンでは、無塗装のフローリング材も扱っているとのこと、その上からスカンジナビアンで代理店をしているBONA(スウェーデン)の滑り止めコーティング剤のTrafficHD Rawを塗布したサンプルを作ってもらうこととなりました。小さなサンプルでは、Mちゃんに歩いて貰うのが難しいので、費用が掛かっても良いので、真物を4枚分作ってもらい、施工をお願いしている三井デザインテック側でパネルに仕上げて貰うこととなりました。
候補がこれだけだと、うまく行かなかった場合、また改めて他を探すことになってしまうので、昔からの友人の建築家、横堀建築設計事務所のコマタトモコさんからご紹介された上野住建の上野さんと、新宿区T邸でお世話になったフローリングブランドのハレトケの渡辺さんに相談してみました。上野住建からはオーストリア産最高級フローリング材のアドモントフロアを、ハレトケからは玄々化学工業の水性塗料でウルトラマットな塗料のS-MATTを紹介してもらい、アドモントの無塗装仕上げのものにS-MATTを塗布したサンプルを、スカンジナビアンと同サイズで作ってもらうことになりました。

そして約一か月後に二つのサンプルパネルが揃いました!向かって右がスカンジナビアン無塗装品をボナ・トラフィックHD・Rawで仕上げたもの、そして左がアドモント無塗装品(納期が間に合わず幅が狭く節あり品でした)をS-MATT(玄々化学)で仕上げたものです。

それぞれを三井デザインテックがベニヤ板に張ってパネル状にしたものを渋谷区L邸に持ってきました。

ワンちゃんのMちゃんの前に、まずはLさまご夫妻に二つのサンプルの上を歩いて頂きました。よく、ワンちゃんの為に滑らないようにコーティング剤を塗り過ぎて、人が歩くときにつんのめって、転んでしまうこともあるので(本末転倒ですね)、お二人の歩き具合を確認して頂きました。どちらのフローリングも人が歩くには問題なさそうでした。

そして、いよいよ真打、Mちゃんのご登場です。どちらも選り好みすることなく、気持ちよく歩いてくれました。ただ、小さなパネルなので、フラットにしているとどちらがどのくらい滑るのかが判り難いので、ちょうどこの日から三井デザインテックの営業担当として榎本さんに代わって新しく入ってくれた武智さんが、パネルを傾けてみたら良いのではとのアイデアを出してくれました。

Mちゃんには申し訳ないのですが、何度もランウェイ(ファッションショーの花道)を歩いたり、走ったりしてもらいました(笑)。

パネルの下部が空いているので、音での違いが良く分かりませんでしたが、急ストップしようとしたり、方向反転をしようとしたりする動作を細かく見ていると、アドモント&エスマットの方が歩きやすそうだとのことになりました。

フローリングそのものよりも、2つのコーティング剤同士の比較となったのですが、エスマットは水性で、素人の方でも後から塗り足すことができること、更には画期的な技術なのですが、細かい傷が生じても濡れたタオルで拭くと傷が消えるという「自己修復性」があるということも後押しをすることになり、アドモント+エスマットの組み合わせで決定となりました。
ここまで献身的に協力してくれたMちゃん、どうもありがとうございました。

※ワンちゃんのサイズや犬種、特徴などによってフローリングやコーティング剤との相性がありますので、全てのワンちゃんに適したものではありません。

マンションリノベとガス乾燥機・乾太くん-2

新宿区T邸

ペントハウス(最上階住戸)マンションリノベーションの新宿区T邸では、以前こちらのブログに書いたような設計経緯で、ガス乾燥機の乾太くんが設置できることとなりました。ガス乾燥機を設置するための工事のプロセスを記録しておきます。

まずは解体時の様子です。沢山のチューブ管が壁の穴から流れて出いるように見えますが、ちょうど壁の裏にガス給湯器が2つついているマンションです。青い管が給水管、赤が給湯管、緑が床暖房&お風呂自動給湯用ペアチューブ管、オレンジが電気配線用CD管で、白い管がエアコンの冷媒管、灰色の管がエアコンのドレイン管とガス管です。因みに躯体壁の裏が緑色にごぼごぼになっているのは、吹き付け断熱材で、その合間に埋め込まれているのが木下地で、その木下地にパイプ類をビス固定しています。

今回の工事では、給湯器、エアコン、床暖房、追い炊き、ほぼすべての設備が交換となるので、工事期間中に使う管だけを残して、ほぼすべての管をまずは一旦整理して貰っています。内側からは無収縮モルタルで、外側からはステンレス板でふさがれていた二つの開口部も空けて貰っています。

内側から開口部を見ることこのようになっており、

外側から見ると、こうなっています。

まだ取り付け前ですが必要な穴の径と数をレイアウトしてステンレス板に穴をあけたものを工務店の青に用意してもらい、これで外部からふたをして貰うのです。

工事の進捗状況に合わせて、ペアチューブや新たな冷媒管が差し込まれていきます。因みに、この壁下地のLGSは既存をそのまま利用しています。

外側から見ると、ステンレス板の穴をに合わせて、全ての管がきちんと通されているのが判りますね。一番大きくて手前に空いている穴がガス乾燥機の乾太くんの排気(正しくは排湿)用の穴となります。

すべての感が通されたところで、LGS下地に吊戸棚設置用のベニヤ板下地も取り付けられました。

ガス乾燥機用の排湿用のダクトが通されています。実はこの段階で、穴のレイアウトが良くなかったので、外部のステンレスパネルの穴の位置を再レイアウトすることになりました。

灰色のベントキャップが外部につきましたが、これがガス乾燥機の熱い排湿を排出する口となります。

2つ並んだリンナイのガス給湯器の右側の機械の下にベントキャップが付く形になりました。

その後、ステンレスカバーの内側を無収縮モルタルで埋めて、石膏ボードで塞ぎ、クロスを張ったところに造作家具で作られた乾太くん用にあつらえた特注の箱が現場に入ってきました。

ちょうど乾太くんの排湿の位置の天板に穴が開いており、それがダクトと接続口となっています。

メラミンで作られた箱の内部の様子です。左上の明かりが入ってくるのが排気口で、左下がガス管の接続口、右上がコンセント穴となっています。

こちらは現場についに到着した乾太くんの排湿口です。この位置に合わせて箱の穴とダクトが設置されているという訳です。

箱の中にかんた君が鎮座いたしました。ダクトはベントキャップと接続する部分は直管ですが、機械と接続する部分はフレキシブルダクトで良いので、手前のダクトを交換しています。

ガス乾燥機では、機械本体からダクトを経由して外部まで排湿管を出す際の長さが短ければ短いほど良いのですが、今回はほぼ最短と言える短さでダクト接続をすることができました。それだけ乾太くんの能力の最大値を活用することができるのです!

あとは外部の工夫です。外側に回り込むと、水道管等が壁貫通する部分はゴチャゴチャしがちなので、給湯器の下部に容易に取り外せるこのようなカバーをつけるのが一般的です。

ただ、乾太くんの排気排湿用のベントキャップの外側このようなパネルをつけてしまうと、熱気と湿気をうまく排出できない可能性があるので、パネルに一工夫してもらいました。

ちょうどベントキャップの正面に当る部分を四角くくりぬいて貰ったのです。切っただけだと、切り口から錆びてしまうので、さび止め塗料を塗ってもらいました。試運転をしてみたところ、うまく熱気と湿気を排出することができました。

最後に完成したユーティリティーの様子です。フレキシブルダクトは断熱を施したうえでメラミンの箱でカバーしています。乾太くん左手前の防水パンの上にはお客さまの好みの国産の洗濯機が設置される予定です。壁クロスも何かユニークなものをとTさまの奥さまと弊社担当の岸本さんが一緒に考えた3色使いで可愛らしいユーティリティーに仕上がってきました。乾太くんを使用するとかなり部屋が暑くなるので、夏の一番時期に冷房が使えるように、小型エアコンのココタスと換気扇を天井に設けました。

因みに乾太くんと洗濯機の裏側の壁側には、スロップシンクとその上のタオルラック、リネンやゴミ箱を収納できる造作収納、そして洗濯物を仮に吊ることができるハンガーバーが吊られています。
キッチンの奥にこのような隠し部屋ができたこと、奥さまもきっと気に入ってくださるでしょう!

高層マンションリノベの渋谷R邸が雑誌掲載されました

渋谷R邸

弊社で3年前に設計デザインをさせて頂いた高層マンションリノベーションの渋谷R邸が、インテリア雑誌「I’m home.」(商店建築社)に掲載されました。

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区R邸が掲載

撮影された日は、天気がイマイチでしたので、高層のパノラマウインドウからの景色がどのように映るか心配しておりましたが、さすがナカサ&パートナーズの撮影、印刷された雑誌にはきれいに形式が映り込んでおりました!

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区R邸が掲載

こちらが「I’m home.134号」の表紙です。残念ながらリノベーションは第二特集で、第一特集は手仕事にに関してでした。

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区R邸が掲載

大きなアイランドがある、スタイリッシュで生活感のないキッチンも大きく取り上げて貰いました。

ちょうどこちらがキッチンを撮影している最中の様子です。ギリギリまでインテリアを調整しながら撮影してゆくので…、

まさか写真のアイランドキッチンの背面に、編集とインテリアデコレーターが、これだけの荷物を持って隠れているとは想像できませんよね(笑)!

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区R邸が掲載

キッチンの通路部分、詳細を撮影している際は、別の場所に移動していましたが…。

こちらがちょうど2つ上の紙面の右側の通路写真を撮影してくれている際のカメラマンの様子です。

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区R邸が掲載

こちらは玄関(左側写真)と玄関ホールからダイニング(右側写真)です。

こんな様子で撮影してくれたのです。手前の編集の下山田さんはカメラモニターと連動したタブレットで画角を見ながら、奥ではインテリアコーディネーターがカメラマンのリクエストに応じて、椅子の位置やお花の向きを変えながら調整してくれるのです。

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区R邸が掲載

こちらはサウナ付きの浴室とベッドとウォークスルークローゼットのページです。自分で撮影する場合は、浴槽の上に縮こまりながらシャッターを切っていましたが…、

プロはこのような小型の三脚を使って撮影するのですね!

雑誌「I'm home.」のリノベーション特集に渋谷区Q邸の素材も掲載

実は第一特集の手仕事の部分にも、以前お手伝いした渋谷区Q邸バイオエタノール暖炉に使ったハイテグラの部分を取り上げて貰いました。
取材撮影にご協力くださったRさま、そして編集部の皆さま、どうもありがとうございました!