Blog建築家が考える
プレミアムリフォーム・リノベーション

Architects think of Premium Reform & Renovation

高級マンションリフォーム・リノベーションの設計とデザインについて。
そのプロセスとノウハウを余すところなく公開しています。

木軸大工工事@白金台P邸

白金台P邸

解体工事が無事完了し、墨出しも終わった白金台P邸リノベーションの現場では、木造軸組み工事が始まっています。比較的築浅のマンションでは、LGS(軽量鉄骨)を使って壁を作られていることが多いのですが、今回の白金台P邸のような築30年を超えるヴィンテージマンションでは、天井はLGSながら壁は木軸という混成工法で作られているケースが多くあります。

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リフォーム工事に於いては、基本的には元からの作り方を参考にして、似たような材料を使って新規壁や天井をつくってゆくのが王道ですが、LGSと木軸だと材料も二種類、職人さんもLGS屋さんと大工さんと手数が増えてしまうので、今回は壁に倣って木軸で天井も組んでゆくことになりました。

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写真正面の柱形の左側に、壁がえぐられているように見える箇所は、以前壁付けエアコンが設置されていました。新しく梁型を拡張するように伸びてきている下がり天井内に天井カセット式エアコンを仕込むことにしています。

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こちらは以前のエアコンの冷媒管(白い管)とドレイン管(灰色の管)を、新たに作った下がり天井へと繋ぎこんでいる様子です。梁型の手前に板が伸びてきているのは、間接照明を仕込むためのアゴ製作の下地です。

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アゴの下地となるランバーをしたから支えるサポート在を大工の工藤さんが丁寧に作ってくれている様子です。

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大工工事では、窓際をすっきりさせるための内枠の造作も始まっていました。従来は窓開口部の外側にスライド式の網戸がありましたが、折角の窓からの景色を阻害する要素になっていたので、新たに内枠を作って、その凹部にプリーツ網戸を組み込むようにしています。

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廊下からリビングダイニングに入る扉のための枠も取り付けられていました。

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奥の寝室から水回り(正面左側)とウォークインクローゼット(正面右側)を見返した様子です。かつては廊下だった部分を水回りに取り込んだり、変形だった二つの寝室の形を整える作業をして貰っています。

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キッチン内では、キッチンカウンターを取り付ける位置が変わったので、そのための袖壁の設置や、吊戸棚を固定するための下地作業も始まっていました。

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ほぼ同時進行で、設備の配管工事も進んでいます。こちらの写真は浴室内ですが水色の給水管とオレンジ色の給湯管が外から入ってきています。

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設備配管は元々躯体壁に開いていた小さな隙間やスリーブから最短距離を目指して配管されています。騒音問題で、シンダーコンクリートが斫り切れなかった箇所でも、このように狭い空間を活かして配管を設置して貰っています。

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こちらは書斎部分の天井裏の換気関連のダクトです。室内強制排気型のガス給湯器があるので、奥の二本のダクトがそのための給気と排気を担ってくれるのです。

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設備機器関係では、ハーフユニットバスが現場に搬入されていました。

芝白金ヒルズP

照明器具が決まっていなかった、廊下のブラケット照明(壁付け照明)器具も、良いものが見つかったので、高さ関係をチェックするために、壁に赤いテープで形状を貼ってバランスを確認してみました。

 

施主支給品の組み立て設置@南麻布K邸

南麻布K邸

一通りのリノベーション工事が終わった南麻布K邸の現場では、幾つかの施主支給品の組み立て工事が始まりました。施主支給工事だったり、家具類の搬入といったものは、リノベーション工事が終わって引渡しが済んでから取り掛かるケースが多いのですが(今回はキッチンや浴室は施主支給工事でしたが、段取り上行程に組み込んでいましたが…)、最近はすべてを組み込んで、家具や調度品類までセットしてからお引渡しをすることが多くなってきました。

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こちらの工事は、TVとAVシステムをお願いしているB&O(バング&オルフセン)の工事です。テレビとオーディオシステム、さらには照明器具や電動ブラインドの開け閉めを手持ちのスマートフォンで操作できるようにする、200平米越えの高級マンションならではの設備工事です。

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テレビは薄型が常識になっていますが、ブルーレイやオーディオのアンプ類を収納するには40センチ以上の奥行が必要で、そのデザイン的処理に苦労することが多くあります。今回は、この写真のように薄型テレビを可動扉で隠せるようにし、その下にはエタノール暖炉を組み込んだ大理石製のカウンターを設けています。ブルーレイやアンプは、先ほどの写真のキッチンカウンターの下部に収納して、この2か所を配線で繋ぐシステムとしているのです。

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天井埋め込みスピーカーや、ソファーの後ろに設置するウファー(重量音用スピーカー)などからの配線、さらにカーテンや照明器具などからの信号線をホストコンピューターであるクレストロンに接続している様子です。マニュアルがあるようでない世界で、常に機器類が進歩してゆくので、それらの最新情報を理解しながらネットワークを組んでゆくのは、まさにプロならでは仕事ぶりです。

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似たような光景で、脚立に立っている電気の職人さんがケーブルを引き出していますが、こちらはセキュリティー関係の配線です。こちらも施主支給の工事となっていますが、実線配線まで工務店の青が担当してくれています。

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一番奥の主寝室では、イタリア製高級ベッドのフルーのベッドフレームを、直輸入でお願いした中津家具さんが組んでくれています。マットレスの性能だけを比較すれば、アメリカのベッドメーカーのシーリーやシモンズが優秀ですが、ベッドフレームやヘッドボードのデザインまでを含めて考えると、フルーの製品がバラエティーが豊富で優れているのではないでしょうか。

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レザーを編み込んだヘッドボードとベッドフレームが組み上がった様子です。緩いアーチ状の木製の骨でマットレスを支える構造となっていますが、中央部分の骨の張り具合を調整することで、マットレスの沈み込み度合をコントロールすることができる仕組みになっています。

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こちらがベッドが完成した様子です。布団やベッドカバー、枕カバーも全てフロー社のリネン類で揃えています。ベッドサイドの机は特注でお願いしており、製作中ですが、ちょうど廊下の正面にあたる壁には、イタリアのデ・マヨ社のガラス・ペンダント照明を吊るしています。

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子供部屋のベッドも特注の輸入品です。ドイツ製の子ども用二段ベッドをエンジェルシェアにお願いして入れてもらいました。

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組み上がりつつある二段ベッドの手前にある長い板は、滑り台の部材です。

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こちらが最終的に組み上がった滑り台付き二段ベッドです。滑り台の奥には二段目に上るための梯子があり、ベッド手前にはボルダリング・ボードと、落下した時のためのマットレスがセットされました。二段ベッドの上段には、飛び降りれないように幌が付いています。子供にとっては、遊具であり秘密基地にもなり、絶対楽しんでくれるハズです!

新プロジェクト 赤坂S邸リノベーション計画の調査解体

赤坂S邸

昨年ご相談を頂いた赤坂のマンションリノベーションプロジェクトS邸ですが、現地確認やリフォーム提案などを経ていよいよプロジェクトが具現化してきました。

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築年数は十数年ですが、エントランスロビー部分はスタイリッシュにリノベーションされているのですが、Sさまがご購入なさったお部屋は元々の賃貸仕様のままでした。

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築十数年の100平米超えのお部屋なのですが、元々は1LDKの間取りとなっています(一般的なマンションであれば、100平米あれば2~3LDKの間取りとなります)。

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その分、キッチンの通路部分が広かったり、

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玄関や廊下が広く、広さがあまり有効活用されていないことで、お施主さまのSさまは全面リノベーションを決意なさったそうです。

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ご家族が3人なので、2LDKにしたいとのことで、上記のようなリフォーム案を2案考えてみました。各寝室の構成はほぼ同じですが、キッチンのレイアウトや水回り・収納の位置は細かく調整してみました。

リフォーム提案-2

B案のイートインカウンターとキッチンが一体化したようなリフォーム案で進めたいとのご意見を頂いたので、その使い雰囲気が判るように立体的なスケッチを描いてみたものがこちらです。

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比較的築浅(築10年ちょっと)だと竣工時の図面もすべてCAD(コンピューターで書いた図面)化されており、優秀なゼネコンが作ったマンションであれば、図面と建物の一致度が高いので、ほぼ図面通りに建物が作られています。ただ、それでも細かい設備配管のルートや壁・天井裏や床下には不確定要素があるので、Sさまに実費を出してもらったうえで、大工さんに半日現地に入ってもらい、調査解体を行いました。壁のボードを部分的に撤去して貰った様子ですが、外壁側はきちんと吹き付けウレタンで断熱されていることが確認できました。

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判りにくいですが、洗面所の壁の位置と浴室の壁の位置がズレていたので、浴室の裏に使われていないスペースがあることを、壁に穴をあけて覗き込みことで確認いたしました。

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キッチンのレンジフードのダクトのルートと、天井段差の理由を探るために、キッチンの天井もボードを割いて貰いました。

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天井と壁で合わせて8か所ほど開けて貰い、孔から内部を覗いて図面通りに作られていることや、

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図面だけでは分からなかった配管ルートなどを探ることができました。R0050752_pt

こちらは非破壊検査でわかる箇所ですが、ベランダのガス給湯器の下のカバーを外した内部の様子です。リフォーム前は追い炊きや床暖房がありませんでしたが、外壁にコアを開けずにそれらの配管を室内に引き込むことができるかをチェックいたしました。写真で、オレンジ色の配管が壁に刺さっている個所は、当初から躯体に開けられていた開口部なのですが、この隙間にさらに何本かの管を貫通させそうなことも判り、管理組合に諮らなければならない大きな工事をせずに、お施主さまのご要望を満たせることが判りました。

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こちらは実測調査後に行った、お施主さまとの打合せ風景です。マンションロビーとお部屋のインテリアのギャップが大きかったので、室内側にもある程度のグレード感が演出できる大理石やタイルを使うべきだと思っていたので、それらのサンプルを見て頂きました。