Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

クロスパネルで作るニッチのディテール検討

一番町A邸

一番町A邸では、玄関ホールからリビングに入る扉の横に、大きなクロスを張ったパネル壁を作る予定です。通常は、ボードで仕上げた壁の上に、5.5ミリ厚さのベニヤ板を目地を取りながら張りつけ、そこにクロスを巻き込んでゆきます。ただ、今回はそのパネル壁の一部をニッチのように凹ませて、照明のスイッチプレートを仕込もうと考えております。

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うちの担当スタッフの前田君と立体的なスケッチを描いて考えてみたのですが、目地が3次元に複雑に絡んでしまうので、上手く表現できず、簡単な模型を作って貰うことなったのがこちらの模型です。実際に作るニッチとはプロポーションが違っていますが、どこにどのように目地が通ってゆくかはきちんと表現されています。

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こちらが現地のニッチの個所です。ちょうど壁が折り曲がるコーナー部分にニッチがあるので、格段と難しくなってしまいました。

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工事現場のリフォームキューの現場監督の富田さんと打ち合わせの様子です。左奥では、壁紙代わりにコピー用紙に切り込みを入れて、早速三次元にクロスが巻き込めるかの実験が始まっています。

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折り紙と模型を比べながら考えてくれている富田さんです…

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何通りかの張り方を考えてくれた上で、一番良さそうだと思えた張り方を、実際のクロスを使って大き目のコーナーで作って貰いました。何とか行けそうだとの結論が出たので、模型で作った形で目地を通してもらうことが決まりました。

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こちらが現場のリビング側から玄関ホールを見返した写真です。正面にスチールサッシが入り、その左横に電気の配線が出てきている個所が、クロスパネルニッチの部分です。こんな小さなか個所の納まりのために模型を作る必要があるのかと考えがちですが、細かい部分の集積で大きな空間が出来上がって、そのディテール密度がきちんとコントロールされていることで空間の質が決まると考えているので、ないがしろには出来ないのです。

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その他の部分の工事も順調に進んできております。正面の壁には新規で張るフローリングが届いておりました。

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ADワールドでお願いしたノルドというフローリング材ですが、とてもきれいな色味でした。

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また、玄関ホールの床では、タイルも張られ始めていました。今回は、アドヴァンのミネラルDというタイルを使っています。

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シックな大理石柄のタイルで、僕らも良く愛用させて貰っている製品です。

 

 

 

 

 

リノベーション本の出版記念会!

ニュース

先月発売になった「世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション」(エクスナレッジ社)の出版を記念して、エクスナレッジ社で編集を担当してくれた西山さんと諌山さんが、出版記念パーティーを催してくれました。

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通常の出版記念会であれば、それまでの苦労やエピソードを知っている方たちが主催という形を取るのですが、今回は西山さんが、若手建築家を中心に、僕らのことを知っているか知らないかに関わらず、本のこと、リノベーションのこと、事務所運営のことなどに興味を持ってくれそうかどうかを判断基準に声掛けしてくれたものです。

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会の途中で、立ち上がってこれまでの苦労話をさせられている様子ですが、実は参加してくださった方の7割以上は、お名前は建築雑誌(特に建築知識(エクスナレッジ社))で拝見したことがあっても、初めてお目に掛かる方ばかりでしたので、自己紹介を兼ねたご挨拶になりました。

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出版社のエクスナレッジ社からは、西山さんと諌山さん、以前リノベーション特集でお世話になった吉田さん、そしてかつては営業でバリバリ働いていて、今は他社に移られた高濱さんも来てくれました。高濱さんからはきれいな花束のプレゼントまで頂きました。
当初は、中西ヒロツグさんと共著の「最新版 驚異のリフォーム&リノベーション術」の重版が決まったことも絡めての会だったのですが、なんとなく流れで僕の新刊本だけの会になってしまい、一人花束を貰ってしまい申し訳ありませんでした…。

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最後に、会に参加してくださった方々と一緒の記念撮影です。4時間ほどの会で、あまりに途中での話が弾み過ぎて、全ての方とお話しすることができませんでしたが、本当に本当に楽しく、刺激的な会でした。
写真後列左から、古谷野工務店の古谷野裕一さん、西村幸希建築設計の西村幸希さん、構造事務所monoの森永信行さん、建築知識編集部の吉田和弘さん、デザインライフ設計室の青木律典さん、アトリエ橙の奥山裕生さん、リオタデザインの関本竜太さん、工務店・の片岡さん、設計事務所アーキプレイスの石井正博さん、うちのスタッフの前田幸矢君、建築知識の諌山史織さん、前列に移ってまた左から、石川素樹建築設計事務所の石川素樹さん、日吉坂事務所の寳神尚史さん、の森田悠紀建築設計事務所の森田悠紀さん、元エクスナレッジで今は日本アルトマークの高濱三紀さん、新刊本の編集で本当にお世話になったエクスナレッジ社の西山和敏さん、僕・各務で、イン・ハウス建築計画の中西ヒロツグさんです。撮影の時にいなくなってしまいましたが、ナフ・アーキテクト&デザインの中佐昭夫さんも来てくれていました。
それぞれの分野で、大活躍中の方々がこんなにも集まってくださって、感謝あるのみです!皆さま、本当にどうもありがとうございました。

銘木突板探しツアー@山一商店

麻布台M邸

麻布台M邸の玄関ホールからリビングへの扉や、造作家具の突板の候補を探すために、うちのブログではお馴染みとなっている埼玉県川口市にある山一商店さんを訪問して参りました。

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道路から見ても、何を扱っているお店かよく判らない店構えですが…

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2階に上がるとスゴイのです!小さな体育館ほどの広さのスペースが、突板の素となる突板シートが山ほど積まれているのです。

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細かく見てゆくと、このように、0.3~0.6ミリほどの極薄にスライスされた銘木の単板がこのように積まれています。例えば写真左上に積まれている材はKoaと書かれていますが、これはハワイでウクレレなどの楽器制作に使われるアカシアの仲間のハワイアンコア材の単板です。本当にたくさん積まれており、どこに何があるか判らないような状態に見えますが、社長の山内さんに要望を伝えると、この中からまさに的確なものを提案してくれるのです。

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今回は、代官山T邸でも使った、黒檀で玄関ホールの建具を作りたいと考えておりましたので、幾つかの黒檀の単板を見せて頂きました。ちょうど、二種類の黒檀の在庫があったので、見せて頂いたうちの一つがこちらです。もう一つの黒檀は、残念ながら幅も狭く、模様も小さく、迫力が全く感じられなかったので、こちらのシャチ柄(山内さん命名)のものを候補に挙げさせて頂くことになりました。

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ちょうどこちらについては、二枚をブックマッチでベニヤ板に張った突板サンプルがあったので、代官山T邸の時に作って貰ったサンプルを比較させて貰いました。写真左奥が今回のシャチ柄で、途中で色が変わったところから右側がクリアラッカーを吹いた部分です。右が代官山T邸のサンプルで、こちらは少し赤味を足したうえで、鏡面塗装に仕上げて貰ったものです。
右に比べてもも突板の幅も十分に広く、色味も良く、何より黒檀らしい迫力を感じました。

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まずは一番の目的の黒檀(エボニー)が見つかったので、その後の造作家具に使うチークの突板は、リラックスして探すことができました。2階は高価な銘木が中心で、1階にはチークやウォールナット、オークなどの比較的良く使われる単板が並んでいます。こちらは幅広で木目も緻密で、色味も薄めで、こちらが希望していた条件はほぼ揃ったものを見つけてくれました。

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まだ、こちらのブログでは書き始めていない、赤坂のプロジェクトで使えるかもしれない、美しいチヂミ柄が浮いた、素直なサテンシカモアの突板も紹介して貰ったので、こちらもサンプルとして単板一枚を持ち帰り用に頂きました。

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一通り見終わった後は、中2階の社長室(打ち合わせ室?)で山内さんと突板談義をさせて頂きました。黒檀のサンプルの横に置いてあるのは、銘木中の銘木のシャム柿のツキ板です。こちらもとても魅力的なものでしたが、麻布台のお宅には柄が強すぎて合わないので、今回は残念ながら見送ることになりました。

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これまではスタッフの竹田さんと来ることが多かったのですが、今回は初めて前田君と一緒の訪問でした。山内社長は突板の魅力を語り出したらノンストップで軽く2時間ほどは語れる方なので、こちらのサンプルを使って、前田君に突板の作り方を説明してくれいました。

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こちらは後日麻布台M邸のお客さまのMさまに突板ツアーの収穫品をお見せしているところです。一応、シャム柿のシートも一枚頂いて、シャチ柄の黒檀の横に並べてお見せしたのですが、やはりシャチ柄の黒檀が良いだろうとの話になりました。

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右からシャチ柄の黒檀、真ん中がもう一つの黒檀、一番左がシャム柿です。こうやって比べてみると、柄の華やかさや色味の明るさがシャチ柄のものが良いことが良く判りますね。

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この日は、お忙しいMさまに折角事務所に来て頂いたので、引き戸の仕上げ材候補として考えている人工レザーのサンプル帳も見て頂きました。