Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

大理石複合パネル張り@西麻布N邸

西麻布N邸

西麻布N邸のリノベーション工事も、重要な工事が重なってきて、山場に差し掛かってきました。

一つは、玄関からリビングダイニングの壁へと続く、ダークセルベという大理石の間に真鍮の目地を挟みながらのデザイン張り作業です。

こちらが現場に入ってきたダークセルベの大理石です。事前に図面のデザインに従って、大まかにカットされた状態となっています。

この大理石の板を横から見た様子です。実は、僕らの現場では初めての試みでスラブの大理石(厚みが20~30ミリ)ではなく、工場で5ミリほどに薄くカットしたうえで、背面に強度補強のためのハニカムボードを張った特殊な複合大理石パネルを作って貰っています。材料代としては、ハニカム加工に費用が掛かるので、無垢の大理石より高くなってしまうのですが、その代わり重量が四分の一程度になることで、現場への搬入、そして張り込み作業が圧倒的に楽になるので、張り込みの手間まで考えるとほぼ同額になることが分かったので、チャレンジしています。

大理石を張る職人さんたちと現場監督が、壁に墨出しされたラインと真鍮との取り合い、張り順を打ち合わせしてくれている様子です。

コーナーの真鍮金物に大理石ハニカムパネルを摺り寄せるために、背面のハニカム部分をカットして、接着してゆきます。

厚みが2センチ以上あるスラブ材の場合は、騒音や作業スピードのことを考えると現場でカットすることはほとんど不可能ですが、ハニカムで裏打ちされた今回の大理石ボード(複合大理石パネル)は、比較的スピディーにカットしてゆくことできているようでした。

床には真鍮の見切り材の破片が散らばっていますが、石パネルを張って目地を入れて、また石パネルを張ってゆくという作業のため、石屋さんと金物屋さんが同時に作業してゆく複雑な工程となっています。

所々の壁には、照明機器のスイッチ類が入ってくるので、そのスペースについては、大理石は張らずに人工レザー張りのパネルを作って、後からはめ込むデザインとして処理しています。

大理石パネルをコーナーから張り始めて、縦の真鍮目地を取り付けようとしている様子です。

まだ全容が見えてきませんが、玄関ホール部分のダークセルベの大理石柄と真鍮目地の取り合いは、ハイブランドのショップのような華やかさが出てきました。

壁大理石の前には、100平米以上あるリビングダイニングとキッチンの床のタイル張りも始まっていました。

オレンジ色の三角の楔(クサビ)状のクリップがタイルとタイルの間に差し込まれていますが、これはタイルをお願いしているアドヴァンのアド・クリップ工法の道具で、これを使うことで目地幅を整えながら、タイル同士の段差を極力抑えられる優れものなのです。

先日のブログ記事で書いた部屋を貫通する通気管の足元をタイルでカバーする工事ですが、僕らが作った型紙を使って、タイルを切り欠いてくれたそうです。少しは役に立って良かったです。

広い面積がある現場なので、本当は複数の工事が重なることは避けたいのですが、次の工程で大理石張りなどの作業が入る部分のタイルを先行して張って、その他の部分を後から張ってゆく方式で、同時作業が進んでゆきます。この写真の正面に見えている壁も、翌日には…

大理石が張り始められていました。こちらの壁の大理石(スターギャラクシー)は一枚のサイズが小さいので、裏打ちがハニカムではなくFRP樹脂のタイルを使っています。

その翌日までには、このように張り上がっていました。手前に入ってきている職人さんたちは建具と造作家具の組み立ての人達です。

リビングの壁と同じスターギャラクシーのFRP板が玄関ホールにも張り始められています。左奥に見えているのが先日来組み上がってきたキッチンです。

玄関ホールとキッチンの間には勝手口があるのですが、その扉の枠も複雑な形状となっています。建具の吊元(ヒンジが来る側)の金物と木製下地の関係を考えても、FRP樹脂で補強した大理石板は薄く作れるので、設計の自由度が上がっています。

同じすスターギャラクシー大理石の600ミリ角が玄関タタキにも張られてゆきます。本来は、石屋さんとタイル屋さんは違う職種なのですが、FRP裏打ちタイプの大理石は、タイルで使ったアド・クリップ工法が使えることが分かりました。

壁の大理石と床タイルが張られてくると、空間全体の仕上がり感もグッと上がってきました!

B&Bイタリアとミノッティの家具ショールーム巡り

港区R邸

港区R邸リノベーションの家具&インテリアの打ち合わせで、お客様ご夫妻と一緒にB&Bイタリアとミノッティの家具ショールーム巡りをいたしました。

最初に伺ったのはB&Bイタリアです。ご夫妻は青山エリアの高級家具ショールームは幾度も訪問なさったことがあったそうですが、なぜかこのB&Bイタリアはあまり見たことがなかったとのことで、一度奥さまをご案内したところ、この写真のMICHEL(ミッシェル)をとても気に入ってくださっていました。

お二人の間で、いやにリラックスしているように見えますが、実際にソファをご購入なさっても、結構な割合で床のラグの上に座って、ソファを背もたれ代わりになさっている方が多いそうなので、それを実演している様子なのです。

もう一つ確認して頂きたかったのがマクサルト(B&Bイタリアの高級シリーズの内部ブランド)のダイニングテーブルのPATHOS(パトス)でした。天板の大理石はサハラ・ノワールを気に入ってくださっていましたが、3メートルのサイズとなるとこの大理石は無理だとのことで、黒い大理石のマルキーナブラックが候補になります。

次に立ち寄ったのが、モルテーニのショールームです。大理石天板のダイニングテーブルのFILIGREE(フィリグリー)を見て頂きましたが、残念ながら艶消しの表情は好みでないとのことで、こちらは候補にはなりませんでした。

次はミノッティの青山ショールームです。当初、CGに入れ込んでいたのが、新作のLAURENCE(ローレンス)シリーズだったので、サイズ感を座り心地を確認して頂きました。

サイズの大きさが部屋にマッチするように思えないとのことで、このローレンスシリーズは放念して、次回にコート店に展示してあるYANG(ヤング)シリーズを見て頂くことになりました。

その後は、すぐ近くのモザイクタイルのシチス・ショールームを訪問致しました。まだ設計が始まったばかりのイメージですが、お客さまとの契約で決まった竣工時期に間に合わせるためには、時間が掛かる素材は早めに決めて発注してゆく必要があるので、玄関ホールにご提案していたモザイクタイルの素材とイメージをショールームで確認して頂きました。これで良いので、発注との運びになりました!

浴室に設置する浴槽にもこだわりたいとのことでしたので、やはりすぐ近くの骨董通りにある国産高級浴槽ブランドのジャクソンショールームにも寄らせて頂きました。まずは、水を張った浴槽で、ジェットとブロアの機能の違いを見て頂きました。ジャクジーでのジェット、ブロアといった用語は混乱されて使われていますが、正確にはジェットは浴槽内の湯水を加圧循環させ、浴槽横面についたノズルから空気と混合したうえで噴射する機能のことで、ブロー(ブロア)は空気ポンプにより、浴槽底面についたノズルから空気を噴射する機能のことです。マンションでは、ともに音の問題で使用が禁止されていることがありますが、今回のR邸のマンションはどちらも問題ないとのことで、ご主人さまの希望もあるのでジェット&フロー機能付きで進めることになりました。

浴槽の種類については、浴室の大きさに対して最大サイズの浴槽を入れて欲しいとのことでした。まだ解体&墨出しができていない段階では最大サイズがどこになるのか分かっていないので、安全側に考えた少し小さめの浴槽と、より大きめサイズの浴槽の二つで作図作業を進めることで了承して頂きました。

ジャクソンショールームの上階はグローエのショールームとなっているので、シャワーや水栓の使い勝手や水流を体感して頂くことができました。
お昼から夜までの8時間に渡る長時間のショールーム巡り&お打合せ、どうもありがとうございました!

 

 

オーダーキッチン(アドヴァン)の組み立て@西麻布N邸

西麻布N邸

西麻布N邸では、打ち合わせ当初のキッチンショールーム巡りの時から、CP(コストパフォーマンス)を考慮して、オーダーキッチンを始めたアドヴァンでお願いしてみたいとの話がありました。原宿のショールームは展示も豊富で、キッチンだけでなくタイルや水栓といった建材や設備を一気に見ることができるので、確かにキッチンも採用できればお客さまのショールーム巡りも効率的にできると思っておりました(打ち合わせ時の様子はこちらです)。その後リノベーション工事が進み、いよいよキッチン家具の組み立てが始まりました。

こちらの写真ではすでに組み立てが始まっていますが、初日は現場に材料を搬入するところから始まりました。

100平米を超える大型LDがいっぱいになるほどキッチンキャビネットが積まれていたそうですが、僕らが現場に伺った2日目には、箱物は吊戸棚以外はほぼキッチンに収まっており、後はこちらのような多様なパネル材や棚板材や…、

長いシンクカウンターなどが並んでいるだけの状態になっていました。

キャビネットには、最初から引き出し金物や開き丁番金物が取り付いています。これらを建築工事で作った壁に合わせて、平行にかつ直角にお互いを固定してゆく作業へと入ります。すべてをピッタリサイズで作ってしまうと、少しでもズレがあるとそのズレ寸法を吸収できなくなってしまうので、数か所のバッファーを用意しておいて、そこに取り付けるフィラーで調整してゆきます。

一通りキャビネットの設置が終わったところで、カウンター材を載せてゆきます。引き出しや扉も、そのままで現場に置いておくと傷がつく原因になるので、仮の状態ではありますが、それぞれのキャビネットにはめてゆきます。

その後、以前のキッチンからの再利用のガゲナウの大型ビルトインオーブンのEB385410、新しくお客さまにご購入いただいたIHクッキングヒーター4つ口のVI260134ガスのハイカロリーバーナーのVG231234、そしてバーベキューグリルのVR230434を設置してもらいました。

同じタイミングで、アリアフィーナの1200ミリ幅の特注大型レンジフードと、イタリア輸入建材のアークテック社が扱っており、ちょうど国内在庫があったフィアンドレ社の大判タイルをキッチン背面パネルとして張って貰っています。
これで、ほぼキッチンは完成となりました。建築工事との取り合いも多く、工事のタイミングが何度もズレたりと大変な工事でしたが、アドヴァンの頑張りでここまで仕上がってまいりました。