Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

雑誌「都心に住む」の東京プレミアムマンション特集

代官山T邸

現在発売中の雑誌「都心に住む」(リクルート社)の東京プレミアムマンション特集に「長年都心のプレミアムマンションを見続けてきた識者」として選ばれて取材を受けております。

今回の特集は、2001年以降に竣工した都心(この雑誌では千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・中野区・杉並区・豊島区の13区を都心と定義しているそうです)のマンション約5800軒のリストの中から、今後もプレミアムマンションとして長く残っていくであろうと考えられるに該当するマンションを色々な基準から選んでいます。
左上には、白金台S邸もさりげなく紹介してもらっています。

一口にプレミアムマンションといっても、何を切り口にするかによって選択基準は大きく変わってきます。一般的には、立地性、住戸数、専有部の広さ、共用部の内装グレード、外観のデザイン、新築時の販売価格帯等が基準になるのではないでしょうか。

今回3名が選ばれた識者のうち、住宅評論家の坂根康裕さんは駅近の大規模開発物件である六本木ヒルズレジデンスや二子玉川ライズ・タワーアンドレジデンスなどを選んでいました。もう一人の識者、住宅コンサルタントで元KENコーポレーションの宮城靖博さんは立地とそれに合わせた仕様という観点で、元麻布ヒルズや虎ノ門レジデンスなどのリストを挙げていました。

最後に、こちらでプレミアムマンションを選ばせてもらった基準は、①そのマンションに住戸を買ったお客さまのリフォームをお手伝いしたことがあること、②家族のメンバー構成や年齢変化などに伴なって、将来的にも再リフォームが可能な間取りのフレキシビリティーがあることの2点を中心に、パークマンション南麻布、グランドヒルズ白金台、三番町パークテラス桜苑、南青山テラス常盤松フォレスト、グランツオーベル南平台の5つのマンションを選ばせて頂きました(実際にはアークヒルズ仙石山レジデンスとクロイスターズ広尾も候補に挙げていましたが、他記事との兼ね合いで上記5つが掲載されたようです)。
珍しく、僕の写真も掲載されておりますが、こちらは編集部がマンション側と交渉して下さり、南青山テラス常盤松フォレストのロビーで撮影してもらったものです。

以前も幾度か「都心に住む」で取り上げて貰った代官山T邸もプレミアムマンションのリノベーション事例として掲載して貰っています。

 

 

造作家具&建具の据え付け@平河町T邸

平河町T邸

工事も順調に進んでいる平河町T邸の現場で、建具枠が取り付いて、建具と造作家具の据え付けが始まっているとのことで、現場に行ってまいりました。

現場では、リビングダイニングの二つの柱型には大理石のトラバーチン張りが終わっており、天井のレーリングや塗装も終わっており、据え付けを待っている造作家具が所狭しと並んでいました。

右奥に見えている黒い板は、玄関ホールからリビングダイニングへと入るオークを黒く染色した建具です。

こちらが玄関ホールから明るいリビング側を見返したアングルの写真ですが、中央の黒い建具枠に先ほどの建具が吊り込まれてゆきます。向かって右側の枠はプライベートルームへと続く廊下へ、左側の枠はキッチンへと続く廊下となっており、こちらの左右は枠のみで建具は付きません。

枠と枠の間の袖壁には、床のボーダーとしても使っている大理石のグリジオ・ビリエミを張り、天井には大き目のモールディングを廻しています。アメリカのコロニアル風なデザインがお好みのTさまご夫妻に気に入って頂けそうなデザインに仕上がってきました!

同じ建具の枠を反対側のリビングから見たディテールです。現場の埃ですすけた風合いに見えていますが、オーク突板で木目を残したセミ・オープンポア仕上げで、7部ツヤに仕上げて貰っています。リビング側は装飾的なモールディングは使わずにシンプルな帯状も木板を廻すデザインとしています。

こちらは玄関ホールからプライベート寝室へと延びてゆく廊下を見た写真です。玄関ホールには、リフォーム前は来客用トイレへの入り口がありましたが、小学生のお子さまがいらっしゃるお宅で、靴やスポーツ道具が多いので、大きなシューズイン・クローゼット(SIC)を作り、その扉も壁のデザインと一体化するように考えています。天井には象徴的なメダリオンをつけています。

プライベート廊下の天井を見上げた写真です。廊下の途中から、なぜか幅が変っているのが気持ち悪かったので、直線に続くレーリングを廻すことで、違和感を少しでも和らげるように考えています。

奥の主寝室では壁一面の大きなクローゼット収納がちょうど据え付けられたところでした。こちらはリビングでは使っていない框付きオークの白染色塗装としています。

反対側の壁には造作棚がセットされ始めていました。左下の黄色っぽいボードが張られた箇所は、壁の裏側のリビング側からAV・ステレオ機器を設置するために奥深い収納を作っているので、こちらからは使えなくなっています。ただ、デザイン的には統一感を出すために、右下についている扉と同じパネル材を張ることとなっています。

こちらはちょうど裏側のリビング側のTV棚を設置する部分の壁下地です。影になってしまっていますが、ニッチ(壁凹み部分)の右奥がさらに一段へこんでおり、そこがAV機器を設置する場所となっています。ニッチの天井もオープンになっており、AV機器からの熱が天井裏へと逃げるように工夫しています。

廊下途中に新たに設けたコンパクトなトイレは、腰壁の大理石と手洗いカウンターの設置が終わっていました。大理石のグリジオ・ビリエミと手洗いカウンターと壁立ち上がりに使っている人造石(クオーツストーン)のミンク(シーザーストーン)の色味の違いもうまくマッチさせることができそうです。

まだ築浅で十分使えるキッチンは、基本的な性能は変えず壁紙や照明などで雰囲気を変える予定となっています。

大好きな造作家具の据え付けの様子を見ようと思って現場に来たのですが、タイミングが悪く家具屋さんたちはお休み中で、一人クロス屋(壁紙屋)さんが壁のボードのパテ処理をしている最中でした…。

ただ、職人さんが大勢いて工事が進行中だと、その作業を見ているだけで現場が終わってしまうのですが、本日は静かな現場だったので、じっくり空間とインテリアのマッチングを見ることができました。お客さまからは、もし気になる箇所があれば、追加の工事になっても良いので、さらに良くする為の提案をして欲しいと言われているので、モールディングを追加したほうが良さそうな箇所や、家具取っ手の扉の大きさや色味などについても、追加の提案をご提示することができそうです。

 

 

瞬間調光ガラスの確認@東京バススタイル

港区R邸

港区R邸の浴室と洗面脱衣の関係は、透明ガラスで開放的にしたいと同時に、ティーンエイジャーのお嬢さまと息子さんがご両親と同居しているので、浴室内を隠すことができるようにもしたいとの難しいご要望を頂いております。

瞬間調光ガラスの確認@東京バススタイル

そこで、当初よりオーダーユニットバスをお願いしたいと考えていた東京バススタイルのショールームのシャワーユニットに、電気のオン・オフで透明ガラスを曇りにできるガラスを入れていたので、その見学に伺ってきました。正確には、電源をオンの状態が透明で、オフにするとクモリになるものでした。お客さまのRさまは、最初はこれを使いたいとのお話でしたが、デメリットをお伝えしたところ、最終的には採用は止めようとのことになりました。
そのデメリットとは以下の通りです。
・開閉できるガラス扉にも設置することになると、扉に框(四方の枠)をつけることになるので、洗面と浴室が空間的に分割されてしまうこと。
・ガラスそのものを瞬間調光型にするか、瞬間調光型のフィルムを貼るかの2通りの施工方法が考えられるが、どちらの部材のメーカーも浴室扉には設置経験がなく、保証が出せないこと。
・設置した最初は電源オン時の透明度が高いが、年数が経つと段々と曇ってきてしまうこと(耐用年数は7~8年程度)。
・扉部分とFIX(固定部)の窓ガラスの二つで100万円程度の費用が掛ってしまうこと(どの会社も施工したこ経験がないので、安全率も見込んで)。

東京バススタイルでのオーダーユニットバス打ち合わせ

瞬間調光ガラスを諦めた時点で、洗面と浴室の関係は、高透過ガラスでより透明度を高めたうえで、お嬢さまが浴室に入っているときは洗面所の扉の鍵を閉めておいてもらう形で対応して頂くことになりました。

浴室用32インチサイズのテレビの確認

浴室内には、なるべく大きな画面のテレビを入れて、ステレオで音楽も聴きたいとのご希望だったので、まだ発売されてからそれほど経っていない32インチ型の浴室テレビ(サンエーブ)を入れることになりました。テレビにも天井埋込型スピーカーが付くのですが、残念ながら、テレビの音響と浴室と洗面の天井に入れるステレオシステムを合体することはできないです…。

こちら東京バススタイルの事例サンプルでは、ライニング(水栓が付くか所の壁の低めの部分が出っ張っている部分のこと)がない仕様となっています。ライニングがあると、そこにシャンプーボトルなどを置くのに便利だというお客さまと、その部分が汚れやすいのでライニングなしでフラットな壁にしておいて、壁付けのボトル置きをアクセサリーとして付ける方がいらっしゃるので、そのどちらが良さそうかをご夫婦で相談して頂きました。
こちらでは、ライニングは作るがそこにはなるべく物を置かないようにして、壁ニッチを作りそこに家族4人用のそれぞれのシャンプーボトルを置ける棚を作ることになりました。

ハンスグローエのシャワーヘッド

水栓は水圧のことを考えて日本製のTOTOで、レインシャワーは立って浴びる場合と壁付けの折り畳みシートをつけて、そこに座って浴びる場合のことを考えて2か所に、そしてシャワーヘッドは東京バススタイルで一番人気のハンスグローエのこのシャワーヘッド(クロマ100)を採用することが決まりました(改めてハンスグローエのホームページで確認すると、ショールーのものからデザインが変っているようでした)。
壁や床のタイル等については、洗面脱衣の仕上げと一緒にこれから検討してゆくことになりました。